スポーツ
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スポーツ 2015年12月09日 11時00分
前田健太を巡る米球界の投手補強事情(後編)
米メディアが岩隈久志(34)の去就について、こう報じていた。「ドジャースが興味を示している。マリナーズは岩隈慰留を最優先事項に挙げていたが、岩隈はマ軍の提示した『規定額』を蹴った」−−。 この岩隈の去就が、前田健太(27)の移籍先も変えることになるのではないだろうか。 マリナーズが岩隈に提示した『規定額』とは、クオリファイング・オファーのこと。メジャー球団は契約最終年を迎える主力選手とシーズン途中に再契約してしまうケースも多い。メジャーでは慰留不可能と判断された場合はシーズン途中に放出し、若手選手との交換トレードをまとめるのが慣例だ。しかし、球団側が「残ってほしい」と思いつつも慰留交渉をまとめられないまま、シーズン終了を迎えてしまったとする。その場合、米球団側はワールドシリーズ終了から5日間に限り、独占交渉権を持てるが、メジャーリーガーの年俸上位125名の平均額を、1年契約の年俸分としてオファーを出さなければならないのだ。その平均年俸を『規定額』と言い、今季は1580万ドル、日本円で約19億1000万円となる。 岩隈はマリナーズから提示されたその1580万ドルを蹴ったのである。 「岩隈の15年度の年俸は700万ドル(約8億5000万円)です。規定額を受け入れていたら、大幅アップでした。岩隈サイドから漏れ伝わってくる情報によれば、最低で2年、3年以上の複数年契約にこだわっている、と」(米国人ライター) クオリファイング・オファーが導入されて4年目となるが、過去3年間、この制度を使っての残留交渉がまとまめられたことは一度もない。 今さらだが、マリナーズは日本人選手に“好意的なチーム”としても知られている。任天堂株式会社代表取締役社長、同相談役などの要職にあった故・山内溥氏が筆頭オーナーを務め、その考えを受け継ぐスタッフも多いという。こうしたチーム事情を考えると、「いったん単年契約を交わし、来年オフに改めて自身の希望する複数年契約を交わす」選択肢もあったのではないだろうか。 前出の米国人ライターがこう反論する。 「来年、岩隈が1年間ローテーションを守れば、改めて複数年契約を交わすことも可能だと思います。でも、好成績をおさめたとしても、岩隈は来年35歳です。35歳になった投手が3年以上の複数年契約を勝ち取るのは、一般的に見て難しい」 だが、34歳と35歳では大した違いはない。岩隈がマリナーズ以外の米球団と複数年契約を結ぶのも厳しいはずだ。ここで思い出されるのが、岩隈と前田健太の代理人を務めるエージェント会社だ。岩隈と前田はエージェント会社が一緒なのだ。 『ワッサーマン・メディア・グループ』は大手エージェンシーであり、同社副社長のアダム・カッツ氏と、ジョエル・ウルフ氏が前田の交渉を担当することになっているという。また、ウルフ氏は、昨オフにジャンカルロ・スタントンとマーリンズの間で『13年総額3億2500万ドル』(約400億円)の超大型契約をまとめた敏腕代理人である。 「今オフも同社の名前がスポーツメディアを賑わせています。ブランドン・クロフォード遊撃手を『6年総額7500万ドル』(約92億2500万円)でジャイアンツとの残留交渉をまとめました」(前出・同) 同社はダルビッシュ有もサポートしており、過去には、松井稼、五十嵐、高橋尚といった日本人選手のエージェントも手掛けてきた。前田にとってはこれ以上ない、頼もしい後ろ楯ができたわけだが、クロフォードの残留以降、前田争奪戦がさらに過熱してきたようにも見える。 今オフの米FA市場の目玉は32歳の右腕、ザック・グリンキーだった。そのグリンキーの争奪戦は、慰留を目指したドジャース、先発投手の補強を掲げるジャイアンツとDバックスの三つ巴で始まり、ドジャースが脱落。その後、Dバックスがジャイアンツとの一騎討ちを征した。 「グリンキーの争奪戦がマネーゲームになれば、Dバックスが有利なのは一目瞭然です。