社会
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社会 2014年02月11日 11時00分
五輪最上位スポンサー延長を決断! 奈落のパナソニックが放つ窮余一策
パナソニックが国際オリンピック委員会(IOC)と交わした契約が憶測を呼んでいる。同社は1988年のカルガリー冬季五輪からIOCの“TOP(最上位)スポンサー”を務めてきた。これまでは2016年までの契約だったが、ソチ五輪の開幕を機に2024年まで契約を8年延長したのだ。 昨年9月、2020年の東京五輪が決定した。当時の同社は2年連続でトータル1兆5000億円の赤字を垂れ流し、見事なドロ船経営に陥っていた。そのため「これ以上、五輪のスポンサーを続ければ破綻しかねない」との観測しきりだった。 「パナは世界のAV(音響・映像)機器代表として日本企業では唯一、IOCとTOPスポンサー契約を結び、五輪ロゴを使ったテレビCMを世界中に流すほか、オリンピック会場や選手村など周辺に大型スクリーンや監視カメラなどを独占的に納入してきました。しかし、その費用は1開催で100億円超に膨らむといわれています。これでは“撤退”観測が浮上したのも無理はありません」(情報筋) ところが、津賀一宏社長は延長に舵を切った。決断の裏に何があったのか。 鍵は昨年10月31日、パナソニックが発表した9月中間決算にあった。最終利益が過去最高の1693億円を記録したのである。大赤字から一転しての急回復に津賀社長は「構造改革の方向に大きな間違いがないことが見えてきた」とご満悦だった。舞台裏をパナOBが解説する。 「この間、会社は国内外で4万人に及ぶ大量の社員を削減したほか、東京の汐留ビルや旧東京本社ビルを売却し、トヨタをはじめ有力企業の保有株や半導体工場なども次々と売り飛ばした。そんな空前絶後ともいうべき苛烈リストラの結果、去年の9月中間期でやっと黒字化にこぎ着いたのです。しかし、構造改革と言えば聞き心地はいいですが、実態はリストラに名を借りた大量の“人柱”を立てることで何とか帳尻を合わせたにすぎません」 果たせるかな、パナは今年3月期の連結最終損益の見通しを1000億円の黒字(昨年3月期は7542億円の赤字)と、従来予想の2倍に引き上げた。むろん苛烈リストラの“仇花”であることを津賀社長が知らないわけはない。だからこそ、その後も半導体部門で7000人削減など「ライバルに比べ、明らかに周回遅れ」と揶揄されながらも、情け容赦ない人減らし策に突き進んでいるのが実情だ。 それにしても、ソロバン計算に長けたパナソニックが、高額の契約金を払って五輪のTOPスポンサーに固執する理由は何なのか。 「東京五輪が決まった以上、プライドにかけても絶対に譲れないということでしょう。というのも、TOPスポンサーは1業種1社が大原則で、これを降りることは『会社が火の車になった』と白状したに等しく、株式市場で売り崩しの標的になりかねない。だから歯をくいしばってでも、その座をキープする必要があったのです」(五輪関係者) 問題は、大枚投入に見合うだけの経済効果が得られるかである。関係者が続ける。 「自国での東京五輪ともなれば、宣伝効果はソチやリオ('16年)の比ではありません。何せアテネ('04年)や北京('08年)では、パナを含めて薄型テレビが爆発的に売れた。しかもテレビの買い替えサイクルは一般に10年前後とされ、'11年の家電エコポイント制度の終了と地デジ移行の買い替え特需に乗ってテレビを買った人たちは、東京五輪のときに買い替えを迎える。これではパナが“五輪特需”の捕らぬタヌキを決め込まないわけがありません」 だが、今やテレビ事業ではパナをはじめ国内勢がそろいもそろって韓国勢の後塵を拝している。現に'12年のロンドン五輪ではパナが3D映像を世界に配信して技術力を見せ付けたが、その先端技術が短期間で韓国、中国勢に取り込まれてしまった。下手すると東京五輪開催のころには、パナが「不採算」を理由にテレビ事業から撤退している可能性さえある。 パナは旧パナソニック電工が手掛けてきた住宅・電気設備の「住宅分野」と、カーナビ対応を含む「自動車分野」を新たな成長戦略の柱と位置付けている。だが津賀社長は「家電事業は当社のDNA」と公言、この分野の建て直しに意欲を見せている。その延長上に五輪のTOPスポンサー継続があるのは明らかだ。 「勝てば官軍でしょうが、社員が恐れているのは目的を達成するために手段を問わなくなることです。過去に輪をかけた苛烈リストラにまい進するようだと、踏み台にされる社員はたまったものじゃありません」(前出のOB) 2020年、東京五輪マークの下にパナソニックのロゴも燦然と輝くだろうか。
