スポーツ
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スポーツ 2015年09月26日 16時00分
USA発 新聞、テレビではわからないMLB「侍メジャーリーガーの逆襲」 2度の脳振とうを受け、深刻な意識障害に… 「大リーガー生命の危機」に瀕する青木宣親
サンフランシスコ・ジャイアンツの青木宣親は今季、6月中旬までは絶好調で、球団と今季550打席を超えた時点で来季の契約が自動更新される取り決めをしていたので、9月上旬には残留が決まるとみられていた。 ところが6月下旬以降、青木は次々に災難に見舞われ状況が一変。現在は大リーガー生命を維持できるかどうかという瀬戸際に立たされている。 最初の災難は6月20日のドジャース戦で右足のくるぶしに死球を受けたことだ。これにより足の腓骨にひびが入り、故障者リストに入った。 この時は復帰まで5週間かかり、シーズン中に550打数をクリアすることが不可能になった。しかし、復帰後も打率3割を維持していたことから評価は高いままで、ジ軍がシーズン終了後に「2016年は年俸550万ドルで契約する」というオプションを行使すると見る向きが多かった。 ところが復帰から約2週間後の8月9日、青木はまたしても死球禍に見舞われる。今度は頭だった。カブス戦で相手のエース、アリエタが投じた時速148キロのカットファストボールがヘルメットの右側頭部を直撃したのだ。 大リーグではここ数年、脳振とうの後遺症に苦しむ選手が多くなっているため、頭に死球を受けた選手は専門医による「脳振とうテスト」を受けなくてはいけない。青木には軽度のふらつきやめまいが見られたが、脳波測定や各種検査の結果は正常の範囲内だったため、1試合休んだだけでゲームに復帰した。 この時点では、青木の脳振とうはそれほど重傷ではなかったので、再度、脳がダメージを受けることがないよう気を付けていれば自然に治っていたはずだ。 一度脳振とうを起こした人にとって、いちばん怖いのは、数日中に再度、脳に強い衝撃を受けてしまうことだ。めまいやふらつきが残っている状態で、脳に再度の衝撃を受けると意識障害、記憶障害をはじめ様々な体の不調(セカンドインパクト症候群)に悩まされることになる。 青木の場合、頭に死球を受けた3日後の8月12日の試合で、守備でフェンス際の飛球を背走して捕球した際、フェンスに激突。脳に衝撃を受けた。それによってめまいがひどくなったため、青木はそのまま故障者リストに入った。 だが、チームがプレーオフ圏から振り落とされそうになっていたため、青木は1週間休んだだけで8月20日に復帰。しかし、本来なら安静にしているべき時にプレーを再開したため、また青木は様々な体の不調に悩まされるようになり、9月5日の朝、胸が苦しくなったことを機に、ボウチー監督に「目を動かしていると頭が重くなってくる」「感情のコントロールができない」「いつも30分やる自転車こぎのトレーニングを15分もできない」といったことを伝え、再度戦列を離れた。 シーズン終了まで1カ月を切った時点でのDL入りなので、青木はこのままシーズンを終えることになるだろうが、問題はその後である。 脳振とうの後遺症、特にセカンドインパクト症候群の場合は2、3カ月で治癒しないケースが多く、表にあるように首位打者争いの常連だった打者が2、3年は使い物にならなくなることもある。そのため、どの球団も脳振とうの後遺症が見られる選手とは契約をしたがらない。 しかも青木は来年1月には34歳になるので、年齢的なハンデもある。メジャーの球団は将来性がある20代の選手を厚遇する反面、30代中ごろになった選手は冷遇され、好成績を出していても複数年契約が取れなくなる。米国に行ってから3年間連続で好成績を出していた青木が、今季1年契約しか取れなかったのも年齢的な要因が大きい。 それを考えると青木のメジャーリーガーとしての生命は今、大きな危機に瀕していると言わざるを得ない。 来季、青木はどうなるのだろう? 可能性が高いのは、どの球団からもメジャー契約のオファーを受けられず、外野手の手薄な球団とマイナー契約して、メジャー復帰を目指すパターンだ。来年春までに脳振とうの後遺症が消えていれば、オープン戦で好成績を出して開幕からメジャーのベンチ入りすることも可能だろう。 もう一つ考えられるのは、ジャイアンツが年俸を200万ドル程度に下げて青木とメジャー契約するケースだ。