その他
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その他 2015年09月25日 12時00分
【不朽の名作】三國連太郎と山崎努の掛け合いが見事な「利休」
今回紹介するのは戦国時代から安土桃山時代(織豊時代)にかけて活躍した茶人・千利休を題材とし1989年に公開された『利休』だ。 利休役として三國連太郎が主演した同作品は、豊臣秀吉(当時は羽柴秀吉)が、主導権を握りはじめの頃から、秀吉の逆鱗に触れ、利休が切腹するまでの話となっている。タイトルは「利休」となっているが、実際には秀吉とのダブル主人公のような構図になっており、利休の運命を翻弄する秀吉役は山崎努が演じている。 利休を題材とした作品といえば、最近では、2013年公開の『利休にたずねよ』が有名だが、この作品が、フィクションを織り交ぜた、色彩重視の作品だとすると、今回紹介する『利休』は、華々しさの中にも、政治闘争や粛正の嵐が渦巻く、重々しい陰が落ちている作品となっている。しかも、利休は傍観者ではなく、その政治闘争の中心にいる人物なのだ。 現在では後生に残した偉業や文化の影響もあり、利休を茶人(文化人)として認識している人が多いが、その意識のままこの作品を見ると違和感が大きいものとなるだろう。この時代、利休はただの茶人ではないのだ。 当時利休が豊臣政権下でついていたのは「ご茶頭」で、公儀の茶の湯関連のイベントを統括する、非常に中央に近い役職にいたのだ。そのおかげで内々で、有力な大名や商人と秀吉の間を取り持つ顔役のような役割も担っており、政権内での発言力は決して弱いものではなかった。劇中でも、細川忠興や吉田織部の名前がさり気なく出てくるが、このふたりは、豊臣政権の中央に近い場所にいた中心人物である。こういった部分でも、利休の影響力の強さがうかがえる。 という訳で、この作品では、茶の湯の話よりも政治関連の話が中心になっている。当時の文化の華やかな感じは、あまりクローズアップされないので注意が必要だ。むしろ、利休に集まる人望に対して、嫉妬心とも思えるような勢いで接する秀吉と、どう接していくのかが、作品の魅力となっている。 ここで重要となってくるのが、話の中心となる、利休の性格付けだ。他の創作物の利休というと、元々秀吉の主君だった織田信長のご茶頭だったことや、利休のルーツである、中央勢力にあまり影響されず、独立性を重んずる堺商人の性格を反映して、秀吉にも怯えずに辛らつな言葉を浴びせる利休像というのが、定番となっている。しかし、この作品の利休はあまり多くを語らない。もちろん秀吉に対して不満がない訳ではないので、利休を演じる三國は、息づかいや、動きの細やかの変化のみで、感情の揺らぎを表現している。その利休に対し、秀吉は終始感情むき出しという感じで、この対照的な2人の掛け合いが、緊迫感を煽り、この作品の会話劇のクオリティーを高いものとしている。 とは言っても、秀吉に対しての嫌がらせというか、暗に「暴走は控えるべき」という投げかけはしっかりしている。そのおかげで、変に説明台詞過多になるわずらわしさもなく、利休演じる、三國の表情だけに集中できる。奉行衆の石田三成や前田玄以に対する扱いも同様で、さり気ない台詞の中に皮肉が含まれているので注目してもらいたい。 また、この感情を表に出さない利休は、クライマックスシーンに向けての良いタメにもなっている。利休の切腹を命じられた経緯は諸説あるが、この作品では、唐御陣(朝鮮出兵)の対しての批判と、自身の雪駄履きの木像を楼門の2階に設置し、その下を秀吉に通らせたという疑いによるものが大きな原因となっている。利休は一度蟄居を命じられ、その後切腹となるが、劇中では、その前に妻であるりきが、秀吉に謝罪し、罪を許してもらうように促す。しかし利休はこれを、「一度頭を下げれば後は這いつくばって歩かなければならないのだ」と拒否するのだ。この感情むき出しの台詞が、最期まで己を曲げなかったことで、ラストシーンで死地に赴く利休の背中を、印象深いものとしている。 とはいっても、帯に短し、たすきに長しというほどではないが、中途半端になっている部分があるにはある。政治闘争の部分で、利休が切腹に至った経緯までの描写不足が気になる。利休の立場を悪くするのは、この作品では主に石田三成と前田玄以なのだが、この2人の暗躍ぶりが物足りない。しかし、全編通して観ると他のシーンも利休と秀吉の関係が悪くなることを説明するために必要な部分ばかりで、捨てシーンといえるものがほぼない。そう考えると、尺の問題を考えると仕方なかったのかもしれないが、もう少し重厚さが欲しかった。 ほかにも、この作品では、秀吉にもスポットが当たっているため、秀吉の取り巻きが振り回される描写が少ないのも残念だ。例えば、唐御陣の準備で、無理難題を言われ苦悩する小西行長や、バテレン追放令の際に、秀吉が棄教を迫り、苦境に立たされるキリシタン大名の高山右近など、秀吉の強引さがもっと伝わってくるシーンがあればさらに良かったのだが。また、秀吉が若干オーバーでデフォルメしすぎている点の若干くどい。母親である大政所相手や弟の豊臣秀長に接する部分はいいのだが、このテンションで、他の家臣にも接するので、それは諸大名を束ねる最高権力者としてはどうなのだろう。(斎藤雅道=毎週金曜日に掲載)
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その他 2015年09月23日 14時00分