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社会 2014年02月10日 15時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 法人税引き下げは正しいか
安倍総理が法人税の税率引き下げの検討を指示した。それに呼応する形で、経団連次期会長の榊原氏は、法人税の実効税率を25%に引き下げるよう求めた。日本の法人税率が欧州やアジア諸国と比べると高く、国際競争力を確保するためというのが理由だ。 確かに表面的にみると、日本の法人税率は、地方税を含む実効税率で復興増税廃止後でも、35.64%と、30%以下の国が多いアジア近隣諸国や欧州と比べて高くなっている。しかし、例えば米国(ニューヨーク州)の税率は45.67%と、日本よりも10%も高い。それが理由で米国が競争力を失っているという証拠は一切ない。 また、日本の法人税にはさまざまな優遇措置があり、額面通りに支払われていないのだ。ちなみにOECD(経済協力開発機構)の統計で、'09年時点の社会保険料を含む税収全体に占める法人税の比率をみると、日本は11.8%で、米国9.4%、イギリス8.6%と似たような水準だ。しかも、日本の法人税率は、この時点より1割以上引き下げられているから、すでに英米と同水準とみて間違いないのだ。 それでも法人税率をもっと下げたいというのは、単に財界が税金を払いたくないというわがままを言っているだけに過ぎないのではないか。そして、そのわがままは、社会に弊害を及ぼすまでに至っている。 典型的な影響が復興予算だ。東日本大震災の復興経費は、復興特会と呼ばれる特別会計から支出されている。復興特会の財源は、復興債と一般会計からの繰り入れ、そして復興特別税の収入だ。簡単に言うと、復興のための国債を発行して、当面かかる巨額の復興経費を捻出し、借金は復興増税で少しずつ返していきましょうという仕組みだ。 ところが、企業にかけられる復興特別法人税は2013年度までで、前倒しで廃止されることになった。個人の所得にかけられる復興特別所得税は、当初予定のまま25年間続いていくのに、政府は、法人の負担だけなくしたのだ。'14年度から復興財源が制約されるのだから、復興のための支出も抑制されることになる。 実際、復興特会の予算をみると、'14年度の復興予算は、3兆6464億円となっている。'13年度予算が4兆3840億円だったから、差し引き7376億円も復興予算が減っているのだ。 しかも、'13年度は補正予算で5638億円、復興予算が増額されているから、補正後の予算と比べると、来年度の復興予算は1兆3014億円もの減額になっているのだ。 もちろん、このことがすべて復興特別法人税廃止の影響であるとは言えない。実際、'13年度の復興特別法人税は9145億円だったから、この分が予算からはげ落ちたというほうが正確かもしれない。 ただ、震災復興は国全体で支えなければならない事業であることは、間違いのない事実だ。それなのに企業だけが負担を免れるという強欲は、けっして許されるべきではないだろう。 企業を優遇し続けてきた結果が、いまや250兆円にもおよぶ内部留保を企業にもたらしているのだ。米国でさえ内部留保の総額は170兆円だ。そろそろ財界も分をわきまえないと、社会がおかしくなってしまうのではないだろうか。
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社会 2014年02月10日 11時45分
元公民館職員が少女らにわいせつDVDを送付する嫌がらせ
