2015年プロ野球は福岡ソフトバンクホークスが圧倒的な強さを見せつける結果で終了した。
日本シリーズでも、セ・リーグ王者の東京ヤクルトスワローズに対して本来の野球をさせなかった。セ・リーグの首位打者の川端慎吾、本塁打王の山田哲人、打点王の畠山和洋を擁する打線を封じ込め、シーズン中に鉄壁の継投リレーを見せていた投手陣を打ち崩した。
ホークスの強さばかりが目立ったシーズンとなった。そのため、ドラフトにも余裕が見てとれる。
「支配下選手の指名は高校生ばかり。1位の高橋純平は即戦力と見ていいが、あとは“将来への投資”です。まあ、強いチームだからできる指名ですよね」(プロ野球解説者)
ドラフトで将来を見越した指名をしただけに、ホークスの補強はこれからが本番のようだ。メジャーリーグ挑戦を表明した李大浩と松田宣浩に代わる大砲候補の獲得を目指している。すでに和田毅の帰還が決まったように、ホークスは補強を止めるつもりはない。
「ホークスが目指しているのは日本一ではなく、世界一ですから」(球界関係者)
世界一は孫正義オーナーの指示でもあるという。親会社ソフトバンクグループが球界に参入した2005年直後から、孫オーナーは「世界一」を口にしていた。
NPBと大リーグ機構の優勝チーム同士で世界一を争うイベントを定期開催したいとし、アメリカニューヨークのMLB本部に乗り込んだこともあった。当時を知るNPBスタッフによれば、孫オーナーは「大会開催にともなうリスク(負担金)は自分たちが払ってもいい」とも訴えていたそうだ。
その熱意が本気であることはMLB側にも伝わったが、実現には至っていない。しかし、それから約10年の歳月が流れたいま、状況は少しではあるが、変わりつつあるという。
「MLB側にもアジア地区に市場を拡大したいとの希望があり、それは単に日本人選手を獲得するだけでは適わないと分かったからです」(同)
ただし、MLB側はア・リーグとナ・リーグの覇者を争わせるポストシーズン・マッチを『ワールドシリーズ』と銘打っており、その上で米国トップと日本トップを争わせることにまだ難色を示しているという。
そこで、WBCのように4年に1度といったイベント興行であれば、話し合いの余地はあるとしている。もっとも、WBCの主催がMLBであるにも関わらず、メジャー30球団のオーナーはトップ選手の派遣に消極的という面もある。現段階でワールドシリーズ後のポストシーズン・マッチのようなイベントに協力するとは思えないが…。
「アジア市場を拡充させるには、日本人選手を獲得するだけではダメだというのが共通認識になりました。今後、何かアイデアをまとめ、日本側に提示するものと思われます」(同)
現時点で考えられるアイデアはクラブチームの世界選手権であり、その発案者が孫オーナーだ。それはMLB側も認めている。孫オーナー以上のアイデアを出せなければ、将来的にそれに便乗するしかないというわけだ。ホークスは潤沢な資金力を武器に、世界一を目指して補強を続ける。李大浩と松田に代わる大砲候補はメジャートップクラスの大物選手かもしれない。