ジャイアンツはクロフォードの残留に大金を投じてしまいましたから」(前出・同) クロフォードの大型契約を仕掛けたのは、『ワッサーマン・メディア・グループ』だ。ジャイアンツのグリンキー獲得資金を目減りさせたとも言えなくはない。それに加えて、今回の岩隈の“規定額拒否”である。 ジャイアンツはグリンキー獲得に失敗し、マリナーズも岩隈の残留が難しくなった。本命にフラれたとなれば、次に目が行くのは、前田だ。 「資金力が豊富でグリンキーの残留に失敗したドジャース、そして、ヤンキース、レッドソックス、オリオールズなどが前田の入札に参加するようです」(同) メジャーリーグのトレードやFA交渉を行うGM会議はすでに始まっている。前田の代理人であるカッツ氏は慌ただしく、各球団の控室をまわっているという。前田に関しては「一切話すことができない」と繰り返しているそうだが、<岩隈の規定額拒否で前田獲得の金額を一気に釣り上げ、グリンキーなど大物投手の獲得に失敗した米球団に岩隈を好条件で売り込む>なるシナリオを書いたというのは、穿った見方だろうか。(スポーツライター・飯山満)
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スポーツ 2015年12月09日 11時00分
前田健太を巡る米球界の投手補強事情(前編)
鳴尾浜での自主トレを終えた藤川球児投手(35=阪神)が言った。 「グリンキーを獲ったので、マエケンは獲らないでしょうね」(12月5日) トラ番記者たちが話題を振ったからだが、この日の阪神選手は広島・前田健太(27)が「どこのメジャー球団と契約するか」を予想していた。そうなれば、メジャーリーグを経験した藤川は強い。日本に配信されてきた米球界報道によれば、ダイヤモンドバックスは前田のポスティングに参加することを公言している。だが、藤川は今オフの米FA市場の目玉がドジャースからFAになった右腕、ザック・グリンキー(32)であることを説明し、彼の獲得に成功したDバックスが前田獲得から撤退すると予想していた。 米国人ライターが『6年2億650万ドル』(約254億円)でDバックスと契約したグリンキーについて、こう説明してくれた。 「彼の評価が上がったのは、14年の地区シリーズですよ。ドジャースのエース、カーショウが不振で初戦を落としても、第2戦でグリンキーが好投し、『ド軍には2人のエースがいる』と言われたほど。球威、制球力ともにバツグンで、守備力は内野手が勤まるほど高く、バッティングも良い。投手なのにシーズントータルで3割以上の打率を残した年もある」 そして、藤川の予見は的中した。グリンキー獲得以降、米球界報道は「大型契約をまとめた後なので、補強費が制限される」と、Dバックスの前田争奪戦からの撤退を匂わす内容に変わってきた。 また、前田に興味を示していたカブスもカージナルスのジョン・ラッキーとの契約をまとめた。これで、カブスも前田とは交渉しないだろう。だが、前田の商品価値は下がらない。グリンキーを失ったドジャース、Dバックスとのグリンキー争奪戦に敗れたジャイアンツ、投手陣の再建を迫られているレッドソックス、ヤンキース、そして、岩隈久志との残留交渉をまとめられなかったマリナーズが本腰を入れてくると思われる。 米球界の前田に対する評価だが、「エースを張れる投手」とは見ていないものの、「先発ローテーションの3番手以降だが、2ケタ勝利が期待できる」というもの。ダルビッシュ有、田中将大が「エース」として大型契約をまとめただけに、この評価は前田にとっては納得できないものだろう。 前出の米国人ライターが前田に提示される契約内容をこう予想する。 「100万ドルクラス(約1億2300万円)の年俸は提示されないかも。100万ドルクラスだとしたら、3年以上の複数年はないと思います。メジャー球団は広島球団に支払う落札金の2000万ドルを含めて『前田獲得資金』と見ていますから。ダルビッシュや田中のときはチームのエースを獲得するという勢いがあったので…」 悲観的な声も聞こえるが、前田はダルビッシュ、田中に近い大型契約を勝ち取るとの見方もされている。その理由は−−。(スポーツライター・飯山満)
