スポーツ
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スポーツ 2020年05月04日 17時00分
巨人GMのクビが飛ぶ事態に? GWの悲劇、各方面に波紋を広げた“フランシスコ事件”とは
プロ野球各球団の球場が、大いににぎわいを見せる時期の1つであるゴールデンウイーク(GW)。今シーズンは新型コロナウイルスによる開幕延期の影響で試合が行われないが、昨シーズンは4月27日から5月6日までの期間で合計200万人以上の入場者数を記録した。 元号が平成から令和に移るタイミングだったこともあり、巨人・坂本勇人の“令和初ホームラン”などが大きな話題となった昨年のGW。今から5年前のGWには、それを大きく上回るほどの出来事があった。それが2015年5月4日の巨人対広島戦(マツダスタジアム)で起こった“サヨナラインフィールドフライ”だ。 2-2の9回裏。1死満塁とサヨナラのピンチを迎えた巨人は、打者・小窪哲也がホームベース付近に打ち上げたフライを一塁・フランシスコ、三塁・村田修一がお見合いし捕球できず。球審がフェアの判定をしたことを受け、フランシスコはグラウンドに落下したボールを捕球してホームベースを踏み、球審も三塁ランナーのアウトを宣告した。 これで2アウトになったと思いきや、広島の緒方孝市監督、石井琢朗コーチが球審に猛抗議。すると、球審が三塁ランナーアウトの判定をセーフに覆し、その結果広島のサヨナラ勝ちというまさかの幕切れとなった。 当時のネット上も「は?どういうこと?」、「何が起きたのか全く分からない」と騒然となったサヨナラ劇の真相はこうだった。小窪のフライ、その後のフランシスコ・村田の捕球ミスに対し球審はフェアの判定。しかし、実は三塁塁審が球審より早く『インフィールドフライ』を宣告していた。 『インフィールドフライ』とは、「0アウトまたは1アウトで、走者が一・二塁、一・二・三塁にあるとき、打者が打った飛球(ライナーおよびバントを企てて飛球となったものを除く)で、内野手が普通の守備行為をすれば、捕球できるもの」と公認野球規則で定められているフライのこと。これが審判から宣告された場合打者はその時点でアウトとなるが、進塁を狙う走者のアウトにはタッチプレーが必要となる。 しかし、ボールを捕球したフランシスコは三塁塁審の宣告に気付いていなかったため、ホームベースを踏むだけでアウトと思い込み三塁ランナーへはタッチせず。そのため、三塁ランナーの生還が認められることとなった。 敗戦につながる重大なミスを犯したフランシスコは、5月7日の二軍落ち以降一軍に呼ばれることなくオフに戦力外に。また、フランシスコの獲得に関わった巨人・原沢敦GMが、5月11日にGM職を解かれる異例の人事も起こっている。 様々な方面に波紋を広げたこのサヨナラインフィールドフライ。一部ファンの間では、今も“フランシスコ事件”という呼び名で語り継がれている。 GWも含め、本来なら行われていたはずの試合が行えないという状況が続いているプロ野球。今シーズンはどんなドラマが起こるのか、全てのプロ野球ファンが開幕を待ち望んでいる。文 / 柴田雅人
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スポーツ 2020年05月04日 16時00分
プロ野球史上2回目の開幕延期…過去1回だけ実施された2011年、横浜ベイスターズの戦いの軌跡
新型コロナウイルス感染防止対策のため、ゴールデンウィーク真っ只中の現在も開幕していない日本プロ野球界。開幕を延期したのは2011年、東日本大震災が起きた過去一度のみである。 3月11日、宮城沖で襲った大地震。当時TBSが親会社であったベイスターズは、横浜スタジアムで東京ヤクルトスワローズ相手にオープン戦を戦っていた。14時46分に大きな揺れが起ると、警備の若い女性は叫び声を上げその場にへたり込み、照明塔の水銀ランプ同士が接触しガシャンガシャンと音を立てていた。未曾有の大震災は、仙台にある楽天イーグルスと、千葉のロッテマリーンズの本拠地を使用不能にし、3月25日に予定されていた開幕は、4月12日に変更された。 尾花高夫監督の2年目となったベイスターズは、横浜スタジアムで中日ドラゴンズを相手に開幕戦を行った。試合は難攻不落の浅尾拓也から、内藤雄太がセンターへサヨナラヒットを放ち、平日のデーゲームに集まったファンを歓喜の渦に巻き込んだ。勢いそのままにこのカード勝ち越しを果たし、「今年こそ」と淡い期待を持たせたが、それが長く続くことはなかった。 5月からは暗黒時代らしく低迷し、鬼門の交流戦は最下位を脱出するのがやっとの11位。オールスターまでに借金は19まで膨らんだ。