中畑清前監督が退任した同球団では、横浜にゆかりある人物を中心に複数の候補をリストアップしていたが、最終的に白羽の矢が立ったのがOBでもあるラミレスだった。
ラミレスはMLBのロイヤルズ、パイレーツを経て、01年にヤクルトに入団。08年に巨人に移籍し、12年からの2年間はDeNAでプレー。13年には外国人選手として初の2000安打を達成した。しかし、同年限りで戦力外となり、翌14年は独立リーグの群馬ダイヤモンドペガサスでコーチ兼任選手としてプレー。だが、本人が希望したNPBからのオファーはなく、シーズン後に現役を引退した。
今季は群馬のシニアディレクターを務めた他、6月からはオリックスの一、二軍巡回アドバイザーを兼務したが、シーズン後に退団した。
DeNAにとっては、球団史上初の外国人監督の誕生となるが、“言葉の壁”があり、なによりNPB、MLBを通じ、コーチとしての指導経験がなく、指導者としては“未知数”。それなのに、なぜラミレスだったのか?
中畑政権下の4年間、その成績は最下位、5位、5位、最下位でBクラス脱出どころか、4位にすらなれず、10年連続Bクラスに沈んだ。にもかかわらず、球団は中畑前監督に留任オファーを出したが、本人が成績不振を理由に固辞した。成績は上向かなかったが、親会社がDeNAに代わり、中畑前監督就任後、劇的に変化があったのが観客動員だ。
11年の観客動員数は110万2192人だったが、12年以降、4年連続で増加し、今季は181万3800人まで増えた。つまり、中畑政権下の4年で、実に64.6%増を実現させ、待望の200万人動員も、目の前に迫ってきた。特に今季は最下位ながら、前年比15.9%のアップに成功したのだ。
「さまざまな企画チケットの販売など、球団の営業努力もありますが、中畑監督の明るいキャラクターがあったからこそ、成績不振であるにもかかわらず、飛躍的に観客動員が伸びたと推測できます。ぶっちゃけ、球団は成績が悪くても、観客動員アップが可能と学習したわけです。外国人ながら、中畑路線を継承するには、人気者のラミレスがうってつけとの結論になったようです。2年とはいえ、ラミレスはOBでもありますからファンの理解も得られやすい。成績はともかく、集客力を期待されての起用といってもいいでしょう」(某スポーツ紙記者)
球団は本拠・横浜スタジアムの運営会社の買収をもくろんでいる。現状、球場使用料が負担になっており、買収して一体経営が実現すれば、入場料収入、看板広告料収入の大幅増が可能で、健全経営が期待できる。
来季、やる以上はもちろん、目標はAクラス入りしてのCS(クライマックス・シリーズ)進出となろうが、ラミレスの監督就任で、利益優先の姿勢が色濃く出たといってもよかろう。
(落合一郎)