小松基地航空祭 ブルーインパルスの曲技飛行などにファン14万7千人が来場
石川県小松市の航空自衛隊小松基地で21日、『15航空祭in KOMATSU』があり、家族連れや航空ファンら14万7千人が来場した。 会場にはヘリコプターや輸送機、ジェット練習機、偵察機、戦闘機などが展示され、F15戦闘機による編隊飛行や機動飛行をし、航空祭を記念した塗装機も登場し注目を集めた。 午後には、航空自衛隊アクロバットチーム『ブルーインパルス』が曇り空ながら曲技飛行を行い来場者を魅了した。
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その他 2015年09月21日 12時00分
【コンピューターゲームの20世紀 58】爽快感と数々の謎が話題となった80年代を代表するSTGのひとつ「スターフォース」
100円玉不足や専門店「インベーダーハウス」の乱立など、社会現象にまでなったシューティングゲーム(STG)『スペースインベーダー』が登場したのは1978年のこと。この空前の大ブームに触発される形で70年代後半からは様々なメーカーからSTGがリリースされ、1980年代中頃にSTGは黄金期を迎える。 スペースインベーダーの他にも『スクランブル』や『ムーンクレスタ』など、STGの歴史に影響を与えたゲームは幾つか存在するが、中でも83年登場の『ゼビウス』のインパクトは抜きん出ている。それまでのSTGは“撃ち合い”に特化した、いかにもゲーム然とした内容で、ストーリーやキャラクター設定などは必要最低限しか持ち合わせていなかったのだが、ゼビウスには一冊の小説が書けてしまうほどの入念な世界設定が用意されており、プレイヤーの想像力を大いに刺激した。本作の登場によってSTGの進化の歴史の針は一気に進み、その後、STGは80年代の終わり頃まで最も人気のあるゲームジャンルのひとつとして君臨し続けることになる。 今回紹介する『スターフォース』は、他の多くのSTGがそうであったように、多少なりともゼビウスの影響を受けてはいるのだが、目指す方向性は大きく異なり、ゼビウスにはない“爽快感”を強く押し出したゲーム性がウリとなっていた。より強い爽快感を実現するため、本作ではゼビウスのように地対空を撃ち分ける必要がなく、8方向レバーとショットのみの単純な操作系となっている。ショット1つで空中物と地上物の双方を撃破できることに加え、ほとんどの敵がショット一発で倒せることも、特有の爽快感に繋がっていると言えるだろう。さらに、友軍機のパーサーと合体すると連射性能が1.5倍にアップ。また、アップテンポのBGMも、爽快感を演出するのにひと役買っていた。 本作はALPHA(Α)からOMEGA(Ω)の全24エリア構成で、Ωエリア後はINFINITY(∞)エリアが繰り返されるループ方式。そのため、この∞エリアへの突入がひとつの目標とも言えるのだが、さらなる高みを目指す生粋のシューターなどには、スコアも重要な要素となる。自らのハイスコアの更新や、1000万点オーバーを至上の命題として、日夜ゲームセンターに通い詰めた方も多いだろう。 敵の出現順とそのアルゴリズムを完璧に把握しておくのは、STGにおいてハイスコア&1000万点を目指す際の基本中の基本である。本作の場合、空中物の出現順とその種類はあらかじめ決まっていることに加え、ボスキャラの登場タイミングは敵の撃破率によって制御されている。そのため、プレイの仕方で空中敵の出現パターンが異なるのである。つまり、ボーナスキャラの密集地帯等で厄介な空中敵と出会わないように、プレイヤー側でその出現タイミングを自在にコントロールすることも可能ということ。8方向レバーとショットのみのシンプルな操作系とは対照的に、ゲームシステムはとことんまで考え抜かれている。 また、ゼビウスで初めて採用された「隠れキャラ」要素も強化。ショットを当てることで出現する地上物「ヒドン」や「?」型をしたマジッカ、そのマジッカにショットを4発打ち込むことで出現の可能性があるエクステンドアイテム「ケラ」、地上物「ジムダ」が縦2列に連なる謎めいた地帯「ジムダ・ステギ」(片側1列のみを連続で破壊すると8万点ボーナス)など、ゲーム中には多種多様な秘密が隠されている。 そんな本作の最大の謎とされたのが「100万点ボーナス」(クレオパトラ)の存在だ。クレオパトラが隠されていたのは、とある砂漠地帯の古代魚の視線の先。ここにショットを8発撃つとクレオパトラが姿を現し、さらに追加で8発ショットを撃ち込むことでこれを撃破=一気に100万点が加算される。なお、撃破時にはファンファーレとともにメッセージが流れ、プレイヤーを祝福してくれるという粋な演出が用意されていた。 本作はその後、SG-1000やファミコンといったコンシューマー機にも移植され、さらに人気は拡大。なお、ファミコン版はハドソンの第1回全国キャラバン公式ソフトでもある。さらに、ファミコンでは続編となる『スーパースターフォース』も発売されるに至った。これがなかなかの力作で、個人的には好きなレトロゲームのひとつなのだが、アクションRPG的な要素も加わっているので、純粋なSTGを期待すると肩透かしを食らうかもしれない。(内田@ゲイム脳=隔週月曜日に掲載)■DATA発売日…1984年メーカー…テーカンハード…アーケードジャンル…STG(C) 1984 TEHKAN LTD.