後半戦も低空飛行を続け、10月9日には4年連続の最下位が決定。同18日には落合ドラゴンズに本拠地・横浜スタジアムで胴上げを見せつけられる屈辱も味わい、首位から27.5ゲーム差、5位カープにも11.5ゲーム差を付けられた。最終的には47勝86敗11分、勝率.353の成績だった。 前年オフにTBSから住生活グループ(現LIXILグループ)へ身売りが進められるも御破算になり、球団自体も揺れていた年。戦力面でも内川聖一がソフトバンク・ホークスにFA移籍し、2010年に活躍した下園辰哉が、くしくも3.11に右足を骨折し出遅れ、FAで獲得し、中華街で派手な入団外見を開いた森本稀哲は期待外れ。村田修一は前年に続き、144試合に4番としてフル出場したが、“飛ばないボール”の影響もありホームランは20本。前年途中から加入し19ホームランを放ったブレッド・ハーパーは大きく成績を落とし、ターメル・スレッジも怪我での離脱など、両助っ人の働きもイマイチだった。 投手陣は高崎健太郎が防御率3.45で177.1回を投げ抜くも、5勝15敗と勝ち星に恵まれず、三浦大輔も前半2軍落ちも経験し5勝に終わった。開幕を任された山本省吾と、前年10勝を挙げた清水直行はわずか2勝ずつ。震災の影響で日本に不安を感じたブレント・リーチは一度アメリカへ帰り、7月に再来日するも1勝7敗。低迷の理由はいくつも上がる散々たる状況だった。 このオフには現在の親会社であるDeNAに球団の譲渡が決定され、11年間で最下位8回と、目を覆いたくなるような戦績を残したTBS時代は幕を閉じた。野球界だけではなく日本中が混乱を極めた2011年。ベイスターズにとってもまた、ターニングポイントとなった年であった。文 ・ 写真/ 萩原孝弘
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スポーツ 2020年05月04日 11時30分
巨人・菅野、今オフのメジャー移籍は絶望的? “カネ”に苦しむMLB球団、東京五輪も理由に挑戦は先送りか
MLBの「無観客試合」は、ネクスト・メジャーリーガーにも影響しそうだ。 「2020年オフの米球界を目指す日本人選手が何人かいました。米スカウトの間でもっとも評価が高いのは、巨人の菅野です。ソフトバンクの千賀を推す声も多く出ています。ただ、現時点で言えることは、彼らの評価は非常に高いですが、米球界挑戦を実現させるには、所属球団がポスティングシステムに掛けることを許可しなければなりません。そういう調査ができないので…」(ア・リーグ中部地区スカウト) 一連のウイルス禍のため、メジャーリーグでは一切のスカウティング活動も禁止されている。今オフ、ポスティングシステムなどを使って、米球界に挑戦するとされている日本人選手は、巨人・菅野智之、DeNA・山崎康晃、千葉ロッテ・石川歩、北海道日本ハム・有原航平、同・西川遥輝、ソフトバンク・千賀滉大など…。 スカウティング活動の禁止による“調査不足”以外の理由で、今オフの米球界挑戦は不可能となる可能性も出てきた。 その理由は、「カネ」だ。 「MLB機構は米選手会に改めて話し合いの場を求めています。すんなりと合意できないでしょう」(米国人ライター) 4月末時点で、MLB機構はアリゾナ州などウイルス感染者が比較的少ない3州に全30球団を集結させ、ペナントレースを開催する方向で調整を続けている。「無観客試合」となるのは避けられないが…。 「3月、MLB機構と選手会は“年俸の減額”でいったん合意しました。ペナントレース162試合、全てが行われた場合は満額、試合削減となった場合にそれに応じて減額していくという…。例えば、100試合しか行われなかったら、『年俸の162分の100』を払うことで合意しました」(前出・同) ところが、である。この時点で、MLB機構や30球団のオーナーたちは、無観客試合になる可能性を“軽視”していた。無観客になれば、チケット収入は入ってこない。TV中継による放映権料のみとなるため、減額した年俸分も払えるかどうか怪しくなってきた。再度の話し合いが必要となった理由はこれに尽きるが、こんな情報も交錯している。 「興行収入の激減は、2020年オフの補強に大きく影響してきます。今オフ、契約満期を迎えるメジャーリーガーの再契約はもちろん、日本人選手との契約も厳しくなります」(プロ野球解説者) 選手会側はMLB機構、経営陣との再協議に難色を示しているという。選手会側はすでに今オフに契約満期を迎える選手たちが渋チン交渉になることも見据えている。さらなる減給に応じる見返りとして、「さまざまな交換条件も検討中」(前出・米国人ライター)とも伝えられているそうだ。 