なんとも悪質な嫌がらせをした男が御用となった。 鳥取県警浜村署は2月3日、女子生徒ら12人に、わいせつなDVDや写真を送り付けたとして、わいせつ文書頒布の疑いで、鳥取市気高町中央公民館の元非常勤職員の男(66=同町勝見)を再逮捕した。 再逮捕容疑は、11年5月〜13年10月、同県内の女子中高生や母親ら10〜50代の12人に、わいせつ物計201点を郵送した疑い。 男は今年1月まで公民館に勤務していたため、学校関係の名簿を閲覧できる立場にあった。名簿を見て、送付先を選び、少女らが学校の資料と思い込んで開封するように、封筒に学校名などを印刷する手の込みようだった。 同署によると、わいせつ物約1700点が押収されており、男が05年1月以降、約80回送付したと見ている。 犯行動機について、男は「送られた女性が恥ずかしがる姿を想像すると満足した」と供述し、容疑を認めている。 男は昨年10月21日、同市内に住む小学校高学年の女児宛てに、性行為や性器などを写した写真やDVDを郵送したとして、1月14日に、わいせつ物頒布容疑で逮捕され、その後、同様の他の事件への関与を認めた。 性行為を映したDVDなどを送りつけられた小学女児、女子中高生らにとっては迷惑極まりない行為。立場を悪用した男の犯行は、許されるものではないだろう。(蔵元英二)
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社会 2014年02月10日 11時00分
国際結婚は絶対禁止 世界中が締め出す中韓の人身売買事情
中国メディア『参考消息』(電子版)の報道で、中国、さらに韓国に対するバッシングが広がっている。 「同紙が『韓国・カンボジア嫁愛人』との表題で取り上げたのは、カンボジア女性と中韓男性の結婚について。特に韓国人男性との結婚は詐欺が多く、カンボジア女性が愛人扱いされるケースが多発しているというのです」(東南アジア情勢に詳しいジャーナリスト) 実際、記事には非道な目にあった女性たちの声が掲載されている。「韓国に着くと、部屋に何人もの女性が並ばされ、その中から夫が妻を選びました」「韓国では妻が夫の浮気を気にしない。だから、男性はカンボジア女性を愛人にする」との悪質さが暴露されているのだ。 もっとも、こうした悪質な結婚ビジネスは、数年前から横行していたという。 「実は、中韓の農漁村はここ数年、深刻な嫁不足に陥っていた。貧困で純朴なカンボジア、ベトナム、中国の西、ロシアに近いキルギスなどまで嫁さがしが活発化していたのです」(同) その先兵になったのが、韓国の結婚斡旋所だ。「○○国女性は絶対逃げない」などの露骨な広告で男性客を募り、30万円前後を支払わせる。「妻」となる女性の両親に2〜3万円を渡してカンボジア、ベトナムなどで嫁候補を集めて品定めさせ、男性が気に入れば“お持ち帰り”できるシステムを構築していたのだ。 「ただ、その際に男たちの前で全裸にされたり、レイプまがいの行為をされることも。また韓国は男尊女卑が酷く、結婚したら性暴力やDVが起きることが多く、過去にはベトナム女性が婚姻後10日で殴り殺される事件も発生したほどなのです」(全国紙外信部記者) このためカンボジアでは'10年に一時、「韓国人との結婚禁止」法を発布。同様にベトナム、キルギスでも韓国男性との結婚に「純粋な結婚ならば」との条件が付記されたほど。日本の慰安婦問題を糾弾するなど、お笑い草の状態なのだ。
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社会 2014年02月10日 11時00分
ユニクロ香港上場の“不安”
カジュアル衣料品店『ユニクロ』を展開するファーストリテイリングが3月5日、香港証券取引所に上場する。同社にとっては初の海外上場だ。 「今やユニクロ事業の8割を稼いできた国内市場が伸び悩み、2年連続で前年割れに陥っています。これに危機感を募らせたオーナーの柳井正会長(兼社長)が、香港上場をステップにユニクロ・ブランドを浸透させ、世界最大市場の中国で一気に大勝負に打って出ようと決断を下したのです」(証券アナリスト) 柳井会長は早い段階から中国シフトを鮮明にしてきた。現在、ユニクロの店舗は国内856店、海外512店の計1368店ある。そのうち中国・香港は270店と海外店の5割強を占める。