社会
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社会 2014年02月06日 15時20分
〜3年連続世界一を目指す〜トヨタ3つの死角 消費増税・中国リスク・軽シフト
トヨタ自動車が2013年(暦年)の世界販売台数で2年連続ナンバーワンだったことが明らかになった。 ライバルの米ゼネラルモーターズ(GM)が971万台、独フォルクスワーゲン(VW)が暫定値で970万台だったのに対し、トヨタはダイハツ工業、日野自動車を含むグループの世界販売台数が過去最高の998万台となり、“夢の1千万台”にはわずかに届かなかったものの、昨夏時点の計画996万台から2万台上ぶれという結果だった。 当然、今年も世界一を目指すことになるが、ライバルは北米や世界最大市場の中国での販売増をテコに猛然と追い上げており、大接戦は避けられない。市場関係者はエールを送りつつ、その『トヨタ王国』に三つの不吉な影が忍び寄っている点も指摘する。 第1が尖閣問題に象徴される中国のカントリーリスクだ。トヨタは昨年、中国で過去最高となる91万7500台を販売した。現地合弁会社2社分を含めた数字で、2012年に吹き荒れた反日デモの影響を払拭したかに見える。ところがVWは327万台を記録、GMを蹴落として9年ぶりに中国市場のトップを奪回した。GMにしても過去最高となる316万台を販売、トヨタに代表される日本勢との圧倒的な差を見せ付けた。 その中国でトヨタは今年、100万台を超える販売を見込んでいる。しかし、全てを売り切ったとしてもVWやGMの背中ははるかに遠い。まして“尖閣沖海戦”が勃発すればトヨタ車は格好の標的になって振り向きもされず、ライバル陣営が「好機到来」とホクソ笑むだけだ。結果、巨大市場で惨敗したトヨタが世界ナンバーワンの座から転落する図式が透けてくる。 第2の影はユーザーの軽自動車シフトが急速に進んでいることだ。業界団体の集計によると、昨年の国内新車販売台数は537万5513台で、うち軽自動車が211万2991台だった。 軽の市場シェアは前年比2.4ポイント増の39.3%に達し、今や市場の4割を占めるまでになったが、自社で軽を生産していないトヨタの国内シェアは前年比2.1ポイント減の29.4%まで低下している。グループにダイハツを擁するとはいえ、世間の目には「トヨタのジリ貧が始まった」と映る。 「来年4月から軽自動車税が3600円上がるため、軽各社は『今年は駆け込み需要が見込める』とソロバンをはじいている。4月の消費増税で早くも顧客離れが懸念される登録車(普通車)とは対照的で、トヨタのシェアがどこまで落ちるか、業界ではひそかな関心を呼んでいます」(ディーラー関係者) その消費増税はトヨタにとって悩ましい問題だ。王国を揺るがす第3の影で、税率が5%から8%に引き上げられれば販売を直撃、同社が唱えてきた「国内生産300万台」体制に“赤信号”が点滅しかねないのだ。 実際、1997年4月に消費税が3%から5%に引き上げられると、トヨタの国内生産は前年を33万台下回った。その教訓から同社は今年度の国内生産を、前年比20万台減の310万台と見込んでいる(世界生産は18万台増の1030万台)。辛うじて国内生産300万台体制を死守しようとの計画だが、トヨタウオッチャーは「お手並み拝見」と冷ややかだ。 「トヨタが『国内300万台』に固執するのは、グループ企業を含めた雇用を守るためですが、これは結果的に海外生産シフトを遅らせ、人件費高騰などコスト高を招く。今年の見込みでもトヨタの国内生産比率が3割に達するのに対し、日産やホンダは既に2割ギリギリまで下げている。高まる電気料金、材料費の高騰などを考慮すれば“死守”を唱えること自体が、時代錯誤と非難されて当然なのです」 だが世間の目にどう映ろうと、豊田章男社長は“家訓”の死守に躍起である。何が御曹司を駆り立てるのか。ウオッチャーが続ける。 「昔かたぎというのか、雇用維持のためには不可欠と信じて疑わないのです。下手に忠告でもすれば、殿の逆鱗に触れる。周囲はイエスマンばかりで、まさに“裸の王様”を彷彿とさせているのです」 実はトヨタも過去2回、300万台生産を割り込んでいる。リーマン・ショック直後の'09年(279万台)と、東日本大震災があった'11年(276万台)で、特例とはいえ、この事実を御曹司が知らないわけはない。 「本人は『これが指揮官の務め。タガは緩められない』と思っているのでしょうが、消費増税で市場回復が遅れれば高コスト体質が一気に表面化する。そうなったら世界一の勲章など見向きもされません」(証券アナリスト) トヨタ王国に急浮上した三つの“死角”−中国リスク、軽シフト、消費増税−これらをどう克服するか、あらためて御曹司の力量が問われそうだ。
