社会
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社会 2014年02月14日 16時00分
辞めたら罰金100万円 少女を徹底的に使い倒した売春クラブ経営者
「辞めるなら罰金100万円払え!」と脅され、辞められなかった−−。売春をさせられていた少女たちは、捜査員にこう訴えたという。 神奈川県警少年捜査課と緑署は2月5日、ホテルなどへ女性を派遣する売春クラブ“援助交際デリバリーヘルス(援デリ)”の手口で少女らにわいせつな行為をさせていたとして、児童福祉法違反(児童淫行)容疑で埼玉県所沢市の会社役員の男(35)を逮捕した。 直接の容疑は、別に逮捕された同県川越市の男(21=同法違反で起訴)と共謀し、昨年4月、同市内のホテルで61歳の男性会社員に17歳の少女を引き合わせ売春させたというものだ。 「今回逮捕された男は、風俗店を埼玉県内で経営しており、この援デリ運営で昨年1月から5月までで、わかっているだけでも約1500万円を売り上げていた。テレクラや出会い系サイト、さらに口コミで客を集め、少なくとも15人の14〜17歳の少女に売春させ、中には1人で300人の客の相手をさせられた少女もいる」(捜査関係者) 容疑者らは主に家出中の少女らを集め、徹底的に稼がせていた。 「少女を派遣する際には、客らとの待ち合わせ場所まで“客付け”と称する若い男が少女を送迎していましたが、同時に少女たちの監視も行っていました。サービス料は2時間2万円。そのうち店の取り分が1万円、さらに残りの1万円の大半が客付けに取られた上、“辞めるなら罰金100万円”の脅しがあったのです」(全国紙社会部記者) 少女たちは客付けの男の自宅や“拠点”としていたアパートに住まわされていたが、金もほとんど持たされず、食事もままならない生活を送っていたという。 「昨年10月、神奈川県警は川崎市中原区などを拠点に1億数千万円を荒稼ぎしていた援デリ組織を摘発し、その捜査の過程で今回の件も浮上したのです。今後県警は、金の流れなどを洗い出し、売春防止法違反や職業安定法違反容疑での立件を目指すとのことです」(同) 大人に食い物にされる家出少女が後を絶たない。
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社会 2014年02月14日 15時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 橋下民主主義の危うさ
橋下徹大阪市長が、来年末までの任期を残しながら突然辞任を発表した。さらに3月に行われる出直し市長選に立候補するという。自民党や民主党は、対立候補の擁立を見送る予定のため、橋下氏の“再選”は確実だ。橋下氏がこうしたマッチポンプに打って出る理由は、暗礁に乗り上げた大阪都構想を推進するためだ。 大阪市議会では、橋下氏が代表を務める大阪維新の会は、過半数を得ていない。そこで橋下氏は、公明党の協力を得て大阪都構想の実現を図る腹づもりだった。そのために前回の総選挙で大阪維新の会は、公明党と選挙協力もした。ところが、大阪都の区割り案を一つに絞り込む段階で、公明党が慎重に検討する姿勢を打ち出したため、橋下氏が怒りを爆発させたというのが、今回の辞任劇の背景だ。 橋下市長は、焦っている。水道事業の府市統合や市営地下鉄民営化など、市長選の公約で掲げた主要政策は何一つ実現していない。これで大阪都構想が頓挫すれば、政治的に何の実績も残せないことになる。だからといって、再び市長選に打って出て自分に対する市民の支持の高さをアピールするという戦略は、あまりに自分勝手だ。 確かに橋下氏の出直し市長選で圧勝するのは確実だが、2011年4月に行われた市議会選挙の結果もまた、重大な民意なのだ。放っておいても、来年4月には市議会選挙があるのだから、そこまで待てばよい。 大阪市長選挙は、少なくとも5億円もの選挙費用がかかる。しかも、橋下市長は、再選されたあと市議会が大阪都構想を否決すれば、再度市長選に打って出る構えだ。年内に2回、市長選挙が行われることになる。当然、選挙費用も2倍かかるのだ。 橋下市長は、大阪市の財政再建のために、住民福祉を含む多くの分野で予算をカットしてきた。