少子高齢化に伴い国内市場のジリ貧化が避けられなくなった今、得意分野に一層資源を集中すべく、中国と本気で“心中”を決めたと言えば話は早い。 「柳井会長は『2020年に連結売上高5兆円』の野心的目標を掲げているが、昨年8月期の売上高は1兆1430億円と、まだ目標には程遠い。そこで中国の店舗を『'20年までに1000店舗に増やす』とぶち上げた。昨年秋、上海に鳴り物入りで世界最大級の旗艦店をオープンしたのも、中国傾斜の表れです」(同) とはいえ、尖閣問題を機に日中間には暗雲が漂っている。もし万一の事態があれば返り血を浴びかねない。市場関係者は冷ややかだ。 「2年前の反日デモの際、ユニクロは『尖閣は中国の領土』と貼り紙して被害を免れた。いざとなれば貼り紙に加えて、香港上場を免罪符に使おうとの魂胆でしょうが、上場に伴い逆にユニクロ=日本企業のイメージが定着してしまいます」 これで同社が真っ先に標的になったとしたら皮肉である。
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社会 2014年02月09日 11時00分
「クレディ・スイス証券事件」控訴審判決の影に隠れた国税局の“罪と罰”
1月31日、冤罪を叫び続けてきたクレディ・スイス証券(CS)日本法人の元外国債券部長・八田隆氏(50)に、ようやく春が訪れた。事件を簡単に振り返ってみよう。 2008年12月、東京国税局査察部(マルサ)によりCS職員などへの一斉税務調査が行われた。対象者は約300人。そのうちのほとんどが、会社の現物株及びストックオプション(株式購入権)で受け取った海外給与を正しく税務申告していなかった。 「起訴されたのは、東大法学部出身のエリート金融マンだった八田氏ただ1人です。約1億3200万円を脱税したとして所得税法違反容疑に問われ、東京地検特捜部によって'11年12月に在宅起訴されました。そもそも査察という制度には『一罰百戒』の意味合いがあり、八田氏は額も多かったため標的になりやすい存在でした」(事件を取材してきた司法ジャーナリスト) '13年3月、東京地裁は無罪判決を言い渡したのだが、検察側が控訴。そして先ごろ、東京高裁が1審判決を支持して控訴を棄却したのである。マルサによる強制調査から丸5年の月日が流れていた。遅すぎた春としか言いようがない。 「八田氏は『#検察なう』というブログを立ち上げ、一貫して『日本の司法を正す』と訴え続けた。検察としては、その挑戦的態度が面白いはずもなく、何が何でも有罪に持ち込みたかったようだ」(司法記者) 特捜部と悪質な脱税事案を強制調査するマルサの“最強のコンビ”がタッグを組みながら一敗地にまみれたケースは過去にない。 「チンタラと長引く事情聴取に業を煮やした八田氏に、理由を問い詰められた査察部幹部は、『意図的に隠ぺいした証拠は出ていないが、私らの仕事はあなたを告発することだ』とうそぶいたと八田氏が述べている。つまり、犯罪者に仕立て上げられたわけです」(前出のジャーナリスト) 村木厚子厚労省元局長事件に対する反省のかけらもない特捜検察の悪しき体質にはあきれるばかりだが、この件では、国税当局の罪も問われるべきだろう。
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社会 2014年02月08日 17時59分
三重の歯科医が治療と偽り女性患者のオッパイを触る
手口はなんとも、稚拙なものだった。 三重県警亀山署は2月4日、治療と偽って、女性患者の体を触ったとして、準強制わいせつの疑いで、歯科医の男(53=愛知県一宮市大江)を逮捕した。 逮捕容疑は、昨年10月29日正午頃、当時勤務していた三重県亀山市東御幸町の歯科医院で、同市の20代の女性患者に対し、必要な治療とウソをつき、体を触るなどのわいせつな行為をしたとしている。 同署によると、歯科医は「かみ合わせが悪い」などと言って、女性患者を治療室とは別の部屋に連れ込み、「大胸筋が張っているので、胸のマッサージが必要」と偽って、図々しくも服を脱がせて胸などを触ったという。 この行為を不審に思った女性患者は、帰宅後、家族に相談した上で、その日のうちに被害届を出した。 歯科医は約4年前から、事件を起こした歯科医院に勤務していたが、女性から被害届が出ると、昨年11月に退職している。 同署では、他にも同様の被害を受けた女性患者がいる可能性があると見て、余罪がないか追及している。 犯行の手口は、子どもだましで、いかにも幼稚なものではあるが、弱い立場の患者にとっては、医師の指示には、なかなか逆らえないものだ。患者の体を守るべき医師として、この卑劣な行為は許されるものではない。(蔵元英二)