追い詰められているのは経営サイドであり、「今オフは、日本人選手との新たな契約にまで手を伸ばせないとの見方も強まっています」(同) たとえ買い叩かれたとしても、メジャーリーグに行きたいと言う日本人選手も出てきそうだ。しかし、手放す日本の球団側も譲渡金(上限2000万ドル)をアテにしている部分もないわけではない。主力・看板選手を手放すのに見合った分を払ってもらわなければやっていけないだろう。 「順調に行けばの話ですが、来年7月~8月に延期された東京五輪を理由に、『米挑戦を先送りした』と言うかもしれません。東海岸の球団や大都市に本拠地を置く一部の球団は交渉できるかもしれませんが」(球界関係者) 収入減により、メジャー各球団は日本人メジャーリーガーの獲得交渉をする余力はない。菅野は「巨人愛」を貫くことになりそうだ。(スポーツライター・飯山満)
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スポーツ 2020年05月04日 06時30分
新日本からタイチも登場!「#おうちスターダム』プロジェクト
ブシロード傘下の女子プロレス団体スターダムはゴールデンウィーク期間中、YouTubeなどを使ったプロジェクト『#おうちスターダム』を展開。ホームステイ週間に入っているファンに無料配信して発信力を高めている。 所属選手が多いこともあり、ラインナップが豪華なのも特徴だ。・4月28日 スターライト・キッド「一緒に作ろう☆布マスク!」・4月29日 タイチ選手再降臨!!「中野たむと一緒におうち時間❤︎」・4月30日 ジュリア「メイクアップアーティストを本気で目指していたプロレスラーのメイク講座」・5月1日 木村花と一緒にお料理♪「HANA’s KITCHEN powered by 小波」・5月2日 林下詩美&上谷沙弥「MXゴールデンでシンデレラトーナメントを見る会」・5月3日 ジャングル叫女「おうちでできるエアロビ教室 powered by 小波」 これまでも岩谷麻優と中野たむがオンラインお茶会をしたり、選手同士が各自のツイッターで、エクササイズ動画のリレーをするなど、“おうちスターダム”を実践。動画再生回数は、恋愛バラエティ番組「テラスハウス」に出演して知名度抜群の木村花が4月末現在、9万回に迫る勢いで、岩谷も1日1本動画をアップすると宣言し、好評を得ている。 今回の配信には新日本プロレスからタイチがスターダム公式YouTubeチャンネルに登場し、前回因縁が勃発した中野たむとの再共演が実現。新日本とスターダムは同じブシロード傘下ということもあり、スターダムのテレビ解説を今年1月に引退した獣神サンダー・ライガー氏が務めたり、小島聡らが臨時コーチで道場に出向くなど、交流が続いているが、タイチとたむはSNSでも舌戦を繰り広げるなど、2人の共演は期待されていた、 スターダムでは興行再開まで、できることをとことんやっていく方針。今後も数多く発信をすることにより、空白期間を埋めてくれることだろう。(どら増田)
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スポーツ 2020年05月03日 17時30分
阪神・藤川、“松坂世代”初の名球会入り? 右ひじ手術から7年、故障を経て身につけたスキルとは
松坂大輔は、「あと30勝」できるのか。 かつて、松坂世代なる“称号”があった。松坂を筆頭に、1980年4月2日から1981年4月1日生まれの同学年選手たちが揃って活躍したからだが、その松坂世代のトップは松坂大輔ではなくなるかもしれない。※松坂大輔 170勝108敗2セーブ藤川球児 60勝36敗243セーブ※ プロ野球には、名球会なる組織がある。ピッチャーなら、日米通算200勝以上か、250セーブ以上を記録し、バッターならば、同通算2000本安打を達成しなければ、入会することができない。まさに一流のトッププレーヤーだけが集まる“メンバーズクラブ”とも言えるが、その中に松坂世代の選手は一人もいない。上述の数字からして、藤川の名球会入りは時間の問題と言っていい。 「村田修一は惜しいところで現役引退となりました。2017年、巨人から戦力外通達を受けた時点で、通算1865安打でした。あと1年、レギュラーで試合に出ていたら、2000本に到達していたはず」 「あとひと息」だったことを惜しむ声は多く聞かれた。 松坂世代のNPB現役選手はこの2人のほかは、和田毅、久保裕也の4人だけ。松坂のトミー・ジョン手術に代表されるように長期欠場を経験した選手も少なくない。おそらく、松坂世代からの名球会入り選手の誕生にここまで時間を要した理由は怪我のせいだろう。 「今季、アクシデントがなければ、巨人・坂本隼人が2000本安打を達成します(現在1884本)。