スポーツ
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スポーツ 2015年11月23日 15時42分
“衰え”見えた白鵬 電撃引退の可能性も…
大相撲九州場所(11月8日〜22日=福岡国際センター)は、休場明けの横綱・日馬富士が13勝2敗で丸2年ぶり7度目の復活優勝を遂げた。 14日目を終えた時点で、日馬富士が1敗でトップ。それを、横綱・白鵬、西前頭10枚目・松鳳山が2敗で追った。先に取組を終えた松鳳山、日馬富士が相次いで敗れたため、結びの一番で白鵬が勝てば、優勝決定戦に持ち込まれる状況となった。 ところが、白鵬は今場所ここまで8勝と覇気がなく、過去の対戦成績が36勝4敗と圧倒的に分がいい横綱・鶴竜に完敗し3敗目を喫した。これで、日馬富士の優勝が決まるという、なんとも盛り上がらない千秋楽となった。 今場所、白鵬にかいまみえたのは“衰え”だった。先場所(秋場所)、場所前の稽古で左足を痛め、3日目から休場した。体調は万全でなかったかもしれないが、それでも初日から12連勝と復活を思わせた。しかし、13日目に日馬富士に敗れると、14日目は右足に故障を抱える手負いの大関・照ノ富士にも敗れ、優勝争いから後退。千秋楽は得意の鶴竜にいいところなく敗れ3連敗。 明らかに終盤はスタミナ切れが目立った。これは、左足の故障が影響したのかもしれないが、衰えを隠せない一幕だった。 今年初場所、全勝で33度目の優勝を飾り、大鵬を抜き史上最多優勝記録を塗り替えた白鵬。その途端、審判部を批判、報道陣の取材をシャットアウト、取組後のダメ押しなどで、バッシング受け、一転悪役と化した。 春場所、名古屋場所は制し、優勝回数は35回にまで伸ばしたが、気になるのはモチベーションの低下。来年3月には31歳となるが、来場所以降も、今場所終盤のようなぶざまな姿が続くようなら、あっさり電撃引退する可能性も浮上した。 今場所千秋楽の取組後、「来年また精進します。それが(北の湖)理事長への恩返しになる」と話した白鵬だが、その頭の中には“引退”の2文字がよぎっているのかもしれない。そのXデーは、そう遠くない将来に訪れそうな気配だ。(落合一郎)
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スポーツ 2015年11月23日 14時00分
トライアウト未受験の大物戦力外選手 松中信彦と井川慶の去就は
11月10日に今年度の12球団合同トライアウトが静岡県草薙球場行われた。40余名の選手が再起を懸けて、実戦形式のシート打撃を行った。トライアウト後ににオファーを受けた選手もいるが、大半は今も“連絡待ち”の状況だという。 「元広島の栗原、元オリックスの坂口といった選手は、トライアウトを受けずに新天地への移籍が決まりました。“待つ”だけで決まるのは実績のあるベテランだけ」(スポーツライター・美山和也氏) しかし、実績があっても決まりそうにないベテランも出てきた。松中信彦(41)と井川慶(36)だ。 「松中に関してはソフトバンクが引退セレモニーの用意もしていました。それを断り、現役にこだわっての退団(自由契約)です」(ベテラン記者) その退路を断っての再スタートを影ながら応援しているとされるのが、王貞治会長だ。王会長は自身の古巣である巨人に松中獲得の打診を入れたとも目されていたが、いまのところ、そういった動きはない。 「高橋由伸新監督の弟分だった脇谷が巨人帰還を決めたため、左の代打をこれ以上抱えてもあぶれてしまう。巨人も世代交代を掲げているだけに、40歳を超えたベテランは獲得しにくい」(同) 打線強化なら、楽天と広島も考えられたが、両球団と松中を繋ぐ人脈はない。しかも、楽天は前広島の栗原を獲得。今後、松中獲得の可能性があるとしたら、王会長と繋がるDeNAの高田繁GMが浮かぶが、そういった動きは一切聞かれない。 ダイエー時代にホークスのフロントマンを務めていた瀬戸山隆三氏がオリックスの本部長に転じているが、こちらもそういった声は聞かれない。 一方で、井川はどうか。 「井川も引退危機と言っていい。井川をかわいがっていた岡田彰布氏がいまの阪神と話ができるのかどうか…。