文楽協会への2900万円の補助金についても、公演の入場者数に年間10万5000人のノルマを課し、達成できなければ補助金を減額する。今年度の入場者がノルマを達成するのは絶望的で、文楽協会への補助金は大幅にカットされる見込みだ。伝統文化に対して厳しい姿勢で臨みながら、自らの政治的パフォーマンスのために莫大な市民の税金をつぎ込む姿勢は、わがまま以外の何物でもないだろう。 橋下市長は、大阪府知事の時代にも、大阪市長選に立候補するため任期途中で辞任した。明言はしていないが、今回、出直し選挙に合わせて、国政を担う日本維新の会の共同代表も辞任する可能性を示唆している。日本維新の会は、橋下氏の看板で保っているようなものだ。だから代表辞任は、橋下氏に共鳴して集まった議員やスタッフを裏切ることになる。 また橋下氏は、出直し市長選に負けるようなことがあれば、松井一郎大阪府知事と一緒に政界を引退するとした。この発言こそ、橋下氏の民意無視の象徴だ。松井府知事は、大阪府民の民意で選ばれている。橋下市長が道連れにしてよい理由はどこにもないのだ。 橋下民主主義の暴走を抑えるためには、本来なら出直し市長選挙で大阪市民がきちんと意思表明をしないといけないのだが、主要政党が候補者擁立を見送る中、実質的に対抗馬を選べない可能性が高い。民主主義の崩壊だ。
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社会 2014年02月14日 13時00分
ヒトの皮膚細胞からも作成の可能性で 高まるSTAP細胞の期待と恐怖
近い将来、人類は“不老長寿”を手に入れるのか。独立行政法人理化学研究所・細胞リプログラミング研究ユニットの小保方晴子リーダーらが発見した万能細胞、『STAP細胞』は、驚くべき可能性を秘めている。 「例えば肝臓の組織の細胞をリセットして、心臓の細胞を作ることができる可能性が出てきたということ。しかも、拒否反応が起こらないうえ、iPS細胞のように、ガン化する心配もない。老化した内臓を新しいものに付け替えることで、不老長寿の人間が出来上がるということです」(サイエンスライター) しかも先ごろ、ハーバード大の研究チームが、マウスではなくヒトの皮膚細胞から、STAP細胞の可能性がある細胞を作り出したという。 「医療の世界では今、“死ねない人を死なせる医療”がテーマになっている。ただ、もともとその人が持っている体の機能を維持したまま、長生きできる健康長寿は素晴らしいこと。小保方さんの研究は永遠の命を楽しめる時代を予感させます」(山梨大医学部名誉教授の田村康二氏〈医学博士〉) もし実現した場合、どんな世の中が想像できるのか。 「長寿になれば人口過密が生じる。アメリカの高名な遠隔透視者、ジョー・マクモニーグルなどは、世界初の海上都市は日本で完成すると予言していますが、超高齢化社会で増えた人口を誰が支えるのかといった問題もあるのです」(超常現象研究家・百瀬直也氏) 「屋久杉などの植物は1000年以上生きるが、人間のように感情を持ち、動いているものはそうはならない。結局は新しい細菌やウイルスが増え、人口は減ると思います」(世見者・松原照子氏) 人類が不老長寿を手に入れることは、そう単純なことではないという見方だ。 ジャーナリストの大谷昭宏氏もこう言う。 「20世紀は、人間の英知でどこまで科学を進歩させるのかという時代だったが、原発問題など、生み出したものが手に負えなくなっているのが今の状況。とすれば21世紀は、どこで歯止めを掛けるかが課題です。そんな中、神の摂理に反する領域にまで寿命を延ばすべきではありません」 人類の未来を大きく左右する発見となるのか。
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社会 2014年02月14日 11時45分
成田発NY行きのANA機で、酔った日本人乗客が大暴れしアラスカに緊急着陸