坂本、斎藤佑樹、田中将大たちは『ハンカチ世代』と呼ばれ、松坂世代と同じように球界を牽引してきました。単純に比べられる話ではありませんが、8学年下の坂本が『松坂世代』と同じシーズンに名球会入りするとは思いませんでした」 松坂世代のドラフトイヤーで活躍した元スカウトマンがそう言う。 単に生涯成績だけを見ると、「もっと勝ち星を挙げていても…」と思うところはあるが、松坂世代の魅力はそれだけではない。松坂を始め、エース、4番、クローザーとチームの中核を担う選手も多かった。シーズンを棒に振るような長期欠場もあったが、見方を変えれば、チームが「復帰」を待ってくれたとも解釈できる。復帰を待ちたくなるような選手、待たなければならない存在が揃っていた世代とも言える。 「藤川が右肘にメスを入れたのは、2013年。ストレートに往年の威力が戻ってきたのは昨季後半ですが、そこに至るまでの間、藤川は先発や中継ぎも務めてきました。先発で成功したとは言えませんが、自身の役割に応じて調整法を変えるなど、ピッチングスタイルのパターンをたくさん持っています」(球界関係者) 昨季、「往年のストレートが蘇った」との評価も多く聞かれた。しかし、投手出身のプロ野球解説者や20代の頃を知る阪神OBたちは「変化球を使う割合が増えている」とも評していた。対戦バッターにストレートを速く感じさせるテクニックも習得したのだろう。 藤川がトップを切って名球会入りするのだから、この点に関しては“松坂以上”と評価しても良いのではないだろうか。(スポーツライター・飯山満)
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スポーツ 2020年05月03日 11時30分
日本ハム栗山監督「気持ちだけをお届けしたい」球団が北海道の医療機関へマスク5万枚を寄付
北海道日本ハムは、新型コロナウイルス感染症の拡大により、医療現場で感染防護具の不足が深刻になっている状況を受けて、医療従事者のために役立つよう、不織布マスク5万枚等を北海道へ寄付すると発表した。 球団では選手会とも協議し、この難局を乗り越えるため、医療現場の最前線で懸命に力を尽くしている医療従事者への支援を優先すべきと考え、過去のチャリティオークション等でファンの善意を積み立てた「ファイターズ基金」と選手会費から物資を購入し、北海道を通じて5月以降道内の各医療機関へ分配を依頼することになったという。 北海道では、感染症が依然、猛威を振るい続ける状況下で、地域やファンに支えられるプロ野球球団として、何らかの支援ができないかとの考えから、球団と自主練習期間に入っている選手らが4月上旬から検討を開始。医療現場の最前線で感染防護具の不足、医療従事者の心理的負担の増大、新型コロナウイルス感染に対応する医療体制により外来診療や入院、手術の減少で病院経営に影響があることなどを把握すると、球団の取引先から医療物資が確保できたため、球団が長年続けている地域貢献活動に役立ててほしいとの申し出があり、社内や選手会と協議した結果、購入し、北海道への寄付を決定に至ったそうだ。不織布マスク5万枚、フェイスシールド920個が寄付される。 栗山英樹監督は「ウイルスとの闘いで、本当に大変な思いをされてると思います。その中でも、特に医療関係に従事されている皆さん。本当に命を懸けて、多くの皆さん、感染された方々のケア、検査を含めまして、本当にありがとうございます。ドクター、看護師の皆さんだけではなくて、病院で働くいろいろな方々。そして、そういったものを作ってくださる皆さん。本当に感謝しております。そういった皆さんの気持ちを考えると、本当に我々は何も出来ないんですけど、何とか応援する気持ちだけを皆さんにお届けしたいと思います。僕らも精一杯応援していきます。そして僕らも頑張っていきます。皆さんも本当に大変ですけども、みんなが感謝をしております。その思いをもってこれからも頑張ってください。本当にありがとうございます」とコメントし、医療従事者に対して感謝の意を述べた。 投手陣では、自主練習中の加藤貴之と宮西尚生が、寄付するマスクの段ボール箱を手にした写真撮影に応じている。(どら増田)
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スポーツ 2020年05月03日 08時00分
一度は使っってみたいプロレスの言霊 「いつ何時、誰の挑戦でも受ける」発言者・アントニオ猪木
