店主の話が続く。
「うちが使うのは、中国産の冷凍物だが、枝豆は季節を問わず人気があるわりには、食べ残しが必ず出る。捨てるのがモッタイナイので、集めて使い回ししていたんだが、しかし困ったことがあってね。解凍して時間が経ちすぎると、水っぽくなってしまう。ちょっと押すと豆がビシャッとつぶれるのと、硬いのがいっしょくたになると、客にヘンに思われてしまう」
そこで味噌汁に使うことを考えついたという。
「味噌汁なら、豆がつぶれようが皮が多すぎようが、大して気にならないはず。従業員の試食でも『こりゃイケル』となったからね。小さく切ったサイコロくらいの豆腐を5〜6個入れれば出来上がりです。本来、材料は生ゴミになるものだけど、これで1杯250円。ありがたいことに、ゴミがカネを生んでくれる」
特に女性、年配者に人気があり、『自分でも作ってみたいから、作り方を教えて』と、しょっちゅう懇願されるという。
厨房の中は、有象無象が蠢く裏社会と同じで、何が起きているのか窺い知れない世界だ。
串刺しの鳥のから揚げとフライドチキンの盛り合わせは、宴会料理の定番。以前から出入りしていた首都圏の16店に確認したので間違いないが、外食産業で使われる鶏肉は、ほぼ100%がブラジル、中国、タイ産である。
これらは、卵を割って出てから50日前後で出荷されたブロイラー。短期間で丸々と太るのは、成長ホルモン剤が使われるからだ。急激太りは病気を引き起こすので、それを防ぐために約20種類の抗生物質が多量投与される。文字通り“クスリ漬け”の肉である。店によっては、それらを油で揚げたものが、ごく普通に使い回しされている。
それで何が心配かというと、油が酸化されて過酸化脂質ができてしまい、それが胃痛、下痢などを引き起こすからだ。動物実験でも確かめられているが、過酸化脂質の摂りすぎは死亡につながりかねない。
ところが、客が食べ残した前日のから揚げを電子レンジでチンして、平気で客に出す店がある。これは酸化がかなり進んでいるから、絶対口に入れてはならないものだ。
ちょっとでも異変を感じたら、怒鳴り合いはもちろん、殴り合う覚悟で店に問いただすべきである。