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社会 2014年02月06日 15時00分
テコ入れで長野智子が“編集主幹”に抜擢 朝日新聞が出資するインターネット新聞の不安
朝日新聞が米AOL社と組み、昨年5月、アジア進出第一弾として設立したインターネット新聞『ザ・ハフィントン・ポスト日本版』。その編集主幹に先ごろ、報道キャスターでジャーナリストの長野智子氏(51)が抜擢された。 『ザ・ハフィントン・ポスト日本版』は、米国で'05年に開始されたオンライン専門のニュースサイト。主にさまざまなコラムニストが執筆する論説ブログと、各種オンラインメディアからのニュースで構成されている。本家アメリカ版の他に、イギリス、カナダ、フランス版などを展開、昨年9月にドイツ版も開設。 白羽の矢が立った長野氏は米国ニュージャージ州生まれで、上智大卒。現在は古舘プロジェクトに所属している。 「フジテレビの局アナ時代は、バラエティー専門のような扱いを受けていた。人気番組の司会などは任されるものの、その状況に嫌気が差し、28歳の時に商社マンと結婚して退社。夫のアメリカ赴任に付き添い、ニューヨーク大学大学院の修士課程を修了しています。ジャーナリスト志向が非常に強く、当時局アナを離れたのは正解でした」 最近ではテレビ朝日系『報道ステーション SUNDAY』のメーンキャスターとして活躍。多角的な視点と行動力で、世界各国の多種多様なニュースの実相に迫ってきた。 そんな長野の抜擢となれば、媒体の力の入れようは伺えるが、一方ではこんな不安もあるという。 「確かに、8年も続いているということになれば、それだけ勢い、持久力があるということです。しかし、長野を編集長と二人三脚を組ませる編集主幹の座に着かせた要因については、さまざまな憶測が流れている。その一つが再建です。やはりネットメディアは氾濫しており、フタを開けてみたら自転車操業状態という場合も少なくない。そんな競争の激しい中で、長野も編集業務ばかりでなく、自ら広告取りをやらさられることもあるはずです。それをどこまで忍耐強く我慢できるか。いくら朝日新聞がバックについているとはいえ、その朝日新聞も苦しい状況にありますからね」(関係者) 朝日新聞社の厳しい事情を、経済誌記者が語る。 「新聞発行部数の減少を、人件費などを削って何とかカバーしている状態。以前のように、幹部が余ったからといってテレ朝に出向させるわけにもいかなくなった。テレ朝の早河洋社長もワンマンぶりが話題になりますが、朝日新聞から役員を預かっても、すぐに役員ポストから外し距離を保っている。それだけ朝日新聞の力が衰退しているということです」 長野氏の苦労はハンパではなさそうだ。
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社会 2014年02月06日 11時45分
なんとも甘い処分…開チン連発!痴漢もした大阪府警巡査が停職3カ月で依願退職とは
仮にも警察官たる者が、いったい何をやっていることやら…。 大阪府警堺署の留置管理課に勤務する男性巡査(29)が、路上で女性に自分の下半身を露出するなどのハレンチ行為を連発し、2月5日、府迷惑防止条例違反(痴漢)や公然わいせつなどの疑いで、書類送検した。府警は停職3カ月の懲戒処分とし、巡査は同日付で依願退職した。 捜査関係者によると、巡査は昨年9月5日朝、同府和泉市内の路上で、30代の女性に自分の下半身を露出した疑いがある。また、同月20日夜には、勤務を終えて帰宅中、同府高石市内の路上で、20代の女性の胸を触ったとしている。逃げようとした女性は転倒して、10日間の打撲などのケガを負い、傷害容疑でも送検された。 巡査は当初、容疑を否認していたが、その後の調べで、「逃げれば、ばれないと思った。理性より性欲が勝ってしまった」「アダルトサイトを見て興奮してやってしまった」などと話し、容疑を認めている。さらに、府警監察室によると、巡査は「露出は他に5〜6回やったが、それだけでは性欲が満たされず痴漢した」などと、とんでもない供述をしている。 「逃げればいい」とか、「理性より性欲が勝った」「露出だけでは、性欲が満たされず痴漢した」など、とてもじゃないが、警察官の言うことではない。そもそも、理性で性欲を抑えられない者には、警察官になる資質はない。それにしても、性犯罪を起こしたのに、停職3カ月で「依願退職」とは、なんとも甘い処分との印象をぬぐえない。(蔵元英二)