ジャイアンツはチーム内にトップバッター向きの人材がいないので、青木をキープしておく可能性は大いにある。 ベストのシナリオは脳振とうの後遺症が10月中に治癒し、それを確認したジャイアンツが、「2016年は550万ドルで契約する」というオプションを行使するケース。だが、病気が病気だけに、可能性はそう高くないような気がする。スポーツジャーナリスト・友成那智ともなり・なち 今はなきPLAYBOY日本版のスポーツ担当として、日本で活躍する元大リーガーらと交流。アメリカ野球に造詣が深く、現在は各媒体に大リーグ関連の記事を寄稿。'04年から毎年執筆している「完全メジャーリーグ選手名鑑」(廣済堂出版)は日本人大リーガーにも愛読者が多い。
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スポーツ 2015年09月25日 14時00分
巨人『大型補強』復活説のオモテとウラ(1)
今オフ、巨人は『大型補強』を復活させるという。昨年は主力選手全員が不振で“息切れ”しながら、ペナントレース優勝のゴールテープを切った。今年も混戦レースを抜けられず、『10月4日最終ゲーム決戦説』まで囁かれる始末だ(9月24日時点)。大型補強は若手の成長を止める悪影響が出るのは、巨人がいちばんよく分かっているはず。それでも、大型補強を復活させるのは、この体たらくな戦況に経営陣がシビレを切らしたからだろう。 「大型補強に出る、出ないは巨人サンの勝手。でも、今オフは国内FA権を取得する大物選手はいないはずだが…」(在阪球団職員) 国内FAを取得しているものの、行使していない選手が何人かいる。巨人は“FA保留選手”を狙うようだ。一部では福岡ソフトバンクの松田宣浩、埼玉西武の炭谷銀仁朗に注目しているとも伝えられている。 「松田がチーム環境、年俸などで不満を持っているなんて話は一切出ていません。チームを出るんだったら、一昨年オフに動いていたのでは」(プロ野球解説者) 松田は国内FA権を行使しなかった。今季途中、出場年数が9年に達し、『海外FA権』を取得した。今オフ、「2億2000万円プラス出来高」の2年契約が満了するが、本人は去就について何も語っていない。 「特にどうこう言うことはない。(考えるのは)シーズンが終わってから」 海外FA権を取得した6月17日、そう語っただけである(共同通信など参考)。残留の年俸交渉は3億円前後からスタートすると予想されている。 巨人の大型補強策に松田の名前が出ているのは、三塁手・村田修一の長引く不振に尽きる。右の大砲としてタイプは重なるが、2人とも三塁だけではなく、一塁も守れる。松田は外野守備もできるので“使い勝手”が良いのだろう。 しかし、FA権を行使する可能性の低い選手をアテにしすぎると、オフの補強そのものが失敗する。巨人の補強ポイントは「三塁手、正捕手、計算のできる外国人選手の獲得」と言われているが…。 3番目の補強ポイントである『外国人選手』を指して、こんな情報も飛び交っている。 「DeNAに帰還しなかったユリエキス・グリエルが巨人の本命ではないか」(関係者) 巨人は外国人バッターの不振に泣かされた。だが、キューバ政府との関係を意識してか、セペダについては「本人が辞めたいと言わない限りは契約続行」だという。セペダはキューバ勢にとって兄貴的存在であり、千葉ロッテのデスパイネも尊敬の念を示していた。 「グリエルがDeNA帰還を蹴ったのは、正規ルートでのメジャー挑戦が可能になったからだと思われていました。しかし、今年は国内リーグに参加しており、そういった動きは見せていません」(米特派記者) グリエルがメジャー挑戦をまだ迷っているとすれば、巨人はセペダ&キューバ政府ルートでアタックするというわけだ。 グリエルがDeNA帰還の約束が反故にした際、熊崎コミッショナーは「個々の問題」とし、キューバ政府に抗議を入れなかった。したがって、日本の球団がグリエルに再アタックするのは「問題ナシ」というわけだ。松田は日本を代表するスラッガーの一人だが、巨人の三塁には岡本和真が控えている。ドラフト1位とポジションが重複する選手を補強するのなら、1、2年の契約で済み、後腐れのない外国人選手のほうが良い。 松田獲得説は陽動作戦で、本命はグリエルということか…。巨人渉外担当者の動きも注目だ。
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スポーツ 2015年09月23日 16時27分