和田豊監督の時代に、井川をトレードで獲得しようと阪神が検討したのは本当です。その時点で井川の古巣帰還が叶わなかったということは、戦力としてダメだしをされたからでしょう」(球界関係者) 井川はもしかしたら今回、アメリカでの経験が生きるかもしれない。 「井川は米球界に在籍した時期も長いので、代理人に移籍先を探させる手段も心得ているはずです。米独立リーグでもいいと割り切れば、なんとかなるのでは」(同) 一方で、「松中のほうがなんとかなるのではないか」の声も聞かれた。ソフトバンク内部に松中の去就を心配する声があり、日増しに強くなっている。平成になってから唯一の三冠王であり、このまま去就が決まらなければ、「その功績に相応しいフィナーレの場を用意すべき」だという。 「FA、トレード、外国人選手の獲得などチームの補強が終わるのは12月半ば。この時点で松中のもとにオファーがなければ、ソフトバンクが『もう一度話し合いたい』と連絡をすると聞いているが」(同) 現役を引退した選手のほとんどがセカンドキャリアで悩む。一流の選手になればなるほど、自身の引き際が難しいというわけか…。
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スポーツ 2015年11月21日 17時26分
視聴者が「WBC」と勘違い? 侍ジャパンは準決勝敗退も、高視聴率を連発!
世の中、やってみないと分からないものだ! 大会開始前、ほとんど話題にもならなかった「野球国力世界一決定戦」をうたう「世界野球プレミア12」(WBSC=ワールド・ベースボール・ソフトボール・コンフェデレーション=世界野球ソフトボール連盟=主催)のテレビ中継が高視聴率を連発したのだ。 世界のトップ12か国が参加した同大会は、2つのグループに分かれて1次ラウンドを行った。グループBに属した日本は5戦全勝で、グループ首位で決勝トーナメントに進出。 準々決勝では、プエルトリコに9-3で大勝したが、準決勝の韓国戦では8回まで3-0でリードしながら、9回表に4点を奪われ、3-4の逆転負けで、決勝進出はならなかった。 まさかの準決勝敗退で、NPB(日本野球機構)には「小久保(裕紀)監督をやめさせろ!」「決勝戦のチケットを払い戻せ!」といった苦情が殺到したという。 残念ながら、日本の決勝進出はならなかったが、日本戦のテレビ中継は高い視聴率を連発し、地上波独占放映権を有していたテレビ朝日、TBSにとっては、笑いが止まらない状況となった。 その視聴率は、1次ラウンドが、8日・韓国戦(テレ朝)=19.0%(数字は以下、すべて関東地区)、11日・メキシコ戦(テレ朝)=16.4%、12日・ドミニカ戦(TBS)=15.4%、14日・アメリカ戦(テレ朝)=18.2%、15日・ベネズエラ戦(TBS)=20.0%と、全試合で15%超え。 16日の準々決勝(プエルトリコ戦=TBS)は18.6%、19日の準決勝(韓国戦=TBS)は25.2%まで跳ね上がった。 21日の決勝戦(午後7時開始)は、テレ朝が放映権をもっていたが、日本の準決勝敗退で、韓国対アメリカの決勝戦の放送は深夜に回され、3位決定戦(日本対メキシコ=同日午後1時開始)のみ生中継された。 テレ朝としては、日本が決勝に残ってくれれば最高だったが、それでも両局にとっては、前評判が低かっただけに、うれしい誤算となったようだ。 初開催で、事前の周知も満足にされていなかったことを思えば、「世界野球プレミア12」は日本的には成功といえそう。ただ、どれほどの視聴者が、この大会の開催趣旨や立ち位置を理解していたかは、はなはだ疑問。なかには、「WBC」と勘違いして見た人も少なくないだろう。本当の意味で勝負となるのは、4年後に予定される第2回大会になりそうだ。(落合一郎)
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スポーツ 2015年11月21日 14時00分
俺たちの熱狂バトルTheヒストリー〈亀田家が見限られた試合〉