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その他 2015年09月18日 12時00分
【不朽の名作】トラウマ映画の代名詞「震える舌」
地上波放送などでたまたま見てしまい、それが強くトラウマとして残っている映画があるという人はそう少なくないだろう。1990年代くらいまでは、普通に各局の映画番組で、ホラーやパニックモノの強烈なやつが放送されることが少なくなかった。今回は、そのなかでも屈指のトラウマ映画として名高い80年公開の『震える舌』を紹介する。 この映画は三好昭・邦江夫婦が破傷風にかかった娘・昌子を看病する間起きる様々な、苦難や人間模様を切り取った作品となっている。原作は作家の三木卓氏が75年に発表した同名小説となっており、実際に三木氏が、破傷風に感染した実の娘との闘病記をモチーフに書いていている。実は原作を読んだことがないので、なんともいえないが、映画での表現方法は闘病記のそれではなく、完全にホラーに寄った演出をしているのが特徴だ。 破傷風というと、予防接種普及や生活環境の清潔化などにより、最近どころか、おそらく映画公開時も馴染みの薄い感染症だろう。しかし現在も海外渡航時に必ず予防接種を打つことを推奨されており、一度発症するとかなりの苦痛を伴い、死亡率も高い恐ろしい感染症だ。症状としては歩行障害から始まり、呼吸困難や激烈な全身性の痙攣発作、場合のよっては痙攣により脊椎骨折を伴う場合もある。この辺りは映画でもっと詳しく説明されているので、気になった人は注目してもらいたい。 とは言っても、病気の説明はこの映画の便宜上の“悪役”として置いているため必要なだけだ。本編を観ると、突然歩行がおかしくなった子供が、急に「ギイィィィィィィ!!」と叫び声を上げて痙攣を起こすなど、まるで『エクソシスト』で悪魔に憑かれたかのような表現が満載となっている。破傷風や、同様に日光を浴びると激痛が走る狂犬病は、病原菌の発見がどちらも1800年代末だ。という訳で、これらの症状が感染症と知られていない時代は、日本では「狐憑き」、海外では「悪魔憑き」などと呼ばれこともあった。そう考えると、この表現はある意味間違ってはいないのだろうが、当時がオカルトブーム真っ只中だったこともあり、クレームが来ても構わないという姿勢を感じるほどの、シーンの数々に、観る側は衝撃を受ける。 とにかく映像が強烈の一言に尽きる。発作が起きる度に、昌子の口の周りが血まみれになるシーンは、悲痛さがこれでもかと伝わってくる。症状が進むとエビ反りになって苦しむシーンなどもあるのだが、これもまた、凄みがあって、思わず目を背けたくなるほどだ。子役の演技がかなり上手いこともあり、より緊迫感が増しているのも特徴だ。 さらに、効果音もかなり不快というか、観る側の恐怖を煽るようになっている。破傷風というのは周りの些細な振動でも、激痛が走る事があるそうだが、その発作の発端となりそうな、他の病室の子供達が騒ぐ音や、食器などが落ちる音が、ねっとりと映像と合わせて挿入されている。これはもう完全にホラーの演出で「また発作シーンが来るぞ…」と観る側に恐怖を煽り立てる。 他にも発作で舌を噛んで窒息の危険性がある場面で、医者が「この子の歯、乳歯? また生えてくるからいいよね!」と気道確保の為に前歯をへし折って器具を挿入するシーンなどでも、「ゴリゴリ!」と生々しい音がする。後半に登場する人工呼吸器の「フゴー! フゴー!」という音も、普段の生活音と明らかに違う音で不快感を煽る。やっていることは医療行為なのだが、医療ドラマのような小奇麗さはない。ただただグロテスクな雰囲気で、人が感染症にかかると、こうなってしまうのかと、普通の闘病記作品より、恐ろしさを感じることだろう。 また、この作品では、娘の破傷風を通じての、“家族の崩壊”も魅力のひとつだ。娘の症状が進行していくごとに、看病する側も、明らかにおかしくなっていく。特に母親の邦江がノイローゼ気味になり、病室で果物ナイフを持って「治療をやめて!」と暴れるシーンや、その後怖くなり、病室に入れなくなるシーンなどは、看病する側の追い詰められている感じが、強烈に出ている。邦江を演じる十朱幸代の表情が、看病が長引くにつれ変わっていくシーンはかなり恐怖だ。人から人へ破傷風が伝染することはないと医者に何度も説明されているのに、「顎が動かない」と破傷風が移ったと主張する場面の表情などは、もう最初とは完全に別人のようになっている。 父親の昭を演じる渡瀬恒彦も同様に、段々と人間味を失っていく表情が印象的。娘に発作が起きる度に、病的な顔を浮かべて院内を走り回る光景は、かなり緊迫感がある様子で描かれており、観るこちら側まで、「また何かあったのか」と、つられて疲れて来てしまうほどだ。最終的には邦江が「(娘を)産まなければ良かった」とまで言い放つが、この言葉に思わず納得してしまいそうな気持ちにすらなってしまう。 最終的に娘の昌子の症状は回復に向かって、ハッピーエンドでこの映画は終わるのだが、特に感動的というわけでもなく、呼吸器が取れた後の昌子の「チョコパン食べたい」という言葉にホッとする程度だ。しかもそれまでの間、この作品では、苦痛や恐怖、狂気を観続けることになる。ホラー映画なら、恐怖を感じさせつつも、暗に笑いを誘発する演出や、箸休め的なシーンもあるが、この作品にそんなものは存在しない。観終わって残るものと言えば「破傷風って怖い病気だな…」というイメージくらいか。爽快感はないが、心にズシンとくる作品だ。おそらく現在なら自主制作でもない限り、こういったタイプの映画は制作されることはないだろう。当時の映画文化の豊かさを噛みしめつつ、この作品に恐怖してもいいかもしれない。(斎藤雅道=毎週金曜日に掲載)
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その他 2015年09月13日 12時00分
【幻の兵器】潜水艦の輸送能力を増大させる物資輸送カプセル「運貨筒」と「運砲筒」
