A:おそらく逆流性食道炎と思われますが、まずはすぐに病院へ行って診察を受けてください。ここでは、逆流性食道炎と想定して、アドバイスをします。
この病気は、なんらかの原因で胃酸が逆流して、そのために食道が炎症を起こすもの。胸焼け、胃酸の逆流などの症状があり、他にも吐き気、嚥下障害、げっぷ、胸痛、咳、喉の異常感などがあります。
●決して珍しい病気ではない
原因は、胃と食道の間にある括約筋が緩んだために、胃酸が胃から食道に逆流して食道の粘膜を刺激するからです。
決して珍しい病気ではないし、吐血する場合も少なくありません。食道の粘膜がただれ、そこから出血するのです。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍、食道静脈瘤などでは、明らかに真っ赤な血液を吐く傾向が強くあります。
一方、逆流性食道炎はそれらとは違い、出血量が多くなく、真っ黒なサラサラした液体を吐くことが多いのです。少量の血液が胃酸と混じると酸化され、血液の赤い色が黒色に変化するからです。
ちなみに吐血には、この他にマロリー・ワイス症候群があります。大量に飲酒して、その刺激が過度となり、胃酸が食道へ逆流するために起こります。
●食生活とストレスの見直しを
逆流性食道炎は、もともと、括約筋の機能低下が起こる60歳代以降に多い病気です。年代的には高齢者によく見られますが、最近では若い人にも増えてきました。
かつては欧米に多くみられ、日本人には少ない病気でした。それが若い人に増加してきた原因の一つとして、欧米型の脂っぽいものが多い食生活にあると考えられています。
肉中心の食生活は、どうしても脂肪分を多く摂る傾向があります。それを消化するために、胃酸の分泌も増加します。そんな食事を続けると、胃酸が分泌されやすくなり、逆流性食道炎が発症しやすくなります。
このほか、ストレスも胃酸の分泌を促進するので気を付けて下さい。ご質問の方は、まずは食生活とストレスを見直して下さい。
脂っこいものが多い食生活を送っているならば、和風の食事中心に切り替えるようにお勧めします。
また、日々のストレスは翌日に持ち越さないよう、気分転換に努めましょう。
牧 典彦氏(小山病院院長)
自律神経免疫療法(刺絡)や加圧トレーニング、温熱療法、オゾン療法など保険診療の枠に捕われずベストな治療を牧病院(大阪市)で実践。小山病院(大阪市)院長。