イチロー 自己ワースト打率更新濃厚も、マーリンズ残留の可能性…
マーリンズのイチロー外野手が、自己ワースト打率を更新しそうな気配になってきた。 9月22日(日本時間23日)現在、イチローは413打席に立ち、376打数89安打1本塁打20打点11盗塁で、打率.237。9月の月間成績は、50打数8安打で、打率.160と苦しんでいる。イチローの自己ワースト打率は、13年の.262で、残り試合数を考えると、これを下回ることが濃厚になってきた。この調子でいくと、メジャー15年連続100安打達成に黄信号がともる。 今季、ヤンキースからマーリンズに移籍したイチローの役回りは“4番手外野手”。チームのレギュラー外野手は若手3人でガッチリ固定されており、かつナ・リーグには指名打者制がないため、その出場機会は激減するものと思われていた。ところが、レギュラー陣の故障、不振が相次いだ影響で、打席数は意外にも昨季の385を超えた。 イチローの今季基本年俸は200万ドル(約2億3930万円)だが、300打席到達で40万ドル(約4790万円)の出来高が支払われ、さらに50打席到達ごとに40万ドルずつが追加される。設定されているのは600打席までで、最大280万ドル(約3億3510万円)が得られる契約となっている。400打席をクリアしたため、すでに120万ドル(1億4370万円)の出来高をゲットした。 こと守備と走塁に関しては健在ぶりをアピールしているイチローだが、肝心のバッティングは、成績を見るまでもなく、衰えが見え隠れする。10月で42歳になるイチローと来季契約する球団があるかどうかは微妙なところだ。 イチローにとって、来季はメジャー通算3000安打が懸かった重要なシーズンとなる。たとえ、控え前提でも、なんとしてもプレーは続けたいだろう。 「マーリンズはすでにプレーオフ進出の可能性が消えました。通常なら、若手優先起用にシフトしてもおかしくないのですが、イチローはいまだスタメン主体の起用となっています。その獲得に動いたダン・ジェニングズ監督が、来季を視野に入れて使っていると見て取れなくもありません」(MLB通のスポーツライターA氏) 来季、ジェニングズ氏はGM職に復帰説もあれば、他球団のフロント入りするウワサもあり、その去就は流動的だ。前述のA氏によると、「ジェニングズ氏がマーリンズに残ることになれば、イチローも残留する可能性が高くなるのでは? この年齢と成績では、他球団がメジャー契約でオファーする確率は低いと思われます」と話す。(落合一郎)
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スポーツ 2015年09月23日 16時00分
“お試し起用”している余裕無し 原監督が岡本和真をスタメンにしない理由
ペナントレースも佳境を迎えたが、セ・リーグはさらに混戦を極め、4強がひしめき合っている。9月14日時点で、首位ヤクルトと3位巨人までのゲーム差は0.5。猛追撃を始め、首位まで3ゲーム差の4位広島まで優勝の可能性がある。 「巨人が前半戦のうちに混戦を抜けられなかった理由というか、いまも首位にあと一歩及ばないのは中継ぎ陣の崩壊が原因です。山口、マシソンの2人が揃って不振。クローザーの澤村も防御率こそ1点台だが、いつも走者を得点圏に背負っての苦しい救援が続いています。状況を一変させるだけの戦力も残っていません」(プロ野球解説者) そんな、沈滞しがちなベンチのムードを一変させる好機は一度だけあった。しかし、原監督はあえてそのカードを切らなかったのだ。 9月6日、対DeNAの試合前、テレビ局の取材クルーがいつもと違った動きを見せた。先日、プロ初アーチを放った高卒ルーキーの岡本和真(19)にカメラを向け続けたのだ。それも1社や2社ではなかった。理由は簡単だ。「今日、岡本がプロ初スタメンを果たすのではないか」との声が各方面から出ていたのである。テレビ各局は晴れ舞台に臨む高卒ルーキーの様子を捉えようとしていたのだ。しかし、試合前に交換されたスターティングラインアップ表に岡本の名前はなく、しかも試合は雨天中止になってしまった。 「巨人の高卒ルーキーがプロ初安打を本塁打で記録したのは1966年以来、49年ぶり。6日のスポーツ紙の巨人コーナーの反響も大きかった」(ベテラン記者) 話題性抜群だった生え抜きのスター候補のスタメンデビューを遅らせたのは、勝ちたかったの一点に尽きる。