『レスリングどんたく』は、1993年に福岡ドーム(現・福岡PayPayドーム)のこけら落としを記念して、1989年から東京ドームで定期的に興行を開催していた新日本が初開催した。55,000人を動員し、藤原喜明の新日本マット復帰をはじめ、当時WWF(現・WWE)世界ヘビー級王者だったハルク・ホーガンが、古巣の新日本とWWFの契約選手でありながら、単独で複数試合契約。ノンタイトルマッチながらIWGPヘビー級王者で、アメリカでWWFのライバル団体だったWCWのトップレスラーだったグレート・ムタとのドリームマッチが実現した。メインイベントでは、アントニオ猪木と藤波辰爾の師弟タッグが、長州力&天龍源一郎のライバルタッグと対決。猪木と天龍はこれが初対決で、全国からプロレスファンが福岡に集結したのだ。
翌年は猪木のファイナルカウントダウン第1弾として、猪木とムタのシングルマッチが実現。当時は諸事情により、この試合がリアルタイムでテレビ中継されなかった(後日放送)ため、53,000人を動員している。1995年は猪木が北尾光司とタッグを結成し、長州&天龍と対戦。長州と北尾の禁断の対決が話題となった。
この大会から5年間休んだのち、2000年に再び福岡ドームへ進出。メインイベントはIWGPヘビー級王者の佐々木健介がパワーウォリアーに扮して、北斗晶を引き連れて登場し、ムタを破っている。現在のところ最後の福岡ドーム開催となっている2001年の第1試合は、真壁伸也(現・刀義)&柴田勝頼対棚橋弘至&井上亘がラインナップされたのは興味深いところ。メインでは長州&中西学が、小川直也&村上和成と対戦し勝利を収めているが、プロレスと格闘技の間で揺れる時期を象徴するような大会だった。
2009年に会場を福岡国際センターに変更して、『レスリングどんたく』が復活。最後の同大会で第1試合に出場していた棚橋弘至がIWGPヘビー級王者として、メインで後藤洋央紀の挑戦を退けた。ここから昨年まで11年連続で開催。2010年には真壁が、2014年にはAJスタイルズがIWGP初戴冠を果たすなど、数々のドラマを生み出してきた。2018年からは2連戦で開催しており、イラストレーター坂井永年氏が描くロゴとポスターも注目されている。
今年は残念ながら中止になってしまったが、再び『レスリングどんたく』を福岡ドームで開催する可能性はゼロではない。むしろ年々可能性が高まっているのではないだろうか。近い将来『レスリングどんたく』の福岡PayPayドーム大会が開催されることを大いに期待したい。
※敬称略
(どら増田)