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社会 2014年02月05日 11時45分
「気持ちがスッとした」 女性への唾吐き男を再逮捕
大阪府警此花署は2月3日、路上で女性に唾を吐きかけたとして、暴行容疑で、韓国籍で会社員の男(24=同府大阪市此花区西九条)=同罪で起訴=を再逮捕した。 再逮捕容疑は、13年夏頃、同市内の路上で、自転車で走行中、すれ違いざまに女性の顔や服に唾を吐きかけた疑い。 男は容疑を認めており、犯行の動機について、「女性に唾を吐き、気持ちがスッとした」などと供述している。 同署によると、12年9月〜13年11月、同区と隣りの福島区の路上で、女性が男に唾を吐きかけられる事件が二十数件発生した。 このうち、13年3月13日昼頃、此花区の路上で、当時小学2年で8歳の女児に自転車で接近し、着ていたトレーナーに唾を1回吐きかけたとして、1月9日に男を逮捕。決め手となったのは、現場付近の防犯カメラに残された画像だった。 ところが、逮捕当初、男は「そんなことをした記憶はない」と容疑を全面否認。しかし、被害女児の服に残っていた唾液のDNA型が、男のものと一致し観念。同様のその他の事件への関与も認め、再逮捕に至った。 被害者はすべて女性だが、年代は小学生から、女子高生、女子大生、40代とさまざまで、決して、児童や生徒を専門に狙ったわけではなかったようだ。 路上ですれ違っただけで、唾を吐きかけるとは卑劣極まりない行為。「気持ちがスッとした」など、とんでもない話だ。(蔵元英二)
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社会 2014年02月04日 13時00分
福岡・古賀市役所の元部長が不倫相手と別れたくないばかりに、離婚装う戸籍証明偽造
あろうことか、市民の奉仕者であるはずの市役所の元お偉いさんが、交際中の不倫相手と別れたくないばかりに、戸籍の証明書を偽造していたことが分かった。 福岡県古賀市役所によると、元市民部長の男性職員(61)が、不倫相手の気を引くために、離婚によって妻が除籍されたことを示す「一部事項証明書」を偽造し、交際女性にファクスで送ったというのだ。 交際女性は当初離婚を信じていたが、その後、元市民部長が「実は離婚していない」と告白したため、1月27日、同市に相談して発覚した。 女性が持っていた証明書類を、同市が確認したところ、市長公印がなかったが、本物と書式は酷似していた。 市の調査に対し、元市民部長は「本物の戸籍を手本に、自宅のパソコンで作成した。離婚を信じてもらおうと思った」と話しているという。 同市では公文書偽造の罪に当たるかどうかを確認中で、市人事課では「公務員として問題行為」として懲戒処分も検討中。 10年4月から、2年間、戸籍事務を所管する市民部長の職にあったため、戸籍の証明書に精通していた。一部事務組合事務局長(部長級)に異動後の12年5月、問題の書類を偽造し、女性に送っていた。 13年3月に定年退職した元市民部長は、正規職員として再雇用され、現在は市の施設に勤務している。(蔵元英二)
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社会 2014年02月03日 12時30分
小泉・細川2人の元首相が口が裂けても言えない「脱原発」本当の理由(2)
つまり、原発の復旧が再び危機に瀕していることが露呈すれば、多くの無党派層票が細川氏に流れるはず。当選することも現実味を帯びてくるのである。 「その意味でも、選挙戦終盤の小泉の策略ぶりが注目されている。すでに小泉は細川に『東京五輪の一部競技を被災地で行う』と発言させているが、首相時代にも『自民党をぶっ壊す』のワンフレーズで、日本郵政公社をズタズタに分社化しただけに、今度は『まず都民に原発減税を行う!』などと言い出しかねないのです」(選挙アナリスト) もっとも、加熱する選挙戦の裏側では、なぜ今になって小泉−細川連合が「脱原発」の御旗を掲げ、都知事のイスを狙いだしたかが話題となっている。なぜなら、今回の都知事選当選者が握る影響力は、歴代都知事の比ではないからだ。 政治部デスクが言う。 