現役引退と同時にコーチに就任し、満を持して登場した幹部候補生だが、「1年1年が勝負」との思いから、単年契約を自ら希望したという。
「今年くらい優勝を意識してシーズンに臨んだ年はありませんよ。1億円強の年俸を提示して獲得したグスマン、さらにエルドレッドの故障が長引くと見るやいなや、いきなりシアーホルツを獲得。黒田帰還もあり、これで負けるようなら、緒方監督も無傷ではいられない」(前出・ベテラン記者)
昨季活躍した若手野手が他球団に研究されたのが、開幕ダッシュ失敗の原因とされているが、後半戦には“救いの要素”も。
「先発投手が豊富で、夏場以降は広島が有利でしょう」(前出・飯山氏)
クライマックスシリーズ進出が監督続投の最低条件だが、それを果たせても、広島は自らの首を絞めることになるかもしれない。
今オフ、WBCに次ぐ世界大会『プレミア12』が開催される。侍ジャパンの人選はこれからだが、NPB内部には「広島勢を多く」との声も出ているからだ。
「侍ジャパンの課題は人気です。テレビ視聴率が2ケタいくかいかないかで、観客数も芳しくない。その理由は若手中心の選出だからです。侍ジャパンは球界全体の新たな収入源であり、人気を上げるためにも、広島のレギュラー陣は不可欠」(前出・球界関係者)
標的は黒田博樹だ。黒田の性格を考えると、「球界全体のため、日本のため」と、腕がちぎれても全力投球するだろう。丸佳浩、菊池涼介、捕手の會澤翼も選出された場合、彼らは“ボロ雑巾”のように使われる。
広島は、CSに滑り込んでも地獄が待っているわけだ。
奇妙な空気がベンチに漂っているのは中日だ。
去る7月9日の阪神戦、谷繁元信兼任監督(44)と森繁和ヘッドコーチ(60)の間に行き違いが生じた。同点の11回表、谷繁が一塁に出るなり、森ヘッドの指示で控え捕手の桂依央利がベンチを飛び出し、谷繁のもとに走った。
「代走、桂」と思いきや、谷繁は「あっち行け」のポーズを見せたのである。
谷繁がグラウンドに出ているときは、森ヘッドが司令塔。それが両者の申し合わせのはずだが、谷繁はその裏の守り以降も、まだ自分が捕手としてマスクを被る気でいたのかもしれない。
谷繁はその回の攻撃が終わるなりバッテリーごと交代。追い返された桂が、その後、球団史上初の“後逸”でサヨナラ負けしたのだ。
「マスクを被らせるのなら、俊足の桂を代走から出した方が良かった」(担当記者)
このギクシャクした空気は、8月に一軍昇格が予定され、同月11日に50歳を迎える山本昌の登板にも影響しかねない。
「50歳での公式戦登板はメジャーにも前例がなく、米メディアも注目しています。ただ、今の中日の状態では“世界記録”を消化試合で行うことになる。それでは山本を昇格させにくいという声がある反面、谷繁兼任監督と森ヘッドの仲を繕うことができるのは山本昌しかいないという意見もあるのです」(同)
一方、館山昌平が復帰したヤクルトの存在も不気味だ。安定感抜群のオンドルセク、ロマン、バーネットの外国人リリーバーに繋げればベンチは勝利を確信できるから、来季も安泰なのは真中満監督(44)だけだ。
とはいえ、勝率5割に満たないチームが日本シリーズに出れば、セは歴史的汚点を残す。セ6球団監督の首筋に流れるのは冷や汗か、それとも…。