先月、米国でのWBA世界スーパーフライ級タイトル戦で、王者の河野公平に敗れて現役引退を表明した亀田興毅。さらに次男の大毅も11月4日、網膜剥離による引退が明らかになった。世間のバッシングを受け続けたお騒がせ一家も、今や昔となりつつある。 興毅はその後に出演したバラエティー番組で「自分はボクサーとしての一商品」と話し、現役当時のさまざまな批判に対しても鷹揚な姿勢を見せた。 「これをもって“大人の態度”“冷静な自己評価”などと評する声もあるけれど、ちょっと待ってほしい。亀田一家として“そもそも批判されるだけのことが多々あった”という大前提が、まるで欠けています」(スポーツ紙ボクシング担当) 中学卒業後、興毅は進学せず、父・史郎氏の指導の下でボクシングに打ち込んだ。そんな親子の姿に注目したTBSテレビは、早くから“大阪から世界を狙うボクシング一家”として番組で取り上げた。 「社会人の試合で好成績を収め、大阪のグリーンツダジムから17歳でプロデビュー。タイ人相手に連勝したまでは良かったが、19歳で東京の協栄ジムへ移籍したことが、いろんな意味で転機となりました」(同) 協栄ジムとTBSは系列ともいうべき深い関係で、TBSが以前から番組で取り上げていた亀田家を協栄が獲得するということは、以後も同局が亀田家を完全バックアップしていくということだった。 最初からスター街道を約束された亀田家ではあったが、その素性はボクシング本来のハングリー精神と、かけ離れたものであった。 そのため当初から周囲の厳しい目にさらされ、そんな中で迎えた世界戦。ファン・ランダエダ(ベネズエラ)を相手に2度のダウンを喫しながらも、興毅勝利の判定が下されたことで、多くのボクシング関係者やファンからは一層疑惑の目を向けられることになる。 それでも、このときには擁護の声が少なからずあった。その後の再戦でも、ヒットアンドアウエー戦法で判定勝ちし、わずかではあるが批判の声を封じた。 しかし、2007年10月11日、亀田家次男の大毅がWBC世界フライ級王者・内藤大助に挑戦したタイトルマッチで、世間の“アンチ亀田ムード”は決定的なものとなる。 事の発端は'05年、興毅がインタビューにおいて、同級の内藤を「弱い」と切り捨てたことだった。対して内藤は「世界を獲ったら興毅を挑戦者に指名する」と挑発。そうして'07年、3度目の挑戦で32歳にして初の世界王者となった内藤であったが、その初防衛戦の相手は因縁深い兄・興毅ではなく大毅の方だった。 「大毅が勝てば日本ボクシング史上最年少、18歳の世界王者として売り出せる。負けても次に興毅と内藤による因縁マッチが組めるという、極めて商売色の強いマッチメイクでした。TBSと協栄にとっての内藤は、亀田家売り出しのための捨て駒にすぎなかった」(テレビ関係者) 内藤自身も試合前は、「スター街道を走る亀田家の行く手を阻む悪役」のつもりであったというが、試合前の会見で大毅が、王者を「ゴキブリ」や「イジメられっ子」などと罵倒する非礼もあって、ファンの支持は内藤に集まることになる。 いざ試合になっても、両者の実力差は大きかった。ガードを固めてただ前に出るばかりの大毅に対し、内藤はボディー、顔面と的確にパンチを打ち込んでいく。 さらに試合途中のスコアで内藤優勢が伝えられて以降、大毅はサミングやローブロー、果てはタックル、ヘッドロック、クリンチからの投げ飛ばしと、隠すことなく反則攻撃を繰り出し始める。当然、場内の観衆は内藤の応援一色。12R終了後、王者の大差判定勝ちが告げられると、大歓声が巻き起こったのだった。 勝利者インタビューで「大毅は弱かった」と話した内藤は、それまでのスポンサー集めにも苦労する地味なロートル王者から、一転して国民的ヒーローにまで持ち上げられた。 一方の亀田家は、あまりの非難の声に謝罪会見を開いたが、もはや後の祭り。その後、興毅が内藤にリベンジ勝利を果たしても、ついに逆風がやむことはなかった。
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スポーツ 2015年11月20日 14時00分
スキー連盟の理事交代で期待がかかる冬季五輪メダルラッシュ
