社会
-
社会 2014年01月06日 11時45分
38歳の男が小学生女児へのわいせつ行為を10件以上繰り返す
兵庫県警生活安全特捜隊と伊丹署が、小学生の女児らを狙って、わいせつ行為を繰り返したとして、アルバイトの男(38=同県伊丹市萩野)を、強制わいせつなどの疑いで、逮捕していたことが分かった。 男は容疑を認めており、「女児に性的興奮を覚えた。11年夏頃から10件以上やった」と供述している。 起訴状などによると、男は13年10月7日、同市内の集合住宅敷地内で、女子小学生(10)にみだらな言葉を掛けた疑いで、県迷惑防止条例違反容疑で逮捕・起訴された。また、同市や同県宝塚市で同年7〜9月、別の女子小学生2人の体を触るなどしたとして、強制わいせつ罪などで起訴された。 男は自転車でうろついて、1人で歩いている女児に「コンビニはどこ?」などと声を掛けて、人けのない場所に連れ込んで、わいせつな行為に及んでいた。 捜査関係者によると、伊丹市や宝塚市では、11年7月〜13年10月、女子小学生らが、わいせつ行為を受ける被害が約30件発生しており、県警では男との関連を調べている。 本人が「10件以上やった」と供述しているように、伊丹市周辺で起きた事件の大半が、この男の犯行である可能性もある。 まだ、年端のいかない幼い小学生の女児を専門に狙って、わいせつ行為を繰り返すとは、まさに極悪非道で、女児たちの精神的なショックは計り知れない。この男の犯した罪は、軽いものではなかろう。(蔵元英二)
-
社会 2014年01月04日 14時00分
福岡県警の巡査が詐欺事件の参考人女性と不適切な関係持つ
福岡県警は13年12月26日、福岡県久留米市や佐賀県嬉野市での職業訓練講座を巡って、国の給付金などがだまし取られた事件で、捜査を担当していた県警早良署刑事2課の男性巡査(23)が、詐欺事件の参考人だった20代女性と不適切な関係を持ったとして、本部長訓戒の処分にした。捜査情報の漏えいなどは、なかったとしている。巡査は同日、依願退職した。 県警によると、巡査は指定暴力団道仁会系組長らが関わったとされる、失業者の職業訓練を支援する「緊急人材育成支援事業」を装った詐欺事件の捜査を担当。 同年11月27日、組長らが開講した架空の職業訓練講座の受講生の1人だった久留米市内の女性宅を家宅捜索に加わった。同日、証拠品の確認などのため、女性を任意同行した際、携帯電話の番号を教えて、連絡を取り合い、同30日未明、福岡市内の自宅で女性と一戦交えたという。捜査の結果、女性は立件されなかった。 同日朝、事情聴取を受けた女性が別の警察官に、「(巡査に)もてあそばれた」と話したため、不適切な関係が発覚した。 巡査は「女性が自分に気があると思い込み、一時的な欲求を満たしたいと思った」と、関係を認めている。 県警は信用失墜行為を禁じた服務規程違反と判断したが、「情報漏えいなどはなく、捜査に影響はなかった」として、懲戒処分にはしなかった。警察庁の指針では、処分の公表は懲戒処分を対象としているが、県警は「社会的関心が高い暴力団が関与した事件捜査での不祥事で、信用を大きく失墜する行為」として、公表に踏み切った。 県警の高木正浩首席監察官は「職員の指導教養を徹底し、再発防止に努める」とコメントした。(蔵元英二)
-
社会 2014年01月04日 11時00分
3年後の息子への社長交代に向け着々。テレ東をヒヤヒヤさせた『ジャパネットたかた』V字回復中