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スポーツ 2015年12月08日 14時00分
新監督への洗礼! 阪神・金本監督に早くも牙をむく「昭和のOB」虎の穴
阪神が“ディナーショー”を開催する。12月20日、都内ホテルで立食式のトークショーとなるそうだ。ゲスト出演など、詳細はまだ伝えられていないが、話題は当然、新生・金本阪神への期待論だろう。 「虎ファンは『若手が育ってくれるのなら、優勝は3年後でも』という論調が大半です。金本監督が就任しただけで、ペナントでのレース終盤で首位を陥落した重苦しい空気は払拭されましたから…」(在阪記者) しかし、当の金本知憲新監督(47)が感じているのは、そんな好意的な追い風ばかりではないようだ。 「金本新監督の欠席が気になります」(前出・同) 金本新監督が欠席したのは、故・中村勝広GMの『お別れの会』だった。同会では生え抜きはもちろん、西岡剛、福留孝介など故人によってタテジマに導かれた選手たちも「来季の活躍」を誓っていた。 「他球団の要人も駆けつけてくれました。苦楽をともにしたOBたちもです」(ベテラン記者) 川藤幸三OB会長、江夏豊氏、吉田義男氏、安仁屋宗八氏、真弓明信氏、岡田彰布氏など錚々たるメンバーが故人を偲んでいた。ここで、金本新監督がチームの発展、優勝を誓えば、最高の絵柄となったはず。球団は金本新監督の欠席を「所用」と発表していた。 だが、そのころ、関西系の情報番組には生出演する金本新監督の姿があった。メディア番組出演が「所用」なら、球団も日程調整できたのではないか…。 この日、故人を思う気持ちからか、一部OBから金本政権への苦言も聞かれた。 「(今季の敗因は)打線が…。だから、掛布を一軍に置いたほうがいいのでは?」 「一軍に年長者のコーチをもっと置いて」 故人を偲ぶ気持ちがチームへの期待に変わり、苦言となったのだ。気になるのは、苦言を呈したOBが「そう思っているのは、自分一人ではない」と言い切ったことだ。 「実績、チーム貢献度、年齢が金本新監督よりも“上”の掛布氏が二軍、一軍で'85年の優勝と、そこに辿り着くまでの過程を知っているのは平田(勝男)チーフコーチだけ。チームが勢いづいているときはまだしも、負けが込んできたときにどう建て直すかを分かっているのは、経験豊富な年長者です」(前出・ベテラン記者) 金本新監督は来季の展望を質問される度に「若手を育てる」と繰り返してきた。ファンも「待つ」と言っているが、目の前の試合を捨てるわけにはいかない。 「昭和の修羅場を知る年長組のOBは新監督誕生による“待望論”しか出ない現状を危惧しています。大切なのは、それよりも危機意識です」(前出・同) 金本新監督も、勝たなければならない伝統球団の宿命は分かっている。育成よりも勝利を優先しなければならないときも来る。負けが込んできたとき、OBたちは若いコーチ人事をどう捉えるか…。 金本新監督の要望で急ごしらえされた組閣だけに、解体もまた早そうだ。
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スポーツ 2015年12月08日 12時10分
マエケンのメジャー球界挑戦余波! 藤浪晋太郎はジャパンのエースになれるのか
「マエケンさんとは、多分(自主トレを一緒に)できそうにないですね」 藤浪晋太郎(21)が言った。これは阪神タイガース内のレクリエーションである『タイガース杯ゴルフ』の最中に出たセリフ。マエケンこと前田健太投手(27=広島)のポスティングシステムによる米球界挑戦が明らかになった。藤浪は2015年1月、前田が広島の若手を集めて行った自主トレに加わり、投球論や体作りなどを学んでいた。ペナントレースに関係のない自主トレとはいえ、阪神選手でありながら、広島選手の輪に独りで加わったことに驚いた関係者も少なくなかった。 「阪神には、自主トレに関する不文律みたいなものもあったんですよ。入団して3年くらい経つまでは(二軍の)鳴尾浜で自主トレをやる、という…。