スキーが日本の冬季五輪の主役に!? 10月18日、全日本スキー連盟は評議員会を開き役員を改選した。畑違いのスケート連盟会長でもある橋本聖子参院議員(51)が新理事に選ばれた。これには他のスポーツ連盟役員も驚いたが、サプライズはそれだけではなかった。 「皆川賢太郎(38)が新理事に選ばれました。良い人材に目を付けたと思います」(JOC関係者) 皆川は'06年、トリノ冬季五輪のアルペンスキー回転で4位に入賞したが、さほど有名ではない。「スキー・モーグルの上村愛子のダンナ」と言った方がピンと来るかもしれない。 その皆川はまだ現役で、しかも30代の理事は同連盟史上初。加えて飲食店を経営するなど事業家としての一面も持っている。 「皆川は第一線からは退きましたが、プロとして米国で活躍中です。通常、アスリートは一線を退くと経済的に苦しくなりますが、皆川は海外で賞金やギャラの出る大会がたくさんあることや、日本では考えられないようなスポンサー契約がとれるプロスキーヤーの実情を学び、今では外車を何台も所有するなど五輪選手時代よりもリッチ。大ケガを乗り越えたド根性もあるので、人望も高いんです」(スポーツメーカースタッフ) ただ、スキーに限らず五輪選手は競技を続けるのに経済的苦労を重ねている。JOCも改善策を模索してきたが、解決には至っていない。皆川の理事就任にはそれらの問題の解決も期待されている。例えば、高梨沙羅(19)のような“有名選手頼み”のシステムそのものの見直しを迫られるかもしれない。 「欧州でスキーはメジャースポーツのため、企業スポンサーがゴマンといる。皆川はそういった仕組みを熟知していますからね」(同) この改革が進めば、有名選手だけが厚遇される現状も改善できるだろう。皆川効果で、今季やや不振の高梨も大活躍間違いなし?
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スポーツ 2015年11月19日 14時00分
高橋由伸監督を悩ませる原前監督の巨人OBコーチ起用のゴリ押し
ヨシノブこと高橋由伸の監督就任で“帰還”と“ゴリ押し”が始まった。 11月4日、西武ライオンズの脇谷亮太が、突如FA権を行使した。脇谷は'13年オフ、巨人にFA移籍した片岡治大の人的補償として西武へ移籍し、今季は118試合に出場。巨人時代は出場機会に飢えていただけに、西武に骨を埋めるものと思われていた。 「巨人への帰還を前提としたFA宣言と見て間違いないでしょう。移籍後もヨシノブと自主トレを続けており、自他ともに認める弟分でしたからね」(G番記者) 巨人側は「11日の公示を見てから判断したい」と慎重な物言いだったが、帰還は間違いないだろう。 「巨人フロントも脇谷の気持ちを知らなかったのではないか。井端弘和の引退とコーチ就任で内野手の頭数が減り、ヨシノブが務めていた“代打の切り札”も不在。二塁も三塁も守れる脇谷はそのニーズにも合いますが…」(球界関係者) だが、巨人が“お願い”されている選手補強は脇谷だけではない。 「ソフトバンクを退団した松中信彦です。以前にも王貞治会長はホークスを退団した選手の移籍先を探すなどしており、巨人にも“お願いの電話”をしたとされています。王会長の頼みであれば、ノーとは言えないはず」(同) 松中は守備に難がある。DH制のないセ・リーグでは代打での起用が見込まれるが打棒復活の確証はない。 ヨシノブに課せられたテーマは若手の育成だと言われている。脇谷を獲れば、期待される岡本和真の育成にも影響する。 松中を受け入れれば、大田泰示、橋本到らの出場機会が減る。しかも、阿部慎之助、村田修一といったベテランとの併用も難しい。かといって、断ったら断ったで、ややこしいことになりそうだ。 「原辰徳前監督もヨシノブやフロントに言い残したことがありました。駒田徳広、槙原寛己両氏の帰還です」(ベテラン記者) 原氏は監督時代に2人を呼び戻そうと努めたが、臨時コーチやキャンプ中のアドバイス役が限界だった。それがようやく招へいできるところまできた。高橋新監督に「頼むよ」と気楽にお願いできる立場でもある。 阪神は金本新監督の就任で、これまで背を向けていたOBのコーチ帰還も決まった。巨人もそうなるべきだが、脇谷や松中の件も重なり、処理しきれない難題を抱えた新監督の心中は?
