参院選でも大きな争点だった物価高対策については、「その場しのぎの対症療法的な議論にとどまらず、将来に向けての長期ビジョンに基づいた真の政策論議を望んでいる」とし、「若者の将来に対する不安を直視し、代替財源なき減税など将来世代につけを回すような施策」を否定する内容が宣言に盛り込まれた。
同じく参院選の争点になり、SNSなどでも大きな話題になった外国人問題に関しては、「排他主義、排外主義を否定し、多文化共生社会を目指す我々47人の知事がこの場に集い、対話の中で日本の未来を拓くに相応しい舞台」と今回の会議を位置づけ、外国人受け入れに積極的な姿勢を示した。
「外国人の受入と多文化共生社会実現に向けた提言」のなかでは、「国は外国人を『労働者』と見ているが、地方自治体から見れば日本人と同じ『生活者』であり『地域住民』である」と明記。一方で、「地方における人材不足は深刻」だとし、「育成就労制度」の適切な運用を求めた。
また、奈良県の山下真知事は「インターネット上では、外国人に対する事実に基づかない言説が出ており、不当な差別や排外主義にならないかという懸念がある。若者を中心に漠然とした不安があり、早期に払拭(ふっしょく)する施策を打っていかないと大きな政治問題、社会問題になる」と述べ、昨今の外国人問題に対する論調を危惧していた。
ネット上では「なんてまともな」と評価する声があるものの、「それで何が変わるの。今までと同じじゃないか」「参政党の知事がいない今だから宣言を出せている」「多文化共生社会とか言う人を議員とか知事にしちゃいけない」など反発も多かった。
山下知事の言うように、外国人の生活保護受給世帯に関するデマの拡散など、言説は問題視されている一方で、住民感情も無視できない。今回の全国知事会議は、溝を埋めるためのきっかけになるだろうか。