藤浪も球団の不文律を知っていましたが、『やってみたい』と球団上層部に相談し、許可を得ました」(球界関係者) 今季の完投7を含むチーム最多の14勝(7敗)の成績を見れば、前田との自主トレは意義があったわけだ。しかし、今も他球団のエースと親睦を深めることに批判的なOBもいる。 「オレたちの時代では考えられなかったこと。ライバルチームの選手と一緒に練習するということは手の内を明かすようなもの」 正論である。しかし、今のプロ野球界はライバルの関係が稀薄になったと言わざるを得ない。WBC、プレミア12の国際大会はもちろん、12球団は新たな資金源として侍ジャパンの常設化を決め、すでに動き始めている。招集された若手は普段接することのない対戦チームの主力選手と“野球談議”を交わし、経験したことのない練習法やコンディション作りに興味を持つ。藤浪が前田に弟子入りした理由も侍ジャパンにあり、チーム間の垣根を超えての情報の共有化はさらに加速するだろう。 藤浪は来年1月の自主トレについて、詳細は語っていない。前田のいない広島グループに加わるとは思えないので、おそらくは鳴尾浜に戻るか、施設の充実した場所を新たに探すことになるだろう。ひょっとしたら、自身が中心となって、同年代、ドラフト同期を誘い、新たなグループを立ち上げるかもしれない。 二軍監督に就任した掛布雅之氏が秋季キャンプ中、一部メディアに出演し、現代っ子とのギャップをこう語っていた。 「僕たちのころは先輩と自主トレをやろうなんて発想はなかった。だって、先輩に連れて行ってもらったら、その先輩を永遠に超えられないってことでしょ?」 時代は異なるが、『自分』を確立させることの重要性は変わらない。前田と決別した藤浪がどんな『自分』を作り上げるのだろうか。(スポーツライター・飯山満)
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スポーツ 2015年12月07日 17時00分
マエケンのメジャー挑戦で始まる広島の投手再建
広島東洋カープは投手陣の立て直しを迫られている。 マエケンこと、前田健太(27)の米球界挑戦が正式に発表された(12月4日)。彼がメジャー志望を明かしたのは2013年オフだった。今さらだが、既定路線だったわけだ。 「エースらしい振る舞いと活躍をすれば、検討すると(前田に)言っていた。彼は見事に応えている」 広島東洋カープの松田元オーナーは12月4日、球団を介してそんなコメントを発表した。興味深いのはこの後に出た言葉だ。今シーズン、前田が獲得した投手タイトルの最多勝と沢村賞を指して、こう語っていた。 「反対する理由がない。ファンの方も後押ししてくれるのでは。私自身、心を打たれている部分がある」 13年オフの契約更改の席で、前田が将来的なメジャー志望を伝えた際も「周囲が納得するような形での米挑戦を」と伝えられていた。そのとき、前田と球団との間で交わされた“約束の詳細”については明かされていない。約束とは、球団が前田のポスティングシステムによる米挑戦を認める条件のことだ。今回、松田オーナーが当時交わされた約束を明かしてくれたわけだが、その言葉の通りだとしたら、球団が前田に突き付けた条件のなかに『チームの優勝』は含まれていなかったことになる。 前田のメジャー移籍容認が発表される前の11月30日、もうひとつの重大事項が発表されている。広島の精神的支柱でもある黒田博樹(40)が、「今年に入る前に、野球人生最高のモチベーションで(広島に)帰ってきた。最後のつもりで、今まで以上の覚悟でやってきた。なかなか、それを超えるモチベーションを探すのが難しい」と、心中を吐露した。 この引退か、現役続行かで揺れる気持ちは球団も聞かされていた。 広島は新旧エースを同時期に喪失する可能性が出てきたのだ。 前田15勝、黒田11勝。新旧エースの退団で失う『26勝』をどう補うのか…。広島はさらにデュアンテ・ヒース(30)と来シーズンの契約を結ばないこともすでに発表している。ヒースはクローザーで開幕を迎えたが、安定感に欠き、中継ぎや点差の開いた場面でしか登板されなかった。3勝4セーブ10ホールドは物足らない数字だが、43試合に投げている。