はぐらかされたわけだが、それは記者団も予想していたこと。
しかし、白石オーナーの「ペナントレース終了後に決める」という発言が本当なら、『来季』の選択肢は限られてくる。一般論として、監督、ヘッドコーチを外部から招聘する際、球宴前後に打診し、8月中旬には回答をもらう。とくに監督の場合がそうで、そうしなければ、次期監督の意向に沿ったドラフト指名ができなくなるからだ。チーム編成を統括するゼネラルマネージャー制のチームや、またそれに近い権限を編成部長に与える球団も珍しくなくなった。「補強、チーム編成は背広組の仕事。監督は采配に専念」の分業制も定着したが、現場とフロントの意見の摺り合わせは必要だ。したがって、原監督の続投か、新監督は内部昇格の二択になる。
「巨人は生え抜きOB以外から監督を選んだことはない。現在、ユニフォームを着ていないOBから選ぶとしても、読売新聞社の要職にいる人などごく限られた範囲になるでしょう」(球界関係者)
原監督の胸中は分からない。ただ、“来年以降”のことも考えているのは間違いないようだ。オーナー会議が行われた同日、原監督はマツダスタジアムでの全体練習を見守っていた。翌15日の先発は菅野智之(25)であることはすでに発表されていたが、中10日と大きく登板間隔が空いてしまった。首位ヤクルトとの僅差でのマッチレースが繰り広げられている真っ最中であり、エースの温存は勝ち星の放棄にも等しい。しかし、原監督は菅野の登板予定日だった10日を指して、「(9月)8日が雨で中止になったときに決めた」と、上位チームとぶつけるため、あえて10日の先発から外させた旨を明かした。同12、13日の5位・DeNA戦でエース・菅野を使うのはもったいないと思ったのだろう。9月下旬の勝負どころとなる広島、阪神、ヤクルトとの首位決戦でフル稼働させるためだ。
登板間隔を縮める選択肢もあった。あえていったん休ませてからフル稼働させる方法を選んだのは来年以降を見据えたからで、菅野には長くチームに貢献してほしいと思ったようだ。
この温床采配の先に見えるのは…。