経営不振に陥っていたテレビ通販大手『ジャパネットたかた』が、V字回復を見せている。'13年12月期の経常利益が前期の2倍、150億円程度に膨らむ可能性が出てきたのだ。これは過去最高の数字で、売り上げも20%増の1410億円前後になる見通しだ。 そもそも業績が悪化した原因には、家電エコポイントによる“テレビ特需”の反動や、地上デジタル放送へ移行でのプラズマテレビ等の売り上げ減、さらに最もパンチをくらったのが『アマゾン』など他のネット通販によるシェアの食い荒らしだった。 結果、'10年12月期に1759億円と過去最高の売り上げを記録してから後下落し始め、'11年12月期の売り上げは前年比13%減の1531億円と7期ぶりの減収だった。さらに'12年12月期の売り上げは、1170億円まで落ちたのだった。 「これで頭を抱えたのが、『ジャパネットたかた』と組み通販番組を流していたテレビ東京。そのため、『快適! ショッピングスタジオ』でテレ東は、『ジャパネットたかた』から商品を購入するなど“自腹”を切って支えていたのです」(関係者) 『ジャパネットたかた』の高田明社長は、従来のように家電に頼り過ぎた売り上げ構成では潰れる、という恐怖感を抱くようになった。そこで「'13年12月期で最高益を達成できなければ社長を辞める」とまで公言。'13年を「覚悟の年」と位置付けた上で、'13年度中に最高益を出さなければ同社の社長を辞任することを、インタビューや出演番組などで言い放っていた。 危機感は、'12年8月にスタジオ本拠地を長崎から東京へと移転させた動きにも表れている。六本木の泉タワーガーデン34階に“東京出撃拠点”を設け、地上波を除くテレビやインターネット向けの通販番組を制作。同年12月には最新スタジオも設けた。 扱う商品も、一ジャンル偏向型ではなく多種類を扱い、危険分散型の商品販売が功を奏したのだ。 高田社長には3人の子供がいるが、3年後に長男・旭人副社長(34)を後任に据えることも明らかにしている。 「東大卒の旭人副社長を早くトップに就かせたい。だからそういう発言が出たのです。旭人氏は'12年9月に専務から副社長に昇格しており、社長交代は業績が挽回した時期がちょうどいい。パーティーなどで旭人副社長の社長昇格を盛り上げることになるでしょう」(通販業界事情通) 旭人副社長は'13年初め頃からテレビに出始め、高田社長が出演する番組では“次期社長”として紹介されていた。来年はコールセンター1500名と従業員540名を統率する旭人体制を整える動きが加速しそうだ。
-
-
社会 2014年01月03日 11時00分
みの次男逮捕のスポンサー離れも響く文化放送の乗っ取られ危機
文化放送がついに所有株の売却を始めた。 AMラジオ業界不況で、'14年3月期決算で6期連続の赤字になる見込み。そこで、これを回避するため、営業外収入として株を売ることになったのだ。 文化放送の主な所有株として、フジ・メディア・ホールディングス、日活等があるが、今回どの銘柄をいくら売却したという話は明確にオープンにされていない。関係者がこう言う。 「例えばフジMDHは7万株保有で2236円(12月19日時点)だから、約1億5600万円。それに日活株を数%保有し、2億4000万株、これだけでも4億円前後になります」 もともとフジテレビは、ニッポン放送と文化放送の出資で発足した。しかし文化放送の経営が厳しくなり株式を売却。保有数は少なくなり、はぐれ鳥のような存在になっていった。これが、もうひとつの経営不振の背景である。 また最近では、『みのもんたのウィークエンドをつかまえろ』のスポンサー2社(ロッテ・明治)が、みのの次男逮捕の影響で提供を休止している点も無視できない。 「文化放送には、みのの番組以外にも、スポンサーが付かないまま見切り発車している“ノースポンサー番組”がけっこうある。こうした現状も、さらに経営を悪化させているんです。このままいけば、最悪の場合には他の放送事業者に乗っ取られる可能性も出てきています」(事情通) 文化放送では、そうした困窮状態から水谷加奈アナ(46)がヌードやポールダンサーに挑戦して話題を提供しているが、聴取率に跳ね返ってくるには難しい。 まさに今が踏ん張りどころだ。
-
社会 2014年01月03日 11時00分
スクープ告発第2弾 忘年会・新年会に横行する食材使い回し カニ、ホッケ、から揚げ、ラーメン、枝豆… “残飯”調理の宴会厨房裏をバラす!〜ジャーナリスト・吾妻博勝〜(4)