なんとも、迷惑な男がいたものである。 2月10日午前11時に離陸した成田発ニューヨーク行きの全日空10便で、酒に酔った日本人男性乗客(38)が機内で大暴れし、やむを得ず、飛行機はアラスカ・アンカレジ国際空港に緊急着陸し、男は米連邦捜査局(FBI)の捜査官と現地警察官に逮捕された。容疑は明らかにされていない。 同便はニューヨーク・ケネディ国際空港に12時間半で着く予定だったが、このトラブルのため、定刻から約6時間半遅れで到着した。同便には、他に191人もの乗客が乗っており、乗客や乗務員にケガはなかった。その影響で、折り返し便も、出発が約6時間遅れる事態となり、両便の利用客は、とんだ迷惑を被った。 全日空の広報によると、男は離陸から約4時間半が経過した頃、北大西洋上空で、客室乗務員や周囲の乗客に向かって、大声を出すなどの迷惑行為を始めた。客室乗務員が制止したが、従わなかったため、男は結束バンドで座席に縛りつけられた。それでも、男が騒ぐのをやめなかったため、機長は航空法が禁じる「安全阻害行為」ととらえ、機長権限に基づき、飛行機から降ろし、現地警察に引き渡した。 アラスカ・アンカレジの地元紙の報道によると、男は大声で叫んだり、床に唾を吐いたり、前の座席の背もたれを叩くなどの行為をし、結束バンドで座席に拘束されてからも、周囲の乗員や乗客に唾を吐きかけようとしていたという。 航空機内でのトラブルは少なくないが、制止してもやめなかったとなると、緊急着陸して降ろすしかなかったか…。同乗した乗客にとっては、災難だったというしかない。(蔵元英二)
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社会 2014年02月13日 20時00分
“ママ友”への嫌がらせ女が逮捕
離婚歴のある女が男と共謀して、同じく離婚歴のある“ママ友”のわいせつ画像をブログに載せ嫌がらせをしていた事件が発覚した。 1月28日、わいせつ電磁的記録媒体陳列の疑いで奈良県警に逮捕されたのは、大阪市の無職の女(29)。 女は3年前にインターネット交流サイト『mixi』で知り合った30代の女性・Aさんと、互いに離婚経験がある“ママ友”として育児や生活について相談するなど、交際を深めていた。 一方で女は、8年前に同じ交流サイトで知り合った神戸市の医療機器販売会社代表取締役の男(41)とも付き合いがあった。 「昨年9月、男はAさんに結婚相手として内科医を紹介すると持ちかけた上、内科医になりすまし、わいせつ画像を送らせ自分のブログに掲載。不特定多数が閲覧できるようにしたとして、1月16日に逮捕された。さらに調べを進めると、“ママ友”の関与も新たにわかってきたのです」(全国紙社会部記者) つまり、ママ友である女もAさんといろいろ相談し合う中で、男との共謀を思いつき画像を送らせていたのだった。 「Aさんは子育てに疲れ再婚を強く望んでいたようで、そこにつけ込まれたのでしょう。結婚相手がそんなものを望むはずもないのに、携帯電話で自撮りした画像を次々と送信したといいます。男は『女性が要求に応じて画像を送ってくるのが面白かった』と言っていますし、女は『困った顔を見るのが楽しみだった』と言っていました。2人の底意地の悪さを非常に感じます」(捜査関係者) 人の親切も信じられない世の中だ。
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社会 2014年02月13日 19時00分
火山灰30センチと積雪が襲う 厳冬の富士山噴火で起きる想定外の被害
2月6日、富士山噴火の広域避難計画を、山梨、静岡、神奈川の3県と国などがまとめた。降灰が堆積した結果、住宅倒壊の恐れで避難を迫られる住民は47万人。最悪の場合、静岡県富士市など2市に溶岩流が達し、23万8000人の住民避難が必要になるというのだ。 宝永噴火(1707年)から300年を過ぎ、その“Xデー”は間近といわれている。 「これまでの例に当てはめると、富士山は巨大地震から3年以内に噴火している。3・11の直後、富士市で震度6の地震がありましたが、あのとき噴火しなかったのは奇跡的だったという研究者もいるほど。しかも次回は、相当大規模な噴火になることが予想されます」(防災に詳しいジャーナリスト・村上和巳氏) 降灰のため避難が必要とされた地域は、神奈川県南足柄市や秦野市、静岡県御殿場市、山梨県山中湖村など12市町村。