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社会 2014年02月08日 15時00分
再選なければ国政進出 暴走・橋下市長が画策する表裏一体の大博打
「乱心」か、それとも「したたかな野望」なのか。 2月1日の『日本維新の会』党大会で、橋下徹大阪市長が市議会の反対で「大阪都構想」が暗礁に乗り上げたことに激怒。出直し市長選に踏み切る、と宣言したことが波紋を広げている。 政治部記者がこう話す。 「発端となったのは、市議会公明党の裏切りです。市長になって2年、橋下氏は市と府の二重行政を廃止する『大阪都構想』に邁進してきたが、昨秋の堺市長選に惨敗してから人気に陰りが見え始めた。それに公明党市議団が付け入り、都構想で新設する特別区の区割り案に猛反発。距離を置こうとしたことで、橋下氏が『市民の信を問う』と市長選を宣言したのです」 いわば、にっちもさっちもいかなくなった都構想に大ナタを振るうために、捨て身の市長選を選択したわけだが、その一方では生臭い話も聞こえ始めているのだ。野党議会関係者が言う。 「橋下は『負けたら松井一郎大阪府知事と共に役職を辞任する』と口にしているが、実はこれには裏があると評判なのです。永田町では、まかり間違って市長選に敗れた場合、橋下と松井が『都構想実現には国政を変える必要がある』と3年後の衆院選に名乗りを上げる可能性が指摘されている。つまり、出直し市長選は市長再選と国政進出の両方を見据えた、表裏一体の戦術だと見られているのです」 そのためか、今では野党筋にもこれを警戒する動きが出始めているのだ。 「野党は、橋下のどちらに転んでも損はないと見える戦術に厳重警戒。自公と民主党は市長選に候補を立てない方針で、共産党にもこれを呼びかけているという。つまり、野党は国政に進出させないために橋下氏を対抗馬のないまま無投票当選させる方針を打ち出している。この方策が功を奏すれば、独り相撲に6億円もの市長選開催費を使った橋下は、再選されても市民からも猛反発を食らうことになりかねないのです」(同) もしも、これが現実化すれば、表裏一体の戦術が水泡に帰すことは必至。出直し市長選は、大バクチといえるのだ。
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社会 2014年02月07日 15時30分
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 辺野古をどうするのか
任期満了に伴う沖縄県名護市の市長選は、米軍普天間基地の名護市辺野古への移設に「断固反対」する現職の稲嶺進氏が当選した。稲嶺市長は、基地受け入れに伴う再編交付金に頼らないまちづくりを訴え、幅広い市民の支持を受けた。 辺野古の埋め立て権限は、移転受け入れを表明した仲井真知事が持っているが、建設現場である名護市長にも、埋め立てのための土砂の採取や建設ヤードの使用を阻止する権限があり、辺野古基地の建設にブレーキがかかる可能性が高まった。 市街地に立地する普天間基地の危険性を除去するため、あるいは日米同盟を堅持するため、一日も早い移設を進めるべきだというのが、いまの政府の立場だ。 しかし、私はこれをきっかけに、もう一度原点に立ち返って、本当に辺野古移設が必要なのかを考え直すべきだと思う。 普天間基地は米軍海兵隊の基地だ。海兵隊というのは、戦争が起きたときに真っ先に敵地に乗り込み、港や飛行場など、自軍が侵攻するためのルートを確保するのが基本的役割。もっとはっきり言うと、米中が戦争状態になったときに、中国を攻める先遣部隊を担うのが沖縄の海兵隊なのだ。 ところが、すでに米国は中国との武力衝突を避ける方向に姿勢を変えている。