「次に都知事となる人物の政財界への影響力は、猪瀬時代とは明らかに違う。五輪開催、カジノ誘致と莫大な利権が転がり込むからです。例えば、東京都にはニュージーランドの国家予算に匹敵する年間14兆円もの予算があるが、これに加えて五輪のインフラ整備にかかる5兆円が国から助成される。一方、『カジノ法案』は今通常国会で成立の見通しで、カジノやホテルを含めた5000億円もの総工費が見込まれる『お台場カジノ構想』も活況を帯びているのです」 また、現在自民党内では防災を目的とした「国土強靭化計画」を策定中だが、10年間で200兆円を投入するといわれる同計画でも、「東京都には莫大な費用が投下される」(自民党議員)と見られているのだ。 「そのため、小泉は細川都知事を誕生させて政財界への影響力を増大させ、自らを中心とした政界再編を目論んでいるともっぱら。ひいては政権奪還をも狙っていると噂になっているのです。実際、細川の選挙資金も出所が判然とせず、『五輪やカジノ、エコエネルギーなどの利権を見越した財界筋、海外企業から出ている』と評判。現役時代から策士と呼ばれた小泉だけに、利権で財界を味方につけ、これを軸にオセロゲームのように政権を覆そうとしている可能性も少なくないのです」(前出の政治部記者) 前出の選挙アナリストがこう語る。 「小泉氏が突如、原発ゼロを唱えだした真意は“永田町最大の謎”となっているが、原発を手段に政界再編を狙っていたとすれば、都知事選は格好の材料だったはず。細川氏が利権で肥大化した都政を握れば、民主党、日本維新の会、生活の党などが傾倒し、一大勢力が出来上がることは確実なのです。脱原発も嘘ではないだろうが、小泉、細川両氏の真の狙いがここにあることは否めないのです」 熾烈を極める都知事選の裏側は、「脱原発」か、「再稼働」かという単純なものではないようだ。
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社会 2014年02月03日 11時45分
61歳のタクシー運転手が客だった70代女性宅に侵入! 強姦未遂
高齢者同士による、耳を疑うような事件が起きてしまった。 御年61歳になるタクシー運転手の男(東京都荒川区東尾久)が、70代の高齢女性に乱暴しようとしたとして、強姦(ごうかん)未遂などの疑いで、1月28日までに、警視庁西新井署に逮捕された。逮捕容疑は、昨年12月23日昼頃、東京都足立区に住む女性の自宅で、体を触るなどの性的暴行を加えた上、現金1万円を盗んだ疑い。 同署によると、男は昨年12月10日頃、女性を都内の病院から自宅まで、「仕事」で送迎していた。この際、男は年上の女性に、ひと目ぼれしたのか、居てもたってもいられず、同23日昼頃に女性宅を訪問した。男は「病院からマッサージに来ました」などとウソを言って、家に上がり込んだ。女性はマッサージの依頼はしていなかったが、話を信用してしまったという。 マッサージだと信じた女性につけ込んで、男はマッサージするふりをして、腰をもみ、尻をもみ、さらに調子に乗って、女性のズボンと下着を脱がせると、自分の下半身を押しつけた。女性が抵抗したため、強姦には至らなかったが、約10分、体を触りまくった。 男が去ると、こたつの上に置いてあった1万円札が、なくなっていたため、女性が110番通報した。女性は男が利用したタクシー運転手に似ていたことを思い出し、タクシーの領収書を警察に提出し、男の逮捕につながった。(蔵元英二)
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社会 2014年02月02日 18時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第62回 日本の「世界一」
大手マスコミではほとんど報じられないのだが、実は我が国は数多くの「世界一」を誇る国である。 まずは「同一の国名」を使っている国としては、世界一古い。朝鮮半島の歴史書である「新羅本記」には、「670年、倭国が国号を日本と改めた」とある。670年といえば、天智天皇、壬申の乱、天武天皇の時代だ。これほど古くから国号(国家の呼称)が変わっていない国は、世界に日本国ただ一国である。 無論、神武天皇から連なる皇統も、君主を頂く他の国と比べると桁違いに長い。 男女総合の平均寿命も世界一高い(83歳)。WHOの統計によると、日本人の健康達成度評価は総合で世界一だ。 