ある中華料理店チェーンの経営陣の一人が、自信たっぷりに言う。 「うちに限って、使い回しなんて、あるわけがない。そんなことがあったら、その店の店長は即刻クビ。使い回しの事実を押さえているなら教えてくれ!」 それに対し、東北地方の某店長はこう反発する。 「上の連中は、いかに儲けを上げるか、銭の勘定ばかり。連中のご機嫌取りに、ほとんどの店長が媚を売っている。使い回しなんて、しょっちゅう。客にバレるかどうか、これはゲーム並みの楽しさスリルがある」 何を使い回しにするかというと、売れ行きダントツのラーメンだという。だが麺そのものではなく、すすり残しのスープである。 「本部から出来合いのスープがポリタンクで届けられる。そのまま使えるものだが、しかし中には、『大阪で食べたときは味が薄すぎてマズかった。俺は濃いのが好きだ。なんとかならないか?』と言ってくる客がいる。それで塩、醤油を少々、化学調味料、蛋白加水分解物はたっぷり入れてやる。東北人は濃い味に慣れているから、これくらいやらないと納得してくれない」 しかし、それだけではスープの使い回しにはならない。その先はというと−−。 「底の部分に網があるボールで食べカスを取り、流れ落ちたスープだけ取り置きする。それを繰り返して量が溜まったら、沸騰させて次の客に使う。裏を知ったら仰天するだろうが、客は『こりゃ旨い』と言ってくれる。そこにゲームらしい楽しさがある。残りスープほど客が満足してくれる。だから使い回しをやめる理由は何もない。沸騰するから雑菌は死んじゃうしね」 前号で取り上げた、都内のテキヤ系ラーメン屋台の手法と大差ないスープの使い回しである。 ところで、店長の話に出た「蛋白加水分解物」が何かというと、ラーメンのウマ味、コク味を安上がりに演出できるアミノ酸系調味料のこと。 クズ肉、ブタ・ニワトリの骨、雑魚、大豆油を絞った残りカスなどを塩酸でドロドロに分解し、それをアルカリ性物質で中和すると蛋白加水分解物が出来上がる。多くの加工食品に使われているが、しかし添加物扱いではなく、食品の一つとして使用できる。 ところが、それは安全性に問題がある。モノクロロプロパンジオール、ジクロロプロパノールなど、ややこしい名の有機塩素化合物が製造過程で生成され、それに発ガン性があることが判明。そのため、食品加工業界は使用量を「1ppm以下」と自主規制を敷いているという。 だが外食産業に自主規制はなく、特にスープのコク味を売り物にするラーメン店ほど使い放題だ。それが化学調味料との抱き合わせだから、麻薬並みのラーメン中毒になってしまう。 食べて30分〜1時間後、顔面がほてり、首のあたりにポカッ、ポカッと心地よさそうな熱さを感じるのは、蛋白加水分解物が原因。胃腸が弱ければ、下痢でトイレに駆け込むことになる。
-
-
社会 2014年01月02日 11時00分
スクープ告発第2弾 忘年会・新年会に横行する食材使い回し カニ、ホッケ、から揚げ、ラーメン、枝豆… “残飯”調理の宴会厨房裏をバラす!〜ジャーナリスト・吾妻博勝〜(3)
この店には、他店では滅多にお目にかかれない“特別健康メニュー”がある。それは、枝豆の味噌汁だ。 店主の話が続く。 「うちが使うのは、中国産の冷凍物だが、枝豆は季節を問わず人気があるわりには、食べ残しが必ず出る。捨てるのがモッタイナイので、集めて使い回ししていたんだが、しかし困ったことがあってね。解凍して時間が経ちすぎると、水っぽくなってしまう。ちょっと押すと豆がビシャッとつぶれるのと、硬いのがいっしょくたになると、客にヘンに思われてしまう」 そこで味噌汁に使うことを考えついたという。 「味噌汁なら、豆がつぶれようが皮が多すぎようが、大して気にならないはず。従業員の試食でも『こりゃイケル』となったからね。小さく切ったサイコロくらいの豆腐を5〜6個入れれば出来上がりです。本来、材料は生ゴミになるものだけど、これで1杯250円。