同日にスタメンで三塁手として起用しようとしたのは、村田修一(34)だった。原監督は将来性と話題性の高卒ルーキーよりも、不振でも実績のあるベテランを選んだのである。 「いま追撃の手を緩めてしまえば、このままシーズンが終わってしまう。岡本をスタメンで使って結果が出ればチーム全体は盛り上がるが、守備難の岡本を使うのはあまりにもリスクがありすぎる。岡本が大事なところで失策したら、イップスになって将来性まで潰してしまうかもしれない。村田と岡本を天秤に掛け、安全策を取ったんでしょう」(同) 村田は少しずつだが打率を上げている。得点圏打率が2割を切っているため、好機でバントのサインを出したり、容赦なく代打を送るのも、原監督が勝ちたいからだろう。 「原監督は今季限りでの退団も意識している。契約任期が今年で切れるのは分かっていましたし、いまのところ来季のことでフロントから何も打診がないため、退団も止むなしと考えるようになりました。優勝して退くのと、負けて交代するのとは全然違う」(同) 原監督は4月に25歳の中井大介を四番打者に抜擢したが、1試合限りで諦めている。これはシーズン序盤戦だからできたテスト起用であり、終盤戦に一軍昇格してきた岡本にはそのチャンスを与える余裕はないというわけだ。岡本のスタメンデビュー。ガッカリしたのはテレビ局員だけではなかったが…。
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スポーツ 2015年09月22日 16時49分
勝つことと育てることは両立しない! 手札のない原巨人
今日にもマジックナンバー点灯−−。東京ヤクルトスワローズが混戦レースを抜け出しつつある9月20日、各スポーツ新聞はそんな見出しを立てた。2ゲーム差で追い掛ける2位阪神、3位巨人にすれば、ここが踏ん張りどきだ。ヤクルトとの直接対決を迎えた阪神は2番に今成を置く攻撃的打線で臨み、先制点を挙げ、試合主導権を握ってみせた。阪神が意地をみせた一戦だった。 一方の巨人だが、先発マウンドに送ったのは高木勇人だった。高木は開幕5連勝を飾るなど前半戦のチームを引っ張ってみせた。こんなこともあった。オープン戦終盤、主力投手たちの調子が上がらず、「今年の巨人は苦しい出だしとなる」と予想された際、ある有力OBが「新人だが、高木を開幕投手にして…」と、原監督に助言していた。開幕投手の大抜てきはなかったが、社会人野球で7年も眠っていた新人を『戦力』として、確実に計算していたはずだ。 その高木が中盤戦以降、“輝き”を失った。カットボールとスライダーの中間のような独特の軌道を持つ変化球を、相手球団に研究されたのか、勝ち星よりも『負け』のほうが上回ってしまった。 「投球内容そのものは悪くないんだけどね」 巨人関係者に高木を先発マウンドに送り続ける理由を聞くと、そんな答えが返って来る。将来を見越しての育成というわけか…。 投手出身のプロ野球解説者に高木の不振について聞いてみた。 「勝負どころでの投球が甘いというか、逃げているような気がする。負け続けたことで自信がなくなったのかな。投げた瞬間に『ボールカウント』になる投球も目立つようになった」 高木をこのまま使い続けるのか。しかし、今の巨人にはそんな余裕はない。高木を先発マウンドに送る前日、原監督は不振のベテラン・村田修一をついにスタメンから外した。その代役三塁手に高卒ルーキーの岡本を選んだのは、ラストスパートであるこの時期に“起爆剤”になるタマがほかに見当たらなかったからだろう。村田もこのままで終わるオトコではないが、原監督が「もう待てない」と判断したのなら、高木も今季中のチャンスはもうないのかもしれない。 優勝を狙うチームは若手や不振選手に与えるチャンスがどうしても少なくなる。それが、世代交代が遅々として進まない原因であり、今の巨人は、まさに「勝つことと育てることは両立しない」と言われる象徴な姿を晒している。 東京ヤクルトにバレンティンが帰って来て、阪神には好打の今成というカードが残っていた。4位広島には前半戦こそ苦しんだが、クローザーとして一本立ちした中崎がいる。巨人が巻き返すとしたら、村田か高木の復調しかないようだ。
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スポーツ 2015年09月22日 16時00分
阪神12連戦で起きた功罪 セの盛り上げ役は優勝できるか