また、2013年10月にOECDが公表した「国際成人力調査」によると、日本人は「読解力」「数的思考力」「ITを活用した問題解決能力(コンピューター調査を受けた者の平均点)」という三つの調査項目「全て」においてトップとなった。 さらに、タイム誌が主要20カ国を対象に実施した「国家イメージ」に関する調査で、日本は'07年から4年連続第一位に輝いた。 加えて、我が国の製造業の生産性、つまりは「労働者1人あたりの付加価値」もまた世界一である。 ウォールストリート・ジャーナル紙によると、日本の製造業における従業員1人あたりの付加価値額は8750ドル(約90万円)で、ドイツやアメリカをしのぎ首位に位置している。 さて、1月20日に内閣府が「国富統計」を発表したのだが、2012年末の我が国の国富は5年ぶりに増加し、対外純資産も過去最高の296.3兆円に達したとのことである。 国富とは、生産資産、有形非生産資産、対外純資産の三つから構成される。 定義を簡単に書いておくと、 (1)生産資産=生産活動の成果として生み出され、かつ生産のために使用される有形資産であり、在庫と有形固定資産、無形固定資産からなる。 (2)有形非生産資産=生産活動の直接の成果物ではない有形資産であり、土地、地下資源、漁場などからなる。 (3)対外純資産=対外資産から対外負債を差し引いた後の資産の総額。差し引いた結果マイナスとなった場合には、「対外純債務(対外純負債)」の語が用いられる。 となる。 わかりやすく書くと、国民が「所得」を稼ぐための基盤であるインフラ、工場、建築物、設備等(以上、生産資産)と、同じく所得を稼ぐための基盤である土地、地下資源、漁場(以上、有形非生産資産)、さらに外国とのお金の貸し借りの収支である対外純資産から成り立っているのが国富だ。 ちなみに、我が国の国富の「有形非生産資産」は、緩やかに減り続けているが、これは土地の名目値(金額)が下がったためである。 バブル崩壊後、我が国の地価は下落を続け、「名目で見た有形非生産資産」という国富が縮小したのだ。別に、土地の面積そのものが縮小したわけではない。 ところで、読者の現金預金などの金融資産は国富に含まれない。理由は、預金は読者にとっては資産だが、銀行にとっては負債であるためだ。 国家全体のバランスシートで見れば、預金や現金といった金融資産は、借方と貸方に同額資産計上、負債計上されるため、相殺されてしまう。金融資産の中で国富に含まれるものは、「外国に貸しているお金(対外資産)」から「外国から借りたお金(対外負債)」を差し引いた対外純資産のみである。 日本はこの「対外純資産」が22年連続世界一だ。つまりは「世界一のお金持ち国家」ということになる。 日本が国家として世界一のお金持ち国家であることを、果たして日本国民、日本の政治家の何割が知っているだろうか。 こう書くと、 「日本国家は金持ちかも知れないが、国の借金(正しくは政府の負債)も世界一だ!」 と、ウソの反論をしてくる人がいる。 確かに、我が国の「自国通貨建て」の政府の負債は、1000兆円を超えている。とはいえ、現実には「世界の最大の負債を抱えている政府」はアメリカ連邦政府であり、日本政府ではない。リーマンショック以降の債務拡大の影響で、現在の「世界で最も負債が大きい政府」はアメリカ連邦政府なのである。 もっとも、日本にせよ、アメリカにせよ、政府の負債は自国通貨建て(円建て、ドル建て)だ。自国通貨の発行権限を持つ独自通貨国の日米両国が、「自国通貨建て」の負債のデフォルト(債務不履行)に陥ることはない。 いずれにせよ、 「日本国が国家として見た場合、世界一のお金持ち」 である事実を知っているのと知らないのとでは、国民の自国に対する「イメージ」が大きく変わってしまう。 2月には東京都知事選挙が実施されるわけだが、上記の類の事実を認識しており、 「世界一の日本を、さらに良い国にしよう」 と、明るく語られる人物に次の東京都知事になって頂きたいと、一東京都民として心から希望する。 自虐史観に侵され、「日本は悪い国だ…」「日本はダメな国だ…」などと間違った認識を持っている人物を都知事として頂くのは真っ平御免だ。三橋貴明(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、わかりやすい経済評論が人気を集めている。
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社会 2014年02月02日 11時00分
大丸にも影響か 顧客ぶんぶり合いが激化する大阪駅前百貨店戦争