ミッドウェー海戦から2か月後の1942年8月、米海兵隊がガダルカナル島へ上陸し、日本海軍が同島に開設したばかりの飛行場を占領した。海軍は米軍による飛行場占領を極めて深刻に受け止め、日本陸軍と協力して奪還を試みた。ところが、ガダルカナル島への海上輸送に必要な輸送船が不足していた上、当然ながら島の飛行場を基地とする米航空部隊による空襲が予想された。 事実、空母機動部隊による支援(第二次ソロモン海戦)にもかかわらず敵航空部隊の攻撃はし烈を極め、増援部隊を乗せた船団が敵機の空襲を受け、輸送船と駆逐艦が撃沈されている。そのため、日本海軍は輸送船によるガダルカナル島への物資輸送が不可能になったと判断し、高速の戦闘艦艇に補給物資を搭載して敵の制空権下を強行突破することとした。 戦闘艦艇による海上輸送はネズミ輸送と称され(米軍は「東京急行」と呼んだ)、多くの将兵と補給物資を揚陸している。だが、南太平洋海戦以降はガダルカナル島近海の警戒がいっそう厳しさを増したため、水上艦艇による輸送と並行して潜水艦も輸送作戦に投入することとなった。もちろん、潜水艦の搭載能力は非常に限られており、食料や軽武装の兵員を輸送するのが精一杯だった。 潜水艦輸送は「丸通」と呼ばれていたが、潜水艦の小さなハッチから物資を運びだしている間はほぼ無防備に近い状態で、付近を警戒していた駆逐艦はもちろん、魚雷艇に発見されただけでも艦の生存が危ぶまれるという有り様だった。そのため、潜水艦の輸送能力を増大させるという意味も含め、日本海軍は曳航式の物資輸送カプセルを投入した。輸送カプセルは運貨筒と呼ばれ、大中小の三種類が製造された。 運貨筒の開発経緯や能力については不明な点も多いが、もっとも大きな大型運貨筒の搭載能力は十数トンで、停止している間は海面上に浮かんでいるが、曳航されると本体のヒレによって海面下に沈む構造だった。運貨筒は1942年秋ごろから開発されたとみて問題はないだろうが、時期よっては日本海軍が実際に輸送作戦を開始する以前から潜水艦の物資輸送に関する様々な問題を認識していたことになる。とはいえ、ガダルカナル島から撤退した後に大型運貨筒の実験を行っていたという証言もあり、実戦での運用情況も含めて未解明部分の多い兵器といえる。 また、運貨筒は潜水艦の水中運動性能を著しく損なううえ、洋上で切り離された後には上陸用舟艇等で海岸まで運ぶ必要があったため、運用性という点では大きな問題を抱えていた。そこで、甲標的(小型の特殊潜水艦)の船体構造を利用して、短距離ながら自力航行が可能な特型運貨筒が開発された。特型運貨筒の構造は原型の甲標的とほぼ同じだが、動力が魚雷用エンジンに換装され、概ね25トンの搭載能力を有していた。外形は筒状の船体に煙突状の操舵室がくっついたようなもので、潜水艦によって運搬されるため水密耐圧構造も備えていたが、水中航行能力は無かった。開発は1942年末に終了し、翌年から量産が始まったとされているが、同時期には日本軍がガダルカナル島から撤退しているため、主にラバウルやニューギニア方面での輸送作戦に使用したのだろう。 そのほか、火砲を始めとする重火器を揚陸するための機材が求められたため、特型運貨筒に続いて、魚雷を動力として使用する運砲筒が開発された。運砲筒は箱型の艀に魚雷が取りつけられたような外見で、運貨筒や特型運貨筒のように搭載物を本体内部へ収納するのではなく、上陸用舟艇のように本体の上へ固定して運搬する。搭載能力は重量にして約15トンとされ、陸軍の15センチ榴弾砲なら砲弾を含め3門まで、野砲なら4門まで搭載可能だったとされている。ただし、より大型の重砲を搭載すると、予備砲弾はあまり搭載できなかっただろう。 開発着手から半年後の1943年夏にはラバウルに50隻の運砲筒が運び込まれ、ニューギニアやソロモン方面における輸送作戦に投入された。運砲筒による火砲の輸送作戦は極めて順調に行われ、作戦中には喪失しなかったというのだから、大きな成功を収めたとみてまちがいないだろう。また、翌44年にはグアム島への輸送作戦も実施されているが、この時は海中で火砲が脱落してしまったり、輸送中の潜水艦が撃沈されたため、目的地には一部の火砲が到達したのみである。 敵に制海権や制空権を奪われ、孤立した沿岸拠点へ物資を送り届けるという意味において、運貨筒や運砲筒は必要にして十分な能力を備えており、またその運用実績も悪くはないといえるだろう。運貨筒によってもたらされた食料は多くの将兵を飢餓から救ったし、また運砲筒によってもたらされた火砲によって、少なからぬ数の将兵が火力支援の恩恵を受けたであろうことはまちがいない。だが、根本的には敵に制海権や制空権を奪われ、孤立した沿岸拠点において戦い続けるという情況設定自体に問題があるといえないだろうか。(隔週日曜日に掲載)
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その他 2015年09月11日 12時00分
【不朽の名作】熱狂ファンであればあるほど裏切られた感の強かった「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に」
ようやく『新世紀エヴァンゲリオン』のHDリマスターブルーレイボックスが先月末に発売されたということで、今回は通称“旧劇場版”と呼ばれる1997年公開の『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』を紹介する。 95年秋から翌年春まで放送されたテレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』は、当時アニメファンの間に留まらない絶大なブームを呼び、その強い支持を受け、本編最終回とは別の結末を描くという触れ込みで本作は制作された。内容は良くも悪くも色々な意味でショックを与えるものだった。 作中に散りばめられていたらしい謎の解釈については、当時からかなり多数の考察本が出ていたので、ここでは語らないとして、この作品、おそらく熱狂的なファンであればあるほど、裏切られた感の強かったストーリーなのではないだろうか。 本作の公開前に先がけて放映した、『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』という地上波放送時の総集編に新規カットを挿入した映画の最後に、本作の先行カットが流れ、これは凄い作品になりそうだという期待感でファンのハードルは青天井に上がっていた。これで、ハードルに思い切りブチ当たったり、意表をついて下をくぐったりする展開なら、ある程度ファンも納得がいくのだが、この作品はそもそもそのハードルを避けた印象があるのだ。 まず、この作品に爽快感は皆無と言っていい。