木造住宅が倒壊する恐れがある降灰30センチ以上の地域だ。 宝永噴火と同規模の噴火が起きると、火山灰は偏西風の影響で富士山の東側に広がり、神奈川県小田原市などでは最大50センチもの火山灰が降り積もると想定されている。ほか、相模原市や藤沢市などでは最大30センチ、横浜市や東京、千葉県にかけての広い範囲でも、最大2〜10センチの火山灰が降り積もるという。 「降灰の重さは、30センチが積雪1メートルに相当する。45〜60センチで30%の家屋が倒壊するのです。ただし、これは晴れていた場合で、雨で水分を含んでいると重量は1.5倍になり、さらにこの確率は上がります」(同) しかも冬の噴火の場合、熱で雪が解けて大量の土砂が流れる「融雪型火山泥流」が起きる可能性もあるのだ。 「2センチ降灰すれば畑作は1年できなくなり、稲作は0.5センチでダメになる。神奈川、東京、場合によっては千葉、茨城の農業も全滅ということになりかねない。輸送も困難になり、食糧事情が一気に悪化するのは火を見るより明らかなのです」(同) 状況によっては、想定をはるかに上回る被害が出そうだ。
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社会 2014年02月13日 11時45分
億の収入ありながら生活保護を不正受給していた夫婦
警視庁組織犯罪対策1課は2月8日、飲食店や会社を経営するなどして、1億円を超える収入がありながら、無職と申告し、生活保護費を不正に受給したとして、クラブ経営の韓国籍の女(58=東京都足立区竹の塚)と、夫で会社経営の男(64=同区古千谷本町)を詐欺の疑いで逮捕したと発表した。 逮捕容疑は、12年8月〜昨年12月、同区の福祉事務所に対し、「夫が心筋梗塞になり働けない。夫の看病が必要で、夫婦とも仕事ができなくなった」などと虚偽の申請をし、同区役所から生活保護費計約227万円をだまし取ったとしている。 同課によると、女は同区内の韓国人クラブ「クラブ貴族」の実質的な経営者。クラブの名義上の経営者は知人男性だが、女が売上金やホステスの管理などをしており、実状はオーナーと判断した。同店では、オープンから今年1月までの約3年間で、1億円以上の売り上げがあったとみられている。女は生活保護を受けていながら、高級車に乗って店に通勤する姿が確認されるなど「夫の看病で働けない」は真っ赤なウソ。 夫も会社を経営し、年数百万円の収入があり、オートレース場の会員制特別観覧室(貴賓席)を購入して通い詰め、生活保護費をギャンブルに投じていたもよう。夫婦といっても、2人は継続的に別居状態で、同課では生活保護費を不正受給するための偽装結婚だった可能性もあるとみて捜査を進めている。 外国人による生活保護費の不正受給が後を絶たず、警察当局では摘発を強化。警察幹部は「一度審査が通ると、甘くなりがち」と、事後調査を強化する必要があるとしている。(蔵元英二)
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社会 2014年02月12日 11時45分
万引き逮捕!自称・武田信玄末裔の元モデル4歳サバ読みもバレた
武田信玄の18代目末裔(まつえい)を自称し、ギャル系ファッション雑誌「小悪魔ageha」(インフォレスト)でモデルとして活動していた武田アンリ容疑者(28=本名・鈴木千里=埼玉県)が、ショッピングモールで万引きしたとして、窃盗の疑いで、警視庁福生署に現行犯逮捕されていたことが分かった。 逮捕容疑は、2月6日午後3時頃、東京都瑞穂町のショッピングモール、ジョイフル本田で、知人の30代女性とともに、カーテンや雑貨など、数十点、数十万円相当を万引きした疑い。2人はその場で警備員に取り押さえられ、駆けつけた署員に引き渡された。2人は容疑を認めている。 武田容疑者は「小悪魔ageha」にモデルとして掲載され、昨年2月に「武田信玄の18代目末裔」を自称し、話題となった。これに対し、武田家16代当主を最高顧問とする「武田家旧温会」は、「自称、武田信玄公18代末裔のモデルの方につきましては、甲斐武田家正統家出身の方に、そのような方はいらっしゃいませんし、当会の関係者にも該当の方はいらっしゃいません」と全面否定。騒動後、武田容疑者は所属事務所をやめ、自身のブログも削除していた。 捜査関係者によると、武田容疑者は埼玉県内でキャバクラ、ガールズバーなど3軒の飲食店を経営しているという。 「小悪魔ageha」編集部では、「過去に2度、読者スナップのページに参加いただいただけで、専属モデルではありません」とコメント。 誕生日は1月27日だが、昨年2月に23歳を自称しており、今回の逮捕劇で年齢を4歳もサバ読みしていたことが判明。武田容疑者は、なにかと虚言癖の多いモデルだったようだ。(蔵元英二)