昨季は途中加入ながら7試合に先発し、防御率は2点台を保った。このヒースの退団も重ねて考えると、広島は投手陣の配置転換を含め、根本的な立て直しが必要となる。 「黒田は残ってくれると思う。黒田は米球界移籍後も毎年オフには必ず前田と会って、将来のメジャー挑戦に関するアドバイスも送ってきました。前田に米国での野球を集中させるため、さらには愛着の深い広島が『弱くなった』と言われるのが絶対にイヤなはずですから…」 そう話してくれた関係者もいたが、希望的なコメントにすぎない。 ドラフト1、2位の岡田明丈(大阪商業大)、横山弘樹(NTT東日本)は2ケタ勝利を残す力はある。だが、カリスマ性という点では及ばない。それは、大瀬良大地、ジョンソン、福井優也、野村祐輔たちにも言えることで、ペナントレースとは、単に数字を積み重ねるだけでは勝てないところが多い。 広島が前田の背中を押したということは、黒田残留の確証を得ているからだろうか。 エースの立ち振る舞いには、持って生まれた才能も必要だ。今は大瀬良の成長に期待するしかないが、こうも考えられる。今季後半、クローザーに定着した中崎翔太が絶対的な信頼を勝ち取ることだ。「中崎に繋げば、中崎が出てくれば絶対に勝てる」という貫禄が出てくれば、少なくとも2016年のV戦線には踏み止まることは可能だが…。(スポーツライター・飯山満)
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スポーツ 2015年12月07日 16時00分
俺たちの熱狂バトルTheヒストリー〈実力伯仲の“輪湖対決”〉
中学1年にして体重100キロ超。洞爺湖に程近い北海道の壮瞥町ですくすくと育った少年は、その体躯でいながらスポーツ万能。野球や水泳に才を見せ、柔道では体格で上回る高校生を投げ飛ばしていたという。 “北に怪童あり”との評判は瞬く間に広まり、この少年の元へ多くの相撲部屋からスカウトが参集した。 そうして三保ヶ関部屋に入門した北の湖は、1967年(昭和42年)1月、13歳にして初土俵を踏むと、中学卒業間際の'69年3月に15歳9カ月で幕下に昇進。以後、当時の最年少記録を次々と更新するスピード出世を果たすことになる。 だが、同じ頃、相撲界はもう1人の“天才”出現に沸いていた。日大相撲部時代に、学生横綱をはじめとするタイトルを総ナメにした輪島である。'70年1月に幕下付出で初土俵を踏んだ輪島は、一直線に番付を駆け上がると、'73年5月場所には幕内全勝優勝。角界入りからわずか3年半で、横綱にまで昇進してみせた。 金色のまわしを締め込み、得意の左下手投げは“黄金の左”と呼ばれて一世を風靡。リンカーン・コンチネンタルで蔵前国技館に乗りつけるなど、派手なふるまいは一部でひんしゅくを買いながらも、大相撲新時代の到来を予感させた。 5歳年上ながら後輩の輪島が快進撃を続ける中、北の湖も18歳7カ月で新入幕。輪島が横綱に昇進した'73年には、小結に昇進して初の三役入りを果たした。 「北の湖の昇進の早さも相当で、まだ19歳という若さから次世代のホープとして注目されてはいたものの、当時の輪島は別格でした。でも、北の湖自身は、のちに『この頃が一番相撲を取っていて楽しかった』と話しているように、輪島をライバル視することなど毛頭なかったのでしょう」(スポーツ紙大相撲担当記者) 70年代初頭に大鵬や北の富士、玉の海ら人気と実力を備えた横綱が次々と引退し、土俵は主役不在となっていた。関係者や好角家は“輪島時代”の到来を予感していた。 しかし、北の湖も急成長を見せ始める。三役昇進までは攻めっ気の強い突き押し相撲であったが、関脇に昇進した場所中、足首を骨折したのを契機に四つ相撲へと切り替え、これが功を奏した。成績は上昇し、翌'74年には初場所と5月場所で優勝を飾り、続く7月の名古屋場所で、ついに綱とりに挑むまでになる。 13勝1敗で千秋楽を迎え、優勝に王手をかけた北の湖は、2敗で追いかける輪島との直接対決を迎える。ここで輪島は得意の左下手投げで勝利すると、相星での優勝決定戦にも勝利。先輩横綱としての意地の逆転優勝を果たしてみせた。 だが、優勝を逃した北の湖も、成績優秀により晴れて横綱に昇進。