終始自分で決断できない、主人公・碇シンジを見せられ、こちらの不快感は時間を経るごとに溜まっていく。というより最後までシンジが活躍するシーンはない。ただただ周りに振り回されて、なにも決断せずに結末へという感じになってしまう。最後だから派手にやれとは言わないが、ネルフ本部が襲撃されて大変なことになっている状態でこのやりとりが続くので、もうイライラがとにかく溜まってくる。地上波放送時からさんざん観てきた結果が、この鬱屈感ではさすがにこたえる。 唯一この作品で爽快感を感じるのは、エヴァ弐号機が戦う場面くらい。この部分の動画は、おそらくアニメ史上でもかなり印象的な演出になっているが、本当にそこくらいで、後は劇中のシンジの言葉を借りれば「もう嫌だ」と思うような展開が延々と続く。 肝心のシンジが乗るエヴァ初号機の活躍に関しては全くないというのがまた、この作品の凄いところだ。どんなことがあっても、最後くらいは活躍するはずと淡い期待を持って観ていた人を、散々もったいぶって登場した後に見事裏切ることになる。 さらに後半は実写を織り交ぜた演出で、地上波最終回のような精神世界の表現が続く。多少やってもいいが長過ぎるのはちょっと考えものだ。しかも、当時のファンを揶揄するような、ネットの反応や劇場の観客を映し出したシーンなどもある。真相がどうだとしても、ファンを逆なでするような要素が十分で、当時のファンからすれば、怒りすら込み上げてくる人も多かったのではないだろうか。 「スターウォーズシリーズ」を例にあげると、エピソード4〜6の旧3部作に比べエピソード1〜3新3部作が納得いかないという内容で、『ザ・ピープルVSジョージ・ルーカス』というドキュメンタリー映画が制作されることすらあった。ファンの意見や主張は、人気作においては、強烈になることが多い。スター・ウォーズに関してはファンが、「これはおかしい」、「これは納得行かない」と疑問を抱き出したのは1999年公開の『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』からで、旧三部作の最終作とはだいぶ年月に開きがあるが、エヴァはこの流れが短期間に出た印象がある。なぜなら、地上波の25話と最終回時点で既に「これは納得行かない」という意見があったからだ。 この後にまたファンの物議をかもす作品を制作すると、その次は「ふざけるな!」あるいは「バカにするな!」という心境に変わっていく。この心境の変化は、エヴァの数年後にブームとなりドラマ・映画で展開した「踊る大捜査線シリーズ」の『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』(2003年公開)以降のファンの怒りにも共通していることだろう。この作品でも『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』の時点で「どこかおかしい」と主張するファンが増え、2010年公開の『踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!!』の展開で「ふざけるな」と思い始めたファンが多いのではないのだろうか? おそらくこの劇場版の内容で、一時期この作品から離れ、パチンコブームの後押しを受けて制作された新劇場版の公開で同シリーズに戻った人も多いはず。 当時エヴァは「深い設定」、「世界観が良い」、「哲学的」などなど、芸術性みたいなものを押し出す特集も多かった。それでも地上波放送時は「エンタメ性」も忘れず、派手な戦闘などわかりやすい、観ていて単純に面白い演出もあった。しかし、劇場版では「エンタメ性」を捨て去ってしまったような状況になっており、ずっとついてきたファンの少なくない人数を裏切る形となってしまった。それは2009年公開のリメイク劇場版第二弾である『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』の評価の高さを見れば明らかで、主人公のシンジに文句を言いつつも、なんだかんだで、エンタメとしての爽快感のある、ヒロイックな主人公を求めていた証明でもあるだろう。 異論を承知で言うが、この旧劇場版では碇ゲンドウに注目していると面白いかと。地上波放送時では大層な事を言っていた割に、結局妻の碇ユイが忘れられなくて、再会するためにこんなとんでもない事をやらかしてしまったという、どうしようもないクソオヤジっぷりがかなりの萌ポイントになっている。最後の最後でシンジに「すまなかった」と謝罪するあたりも結構どうしようもなさが出ていて、人間って年取ってもダメなんだなという微笑ましさすらある。おそらく昭和の熱血主人公なら、本編中で息子が一発ぶん殴って解決か、親子で壮絶なバトルをするのだろうが、微妙な位置を維持して最後にこうなる辺りが、エヴァらしいのかもしれない。(斎藤雅道=毎週金曜日に掲載)
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その他 2015年09月07日 12時00分
【コンピューターゲームの20世紀 57】温かみのあるドット絵でPS屈指の名作RPGとなった「ポポロクロイス物語」
約40万本を売り上げたプレイステーション(以下PS)初期の名作RPG『ポポロクロイス物語』。本作はその全てがドット絵で描かれており、PSという当時の最新ハードでありながら、あえて流行りのポリゴンに走らなかった点は、特にオールドゲーマーを中心に高く評価された。先ごろついに発表された『ドラゴンクエストXI』でも、3DS版の下画面にはファミコン版やスーパーファミコン版を彷彿とさせるドット風表示が可能という点が大きな話題を呼んだことは記憶に新しい。ファミコンやホビーパソコン等で育った世代にとって、ドット絵というのはそれだけで妙な安心感を得られるものなのかもしれない。 コンピューターゲームの映像表現は、まさに日進月歩の勢いで進化を続けてきた。しかしながら、グラフィック性能の向上が必ずしもゲームそのものを面白くするとは限らないのは周知の事実である。仮にFPSやオープンワールド系の作品であれば、臨場感をより高める効果があるので素直に喜べる。が、それも時と場合によるということ。たとえばDQのナンバリングタイトルがいきなり全編実写になっても戸惑ってしまうだろう。その逆で、『24』のようなシリアスなドラマが予算の都合で途中から紙芝居になったら別の意味で全米が泣く。