ペナントレースが終盤に差し掛かり、阪神タイガースが日程に泣かされている。これまでの雨天中止などの影響によって、9月18日から脅威の12連戦を強いられてしまった。近年、阪神は終盤戦に失速する変な傾向があり、優勝争いに大きな影響をもたらすのは必至だ。しかし、経営陣はむしろこの連戦を喜んでいるという。 「優勝が掛かっているため、前売チケットの売れ行きも上々。選手は体力的に厳しいが、そのリスクがむしろファンの関心を煽っているようですね」(在阪記者) 阪神は今年、球団創設80周年の節目を迎えたが、年間予約席が売れ残るという異常事態でシーズンを迎えた。しかし、後半戦に優勝戦線へ食い込み、経営的不安は解消された。もっとも、12連戦のチケットの売れ行きがいいと言っても、そのうち阪神の主催ゲームは3試合しかない。だが、ペナントレースの行方次第では、甲子園で行われる9月28日の対巨人戦か、29日のDeNA戦が優勝を決める天王山になるという見方があり、そのチケットがプレミア化しているというのだ。 「9月15日時点で最終戦は10月4日(対広島・甲子園開催)。混戦がさらに長引けば、もっと儲かる(笑)」(球界関係者) その10月4日、ライバルの巨人もペナントレース最終戦を戦う。相手は阪神と0.5ゲーム差(9月14日時点)で首位の東京ヤクルトであり、状況次第ではテレビ局も、2試合を繋ぐ臨時プロ野球中継を検討中とのことだ。そうなれば、主催の阪神に放映権という臨時収入も飛び込んでくる。 しかも、その後のクライマックスシリーズで2位以上を確保すれば、その開催権も獲得できる。混戦は80周年を飾るに相応しい好景気とも化したわけだ。 「阪神の命運を握っているのは藤浪です。メッセンジャー、能見の調子がイマイチなだけに、頼れる先発投手は藤浪だけ。クローザーの呉昇桓が息切れしなければという条件も加わりますが、阪神は藤浪の登板間隔を縮め、スクランブル体制で戦うことになりそうです」(前出記者) 見方を変えれば、藤浪で試合を落とせば、阪神は“毎度の終盤戦の息切れ”となってしまう。また、こんな声も聞かれた。 「毎度の息切れが早ければ、9月28、29日の甲子園での主催チケットは払い戻しという事態に。V戦線から脱落すれば、10月4日は巨人、ヤクルト、広島の盛り上げ役となり、甲子園球場が広島ファンの赤に染められる屈辱事態も考えられます」(前出関係者) 12連戦が決まったのは、9月8日の対巨人戦が雨天中止と決まったときだった。前日に虎ナインは休養日を返上して練習している。その意気込みを巨人戦にぶつけたかったが、水入りとなってしまい、そこから阪神は3連敗を喫した。その連敗がさらにペナントレースを混線させてしまった原因だ。 もしかしたら、トラの不遇はすでに始まっているかもしれない。皮算用が過ぎて肝心の結果が伴わないなんてことにならなければいいが。
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スポーツ 2015年09月21日 16時00分
俺たちの熱狂バトルTheヒストリー〈K-1史上最高の番狂わせ〉
1997年、極真世界ウエイト制大会重量級王者の肩書を引っ提げて、勇躍K-1参戦を果たしたフランシスコ・フィリォ。その初戦では、極真時代に因縁のあったアンディ・フグ(審判の「やめ」がかかってからフィリォが放った上段回し蹴りで、フグが失神。大山倍達総裁の裁定でフィリォの“一本勝ち”となった)を一撃KOの返り討ち。 これには石井和義館長も「大山倍達の姿を見た」と絶賛で、K-1の次期エースと目されることになった。 しかし、成熟期にあったK-1上位陣の壁は厚く、空手の技術だけでは勝ち切れない。そこでキックの本格的な習得を目指すと、今度は極真流の“一撃”が影を潜める。そんなジレンマに陥ったフィリォは、周囲の期待に反して勝ったり負けたりを繰り返していた。 「攻め気の強かった初期の頃とは違って、戦いぶりもディフェンシブになり、それにつれて“極真伝説”も色あせていきました」(格闘技記者) '01年のK-1ワールドGPも予選1回戦で判定負け。それでも敗者復活から泥臭く判定勝利を重ねて、ようやく東京ドーム決勝の舞台にたどり着いた。ここで優勝を成し遂げれば、再度、K-1のエースとして名乗りを上げることになる。 だが、そこで立ちはだかったのが、地区予選から勝ち上がってきた“サモアの怪人”マーク・ハントであった。