甲子園春夏5度制覇した51年間にわたる指導者生活に幕を下ろした同監督は、今後は総監督の立場で同高をサポートしていくというが、ここへきてにわかに横浜DeNAの“総監督転身”の情報が伝わってきた。
「決勝戦があった7月28日は松山で巨人−DeNA戦があり、中畑清監督は『(東海大相模OBの)原に負けるわけにはいかない』と、横浜高出身の石川雄洋、乙坂智、筒香嘉智、倉本寿彦の4選手をスタメンに入れ“リベンジ”に臨んだのです。結果は3−11で大敗。しかし、この采配を意気に感じたのか、一度は野球の現場を離れる意思を固めたはずの渡辺監督が、DeNAへの協力を決意したようなのです」(地元放送関係者)
DeNAには横浜高OBがごまんといる。その精神的支柱の渡辺氏がDeNA入りすればチームの士気は上がる。
今季のDeNAはチームの首位ターンもあって、前半戦の観客動員数は前年比21.7%増と12球団トップ。しかし、球宴後は2度の4連敗などで2勝8敗。借金6で首位とは5ゲーム差(7月31日現在)。
南場智子オーナーは、日本一になった'98年以来、17年ぶりの首位ターンを評価し、7月17日に早々と中畑監督に続投を要請した。だが、その後の戦況を憂慮し、「オール横浜高構想」のもとに渡辺氏を“総監督”として担ぎ出し、チーム強化を画策しているのだ。
本来、中畑監督には迷惑な話だが、続投が約束されていることもあり、この構想を歓迎しているという。
「渡辺氏は70歳。'04年に脳梗塞で倒れ、近年は腰痛やメニエール症候群も発症。プロ野球の長丁場を指揮できる体力はなく、本人も監督は望んでいない」(担当記者)
問題は渡辺氏がこのオファーを受けるかどうかだが、そこで球団が用意したのが、本拠地・横浜スタジアムの「天然芝」変更計画だ。天然芝が主流のメジャーリーグにならい、横浜市民が野球に熱狂できる“ボールパーク化”させるというのだ。
「天然芝にするもう一つの狙いは松坂大輔の獲得です。今季の松坂は右肩の痛みを訴え、登板のメドすら立たない。でも、それは巨大戦力を持つソフトバンクが無理をさせないだけ。そこでDeNAは体に負担のかからない天然芝球場と恩師を用意し、余剰戦力と化した天才投手の復活に助け船を出すのです。他球団には障壁になる4億円の年俸も、DeNAでは想定内の金額。横浜高校時代、春夏連覇した“あの松坂”が地元で投げれば、全試合満員になるのは確実で十分に元は取れる。そのためにも恩師を“総監督”に迎える必要があるのです」(同)
そういえば、ソフトバンク工藤公康監督もDeNAの監督候補になった男。こちらも松坂を手土産に、将来のベイスターズ入りを視野に入れているのかもしれない。