「大一番に臨んでの意気込み」「死力を尽くして戦った後に思わず漏らした本音」「自己アピールのため練りに練った発言」など、プロレス界における数々の名言は、レスラーの本質を映し出す鏡であり、時に、リングでの試合よりもファンの心に語りかけてくる。※ ※ ※「いつ何時、誰の挑戦でも受ける」 アントニオ猪木の闘魂、ストロングスタイルの精神をあらわした最も有名な言葉の一つであろう。 仕事や遊びの場において冗談半分で口にしたことがあるという人も、きっと多いのではないか。ただし、このセリフは完全なる猪木オリジナルではない。 かつて日本ボクシングコミッション(JBC)が発行していた王者認定書には、「いついかなる時でも、誰の挑戦でも受けなければならない」と記されていたという(実際は、相手がどんな挑戦者であろうと「組まれたマッチメイクを受ける義務」の規定)。 1972年に東洋王者時代のガッツ石松が、池袋の乱闘でチンピラ8人をノックアウトして逮捕された際も、事情聴取で「賞状にそう書いてある」と主張している。 古くからの武士の心得として伝わる、「常在戦場(常に戦場にいる気持ちで、緊張感を持って事にあたらなければならないとの意味=出典不明)」の精神に通じるものともいえる。 この主旨に沿った猪木の発言の最も古い記録の一つに、’66年10月12日、東京プロレスの旗揚げ戦でジョニー・バレンタインに勝利した後のコメント、「誰の挑戦でも受けます。一般の人でも構わない」というものがある。 新団体の若きエースとして意気込みを表明したのと同時に、なんなら宣伝の一環として素人挑戦イベントの開催なども念頭にあったのかもしれない。また、さらに加えて、この半年前、日本プロレスでジャイアント馬場への挑戦を表明しながら、受け入れられなかったことへの反発もあったに違いない。つまり「馬場は挑戦を受けなくとも俺は受ける」という一種のあてつけである。★世界最高峰の王座への皮肉 ’73年12月10日、ジョニー・パワーズを破ってNWF世界ヘビー級王者となった試合後には、「誰の挑戦も受けられるチャンピオンになる」とコメントしている。 新王者としての気概をあらわしたのと同時に、挑戦すらさせてもらえない世界最高峰のNWA王座への皮肉も混じったものであろう。 これは後年、IWGP発足に先駆けての「NWAを超える組織をつくって旗揚げし、誰もが認める世界タイトルを争ってみたい」とのコメントにもつながっていく。 また、柔道五輪金メダリストのウィリアム・ルスカとの対戦が決まった際には、「プロレスが格闘競技の王者であることを見せるために挑戦を受けました」と宣言し、本命のモハメド・アリ戦を控えての強豪との対戦を危惧する声に対して、「誰の挑戦でも受ける」の精神を示している。「あの試合は格闘技戦ではなくプロレスだった」との評もあるが、ルスカが心変わりしてガチンコを仕掛けてくる可能性もゼロではなかっただけに、猪木が相当な覚悟で試合に臨んだことには違いあるまい。 この時期の猪木は、実はまだ馬場やNWA王者、そしてアリなどに挑戦を表明する側の立場であったにもかかわらず、あえて「誰の挑戦でも受ける」と言っていた。 いわばハッタリでもあるのだが、しかし、これを繰り返すことで自分自身を鼓舞するとともに、ファンはそんな猪木の姿に夢を託すこととなった。★完全に無視した大仁田厚の挑戦 しかし、後年にはこの言葉が一種の足かせのようになり、「なぜ前田(日明)の挑戦は受けないのか」などと非難の材料になることもあった。 この件について猪木本人は、引退後の前田との対談で「逃げたんだよ」と語っている。 当時の関係者からは「あのとき猪木と前田が戦ったとして、猪木が勝てばUWF軍との抗争の価値が下落するし、負ければ興行やテレビ視聴率に悪影響が出てしまう。あいまいな決着ではコアなファンが納得せず、いずれにしても得策ではない」などと、猪木自身が逃げたというよりも、周囲の事情でそうなったとの見解も聞かれる。 だが、結果的に戦いを避けたことには違いなく、加齢や体調面でパフォーマンスが落ちてきた時期とも重なって、ファンに“落日の猪木”を感じさせることとなった。 逆に挑戦を受けたことがマイナスに働いたのが、’87年12月27日、たけしプロレス軍団の求めに応じて敢行したビッグバン・ベイダー戦で、ファンの望まぬ試合を行った結果、暴動騒ぎにまで発展してしまった。 また、明確に猪木自身の意思で、挑戦を受けなかったのが大仁田厚である。大仁田は、引退後の猪木に対して事あるごとに対戦を迫ったが、猪木はこれにまったく応じようとしなかった。 戦いの中に真の強さを求めてきた猪木からすると、大仁田の邪道スタイルはその美学に合わなかったということだろう。 他にも、知る人ぞ知る空手の強豪から生死を懸けた果たし合いを申し込まれるなど、「誰の挑戦も受ける」といった大言壮語は相応のリスクがついてまわるものであり、それを“本気”で言ってのけた猪木の胆力には、あらためて驚かされるのである。アントニオ猪木***************************************PROFILE●1943年2月20日生まれ。神奈川県横浜市出身。身長191㎝、体重110㎏。得意技/コブラツイスト、卍固め、延髄斬り、ジャーマン・スープレックス・ホールド、アリキック、スリーパー・ホールド、ナックル・パート。文・脇本深八1974年3月19日、アントニオ猪木は国際プロレスのエースだったストロング小林と対戦し、必殺のジャーマン・スープレックス・ホールドで勝利した◉次回は長州力の言霊です。
