閉館にむけて、今年5月から、「さよなら丸の内TOEI」と題したプロジェクトを行っていた丸の内TOEI。最終上映に選ばれた作品は、「動乱 第1部 海峡を渡る愛/第2部 雪降り止まず」(1980年公開)だ。高倉健と吉永小百合が初めて共演したこの映画は、昭和史の起点となった五・一五事件から二・二六事件まで、激動の時代を生きる青年将校とその妻を描いている。
最終上映前に、東映・吉村文雄社長が登壇。「ここまで続けてこられたのも皆様のご支援のおかげということで、改めてこの場を借りて御礼申し上げます。また、この丸の内TOEIを形あるものとして残したいということで、クラウドファンディングを実施しています。この劇場がなくなっても皆さまの記憶に残り続けるような存在でありますように、心から祈っております」と述べた。
吉村社長のあいさつの後には、吉永小百合が急きょ駆けつけた。吉永のサプライズ登場に観客からは驚きの声が上がった。
吉永は、「初めてここでごあいさつしたのは、1980年1月15日。この『動乱』の初日でした。私は、この『動乱』という映画で、映画づくりのすばらしさを心から感じました」と振り返った。そして、最後に「映画館で映画を見るすばらしさを私は忘れたくないですし、皆様にも、この劇場ではないですが、また映画館に足をお運びいただければと思っております」と映画館への思いを語った。
ネット上では、「65年間お疲れ様でした」「今でも無くなるなんて信じられない。本当に長い間ありがとうございました」「寂しいですね。これまでありがとうございました」「大劇場で名作を味わう貴重な経験を存分にさせていただきました」など、劇場への感謝を述べながら、思い出を語る投稿が数多く上がった。
丸の内TOEIは終わってしまうが、これからも各地の映画館では上映が続いていく。吉永の言うように、映画館のすばらしさを忘れないようにしたい。