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社会 2014年02月11日 15時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第63回 所得を拡大する政策を
デフレーションという経済現象について「物価の下落」と理解してしまうと、解決までの道筋を誤ってしまう。デフレは確かに物価「も」下落するが、それ以上に所得が縮小することが問題なのである。 「物価の下落率を上回るペースで所得が縮小する」 のがデフレーションである。 デフレの問題は、物価の下落が所得の縮小を引き起こしてしまうことに本質がある。物価の下落率以上の速さで所得が縮小しているとは、要するにデフレ期の日本国民が次第に「貧困化」していくという話だ。 正直、物価が下落する「だけ」であれば、別段、国民経済的には何の問題もない。所得が一定もしくは拡大している状況で、物価が下落するとは、国民が次第に豊かになっていることを意味する。とはいえ、残念ながらデフレ期には物価以上に所得が下がる。 '12年末に安倍政権が発足し、第一の矢と第二の矢という「正しいデフレ対策」が打たれた。 第一の矢、金融政策で「通貨」を発行し、政府が第二の矢、財政政策で「国民の所得が創出されるように」使う。まさしく、これこそがオーソドックスなデフレ対策だ。 日本政府が'98年のデフレ深刻化以降、はじめて本格的なデフレ対策を打ち始めたことで、ようやく我が国の物価変動率が上向き始めた。 11月の消費者物価指数は食料品、エネルギー価格を除いた「コアコアCPI」で対前年比0.6%と、まさにデフレが深刻化した'98年以来の水準を回復した(皮肉なことに、この状況でまたもや消費税増税というわけだが)。 リーマンショック前、デフレ脱却「しかけた」'08年すら、コアコアで見たCPIの上昇率は対前年比0.3%に満たなかったのだ。アベノミクスの第一の矢と第二の矢というデフレ対策は、確かに効果を上げている。 だが、物価が下落する「だけ」ならば国民経済的に問題がないように、物価が上昇する「だけ」では何の意味もない。所得が上昇しない状況で、物価のみが上昇するのでは、やはり国民が次第に貧困化しているという話になってしまう。 デフレの問題は、物価の下落率以上のペースで所得が縮小することだ。逆にインフレ期の政策の成功は、物価の上昇率以上の速さで所得を拡大できるか否かにかかっている。 特に、企業で働く雇用者(労働者)の給与所得が増えないか、もしくは減り続けている状況で、物価「のみ」が上昇してしまっては、経済政策として明らかに失敗だ。 というわけで、現在の安倍政権は、大手企業などに賃上げを要求しているわけだが、状況は予断を許さない。何しろ、アベノミクス効果で景気が上向いた2013年すら、実質賃金は対前年比でマイナスに陥っているのだ。すなわち、所得の拡大が物価上昇に追いついていないのである。 この状況で、今年4月に消費税が5%から8%に引き上げられる。消費税が上がれば、物価は確かに上昇するだろうが、国民の所得とは無関係だ。消費税の増税分は「政府に分配される所得」であり、国民の賃金が上がるわけでも何でもないのである。 ゆえに、日本経済は4月に、 「所得が増えない状況で、間違いなく物価が上昇する」 という、久しく経験したことがない局面を迎えることになるわけだ。 安倍政権は、もちろん上記の「実質賃金の問題」を理解している。理解しているからこそ、消費税増税に合わせて景気対策5.5兆円を打ち、国民から増税という形で徴収した所得の一部を返還しようとしているわけだ。 