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スポーツ 2015年11月18日 14時00分
USA発 新聞、テレビではわからないMLB「侍メジャーリーガーの逆襲」 最終回 前田健太は5年93億円でダイヤモンドバックスが濃厚?
今オフは沢村賞に輝いた前田健太(広島)のメジャー挑戦が濃厚になっている。また、ソフトバンクの主砲・李大浩とヤクルトの守護神・バーネットもメジャー行きを希望し、去就が注目されているので、今回は彼らのメジャー入りが実現する可能性を探ってみたい。前田健太(広島)■実現の可能性:100%■契約規模:4年6000万ドル(72億円)〜5年8000万ドル(96億円) マエケンはメジャーの数球団が先発の2、3番手で使える投手と評価し、獲得を検討している。そのため、球団がポスティングを容認すれば、メジャー移籍は100%確実になる。 昨年は11勝止まりだったため、球団から「これではファンの後押しを得られない」と言われ残留した。しかし今年は文句なしの成績(15勝8敗、防御率2.09)で、大車輪の働きを見せた。ファンも行かせてやろうという空気になっているので、球団も容認せざるを得ないだろう。 本命は球団幹部が度々視察に来ているダイヤモンドバックスだが、ここにきてナショナルズも意欲的だ。担当スカウトがマーティ・ブラウン環太平洋地域コーディネーター(カープの前監督)なので、強力な対抗馬になりそうだ。 それ以外ではレンジャーズ、ジャイアンツ、アストロズ、ドジャースなどがポスティングに入札する可能性がある。マエケン本人はヤンキースかレッドソックスに行きたいようだが、ヤ軍は今オフ、資金不足で大型契約は難しい情勢。レ軍も今のところ何のアクションも起こしていない。 米国のスポーツサイト『マイナーリーグ野球』は、5年7700万ドル(93億円)規模の契約になると予想している。李大浩(ソフトバンク)■実現の可能性:20%■契約規模:1年100万ドル(1億2000万円)〜150万ドル(1億8000万円) 李大浩は並外れたパワーがあるだけでなく、器用さも備えていて変化球を打つ技術も高いが、いつも体重オーバーで全身に分厚い贅肉を付けており、鈍足で守備範囲も狭い。そのためDHで使われることになるが、DHのレギュラーになるには25本塁打以上打てるパワーが必要で、それをクリアするのは不可能だろう。 メジャーは球場が広く、ピッチャーの球速も平均5キロほど速くなる。ツーシーム系の投球に手こずるケースも多くなるので、日本や韓国から移籍した打者は本塁打が半分以下に減るケースが多い。彼も一発の大幅減は避けられないだろう。 獲得に乗り出す球団があるとすれば、レンジャーズかもしれない。右のDHに適材がいないからだ。レ軍には同じ韓国・釜山出身で幼なじみだった秋信守がいる。秋は主力の一人なので、GMに獲得を進言すれば入団できるかもしれない。 年俸は今季の額(5億円)の3分の1程度になるだろう。だが、実際にはオファーが一つも来ない可能性の方が高い。 そうなった場合、現行の2年10億円の契約に2割くらい上乗せした規模の契約を要求してくるだろうが、応じられるのはソフトバンクだけだ。結果的に年俸が5、6億円に上がった形で再契約になるだろう。トニー・バーネット(ヤクルト)■実現の可能性:40〜50%■契約規模:80万ドル(9600万円)前後 今季ヤクルトの守護神として驚異的な働きを見せたバーネットはポスティングで大リーグ球団からのオファーを待つことになった。球団はすでにポスティング金を50万ドルに設定しており、この金額以上で入札してくる大リーグ球団があれば、念願だったメジャーデビューへの道が開ける。 実はバーネットはメジャー経験が全くない。22歳でプロ入り後、ダイヤモンドバックスのマイナーで投げていたところ、球威を見込んだヤクルトから声が掛かり、メジャーを目前にして来日する道を選んだのだ。 来日2年目、リリーフに転向。日本の細かい野球にもまれるうちに制球力のあるパワーピッチャーに成長した。 