ハントは前大会でレイ・セフォーとノーガードのど突き合いを演じ、その巨体と相まって評判にはなっていたが、大会前の予想ではダークホースとしても名前が上がっていなかった。派手な試合で会場をにぎわす、いわば色もの的存在と見られていたのだ。 その評価を覆したのが同大会の準々決勝、優勝候補だった“K-1の番長”ジェロム・レ・バンナを失神KOで葬った一戦だった。観客の期待はもちろんド派手な殴り合いであったが、バンナは勝ち上がりを意識して冷静に試合を運び、ハントをコーナーに詰めて地道に膝を当てていく。 しかし、そこに隙があったのか…。体を入れ替えたハントが猛然と左右のラッシュに出ると、これをまともに食らったバンナはコーナーポストを背にして、天を仰いだまま失神KO負けを喫した。 「ハントの衝撃的な勝ちっぷりには、試合を控室のモニターで見ていた他の選手たちが歓声を上げたほど。5万人の観客も同様で、会場は一気にハント一色になりました」(同) ハントは準決勝でも、ステファン・レコから右ストレートで2度のダウンを奪い、一方的な判定勝利を収める。そうして決勝戦を迎えた。 「関係者や記者の間では、長年スターの座を約束されながらも、これをつかみきれていないフィリォを推す声は強かったのですが、やはり観客を味方につけたハントの勢いにはかないませんでした」(同) どこか自信なさげな表情のフィリォに対し、積極的に前に出るハント。オーソドックスなボクサースタイルから強烈なボディーを放ち、そのずんぐりとした体形に似合わず、膝蹴りやハイキックも器用に繰り出していく。 フィリォもローキックで応戦するが、終始ハントに押されて下がり気味。リズムを変えようと後ろ回し蹴りを放つと、直後にハントが不恰好ながらこれを真似て会場は大歓声。かえってハントを勢いづけることになってしまった。 「フィリォの右フックがハントの顔面を捉え、一瞬グラつかせたりもしたのですが、すぐに何事もなかったように復活する。そんな無類の打たれ強さの前に、フィリォの心が折れた部分もあったのでは…」(同) 3R終了でドロー判定となるが、コーナーにうなだれるフィリォと表情を変えずに平然としたハントの差は歴然。フィリォに余力はなく、延長ラウンドで攻め続けたハントに凱歌が上がった。それにしても、K-1史上でも例を見ないこの大番狂わせは、なぜ起こったのか。 「ハントが優勝したのはナチュラルだからです」 そう語ったのは、ある格闘団体の主宰。MLBや五輪でドーピング問題が騒がれていた当時、真相はともかく示唆に富んだ指摘ではあった。
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スポーツ 2015年09月20日 16時00分
USA発 新聞、テレビではわからないMLB「侍メジャーリーガーの逆襲」 日本人メジャーリーガー2人が直面するツラい現実… 和田毅と川崎宗則が来季、日本球界に復帰?
毎年9月1日になると、メジャーではベンチ入りの枠が25人から40人に増える。それに伴い日本人選手では和田毅(カブス)と川崎宗則(ブルージェイズ)が3Aからメジャーに昇格した。この二人の所属する球団はどちらも好調だが、彼らがプレーオフ出場メンバーに選ばれる可能性はどの程度あるか? また来季の契約はどうなるのか?■現状:和田は今季、大腿筋を痛めて出遅れたが、5月20日にメジャーに復帰。その後は先発5番手としてまずまずのピッチングを見せていた(1勝1敗、防御率3.73)。しかし7度目の先発となった6月22日のドジャーズ戦で左肩の三角筋を痛めDL入り。この故障が癒えたあと、まずマイナー(3A)で2、3度投げてからメジャーに復帰することになった。 しかし、制球が不安定で3Aの試合で度々打ち込まれたためメジャー復帰が見送られ、結局、8月末まで3Aで投げた。 復帰後の3Aでの防御率は4.67で、通常ならメジャー再昇格が望める数字ではない。それでも今回メジャーに呼ばれたのは、先発ではなく、リリーフ投手として戦力になるか試されることになったからだ。 カブスは現在、左のリリーフ投手を3人(ウッド、ラッセル、リチャード)ブルペンに入れているが、8月は全員が不調だったため、和田がリリーフで使えるか試すことになったのだ。■プレーオフ出場の可能性:20〜30%程度。和田は狙って空振りを取れるためピンチで三振を期待できるが、その一方で、左投手なのに左打者を苦手にしているため、ピンチに左殺しのワンポイントとして使うことができない。