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スポーツ 2020年05月03日 06時30分
今年は中止!新日本プロレス『レスリングどんたく』の歴史
新日本プロレスのゴールデンウィーク恒例のビッグマッチ『レスリングどんたく』福岡・福岡国際センター大会(5月3、4日)が、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言の発令により中止となってしまった。 『レスリングどんたく』は、1993年に福岡ドーム(現・福岡PayPayドーム)のこけら落としを記念して、1989年から東京ドームで定期的に興行を開催していた新日本が初開催した。55,000人を動員し、藤原喜明の新日本マット復帰をはじめ、当時WWF(現・WWE)世界ヘビー級王者だったハルク・ホーガンが、古巣の新日本とWWFの契約選手でありながら、単独で複数試合契約。ノンタイトルマッチながらIWGPヘビー級王者で、アメリカでWWFのライバル団体だったWCWのトップレスラーだったグレート・ムタとのドリームマッチが実現した。メインイベントでは、アントニオ猪木と藤波辰爾の師弟タッグが、長州力&天龍源一郎のライバルタッグと対決。猪木と天龍はこれが初対決で、全国からプロレスファンが福岡に集結したのだ。 翌年は猪木のファイナルカウントダウン第1弾として、猪木とムタのシングルマッチが実現。当時は諸事情により、この試合がリアルタイムでテレビ中継されなかった(後日放送)ため、53,000人を動員している。1995年は猪木が北尾光司とタッグを結成し、長州&天龍と対戦。長州と北尾の禁断の対決が話題となった。 この大会から5年間休んだのち、2000年に再び福岡ドームへ進出。メインイベントはIWGPヘビー級王者の佐々木健介がパワーウォリアーに扮して、北斗晶を引き連れて登場し、ムタを破っている。現在のところ最後の福岡ドーム開催となっている2001年の第1試合は、真壁伸也(現・刀義)&柴田勝頼対棚橋弘至&井上亘がラインナップされたのは興味深いところ。メインでは長州&中西学が、小川直也&村上和成と対戦し勝利を収めているが、プロレスと格闘技の間で揺れる時期を象徴するような大会だった。 2009年に会場を福岡国際センターに変更して、『レスリングどんたく』が復活。最後の同大会で第1試合に出場していた棚橋弘至がIWGPヘビー級王者として、メインで後藤洋央紀の挑戦を退けた。ここから昨年まで11年連続で開催。2010年には真壁が、2014年にはAJスタイルズがIWGP初戴冠を果たすなど、数々のドラマを生み出してきた。2018年からは2連戦で開催しており、イラストレーター坂井永年氏が描くロゴとポスターも注目されている。 今年は残念ながら中止になってしまったが、再び『レスリングどんたく』を福岡ドームで開催する可能性はゼロではない。むしろ年々可能性が高まっているのではないだろうか。近い将来『レスリングどんたく』の福岡PayPayドーム大会が開催されることを大いに期待したい。※敬称略(どら増田)
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スポーツ 2020年05月02日 17時30分
巨人・広島が一触即発の睨み合い! “因縁の相手”山口に會澤が激昂、和解まで1年以上を要した“警告試合
新型コロナウイルスの影響により、5月に入っても開幕延期が続いている今シーズンのプロ野球。本来の予定であれば5月最初の3連戦(1~3日)として、セ・リーグでは巨人対広島(東京ドーム)、DeNA対中日(横浜スタジアム)、阪神対ヤクルト(甲子園)のカードが行われていたはずだった。 中でも、昨年のリーグ王者巨人と一昨年まで3連覇を果たした広島の一戦はかなりの盛り上がりを見せていたことが濃厚。2年前にも5月最初の3連戦で対戦している両軍だが、その時には球場が別の意味で盛り上がる事件が起きている。 舞台となったのは、2018年5月1日に行われた巨人対広島(マツダスタジアム)の一戦。