今季は3勝1敗41セーブ、防御率1.29という驚異的な数字をマーク。メジャー球団は日本のプロ野球を極端な投高打低と見ており、投手成績はしっかり評価される。32歳で今がメジャーを目指すラストチャンスであるため、本人も張り切っている。表にあるように、日本で鍛えられた外人投手が米国にUターンして大化けするケースはたくさんある。さらに1.29という防御率はメジャー契約のオファーが来るレベルで、複数球団が興味を示す可能性は大いにある。なければ、引き続きヤクルトでクローザーを務めることになる。スポーツジャーナリスト・友成那智ともなり・なち 今はなきPLAYBOY日本版のスポーツ担当として、日本で活躍する元大リーガーらと交流。アメリカ野球に造詣が深く、現在は各媒体に大リーグ関連の記事を寄稿。'04年から毎年執筆している「完全メジャーリーグ選手名鑑」(廣済堂出版)は日本人大リーガーにも愛読者が多い。
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スポーツ 2015年11月17日 14時00分
巨人がドラフトで育成選手大量指名の狙い その先にある三軍制の意図とは
今秋のドラフト会議で、巨人が育成選手を8名も大量指名した。育成選手のシステムはかつて巨人が提唱して採用されたものだが、近年はその育成枠から一軍選手が育っていない現状を受け、整理する方向でいた。それが、突然の方針変更である。 「巨人がソフトバンクに倣って三軍制を敷くそうです」(ベテラン記者) リハビリに専念する選手のみを扱った三軍制を敷くチームは、ソフトバンク以外にもあった。しかし、育成選手制度の欠点は、若手の出場機会を少なくなることだ。通常の支配下契約選手に加えて、育成選手も在籍していれば、保有する選手の単純数が増える。 しかし、二軍の試合数は限られている。通常の二軍戦に加えて、社会人チームや大学生との交流試合(親善)を行い、実戦経験の場を与えてきたが、巨人は「それでも足りなかった」という。育成選手の台頭が少なくなったのはそのためでもある。 そこで、巨人は発想を逆転させた。育成選手を増やし、独立した三軍を持つことで、三軍だけで行う試合を増やそうというのだ。 「三軍だけで70試合くらいを行う予定。社会人、大学生だけではなく、独立リーグとも交流試合を行うそうです」(関係者) 巨人が三軍設立に際して、手本にしたのはは福岡ソフトバンクホークスだ。ホークスはすでに社会人、大学生、独立リーグと毎年約70試合の三軍戦を行っている。そのレベルは高く、三軍選手を二軍戦にスタメン出場させても“対等”にプレーできているという。 「要するに二軍を2チーム持っているようなもの。たしかに、背番号が3ケタの三軍選手のなかには“真っ直ぐが速い”だけや“肩が強い”だけなど粗削りな選手も多いが、試合経験を確実に積んでいるので、ウエスタンリーグのなかに入っても対等に戦えます」(同) 強いチームを作るには、遠回りかもしれないが育成を強化しなければならない。巨人もホークスに倣ってそうしていくつもりだが、ホークスにはない巨人ならではの利点もあるようだ。 「ホークスは三軍を維持するのに年間約3億円を投資しています。しかし、東京にある巨人ならば、都内、関東近郊に大学、社会人チームが多く、ホークスよりも低予算で三軍を運営できます。社会人、大学生と試合をしていけば、ドラフト候補に関する情報も集めやすいし、実際に試合をして自軍の選手と比較することもできます」(球界関係者) 巨人の本当の狙いはそこにあるのかもしれない。さらに、今季の巨人は二軍戦の応援スタイルを変更し、Jリーグファンが地元チームを応援するようなものにした。これで、観客動員数も大幅アップしたため、二軍戦も営業次第ではカネになることを実感し、この三軍構成で新たな収益も見込んでいるのだろう。 年長のプロ野球解説者がこう言う。 「ホークスは地元ファンに応援してもらうため、地元市民へのサービス向上、女性ファン獲得のためのサービス見直しなど、さまざまな努力を積み重ねてきました。日本ハムも札幌でそうした地元を意識したサービス向上を続けています。一方で広島は女性ファンにターゲットを絞って、市場拡大に成功しました。巨人はこうした営業改善については遅れているようですね」 球界の盟主の座もホークスに移りつつある。巨人の三軍制が軌道に乗れば、三軍制のパイオニアであるソフトバンクグループの発言権はさらに強まっていくだろう。