カブスのマドン監督は状況に応じて細かい継投をするので、この使い勝手の悪さがマイナスに作用するかもしれない。■来季の契約:カブスに残留できる可能性はほとんどない。最大のネックは故障リスクの高さだ。今季は年俸400万ドル(4億8000万円)で契約しているが、故障が続き、メジャーで稼働できたのはシーズンの2割程度。しかも来季は35歳になるので、故障リスクはさらに高くなる。戦力の底上げに注力しているカブスが和田に執着する理由はまったくない。ただ和田は、日本で輝かしい実績があり、メジャーでの通算防御率も3.40という素晴らしい数字だ(黒田博樹レベル)。そうした点を評価して、資金力に乏しい球団が半分でも稼働すればと考え、1年100万ドル程度のオファーを出してくる可能性はある。 本人にとって一番いい選択は日本への帰国だ。和田は中4日で使うと故障リスクが増し稼働率が極端に低くなるが、中6日で使えば稼働率が、グンと高くなり、まだ2、3年はエースとして機能するだろう。10億円以上投資しても、松坂大輔のようなムダ金になる恐れはほとんどない。■現状:川崎は一昨年ブルージェイズに来てから驚くほどツキに恵まれた。一昨年はショートのレギュラー、レイエスが骨折で長期欠場。2カ月半ショートで先発出場するチャンスに恵まれた。昨年はセカンドのレギュラー格で使われた選手3人が故障やスランプで次々に姿を消したため7月以降、セカンドでスタメン出場する幸運に恵まれた。 しかし、今季はルーキーのトラビスがセカンドのレギュラーに定着し、川崎に対するニーズが激減。8月末までにメジャーに4度呼ばれたものの、いずれも3日から11日間のショートステイにとどまった。 9月1日にも昇格したが、ブルージェイズは現在ア・リーグ東地区の首位で2位ヤンキースと熾烈なつばぜり合いを演じているため、レギュラーを休ませるわけにいかず、川崎はスタメンで起用される機会がほとんどないまま、シーズン終了を迎えることになろう。■プレーオフ出場の可能性:10%。セカンドのレギュラーになったトラビスが7月下旬に肩を痛めてDL入りし、復帰のメドが立っていないが、もう一人の成長株ゴインズが穴埋めに使われ、まずまずの働きをしている。さらにその控えとして8月末にベテランのペニントンが加入。そのため川崎は現在、セカンドの控えの2番手で、プレーオフ開幕に合わせてトラビスが復帰すれば控えの3番手に下がる。 トラビスが復帰できず、かつ、ゴインズかペニントンがケガで欠場という事態にならない限り、プレーオフ出場メンバーに入ることは難しい情勢だ。■来季の契約:今季は3Aでもセカンドとショートの控えだったため出場した試合は半分程度で、打率も2割4分5厘と振るわなかった。通常ならこの成績ではマイナー契約をゲットすることすら難しくなるが、トロントのファンに絶大な人気を誇ることや、けが人続出のときの保険になることなどを考慮して、球団がマイナー契約で残留させる可能性は大いにある。 ただ、川崎本人は、メジャーで活躍できる余地がなくなっていることを自覚していると思うので、帰国を選択するかもしれない。古巣ホークスはセカンドのレギュラーが空席なので、古巣に戻れば毎試合スタメンで出場できる可能性が高いだろう。スポーツジャーナリスト・友成那智ともなり・なち 今はなきPLAYBOY日本版のスポーツ担当として、日本で活躍する元大リーガーらと交流。アメリカ野球に造詣が深く、現在は各媒体に大リーグ関連の記事を寄稿。'04年から毎年執筆している「完全メジャーリーグ選手名鑑」(廣済堂出版)は日本人大リーガーにも愛読者が多い。
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スポーツ 2015年09月20日 10時00分
小塚桃子ゴルフ連載(45) 本格シーズンに備えて・2
9月に入り、先日久々にゴルフを楽しんできました。行きつけでもある9ホールだけのゴルフ場です。ここはお手軽で一人でも楽しめるコース。今回は、私一人で行ってきました。 しかも9ホール全てがパー3。ショートコースです。練習場の様に飛ばす事ばかり考えるとスコアがボロボロになる為、コースマネジメントの練習には持ってこい。何しろ、1打目からしっかり計算していかないと3打で上がる事は不可能ですからね。 私はというと案の定、久々ということもあり、全然ダメでした。唯一、9ホール中、3ホールでパー3回を奪取。特筆すべきところはこれくらいかと…。 今回の反省は感覚の違い。