同戦の巨人先発・山口俊(現ブルージェイズ)は立ち上がりから制球が定まらず、2回までに4四球。また、広島・會澤翼には死球も与えていた。 3回にバティスタ、鈴木誠也に2者連続本塁打を浴び同点に追いつかれた山口は、なおも迎えた1死一、三塁の場面で打席の會澤に2打席連続の死球を与えてしまう。すると、會澤は死球を受けた瞬間にバットを投げ捨て、「オイッ!」と叫びながらマウンド上の山口に詰め寄った。 會澤の動きを見て、主審、鈴木、巨人・マギーの3名が真っ先に制止へ。それに続くように他の選手も守備位置やベンチから一斉にマウンド付近に集まり、両軍入り乱れ一触即発の状態となった。両軍は1分ほどにらみ合いとなった後、殴る蹴るの乱闘には至らずベンチに戻ったが、これを受けた主審は両軍に「警告試合」を宣告した。 「警告試合」とは、試合中に乱闘やにらみ合いなどが起こった際、審判団がその後に選手への死球やスライディングなどの報復行為が行われる危険性があると判断した試合のこと。宣告された場合、審判は故意・過失にかかわらず、報復行為と判断できるプレーを行った選手やそのチームの監督に退場を宣告することができる。 その後試合は再開されたが、山口は2死満塁から田中広輔に押し出し四球を与え勝ち越し点を献上。さらに、5回には1死一塁の場面で會澤にタイムリーツーベースを打たれ追加点を許すと、2死一、三塁では菊池涼介にもタイムリーを浴びここで降板。チームも「4-6」で敗れそれまで連勝が8でストップした。 2度の死球がにらみ合い、警告試合に発展したのには、山口と會澤を巡る“因縁”も関係したとされている。2012年8月2日のDeNA対広島戦、會澤は当時DeNAの山口から顔面に死球を受け鼻骨を骨折。翌3日に登録を抹消され、一軍復帰を果たせないままシーズンを終えている。 なお、後日山口が謝罪したものの両者には“因縁の相手”というイメージがつき、2019年11月のプレミア12で共に侍ジャパンに選出された際は「仲間割れ起こさないか心配」、「絶対に試合でバッテリー組ませたらダメ」というコメントも散見された。ただ、大会終了後に巨人のファンフェスタに参加した山口は、「(大会の)一番の収穫は會澤と仲直りしたこと。日本でもご飯に行ったりして完全に仲直りしました」と語っている。 こうした一触即発の事態が起こるのも、試合が行われてこそのこと。今シーズンの開幕はまだ具体的な日程が決まっていないが、日程決定の目途が立つ日が来ることを願うばかりだ。文 / 柴田雅人
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スポーツ 2020年05月02日 11時30分
オリックス、夏の陣や関西クラシックなどイベント試合の中止を発表
オリックスは、今シーズン予定されていたイベント試合の中止を27日に発表した。 中止になるのは次の5イベント。・6月10日、7月8日 『大人の部活』(京セラドーム)・6月19日 『花火ナイト』(ほっと神戸)・6月20日 『神戸大花火大会』(ほっと神戸)・6月26〜28日 『KANSAI CLASSIC 2020』(京セラドーム)・8月21~23日、28~30日 『Bs夏の陣2020』(京セラドーム) 『大人の部活』は8、9月にも予定されており、こちらは現時点では開催する方針。『花火ナイト』も7月に予定されている2回はまだ中止になっていない。 着てもらいたいユニフォームをファン投票した近鉄バファローズと南海ホークスの復刻試合『KANSAI CLASSIC 2020』は今年、残念ながら中止になってしまった。これはオリックスファンだけでなく、ソフトバンクファンにとっても残念な知らせだろう。 また毎年ユニフォームが話題となる恒例企画『Bs夏の陣 2020』も中止に。この結果、今シーズンは現時点で、ホーム、ビジター、サードの3つに加え、既に発表されている神戸主催試合で着用するオリックス・ブルーウェーブ時代の「がんばろうKOBEユニフォーム」と、故・西本幸雄元監督生誕100年を記念した阪急ブレーブス復刻ユニフォームといった5種類のユニフォームで闘うことになりそうだ。 なお、5月29〜31日に開催予定だった女性ファン向けイベント『Bsオリ姫デー 2020』は延期するとしている。(どら増田)
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スポーツ
復活の岩隈が今オフの主役に躍り出る
2015年08月18日 11時45分
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スポーツ
USA発 新聞、テレビではわからないMLB「侍メジャーリーガーの逆襲」 オールスターゲームの視聴率“6.6%”はひどい数字? 低視聴率でも数千億円の収入メジャーリーグ『視聴率の謎』