ありがたいことに、ゴミがカネを生んでくれる」 特に女性、年配者に人気があり、『自分でも作ってみたいから、作り方を教えて』と、しょっちゅう懇願されるという。 厨房の中は、有象無象が蠢く裏社会と同じで、何が起きているのか窺い知れない世界だ。 串刺しの鳥のから揚げとフライドチキンの盛り合わせは、宴会料理の定番。以前から出入りしていた首都圏の16店に確認したので間違いないが、外食産業で使われる鶏肉は、ほぼ100%がブラジル、中国、タイ産である。 これらは、卵を割って出てから50日前後で出荷されたブロイラー。短期間で丸々と太るのは、成長ホルモン剤が使われるからだ。急激太りは病気を引き起こすので、それを防ぐために約20種類の抗生物質が多量投与される。文字通り“クスリ漬け”の肉である。店によっては、それらを油で揚げたものが、ごく普通に使い回しされている。 それで何が心配かというと、油が酸化されて過酸化脂質ができてしまい、それが胃痛、下痢などを引き起こすからだ。動物実験でも確かめられているが、過酸化脂質の摂りすぎは死亡につながりかねない。 ところが、客が食べ残した前日のから揚げを電子レンジでチンして、平気で客に出す店がある。これは酸化がかなり進んでいるから、絶対口に入れてはならないものだ。 ちょっとでも異変を感じたら、怒鳴り合いはもちろん、殴り合う覚悟で店に問いただすべきである。
-
社会 2014年01月01日 11時00分
スクープ告発第2弾 忘年会・新年会に横行する食材使い回し カニ、ホッケ、から揚げ、ラーメン、枝豆… “残飯”調理の宴会厨房裏をバラす!〜ジャーナリスト・吾妻博勝〜(2)
カニが主役とすれば、脇役も登場する。ホッケの開き、あるいはサンマの塩焼きである。 「壁に貼ってある“本日のお薦めメニュー”にカニ汁と並べておくんです。不思議なもので、だれかが『俺、ホッケ!』と言うと、別の人が『俺、サンマ!』と言う。そして『俺も』『私も』となってきます。連鎖反応というか、酒のなせるワザですね。出しても、ほとんど食べないが、なぜかホッケにはチョコッ、チョコッと箸を出す。丸ごと残してくれるなら使えるが、箸で突いたホッケは再利用が難しい」 ほぐした身をお茶漬け、チャーハンに使い、「網走お茶漬け」「札幌チャーハン」と名づけた日替わりメニューを作ったのが3年前。だが人気上昇の気配がないため、このメニューは'13年の新年会シーズン終了後に潰してしまったという。 しかし、サンマの塩焼きはホッケとはちょっと違う。 「塩焼きにダイコンおろしは付きものだが、うちでは最初に出した塩焼きはそれをやらなかった。客が残した丸ごとサンマを次の客に出すときだけ、ダイコンおろしを付けていました。1匹80円で仕入れたのが、2回使って計1000円の売り上げになっているから、これは仕方がない」 ところが、つい最近の忘年会で、ちょっとした緊急事態が起きたという。 「ヤクザでないことはわかっているが、坊主頭の怖そうなニイさんが『そっち側のサンマにはダイコンおろしが付いて、こっち側には付いていない。この店はたるんでいる!』と怒鳴りまくるんです。それが教訓になって、ダイコンおろしはドンブリで出すことにした。それぞれがスプーンで自由に取れるように。残ったのは当然、次の客に使う」 店主は、「しかし…」と真顔で話を続けた。 「神田(東京都千代田区)にある知り合いの店が、客に頼まれて近くの寿司屋から特上の寿司を届けてもらった。その中に寿司ネタがちょっと乾いたものが2個か3個あった。客がそこに噛みついてきたために大騒ぎになり、寿司屋が客の食べ残しを入れたことを白状したんです。結局、寿司屋が100万円脅し取られ、知り合いの店は連帯責任で50万円払わされた。『店を潰すぞ』と言われたら、そうするしかない」 相手は、名の知れた暴力団の組員だったという。そして、店主はこうも言う。 「バレたら、大きなツケが回ってくるから、使い回しはそれを覚悟してやらんとね。何があったか知らないけど、『餃子の王将』の社長みたいに撃ち殺されたら、元も子もないからね」