しかし、消費税3%増の影響、つまりは国民から政府に強制的に分配される所得の金額は7兆円から8兆円と考えられている。それに対し、景気対策としての「所得の返還」は5.5兆円。足りない。 増税により国民の所得や実質賃金が減少すると、税収は減る。'97年の橋本政権期の増税は、デフレを深刻化させ、国民の所得を減らし、挙句の果てに「所得を原資とした税収」までをも減少させてしまった。 「増税」した結果、政府は「減収」になり、 「一体、何をやりたいんだ!」 ということで、橋本政権は直後の参議院選挙で敗北し、政権は崩壊した。 安倍政権が、橋本政権と同じ轍を踏む可能性は決して低くない。 近いうちに国政選挙があるわけではないものの、「増税したがゆえに、政府が減収になった」となると、安倍政権の内閣支持率は急落するだろう。結果的に、安倍政権は退陣に追い込まれるか、もしくはレームダック(役立たずの政治家)化せざるを得ない。 要するに、我が国はすでに「物価のみ」を意識するべき局面を過ぎようとしているのだ。政策の重点を物価から「国民の所得」「実質賃金」の拡大に移さなければ、「所得が増えないにもかかわらず、物価のみが上がる」状況に陥り、国民は怨嗟の声を上げ、大手マスコミが大喜びで政権批判を展開することになる。 安倍政権の要請を受け、一部の大手企業は賃上げに踏み切るだろう。とはいえ、日本の企業数の99%超を占める中小企業は、いまだ賃上げをできる状況にはない。 それどころか、円安による輸入物価(ガソリン価格等)上昇を受け、アベノミクス開始前よりも利益を出しにくくなっている産業も少なくない。 また、アベノミクス効果で人手不足感が生まれている業界(土建産業など)では、人件費の高騰が却って雇用や賃上げの壁となっている。 結局、解決策は政府による所得創出、すなわち財政政策の拡大しかない。政府が「民間の仕事を創る」ことに積極的にならなければ、'14年を通じて「所得が増えないにもかかわらず、物価のみが上がる」環境が継続し、安倍政権は次第に追い込まれることになるだろう。三橋貴明(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、わかりやすい経済評論が人気を集めている。
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社会 2014年02月11日 11時45分
ギャンブルにのめり込んだ和歌山県警の巡査長が、不正に作った妻名義の住基カード使って金をだまし取る
和歌山県警は2月7日、和歌山東署の男性巡査長(41)が、知人女性に妻のふりをさせて、住民基本台帳カードを作らせた上、貸金業者から金を借りて、だまし取ったとして、住民基本台帳法違反、詐欺などの容疑で和歌山地検に書類送検した。 県警は巡査長が公務の信用を失墜させたとして、停職6カ月の懲戒処分にした。巡査長は同日付で、依願退職した。 巡査長は容疑を認めており、「競輪や飲食の金が欲しかった」などと話しているという。 送検容疑は、12年10月19日、知人女性を妻と偽り、居住している同県岩出市役所にて、妻名義の住民基本台帳カードを申請し、取得。女性に、その住基カードを使わせて、貸金業者から事業資金融資名目で現金400万円を借りて、だまし取ったとしている。県警は、女も住民基本台帳法違反容疑で書類送検した。 さらに、巡査長は昨年5月から、自宅がある岩出市から、不倫関係にある別の女性が住む和歌山市内のアパートに移り住んだにも関わらず、それを申告せず、昨年6月から12月までの7か月分の通勤手当計7万700円をだまし取ったとして、詐欺容疑でも書類送検された。 02年頃から、巡査長は競輪などにのめり込み、過去に扱った事件関係者や暴力団周辺者などから借金。その額は今年1月11日現在で、約2000万円まで膨れ上がっていた。 昨年10月、同署の幹部が、巡査長が多額の借金を抱えていることを県警本部に報告し、その後の調査で、一連の容疑が発覚した。 県警監察課の小西順士・首席監察官は「今回の行為は警察官としての信用を失墜するもので、誠に遺憾。今後、指導を徹底していく」とコメントしている。(蔵元英二)