2015年08月17日 12時00分
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スポーツ
直接会ったらパネマジだった? 巨人はカステヤーノスにだまされたのか
2015年08月13日 12時00分
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スポーツ
横浜高・渡辺監督がDeNA“総監督”に転身!? 中畑監督を“オール横浜高”&“松坂獲り”で全面支援
2015年08月12日 12時00分
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最下位に沈む中日の責任は誰がとる? 落合GMが批判されない理由とは
2015年08月11日 12時00分
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解任なら菅野はポスティングでメジャー挑戦! 東海大相模のドラフト目玉も交渉材料!? 東海大派閥を「人質」に生き残りを図る原監督の“イスラム国戦略”(2)
2015年08月10日 12時00分
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100周年 2015年夏の甲子園 高校野球とデータ解析
2015年08月10日 11時45分
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解任なら菅野はポスティングでメジャー挑戦! 東海大相模のドラフト目玉も交渉材料!? 東海大派閥を「人質」に生き残りを図る原監督の“イスラム国戦略”(1)
2015年08月09日 12時00分
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今年の「甲子園」の見どころズバリ! 注目の超高校級球児と“黒い監督”
2015年08月08日 12時00分
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俺たちの熱狂バトルTheヒストリー〈畑山隆則vs坂本博之〉
2015年08月07日 13時00分
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3億円もキャッシュ払い Jリーグを脅かす中国の選手“爆買い”
2015年08月06日 16時00分
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スポーツ
夏の甲子園100周年 高校野球トリビア
2015年08月06日 13時00分
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スポーツ
トップの座を巡る熾烈な攻防 プロ野球“セ弱”で監督総入れ替え! 仁義なきベンチ裏マル秘レポート(3)
2015年08月05日 16時00分
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甲子園100周年 知られざる「白球史」と「暗黒史」(4)
2015年08月05日 13時00分
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【甦るリング】第18回 反体制でスーパースターになった“夏男”蝶野正洋
2015年08月05日 12時00分
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トップの座を巡る熾烈な攻防 プロ野球“セ弱”で監督総入れ替え! 仁義なきベンチ裏マル秘レポート(2)
2015年08月04日 16時00分
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甲子園100周年 知られざる「白球史」と「暗黒史」(3)
2015年08月04日 13時00分
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100周年 2015年夏の甲子園 「高校野球にマネージャーは必要か?」
2015年08月03日 16時00分
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トップの座を巡る熾烈な攻防 プロ野球“セ弱”で監督総入れ替え! 仁義なきベンチ裏マル秘レポート(1)
2015年08月03日 16時00分