ここから両雄による“輪湖時代”が始まった。2人が横綱に在位した約6年半、千秋楽の結びで20番を戦って、共に10勝とまったくの互角。そのうち、どちらかに優勝が懸かった対戦は7番を数える。 また、両者の対戦は1分を超える大相撲になることが多く、三度の水入りとなる熱戦もあった。 「北の湖は右上手、輪島は左下手を得意とするため、両者の取組では当然がっぷりの左四つになるのですが、ヘタな動きは墓穴を掘ることになり、自ずと慎重な取り口になるわけです」(同) とはいえ、ただ組み合って固まっているわけではなく、北の湖が低い重心からの寄りや腹に乗せての吊りを見せれば、輪島は半身の体勢から左下手投げを打って堪え、右の腕で絞って寄り返すという攻防が繰り広げられる。 「黄金の左と呼ばれた輪島ですが、実は右の腕力こそが強烈で、右で絞って相手を崩すから左の下手投げが決まる。北の湖もこれを分かっていて、輪島の右をいかに殺すかに心を砕く。豪快な取り口の中の細かな駆け引きも、両者の対戦の見どころでした」(同) 70年代中盤以降は輪島が腰痛などで休場することが増え、一方の北の湖は“無事これ名馬”を地で行っていたため、今となっては北の湖優勢の印象を持つファンも多いだろう。 しかし、輪島23勝、北の湖21勝の対戦成績が示す通り、実力伯仲の名勝負であったのだ。
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スポーツ 2015年12月06日 16時00分
TBS対フジテレビ白熱の大晦日格闘技バトル
テレビ界で密かな盛り上がりを見せているのが、大晦日に放送されるフジテレビとTBSの格闘技番組だ。どちらの局が数字を取るのか、バトルの行方に周囲は関心を寄せている。 「何だかんだ言っても大晦日はNHK紅白歌合戦で決まりです。毎回、平均視聴率30%以上をキープ。そのおこぼれをすべてさらっていくのが、日本テレビ系の『ガキの使い 絶対に笑ってはいけないシリーズ』です。こちらも平均視聴率は常に15%以上を取っています」(制作会社幹部) そんな流れにくさびを打とうとフジとTBSが思案したあげく目を付けたのが、皮肉にも格闘技コンテンツだったという。 「似た内容の格闘技番組です。フジとTBSは殺し合いをするようなもので、負けた方の被害はさらに大きくなる。シングルと二桁という結果になるかもしれません」(キー局編成マン) となれば気になるのは、そのコンテンツの中身だ。まずは10年ぶりに格闘技中継を行うフジ。 「新イベント名は『RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2015』。世界から選りすぐりの団体代表選手らが集まります。2日間(12月29・31日)で8人がトーナメント戦を行い、優勝賞金50万ドル(約5000万円)を奪い合う」(テレビ関係者) 出場予定選手はエメリヤーエンコ・ヒョードルなど世界のストリートファイターが参集。また、スペシャルワンマッチとして桜庭和志vs青木真也を用意。他にもブラジリアン柔術女子世界王者ギャビ・ガルシア、シュートボクシング世界女子フライ級王者RENAも出場するという。 対するTBSは…。 「大晦日一夜限定の触れ込みで、K-1の黄金期を支えた魔裟斗と現役UFC選手の山本“KID”徳郁の直接対決です。'04年の大晦日に放送された『K-1Dynamite!!』で、瞬間最高視聴率31.6%をマークしたあの奇跡を再びと目論んでいます」(同) 現段階での下馬評は圧倒的にフジの優勢だという。 「魔裟斗は引退した選手。現役の山本と対決させる意味が分からない。制作費も3000万円足らず。過去の映像などを随所に流し、お茶を濁す作戦です。しかも、山本の体は入れ墨だらけ。時期的にアウトでしょう」(前出・キー局編成マン) 一方、優勢と伝えられるフジだが、 「来年から制作費が一律3割カットになる前の大盤振る舞いです。すべて込み込みで1億2000万円弱。また、RIZIN統括本部長に高田延彦が就任したことも見逃せない」(同) NHKと日テレにひと泡吹かせ、格闘技バトルを制するのはどちらの局?