ブランクのせいなのかアプローチとパターが入りません。ここは実践で取り戻すしかないですね。今回、ダメな中からの収穫は一人でプレーした事。誰と比較する訳でもないので、かなり集中できました。一緒に回ると同じ組のショットが気になるもの。「ナイスショット」が出たら拍手をするのは当然で、何より「私も(ナイスショットを)したい」と力んでしまう。余分なところに神経を使う結果になるからです。その点、一人ではそんな事を考えないで済む。ここが大きいですね。 ただ、ゴルフ場は一人客の場合は同じように一人で来たプレーヤー数人と組を作らすもの。今回の様なゴルフ場は稀有ですね(とはいえ、実は今回、一人で来ていた方と組むことになりそうでしたが、練習に集中したかったため、私が断ったのですが…)。 少しだけ、当日の内容に触れておきます。3か月ぶりの第一打−−。ボールの行方が気になりヘッドアップ。まだ飛んでいない打球の方向に目が…。結果、ダフってしまいました。ショートホールだけに「ワンオンしたい」という強い気持ちが空回りした答えがこれです。スタートから3〜4ホールの第一打はダフやトップのオンパレード。基礎的な事ができていない。 やはりボールは打ち終わるまで見続けなくてはいけないのです。ヘッドアップしないように心掛ける事を再確認しました。 2ホール目−−今度は真下を向いて打ちました。ここは距離のあるパー3。「何がなんでも飛ばしたい、グリーンに乗せたい」。 そうすると…前述したように、この日は最初の3〜4ホールはめちゃめちゃで、ダフやトップを連発。ここも結局、ダフってしまいました。
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スポーツ 2015年09月19日 16時50分
原監督が決断! 「来季」を見据えた投手起用
9月14日、オーナー会議が行われた。会場を出るなり、巨人・白石興二郎オーナーが報道陣に囲まれた。記者団の質問は今季限りで契約任期が終わる原辰徳監督(57)の去就に集中した。白石オーナーは首位ヤクルトに肉薄し、逆転優勝への士気も上がっている状況に(同時点)、「代打の起用も当たっているし、継投策もうまくいっている」と評価したが、肝心の来季以降については「それは(ペナントレースの)結果を見てから。全幅の信頼を置いてやってもらっている。試合(日程)が終わるまでは」と、明言を避けた。 はぐらかされたわけだが、それは記者団も予想していたこと。 しかし、白石オーナーの「ペナントレース終了後に決める」という発言が本当なら、『来季』の選択肢は限られてくる。一般論として、監督、ヘッドコーチを外部から招聘する際、球宴前後に打診し、8月中旬には回答をもらう。とくに監督の場合がそうで、そうしなければ、次期監督の意向に沿ったドラフト指名ができなくなるからだ。チーム編成を統括するゼネラルマネージャー制のチームや、またそれに近い権限を編成部長に与える球団も珍しくなくなった。「補強、チーム編成は背広組の仕事。監督は采配に専念」の分業制も定着したが、現場とフロントの意見の摺り合わせは必要だ。したがって、原監督の続投か、新監督は内部昇格の二択になる。 「巨人は生え抜きOB以外から監督を選んだことはない。現在、ユニフォームを着ていないOBから選ぶとしても、読売新聞社の要職にいる人などごく限られた範囲になるでしょう」(球界関係者) 原監督の胸中は分からない。ただ、“来年以降”のことも考えているのは間違いないようだ。オーナー会議が行われた同日、原監督はマツダスタジアムでの全体練習を見守っていた。翌15日の先発は菅野智之(25)であることはすでに発表されていたが、中10日と大きく登板間隔が空いてしまった。首位ヤクルトとの僅差でのマッチレースが繰り広げられている真っ最中であり、エースの温存は勝ち星の放棄にも等しい。しかし、原監督は菅野の登板予定日だった10日を指して、「(9月)8日が雨で中止になったときに決めた」と、上位チームとぶつけるため、あえて10日の先発から外させた旨を明かした。同12、13日の5位・DeNA戦でエース・菅野を使うのはもったいないと思ったのだろう。9月下旬の勝負どころとなる広島、阪神、ヤクルトとの首位決戦でフル稼働させるためだ。 登板間隔を縮める選択肢もあった。あえていったん休ませてからフル稼働させる方法を選んだのは来年以降を見据えたからで、菅野には長くチームに貢献してほしいと思ったようだ。 この温床采配の先に見えるのは…。