11月4日、西武ライオンズの脇谷亮太が、突如FA権を行使した。脇谷は'13年オフ、巨人にFA移籍した片岡治大の人的補償として西武へ移籍し、今季は118試合に出場。巨人時代は出場機会に飢えていただけに、西武に骨を埋めるものと思われていた。
「巨人への帰還を前提としたFA宣言と見て間違いないでしょう。移籍後もヨシノブと自主トレを続けており、自他ともに認める弟分でしたからね」(G番記者)
巨人側は「11日の公示を見てから判断したい」と慎重な物言いだったが、帰還は間違いないだろう。
「巨人フロントも脇谷の気持ちを知らなかったのではないか。井端弘和の引退とコーチ就任で内野手の頭数が減り、ヨシノブが務めていた“代打の切り札”も不在。二塁も三塁も守れる脇谷はそのニーズにも合いますが…」(球界関係者)
だが、巨人が“お願い”されている選手補強は脇谷だけではない。
「ソフトバンクを退団した松中信彦です。以前にも王貞治会長はホークスを退団した選手の移籍先を探すなどしており、巨人にも“お願いの電話”をしたとされています。王会長の頼みであれば、ノーとは言えないはず」(同)
松中は守備に難がある。DH制のないセ・リーグでは代打での起用が見込まれるが打棒復活の確証はない。
ヨシノブに課せられたテーマは若手の育成だと言われている。脇谷を獲れば、期待される岡本和真の育成にも影響する。
松中を受け入れれば、大田泰示、橋本到らの出場機会が減る。しかも、阿部慎之助、村田修一といったベテランとの併用も難しい。かといって、断ったら断ったで、ややこしいことになりそうだ。
「原辰徳前監督もヨシノブやフロントに言い残したことがありました。駒田徳広、槙原寛己両氏の帰還です」(ベテラン記者)
原氏は監督時代に2人を呼び戻そうと努めたが、臨時コーチやキャンプ中のアドバイス役が限界だった。それがようやく招へいできるところまできた。高橋新監督に「頼むよ」と気楽にお願いできる立場でもある。
阪神は金本新監督の就任で、これまで背を向けていたOBのコーチ帰還も決まった。巨人もそうなるべきだが、脇谷や松中の件も重なり、処理しきれない難題を抱えた新監督の心中は?