-
社会 2013年12月31日 11時00分
F1進出か。楽天が画策する2015年マクラーレン・ホンダの大スポンサー
新ポスティング移行に伴う楽天・田中将大投手のメジャー転身が、意外なところで波紋を投げかけている。5月16日にマクラーレンとのコンビで2015年シーズンからF1に復帰することを正式に発表した本田技研工業である。 10月には新エンジンV6ターボエンジンのサウンド音を同社の公式ウェブサイトで公開、復帰準備は順調に進んでいたが、ここにきてブレーキがかかった。 実は、11月に新生マクラーレン・ホンダのボディを飾る新スポンサーの発表が予定されていたものの、突然に延期を発表。その異常な状態は今も続いている。 「前回のマクラーレン・ホンダではマールボロのフィリップモリス社がメーンスポンサーだった。現在はボーダフォンのカラーリングで走っているが、同社との契約が13年シーズンで終える事から、どこが新たなメーンスポンサーに就くか、注目されているのです」(大手広告代理店) 赤白マールボロの復活なら延期の理由はない。そこで密かに囁かれているのが、「27カ国・地域」での事業展開を明言している三木谷浩史社長率いる楽天だ。 マクラーレン・ホンダの「冠スポンサー」にはいくらかかるのか。現在のボーダフォンの場合、年間4680万ポンド(約62億円)と言われ、この金額は当初、予想された田中のポスティングマネーと重なる。 それが新制度への移行に伴い、譲渡金が上限20億円に変更された。おかげで三木谷氏の「楽天・マクラーレン・ホンダ」構想に狂いが生じ、マクラーレン・ホンダのスポンサー発表がペンディング状態になっているのだという。 上場市場をジャスダックスから“メジャー”の東証1部に変更した楽天だけに、その進路を世界中が注目している。
-
社会 2013年12月31日 11時00分
スクープ告発第2弾 忘年会・新年会に横行する食材使い回し カニ、ホッケ、から揚げ、ラーメン、枝豆… “残飯”調理の宴会厨房裏をバラす!〜ジャーナリスト・吾妻博勝〜(1)
普段、閑古鳥が鳴いている店でも、年末年始シーズンは満席になるという。 「この時期にしっかり儲けないと、店が傾いてしまいます。値段据え置きで食材の質を落とし、経費を圧縮します。そうすれば当然、利益率が上がります」 と話すのは、JR池袋駅から徒歩10数分のところにある料理店の店主。 「地の利はよくないが、うちには座敷部屋がある。だから、この時期になると宴会の予約が次から次へと入ってきます。3000〜5000円のコース料理が人気ですね。見た目、豪華にするため、タラバガニやズワイガニを出すと、お客さんは皆、『ウオーッ!』と歓声を上げますよ」 カニはロシア産の冷凍物で、小学、中学生のときに同級生だった都内在住のヤクザを通して仕入れるという。そのヤクザが北海道の暴力団とつながりがあり、「そこから安く手に入るらしい」と店主は言う。 「酔った客は気づかないが、よく見ると、甲羅にヒビが入っていたり、脚が1本欠けていたり、それなりのクズモノです。市場では商品価値がほとんどない産卵後のメスも入ってくる。身が細ってウマ味は抜けているが、姿、形だけは見映えがする。だから使うんです」 実は、こうしたクズ蟹の食べカスが、意外な形で大働きをする。店主が話を続ける。 「親切な店は、脚をバラバラにして、食べやすいよう1本ずつ切れ目を入れるが、うちはそれをしないで丸ごと出してしまう。それだと食べにくいから、酔いが回ってくると、たいがいの客が『面倒くさい』となって、途中で食べるのをやめてしまう。その食べ残しを再利用させてもらうのです」 甲羅も脚も適度な大きさ、長さに切り分け、化学調味料をぶっかけながら沸騰させ、最後はミソ味に仕上げて豆腐を入れる。それを大きめのお椀に入れて刻みネギを散らすと、客は「北海道に来たみたいだ」と大喜びするという。 