2011年5月のJR大阪駅・大阪ステーションシティの開業に始まった“大阪駅百貨店戦争”が新しい局面を迎えた。1月21日、『JR大阪三越伊勢丹』が売り場の大幅縮小を発表したからだ。同店は今夏から全面改装に入り、隣接する専門店街『ルクア』と一体化した形を目指すというが、事実上の撤退に等しい。 「JR大阪・梅田駅周辺には、百貨店だけで4店(阪急・阪神・大丸・三越伊勢丹)、大型商業施設(ヨドバシカメラ、ルクア、グランフロント大阪)を含めると7カ所がしのぎを削り、誰が見てもオーバーストア状態。そのため昨今は、どこが最初に脱落するかに注目が集まっていました」(流通ライター) その中で、ついに『三越伊勢丹』が“決断”したというわけだ。 『三越伊勢丹』は高級感を全面に出し、大阪駅ビルの新しい顔として華々しくオープンした。しかし、肝心の売り上げは低迷が続き、'12年度の売上高は303億円と、ライバルの『阪急うめだ本店』(1446億円)、『阪神梅田本店』(892億円)にはるかに及ばない。 「結局、三越伊勢丹の高級イメージが、大阪・梅田には馴染まなかったということでしょ。普通の買い物なら阪神の方が気楽やしね。三越いうだけで、何か敷居が高い感じがします」(豊中市在住の主婦) その余波は、同じく売り上げが伸び悩む『大丸梅田』をも襲い「改装の検討に入った」(関係者)という話も聞こえてくるほどで、堅調に伸びているのは若者向けを中心とした専門店街『ルクア』のみ。ただし、その『ルクア』も喜んでばかりはいられないという。 「昨年新たにオープンし、北梅田再開発の期待を担う大型専門店街『グランフロント大阪』が強力なライバルとして立ちはだかっている。“広すぎて意外と不便”“安い店が少ない”などの不評を跳ねのけ、順調に売り上げを伸ばしていますからね。今後の注目は百貨店対専門店街から、専門店街同士の戦いに移るでしょう」(前出・流通ライター) 最後に笑うのはどこか。
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社会 2014年02月02日 11時00分
小泉・細川2人の元首相が口が裂けても言えない「脱原発」本当の理由(1)
戦いの火ぶたが切られた東京都知事選で、「脱原発」を標榜する細川護熙元首相に、にわかに“追い風”が吹き始めた。 細川氏は小泉純一郎元首相の完全支援を受け、自公が推す舛添要一元厚労相とガチンコの選挙戦を展開しているが、都知事選の争点である「原発」に、おぞましき問題が発生し始めたからなのだ。 「それが、1月18日に福島第一原発で発覚した汚染水のダダ漏れ事故なのです。同事故では、3号機の原子炉建屋の床を大量の汚染水が流れていることが確認されたが、汚染水にはガンを誘発する放射性セシウムが通常の2万4000倍、放射性ストロンチウムが2400万ベクレルも含まれており、いまだに人が近づけない。修繕のメドが立たないことから、本当にヤバい。無党派層が雪崩を打って細川に流れる可能性が指摘されだしているのです」(全国紙政治部記者) 要は、東京五輪招致時に安倍晋三首相が、「汚染水はコントロールされている!」と発言した“化けの皮”が剥がれ始めたわけだが、実は「汚染水問題」はこれだけにとどまらない様相を呈しているのだ。 原子力関係者が語る。 「1月24日に『原子力規制委員会』の作業部会でも問題視されたが、これまで汚染水漏れがなかった1号機建屋の地下にも、その可能性が指摘され始めた。これが事実なら、高濃度の汚染水が地下に流入。海に流出している可能性がある。こうした『規制委員会』の調査結果が投票日(2月9日)までに出されれば、脱原発に弾みがつくことは間違いないのです」 また、前出の政治部記者がこう続ける。 「福島第一原発は、まるでモグラ叩きのように次から次へと難問が出てくることは必至。そのため、細川氏が出馬表明した時から、『小泉が霞が関に手を回し、仔細な情報を入手し始めた』と噂されていたほどなのです。今後、小泉は国が470億円をかけて建屋の地下を凍土で覆うという対策の愚かさを、徹底的に糾弾していくはず。原発事故の抜本的対策がないまま、海外に原発セールスを推し進める安倍内閣のズサンさを暴く選挙戦を展開していくと見られているのです」 ちなみに、直近の支持率は舛添氏が41%で細川氏が16%。ただし、「投票率が70%を上回った場合は無党派層票が増え、細川氏が大逆転する」とも言われており、東京新聞が行った調査では、今回の都知事選に「必ず行く」「たぶん行く」と答えた有権者が93%に及んでいるのだ。