ポポロクロイス物語のドット絵が評価されたのも、作品にうまくマッチしていたからだろう。 閑話休題。本作のドット絵は非常にハイレベルで、笑う・泣くなどの細かなモーションがうまく表現されている。また、ストーリーに直接的な影響を及ぼさない村人などのモブキャラについても実に表情豊か。さらに彼らが話す内容も事あるごとに更新されるという凝りっぷりだ。同じことをただひたすら念仏のように繰り返す不気味な住民は誰一人として存在しない。従来のRPGに比べて世界はそれほど広くないが、その分だけ1つ1つが丁寧に作られている印象だ。ストーリーが進むたびに街や村に戻って、住人1人1人に話しかけた方も多いのではないだろうか。この没入感は見事と言うほかない。 このように、本作は世界観の作り込みが素晴らしいだけでなく、主人公のピエトロ王子と旅を供にする各キャラも個性がハッキリしているために、どのキャラにもスムーズに感情移入でき、それぞれ人気が高かった。2Dの雰囲気を壊さない程度に挿入されるアニメーションも極めてハイレベルである。また、全体的にほのぼのしたテキストが多く、作品全体に優しさが漂っている。これが女性ファンも多かった理由の1つだろう。 オーソドックスなRPGなので、システム面については特段珍しい仕掛けが用意されているわけではない。誰でも安心して楽しめるというのも本作の良さの1つなのだ。ただ、戦闘に関してはやや独特である。エンカウントするとフィールドに敵が表示され、そのまま戦闘シーンに早変わり。段差や障害物はそのままなので、キャラの位置取りが重要となる。たとえば防御力が高いキャラを前面に押し出して壁とし、また遠隔が得意なキャラについては後方で支援に当たる…といった具合に、ちょうどSPRGのような感覚。雑魚相手でもそれなりの戦略性が求められ、楽勝かと思われた通常戦闘であっても少しでも判断を誤ればあっという間に全滅してしまうなかなかシビアなバランスで、狭い通路で敵と遭遇した場合は味方が邪魔になったりと、戦闘に関してはやや難ありと言わざるを得ない。 一方、本作の正式な続編である『ポポロクロイス物語II』では戦闘の難易度が大幅に緩和されたものの、逆に物足りなさを感じるレベルに。その中間の難易度を誇るのが本作とIIの間に発売された『ポポローグ』だ。ローグライクゲーム(不思議のダンジョン系)に類する作品ということもあって、戦闘のバランスに関して言えばシリーズではこの作品が一番優れている。外伝的な作品だが、ストーリーは他2作に勝るとも劣らない内容なので、ポポロ好きならプレイしても損はないだろう。 ちなみにPS1で発売されたポポロシリーズは2D作品ということもあり、いずれの作品も戦闘シーン移行時の読み込みが皆無であった点も大いに評価されたのだが、シリーズ初の3D作品となったPS2『はじまりの冒険』についてはロード時間が非常に長く不評を買うことに。ストーリーはそこそこ評価されはしたものの、戦闘が始まるまでに10秒近くのロード時間を要し、さらに戦闘中にもたびたび読み込みが発生。そして戦闘終了後にも10秒…。これではストーリーの良さもイライラでかき消されてしまう。その続編『月の掟の冒険』ではさらにロード時間が長くなるというまさかの展開に、多くのファンが離れていってしまった。懐古厨と言われようが、再びドット絵のポポロを見てみたい今日この頃である。(内田@ゲイム脳)■DATA発売日…1996年メーカー…ソニー・コンピュータエンタテインメントハード…プレイステーションジャンル…RPG(C)1996 Sony Computer Entertainment Inc.(C)YOHSUKE TAMORI
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その他 2015年09月04日 12時00分
【不朽の名作】ゴジラファンの間でも人気の高い「ゴジラVSビオランテ」
去年7月に、米国版ゴジラ、『GODZILLA』の公開記念として、CS日本映画専門チャンネル企画による、ゴジラシリーズ全28作品のベスト1を決める「ゴジラ総選挙」の結果発表が行われた。その総選挙で、1954年に公開された初代『ゴジラ』を抑えて、1位を獲得した作品があった。それが今回紹介するシリーズ17作目で1989年公開の『ゴジラVSビオランテ』だ。 ゴジラシリーズとひとまとめにされるが、年代によって作品の雰囲気は、大きく違ったものとなっている。84年公開の『ゴジラ』から、95年公開の『ゴジラVSデストロイア』までをいわゆる「VSゴジラシリーズ」と呼ぶが、今回紹介する『ゴジラVSビオランテ』はVSシリーズとしては2作品目となる。84年版『ゴジラ』で久しぶりに「人類への脅威」として描かれ直されたゴジラをどう料理するか、公開前からこの作品には大きな期待がかけられていたはずだ。結果としては、より良い方向に向かったと断言して良いだろう。 54年公開の『ゴジラ(初代ゴジラ)』から始まる「昭和ゴジラ」と呼ばれるシリーズは、後半に行けば行くほど予算の都合で、建物破壊描写の少ない、荒野での怪獣プロレスに終始する作品が増え、さらに当時の「ウルトラマン」ブームにのっかる形で、ゴジラを完全に善玉キャラとした、子供向け傾向の強い作品が増えていった。そして、だんだんと人間ドラマの部分は軽視されがちとなり、これはこれで楽しめるが、少し物足りないという状況が続いていたのだった。初代ゴジラの誕生理由が、当時社会問題となっていたビキニ環礁の核実験に着想を得てということもあり、当初ゴジラシリーズは、極めてメッセージ性の高い作品であった。その影響で、ゴジラを中心とした、シリアスな人間ドラマの部分も作品を彩る重要な要素だったのだが、やがてその魅力は忘れ去られていくこととなり、その流れを払拭したのが84年版『ゴジラ』だった。そして、『ゴジラvsビオランテ』はさらに細かい部分まで手を入れ、シリーズの重厚感をより増すことに貢献した。この作品がゴジラシリーズのなかで、際立って評価が高いのは、ストーリー展開がしっかりしており、“大人も楽しめる”という、後のVSシリーズの方向性を決定づけた作品であるということが大きな理由のひとつとなっている。 まず、今後のVSシリーズの重要なポイントとなる「ゴジラ細胞」という解釈が完成した。これはそもそも核エネルギーを内部に取り込んでいるゴジラはなぜ被曝しないのか、ミサイルやメーサー砲の攻撃を受けてもなぜビクともしないのかという事に、一応の理由付けをするものとなった。