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スポーツ 2015年11月16日 16時00分
孫オーナー悲願の世界一決定戦まもなく成就か MLB側もアジア市場拡大に興味
ホークスが世界制覇に乗り出した。 2015年プロ野球は福岡ソフトバンクホークスが圧倒的な強さを見せつける結果で終了した。 日本シリーズでも、セ・リーグ王者の東京ヤクルトスワローズに対して本来の野球をさせなかった。セ・リーグの首位打者の川端慎吾、本塁打王の山田哲人、打点王の畠山和洋を擁する打線を封じ込め、シーズン中に鉄壁の継投リレーを見せていた投手陣を打ち崩した。 ホークスの強さばかりが目立ったシーズンとなった。そのため、ドラフトにも余裕が見てとれる。 「支配下選手の指名は高校生ばかり。1位の高橋純平は即戦力と見ていいが、あとは“将来への投資”です。まあ、強いチームだからできる指名ですよね」(プロ野球解説者) ドラフトで将来を見越した指名をしただけに、ホークスの補強はこれからが本番のようだ。メジャーリーグ挑戦を表明した李大浩と松田宣浩に代わる大砲候補の獲得を目指している。すでに和田毅の帰還が決まったように、ホークスは補強を止めるつもりはない。 「ホークスが目指しているのは日本一ではなく、世界一ですから」(球界関係者) 世界一は孫正義オーナーの指示でもあるという。親会社ソフトバンクグループが球界に参入した2005年直後から、孫オーナーは「世界一」を口にしていた。 NPBと大リーグ機構の優勝チーム同士で世界一を争うイベントを定期開催したいとし、アメリカニューヨークのMLB本部に乗り込んだこともあった。当時を知るNPBスタッフによれば、孫オーナーは「大会開催にともなうリスク(負担金)は自分たちが払ってもいい」とも訴えていたそうだ。 その熱意が本気であることはMLB側にも伝わったが、実現には至っていない。しかし、それから約10年の歳月が流れたいま、状況は少しではあるが、変わりつつあるという。 「MLB側にもアジア地区に市場を拡大したいとの希望があり、それは単に日本人選手を獲得するだけでは適わないと分かったからです」(同) ただし、MLB側はア・リーグとナ・リーグの覇者を争わせるポストシーズン・マッチを『ワールドシリーズ』と銘打っており、その上で米国トップと日本トップを争わせることにまだ難色を示しているという。 そこで、WBCのように4年に1度といったイベント興行であれば、話し合いの余地はあるとしている。もっとも、WBCの主催がMLBであるにも関わらず、メジャー30球団のオーナーはトップ選手の派遣に消極的という面もある。現段階でワールドシリーズ後のポストシーズン・マッチのようなイベントに協力するとは思えないが…。 「アジア市場を拡充させるには、日本人選手を獲得するだけではダメだというのが共通認識になりました。今後、何かアイデアをまとめ、日本側に提示するものと思われます」(同) 現時点で考えられるアイデアはクラブチームの世界選手権であり、その発案者が孫オーナーだ。それはMLB側も認めている。孫オーナー以上のアイデアを出せなければ、将来的にそれに便乗するしかないというわけだ。ホークスは潤沢な資金力を武器に、世界一を目指して補強を続ける。李大浩と松田に代わる大砲候補はメジャートップクラスの大物選手かもしれない。
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スポーツ 2015年11月15日 14時00分
USA発 新聞、テレビではわからないMLB「侍メジャーリーガーの逆襲」 特に待遇面で、まったく違った日米監督事情 メジャー“栄転”でも年俸半減 監督をやるなら日本に限る!