カニ汁は1杯700円だが、それが食べカスで作ったものとは、だれも思わない。丸ごとのカニはコース料理に入れてあるが、カニ汁は入れていない。タダの材料を使って別料金にすれば、「売り上げが伸びるから」だという。姑息ともいえる、その商売根性は、客の敵ながらアッパレというしかあるまい。 「どんなにキレイに食べても、カニは必ず甲羅、脚だけは残る。ただの殻でもグツグツ煮込めば、カニらしい風味が出ます。風味が弱いときは、業務用のカニエキスを加える。これで向かうところ敵なしのカニ汁になります。毎日、それに食べ残しのカニをつぎ足していくと、来年3月ごろまでカニ汁を出せます」
-
-
社会 2013年12月30日 17時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 見せかけの高額所得者課税
来年以降の税制の大枠を決める、自民党の税制改正大綱が明らかになった。 4月からの消費税率引き上げで庶民の重税感が高まることに配慮したのだろう。今回の税制改正では、高額所得サラリーマンの増税を同時に打ち出した。サラリーマンには収入の一部を必要経費とみなして所得から差し引く「給与所得控除」が認められている。 この給与所得控除の額を高額所得者に限って見直すことにしたのだ。現在は年収1500万円を超えた時点で給与所得控除は245万円の頭打ちとなるが、これを平成28年から年収1200万円を超えた時点で230万円の頭打ちにし、平成29年からは年収1000万円を超えた時点で220万円の頭打ちにするという。 控除額が減るのだから、当然高額所得者は増税になるが、平成29年の時点でも、夫婦と子供2人の4人家族の場合、年収1500万円世帯の増税額は11万円にとどまる。年収の0.7%を増税されるだけなのだ。実は安倍政権は、本気で高額所得者の税金を増やそうとはしていない。その証拠に、本当の金持ちの優遇策には手を付けようとしていないのだ。 例えば証券優遇税制だ。現在の税制では上場株式の配当や売却益には10%の税金しかかからない。所得税だけでなく、住民税も含めて、たった10%でよいのだ。しかも一番の問題は、この優遇税制適用に年収の上限がないということだ。 具体例で言おう。最近、楽天の三木谷会長が保有する自社株を売却した。売却額は100億円にも及んだという。ところが、この100億円の所得にかかる税金は、たった10億円なのだ。いま、普通のサラリーマンの給与には所得税が5%、住民税が10%、そして社会保険料が15%ほどかかっている。つまり、一生懸命汗水垂らして稼いでも3割も持って行かれてしまう。 ところが、三木谷会長の天文学的な所得には、たった1割しか課税されない。税制の基本は、勤労所得には薄く、不労所得には厚く課税するということだ。ところが、今の税制はまったく逆になってしまっている。なお証券税制に関しては、来年から特例がなくなるので、売却益の税率は20%になる。それでも、サラリーマンより低いのだ。 高額所得者の優遇はまだある。退職金の優遇税制だ。現在の退職金課税は、2分の1軽課といって、退職所得控除を差し引いた後の課税所得を2分の1にして課税する。これにも適用金額の上限はない。だから、退職所得が10億円だった場合、半分の5億円にしか課税されないのだ。このことの節税効果は半端でなく大きい。ところが、この2分の1軽課を廃止しようという意見は、今まで出たことがない。この税制優遇でトクをしているのは、高額退職金をもらえるエリート官僚となぜか日本政府に強い発言力を持っているアメリカ系の投資ファンドの社員くらいなのだ。 その他にも、医師の優遇税制や相続税課税の特例制度など、金持ちを優遇する税制が掃いて捨てるほど今の日本にはある。それらには、自民党も政府も一切手を付けようとしない。それは高級官僚や外資や富裕層が、自民党の政治を支えているからだ。結局、税負担増の標的になったのは、庶民の嫉妬が集まりやすいプチ金持ち層だけなのだ。