だから防衛ラインをグアムまで下げた。安倍総理の靖国参拝に対して「失望」という評価を与えたのも、米中軍事衝突の要因を作るべきではないというアメリカの強い意思表示なのだ。 米国自身が米中軍事衝突を避けようとしている以上、すでに沖縄の海兵隊の存在意義は大きく低下したことになる。だから日本政府は、普天間基地の単純返還を求めるべきなのだ。 このまま辺野古基地の建設に突き進むと、私は『原子力船むつ』の悲劇を繰り返すことになりかねないと危惧している。 原子力船むつは、1963年に建造計画が決まり、'69年に進水した。原子力で航行できる夢の船という触れ込みに国民は歓喜した。しかし'74年に放射線漏れが発生したため、母港であるむつ市大湊港への帰港が市民によって拒否された。また、他にむつの寄港を受け入れる港は、全国どこにもなく、漂泊を余儀なくされた。 そこで、'81年に政府は、むつ市関根浜に新たな母港を建設することを計画し、地元と合意した。莫大な漁業補償に目がくらんだ地元漁師と、むつ関連の利権を手放したくなかったむつ市がカネと引き替えに政府の意向を受け入れたのだ。 '88年に完成した関根浜港にむつは帰ってきたが、そのたった4年後の'92年に原子炉を停止、翌'93年には原子炉が解体撤去されることになった。時代の変化で、原子力船に何らメリットはないと認識されるようになったからだ。むつの新しい母港となった関根浜は、もともと昆布が生い茂り、アワビやサザエなど、豊富な海産物の採れる海の宝庫だった。それが、港の建設でその宝物は壊滅してしまった。 辺野古の海は、ジュゴンが棲む美しい海だ。そこを埋め立ててV字型の滑走路が建設されようとしている。 将来、米軍が海兵隊をグアムまで撤退させた後に残るものは何か。それは、関根浜の時と同じ、殺された海だけということになるのではないだろうか。
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社会 2014年02月07日 11時45分
横浜銀行ATM管理会社の部長がキャッシュカード偽造し、2400万円を不正に引き出しか?
キャッシュカードを偽造し、不正に現金を引き出した男は、銀行のATM(現金自動預払機)保守管理会社の部長だった。 神奈川県警捜査3課などは2月5日、横浜銀行(本社=同県横浜市西区)のATM利用客のキャッシュカード情報を不正に入手して、偽造カードを作成したとして、同行のATMシステムの再々委託先である「富士通フロンテック」(本社=東京都稲城市矢野口)の元部長で無職の男(46=神奈川県川崎市多摩区菅城下)=窃盗罪で起訴=を、支払い用カード電磁的記録不正作出容疑などで再逮捕した。 再逮捕容疑は、13年10月26日午後4時50分頃、横浜市内の横浜銀行事務センター開発室で、用意していた磁気カード2枚に、別の2つの金融機関2口座に関する情報を写して、キャッシュカードを偽造した。また、同年11月30日午前11時15分頃、稲城市内のコンビニエンスストア駐車場で、2枚の磁気カードを衣服のポケット内に所持していた疑い。 元部長は川崎市内のATMから、50万円を不正に引き出したとして、同年11月30日に窃盗容疑で逮捕され、別の2口座から計100万円を不正に引き出したとして、今年1月に再逮捕されている。 同課は、元部長が12年5月から13年10月までの間、偽造カードで19金融機関の48口座から、計約2400万円を不正に引き出していたとみて捜査している。 元部長は「間違いない」と容疑を認めており、引き出した金をパチンコや携帯ゲームなどの遊興費に使ったという。 同行はATMシステムの開発運用を、NTTデータに委託。NTTデータはATM保守管理業務を富士通に再委託し、富士通はグループ会社の富士通フロンテックに再々委託していた。 同社によると、元部長は85年に富士通に入社。06年に同社に出向となり、08年に転籍。30年近くにわたって、同行のATMの保守管理業務などに携わり、同行の業務に精通していた。事件が発覚し、13年12月に懲戒免職となっている。 同行によると、すでに必要な再発防止策を講じており、被害者へは誠意をもって対応するとしている。(蔵元英二)