日本のプロ野球では巨人、阪神、DeNAの監督が交代し、それぞれ元主砲だった高橋由、金本、ラミレスが新監督に就任した。このうちDeNAに関しては、はじめから外国人監督の就任が噂され、有力候補に日ハムの元監督トレイ・ヒルマンの名が挙がっていた。 ヒルマンは日ハムでの実績が評価されて'08年にロイヤルズの監督に栄転したが、結果を残せず2年半でクビ。その後はドジャースのベンチコーチ(データ分析や作戦を担当)を経て、今季はアストロズのベンチコーチを務めている。 日本のメディアでヒルマンがDeNA新監督の有力候補と報じられると、アストロズはヒルマンに「面接許可」を与えると発表した。 大リーグでの監督の選考は、まず他球団で評判の高いコーチ、マイナーの監督、育成責任者、メジャーの監督経験者などから候補者を5、6人選ぶことから始め、次に候補者の所属する球団に「面接許可」を取ったうえで、全員を呼んで一人一人GMや球団幹部が面接を行なう。それによって2、3人に絞り込み、さらに長時間の面接を行って新監督が決まるのである。 そのためアストロズも、ヒルマンがDeNA球団から面接に呼ばれると思って事前に発表したのだ。 メジャー球団の監督がこのような方式で選ばれるのは、指導者としての資質や能力は選手時代の実績とは無関係で、実際に会って口頭試問しないと分からないという考え方が根底にあるからだ。そのためスター選手を育てた実績は問われるが、本人が元スター選手である必要はまったくない。 実際30球団の監督の中にはメジャーでのプレー経験のない監督が8人もいる。元スター選手の監督も4人いるが、その中に有能な者はおらず、2大監督と呼ばれるカブスのマドン監督とオリオールズのショーウォルター監督はともにメジャー経験はない。ワールドシリーズに進出したメッツのコリンズ監督(元オリックス監督)も同様である。 日米では監督の待遇にも大きな差がある。日本では監督がチームの顔とみなされ、チームと関係の深い元スター選手が就任することが多い。そのため年俸は多くが1億円以上と、主力選手並みに高い。それに対しメジャーの監督は統率力や管理能力を認められた専門職に過ぎないので、監督経験3年目までは年俸が平均60〜70万ドル(7200〜8400万円)と、新人選手の年俸(50万ドル)といくらも違わない。全監督の年俸の平均値も130万ドル(1.6億円)にすぎず、選手の平均年俸(425万ドル=5.1億円)の3分の1に満たないのだ。 そのため日本で監督を務めたあとメジャーの監督に“栄転”したヒルマン、コリンズ、元ロッテのバレンタインらは、総じて年俸がダウンしている。バレンタインはロッテ時代の年俸が350万ドル(当時のレートで3.5〜4.2億円)だったが、'12年にレッドソックス監督に就任した時は250万ドルだった。ヒルマンも日ハムからロイヤルズの監督に栄転したことで年俸が130万ドルから70万ドルに半減した。コリンズ監督も今季の年俸は100万ドル(1.2億円)。オリックス時代は基本年俸が150万ドルだったので、これも大幅ダウンだ。 コリンズ監督は今季、低迷が続いたメッツをワールドシリーズに進出させ、ナ・リーグの最優秀監督に選出される可能性が高くなっているが、それが実現したとしても年俸は20〜30万ドル上がる程度で、オリックス時代を上回ることはないだろう。 帰米後、メジャー球団の監督に就任できずマイナーの監督に甘んじる場合は悲惨だ。元広島、楽天監督のブラウンは日本でも年俸が60万ドル程度の低年俸だったが、ブルージェイズの3A監督時代('10〜'13)は年俸が6〜8万ドル(720〜960万円)だった。その4年間、毎年好成績を出しながら金銭的に全く報われないため、バカバカしくなり'13年限りで辞めてしまった。本人の希望は日本球団の監督に復帰することで、売り込みに来日したこともあったが、外国人監督志向は過去のものになっており実現の気配はない。 日本のメジャーファンの中には、松井秀喜とイチローが、日本ではなくメジャー球団の監督になってほしいと願っている人もいるが、それは見果てぬ夢に終わるだろう。いくら選手として実績があっても、メジャーではコーチやマイナーの監督としてある程度実績を積まないと、監督への道は開けないからだ。その点、日本のプロ野球は現役時代の実績と看板がものをいう。指導者としての資質を問われることなく監督に迎えてくれて2〜3億円の年俸まで保証されるのだから、いくらメジャー志向が強い彼らでも、こんなおいしい話は放っておかないだろう。スポーツジャーナリスト・友成那智*******************************************ともなり・なち 今はなきPLAYBOY日本版のスポーツ担当として、日本で活躍する元大リーガーらと交流。アメリカ野球に造詣が深く、現在は各媒体に大リーグ関連の記事を寄稿。'04年から毎年執筆している「完全メジャーリーグ選手名鑑」(廣済堂出版)は日本人大リーガーにも愛読者が多い。