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「クレディ・スイス証券事件」控訴審判決の影に隠れた国税局の“罪と罰”

 1月31日、冤罪を叫び続けてきたクレディ・スイス証券(CS)日本法人の元外国債券部長・八田隆氏(50)に、ようやく春が訪れた。事件を簡単に振り返ってみよう。

 2008年12月、東京国税局査察部(マルサ)によりCS職員などへの一斉税務調査が行われた。対象者は約300人。そのうちのほとんどが、会社の現物株及びストックオプション(株式購入権)で受け取った海外給与を正しく税務申告していなかった。
 「起訴されたのは、東大法学部出身のエリート金融マンだった八田氏ただ1人です。約1億3200万円を脱税したとして所得税法違反容疑に問われ、東京地検特捜部によって'11年12月に在宅起訴されました。そもそも査察という制度には『一罰百戒』の意味合いがあり、八田氏は額も多かったため標的になりやすい存在でした」(事件を取材してきた司法ジャーナリスト)

 '13年3月、東京地裁は無罪判決を言い渡したのだが、検察側が控訴。そして先ごろ、東京高裁が1審判決を支持して控訴を棄却したのである。マルサによる強制調査から丸5年の月日が流れていた。遅すぎた春としか言いようがない。
 「八田氏は『#検察なう』というブログを立ち上げ、一貫して『日本の司法を正す』と訴え続けた。検察としては、その挑戦的態度が面白いはずもなく、何が何でも有罪に持ち込みたかったようだ」(司法記者)

 特捜部と悪質な脱税事案を強制調査するマルサの“最強のコンビ”がタッグを組みながら一敗地にまみれたケースは過去にない。
 「チンタラと長引く事情聴取に業を煮やした八田氏に、理由を問い詰められた査察部幹部は、『意図的に隠ぺいした証拠は出ていないが、私らの仕事はあなたを告発することだ』とうそぶいたと八田氏が述べている。つまり、犯罪者に仕立て上げられたわけです」(前出のジャーナリスト)

 村木厚子厚労省元局長事件に対する反省のかけらもない特捜検察の悪しき体質にはあきれるばかりだが、この件では、国税当局の罪も問われるべきだろう。

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