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スポーツ 2015年12月05日 16時00分
“昭和の大横綱”北の湖さん死去で始まる混沌! 貴乃花も狙う“次期理事長”争奪戦(2)
しかし、親方になってからの北の湖は、残念なことに必ずしも“100点満点”とは言い難い。 「当時の春日野親方(元横綱栃錦)に可愛がられ、指導者としても手腕を発揮できるよう育てようとしたが、師匠の三保ヶ関が後援会を持つことを許さなかった。そのため、困った時に相談する人が少なかったんです。素直で人柄は良かったのですが、土俵改革として評価できることはあまりなかった」(前出・中澤氏) 親方として育てた強豪力士も、結局出なかった。それどころか、内弟子だった金親が引退した後などは、奔走して宮城野親方に収めたにもかかわらず不祥事を起こし、ついに相撲界を追放されてしまった。 さて、北の湖理事長が成し得なかった今後の土俵改革はどうなるのか。 「当面は八角親方(元横綱北勝海)が理事長代行を務めるが、あの人では協会をまとめきれるか不安。北の湖さんは、理事長を八角親方に譲っても自らは理事として残り、補佐するつもりだったんです。それができなくなったわけですから、協会は混沌としてくるでしょう。だいたい、来年の初場所後、八角親方が役員として再選されるかどうかも未知数なんですからね」(相撲関係者) というのも2年前、屈辱の落選という煮え湯を飲まされた九重親方(元横綱千代の富士)が、ここに来てやる気満々だというのだ。 高砂一門は数が少ないこともあって理事は一人。 「八角には再選させないと言い切っていますよ。谷川、陣幕の同じ部屋の部屋付親方は、今や九重部屋に移籍。しかも、錦戸親方(元関脇水戸泉)は貴乃花親方に一票入れようかと迷っているようですから、もし九重親方が裏で工作するようなことがあると、どうなるか分かりませんからね」(同) しかし、九重親方は理事になれたとしても、理事長になれるとは限らない。というのも、貴乃花親方を理事長に推す勢力があると見られているためだ。 「傍若無人な九重親方が理事長職に就いたらどうなるか。相撲協会を無茶苦茶にされるんじゃないかと、みんな怯えていますからね。であれば、若手の貴乃花の方がマシだと考える親方も少なくない」(相撲関係者) “昭和の大横綱”の急逝は角界に大きな変化をもたらしそうだ。
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スポーツ 2015年12月04日 16時00分
“昭和の大横綱”北の湖さん死去で始まる混沌! 貴乃花も狙う“次期理事長”争奪戦(1)
日本相撲協会の北の湖理事長が11月20日、直腸がんと多臓器不全のため死去した。62歳だった。 現役時代、相撲ファンからは「憎らしいほど強い」と言われ、力士仲間からは「大将」と慕われた北の湖。15歳で幕下、17歳で新十両、21歳で横綱に昇進という出世ぶりは、まさに“怪童”だ。 元力士が言う。 「白鵬の場合は35回優勝という大記録を打ち立てたが、ライバルがいない。しかし北の湖さんには輪島がいて、その後、千代の富士に至るまで次々にライバルが出現した。そんな中での24回優勝というのは、どエライ記録です。気は優しくて力持ち。それでいて、他人と自分を比べるのではなく、目標を己に課し、ひたすら研鑽するタイプでした。顔だけ見ると、いかつい感じがしますが、力士仲間の評判はとても良かったんです」 ファンは土俵の外に転落した対戦相手に手を差し伸べようともしない北の湖の姿を見て、「武士の情けはないのか」と反感を持った。 「自分が手を差し伸べられたら屈辱を味わう。だから対戦相手に手を差し伸べることはしないと言い放った。それはそれで潔いと思いますよ」(ベテラン相撲記者) 輪島とは、しばしば熱戦が繰り広げられた。両者の対戦は、千秋楽優勝圏内での対戦が8回、水入りが3回と、ファンを唸らせる名勝負が展開されたのだ。 相撲評論家の中澤潔氏がこう振り返る。 「僕はね、北の湖には数字に表れない、双葉山に匹敵する強さがあったと思いますね。