そして、このゴジラ細胞に関係した形で、ビオランテ誕生のエピソードを入れることにより、劇中で緻密な人間ドラマを展開させることにも成功したのだ。 この作品でのゴジラの対戦相手の怪獣となるビオランテだが、前記したゴジラ細胞と植物のバラに、人間の遺伝子を組み込むことで完成した怪獣となっている。この人間の遺伝子の提供者が、劇中でゴジラ細胞をめぐるテロ行為により命を落とした沢口靖子演じる白神英理加で、組み込んだのは英理加の父親にあたる高橋幸治演じる遺伝子工学の世界的権威、白神源壱郎博士だったという形で、ビオランテの誕生理由が、初代ゴジラの、核の脅威に関するテーマとは違うが、遺伝子工学や、バイオテクノロジーの発達した当時の世相を強く反映した形となっている。この部分を説明するには、やはり人間への描写が不可欠で、結果的にそうなったのかも知れないが、ゴジラの活躍以外にも、面白い要素を提供している。 もちろん肝心のゴジラの登場シーンもかなり印象深い。この作品、シリーズ中一番といってもいい程にゴジラの登場をもったいぶるのだ。しかも、ただ出さないだけではなく、三原山の火山活動でゴジラ移動の痕跡が確認されたり、超能力訓練中の子供が一斉にゴジラの絵を描き始めたりと、散々ゴジラの影を感じさせつつも、なかなか登場しない。ようやく登場した時には、劇中でゴジラが出てこないと自身の存在意義が無くなってしまうと焦れていた権藤一佐のように、歓喜することだろう。 その後の自衛隊との対決は、後の作品に登場する、Gフォース開発の大型対ゴジラ兵器を除けば、VSシリーズでの人間対ゴジラの戦闘シーンで一番派手と言ってもいいかもしれない。シリーズおなじみの通常兵器の他に、ゴジラの熱線を反射して攻撃することが出来る「スーパーX2」や「サンダーコントロールシステム」という電撃攻撃をする装置などが活躍する。とはいっても、これらの兵器も峰岸徹演じる権藤一佐に活躍に比べれば霞む。権藤一佐は、ゴジラ細胞を利用して作った、ゴジラ体内の核物質を食べる事でゴジラの活動を停止させる「抗核エネルギーバクテリア」を、生身でゴジラの口に直接撃ちこむのだが、その時の、「薬は注射より飲むのに限るぜ、ゴジラさん!」のセリフは、この作品一番の名セリフと言っていいだろう。 実はこの作品、ゴジラVSビオランテというタイトルだが、肝心のビオランテとの対決は数分しかない。とはいっても、ビオランテに見せ場がないという訳ではない。この怪獣には誕生直後の「花獣形態」とゴジラの熱線エネルギーを取り込んだ「植獣形態」という2タイプがある。花獣形態は不気味な巨大バラという感じで、植獣形態は、植物の体にキバを生やした巨大なワニのような頭部が特徴だ。このビオランテの植獣形態は、植物のゴジラとも言える造形で、個人的にはシリーズでも1、2を争うデザインの良さだと思っている。しかも、多数の触手をピアノ線で釣り上げた状態で、本体もかなりの重量がありそうなこのギニョール(人形)が、劇中ではド迫力で動くシーンなどもある。他にも、触手の動きや、鳴き声などが特徴的で、わずか数分の登場でありながら、強烈なインパクトを残すのだ。ちなみに、ファンにとっては黒歴史となっている最後の昇天シーンもある意味では強烈だ。あれを最初見た時は思わず笑ってしまった。 とは言うものの、この作品は元々ゴジラ好きの人であればあるほど評価の高い傾向がある。ゴジラ映画の入門作としてこれを選ぶと、なかなかゴジラが登場しないこともあり、もしかすると微妙な作品だという印象をもってしまうかもしれない。入門作品としては54年公開の初代『ゴジラ』か、もしくはVSシリーズの初作品である84年版『ゴジラ』。怪獣バトルを中心に見たいのであれば2004年公開の『ゴジラ FINAL WARS』から観ることをオススメする。何作品か見て。ゴジラ映画の面白さをわかった時こそ、この作品が魅力あるものに見えてくるかと。(斎藤雅道=毎週金曜日に掲載)
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その他 2015年09月03日 14時30分
ラクダ肉のステーキなど激レアな肉料理に出会える「TOKYO 肉バル220」
「とにかく肉が好きだ」、または「お酒と一緒に肉を食べたい」という人にオススメの店がある。都内の世田谷区祖師ヶ谷大蔵駅近くのウルトラマン商店街にある「TOKYO 肉バル220」だ。 先月の28日にオープンしたばかりの同店では、国内外から厳選した牛肉、豚肉はもちろんのこと、ダチョウの肉やカンガルーの肉、ワニの肉など、時期ごとに日本ではあまり口にすることの出来ない、貴重な肉を提供している。肉をメインとした料理ということで、仕事帰りにちょっと肉と酒を楽しみたいという30〜40代の男性に人気が高いという。 「バル」と店名にある通り、軽食とお酒を楽しむスペイン風の居酒屋「スペインバル」を意識した作りとなっており、肉に合うワインの数も豊富だ。なかでもオススメなのが、肉料理専用のワインとして最近注目を集めている通称“黒ワイン”と呼ばれる「CARNIVOR(カーニヴォ)」で、濃厚な味が、あらゆる肉料理の美味さ引き立てる。 貴重な肉としては同店では「ゴジラの手」という通称で呼ばれるワニの足付きの「ワニの唐揚げ」(780円)なども、見た目のインパクトも抜群で美味しいのだが。それ以上に日本ではなかなか食べることができない、「ラクダステーキ(180グラム 1.300円)」に注目してもらいたい。 ラクダの肉は国内では殆ど流通しておらず、肉の仕入れ担当者の話によると、ラクダの肉は、オーストラリアが主な取り扱い先だそうだが、殆どが中東で消費されてしまうため、同店でも入手するには1か月ほどの時間が必要だという。今回の取材ではラクダ肩ロース肉のステーキを偶然食べることが出来たが、普段は同店でもタイミングが合わないと食べることが出来ない、激レアな肉だそうだ。味は、牛肉よりさらに濃厚な感じで、黒ワインとの相性が抜群に良いので、ワインが好きな人にはかなりオススメな肉だ。 さらに肩ロース以上に貴重なのがラクダの「ランプ肉」だそうだが、そちらの部位は肩ロース以上に入手が困難で、同店担当者の話によると「入手できる確率は奇跡に近い」とのこと。奇跡とはいえ、絶対に仕入れ不可という訳ではないそうなので、もしかすると、偶然来店した時にあるかもしれない。 正統派の肉としては、アンガス牛のプレミアムリブロースなどがオススメ。とにかく柔らかく焼きあがっており、口に入れるとすぐにとろけてしまう程で、同店でも一番人気の肉だそう。豚肉としては「AVOTONのグリル」が美味しい。「AVOTON(アボトン)」とは。メキシコでアボカドだけを食べて育った豚の肉で。甘くとろけるような食感が特徴だ。さらに成分的には「オレイン酸」という不飽和脂肪酸(体に吸収されにくい脂肪分)がたっぷり含まれているとのことで、健康的で美味しい豚肉となっている。 他にも「ダチョウのたたき」や カンガルーの肉(ルーミート)を使った串焼きなど、ありとあらゆる種類の肉料理が揃う。季節のよって鹿やイノシシの肉なども提供を考えているとのことで、来店すれば新しい肉料理の世界を体験できることだろう。(斎藤雅道)