横綱としての安定感は抜群でした。'75年の秋場所から37場所連続して二桁以上の勝星を挙げていた。2年前についに白鵬が並びましたが、日本人力士でこんな記録はもう二度と出ませんね」 加えて、出羽海一門のさる元力士が言う。 「一門の関取衆を相手に50〜60番稽古をするのですが、まさにちぎっては投げ、ちぎっては投げという感じでした。もう、誰も通用しない。凄いのは、それだけ稽古しても息が上がらないところでしたよ」 遊びっぷりも、豪快そのものだったという。 「当時流行ったパブに下の力士と繰り出して、とにかくガンガン飲む。凄いのは、勘定になるとバッグから100万円くらい入っている分厚い財布を出して、テーブルにポーンと放り投げる。とにかく粋でした」(前出・元力士)
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スポーツ 2015年12月03日 16時00分
代表招集中に台湾でどんちゃん騒ぎ 坂本勇人がそれでも巨人で絶対的主将になる理由
巨人新監督の高橋由伸(40)はハラワタが煮えくり返るような心境だろう。 プレミア12を戦った侍ジャパンの一部メンバーが、台湾メディアの餌食にされた。11月12日のドミニカ共和国との試合後、台北市内のナイトクラブでドンキャン騒ぎしているところを現地週刊誌にすっぱ抜かれたのだ。 同誌によると、明け方近くまで痛飲していたのは、坂本勇人(26=巨人)、大野雄大(中日)、前田健太(広島)、秋山翔吾(西武)の4人。通常であれば、「ちょっとお行儀が悪いが、これくらいは…」で済むところだが、坂本だけはそうもいかない。いまさらだが、巨人は例の野球賭博問題で、当該3選手を解雇。オーナー会議でも白石興二郎オーナーが「倫理、モラル、公序良俗、規則を守り、徹底させていく」と謝罪している。 「宮崎での秋季キャンプでも、門限が徹底され、休日のゴルフ、パチンコも禁止されていました。選手たちも『仕方ない』といった口ぶりで、素直に従っていました」(スポーツ紙記者) いまのところ、巨人から坂本に関する処罰は発表されていない。しかし、この報道を見て、巨人関係者は逆に「巨人の主将は坂本しかいない」と再認識させられたようだ。 「坂本は侍ジャパンで、嶋基宏とともにキャプテンに指名されました。選手会の会長でもある嶋がキャプテンを務めるのに、なぜ坂本も指名されたかというと、彼は同世代のリーダーで、球宴などでも他球団の選手を連れてまわるほど影響力を持った選手なんです」(球界関係者) その影響力の大きさは前任の原辰徳氏も認めていた。だからこそ、原前監督は20代半ばの坂本に、阿部慎之助が長く務めていた主将役を継承させたのだ。 「2015年は、坂本本人もチームを牽引していかなければいけないという自覚を持っていましたが、空回りしてしまった部分もあります」(前出記者) 台湾でのバカ騒ぎはともかく、他球団の同級生たちをまとめていたのは坂本だ。 「ペナントレースと代表チームが違うのは当たり前ですが、原前監督は坂本に対して厳しく接することもありました。一方で代表チームの小久保裕紀監督は、選手の言動に関与することはありません。代表チームだから当たり前といえば、当たり前なのですが」(ベテラン記者) 坂本にリーダー役を全うさせるには“放置プレー”が、一番いいのかもしれない。高橋新監督は秋季キャンプを見る限り、厳しい指揮官になると思われる。チーム全体に喝を入れるときが来れば、坂本が標的にされる。そのときは、坂本もバットで高橋監督の期待に応えなければならない。 「坂本はリーグ最多安打、最多得点などはあるが、まだ打撃三冠のタイトルを獲っていません。リーダーシップの取れる坂本の性格は認めるが、このままタイトルが獲れなければ、遊びか、宴会の幹事に成り下がってしまう」(前出関係者) 巨人の主将を務め上げるか、それとも宴会幹事で終わるか…。坂本にとって、来季はその分岐点になるだろう。
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