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その他 2015年08月30日 12時00分
【幻の兵器】日中戦争で中国軍が戦車と誤認したキャタピラを持つ鉄道用装甲車「九五式装甲軌道車」
九五式装甲軌道車は1935年(昭和10年)から開発された兵器で、試作は陸軍ではなく東京瓦斯電気工業が担当した。陸軍技術本部第二部部長の松井命中将が発案し、具体的な開発作業は担当官の深山少佐が行ったとされているが、部長発案というのは名目上のことに過ぎない可能性がある。さておき、九五式装甲軌道車はいささか特殊な目的を持つ車両だったため、当初から軌道(レール)上も軌道の外も走行可能である事を前提に開発された。そのうえ、軌道外では高い不整地走行能力を要求されたため、開発当初から装軌(キャタピラ)式車輌となることも決まっていた。 通常は軌道上に障害物が無いという前提で列車を運行させるが、戦場ではそのような前提は意味をなさない。また、ブレーキを解除した無人車両を暴走させ、軍用列車にぶつける突放(とっぽう)戦術も警戒しなければならなかった。そこで、戦地で鉄道を運行する際には装甲を施したトロッコなどを先行させ、あらかじめ軌道上の安全を確保するのが常識だったが、それでは軌道とその限られた周辺を偵察するのみで、沿線に潜む敵を発見することは困難だった。 そのため、軌道上と軌道外の両方を走行し、さらに不整地踏破能力をも有した偵察車両が必要だったのである。当時、日本軍は九○式と九一式広軌牽引車という軌道上と軌道外の両方を走行可能な装輪(タイヤ)式車輌を装備しており、また他国にも同様の車両はかなり存在している。日本の広軌牽引車も含め、これらの装輪式軌道車の大半は路上走行用のタイヤを軌道走行用の鉄輪と交換することで、路上と軌道上の両方を走行可能としていた。 だが、軌道上を走る装軌式車輌の例は少なく、さらに実用化された例は極めて少ないのだ。また、装輪式軌道車ではタイヤと鉄輪を交換したが、九五式装甲軌道車では軌道上走行用の特殊キャタピラ等を必要としなかった。実際、駆動関係の開発には大きな困難が予想されており、開発当初は実現不可能とさえ考えられていた。だが、関係者全員の創意と努力によって難問を克服し、世界にも例を見ない独創的な車両を開発したのである。 九五式装甲軌道車はキャタピラと別個に軌道走行用の鉄輪を備えており、軌道外を走行する時は鉄輪を車内に格納していたのである。そして、車内からの操作で車体下部に収納されている鉄輪を下ろすと、直ちに軌道上の走行が可能となった。しかも、軌道上から軌道外へ、あるいはその反対の切り替えも極めて迅速で、わずか40から60秒で軌道上から軌道外へ出る事が可能だったとされている。同様に軌道外から軌道上への切り替えも速やかに行うことができ、車外からの誘導がある場合は1から3分で作業を完了した。 そのうえ、軌道上の速度は時速72キロに達しており、また出力に余裕があったので九一式貨車を牽引することもできた。また必要に応じて車輪の間隔を変化させることが可能で、異なる四種類のレールゲージ(軌道の幅)に対応することができた。具体的にはビルマをはじめとする当時のイギリス植民地で使用されていた1000ミリ狭軌、日本で採用した1067ミリ軌道、国際標準軌とされていて満鉄も採用した1435ミリ軌道、そしてロシア広軌である1524ミリ軌道の四種類である。このため、九五式装甲軌道車は中国以外でも問題なく使用可能で、狭軌の鉄道が敷設されていたビルマでも少数が活躍している。 車体そのものは九五式軽戦車よりひとまわり大きく、とりあえず小銃弾に耐えうる装甲防御力を備えていた。非常に使い勝手のよい戦闘車輌だったが、固有の武装をもたないため攻撃力は極めて不足していた。車体には銃眼が設けてあり、そこから乗員がライフルや機関銃を射撃することになっていたのである。というのも九五式装甲軌道車は主に工兵機材を開発する陸軍技術本部第二部の所轄であり、車両及び銃器火砲弾薬を開発する陸軍技術本部第一部の協力が得られなかったのだ。確かに、もし九五式装甲軌道車が重機関銃などを装備していたなら、より完成度の高い兵器となっていたことは間違いない。しかし、開発目的からも九五式装甲軌道車は火力をそれほど重視していなかったのである。 戦場において、中国軍は九五式装甲軌道車を戦車と誤認することが多く、しばしば大きな心理的効果を生んだ。たとえば、日中戦争時に九五式装甲軌道車が前方に中国軍の装甲列車を発見し、軌道外へ出て側面に回りこんだところ、敵は突然出現した「戦車」に驚いて列車を捨てて逃げ走った。結局、九五式装甲軌道車が敵の装甲列車を捕獲したというのだ。最終的に、九五式装甲軌道車は56両が完成、中国大陸を中心に各地でアジアの各地で活躍した。また、戦後に米軍が九五式装甲軌道車を本国に持ち帰った他、中国の北京軍事博物館にもが展示されているという。(隔週日曜日に掲載)■九五式装甲軌道車データ重量:自重8.7t乗員:6名(筆者注:実際は3〜4人だったのではないか?)寸法:全長4.53m、全幅2.50m、全高2.54m(軌道上)/2.45m(軌道外)動力:空冷4サイクル6気筒ガソリン84馬力装甲:(車体)前面8mm、側面・後面6mm-4mm (砲塔)前面6mm、側面・後面6mm武装:本文参照最大速度:軌道上(単車)72km/h 軌道上(列車牽引)40km/h 道路上30km/h 路外20km/h
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