A:早食いは、脳の満腹中枢に刺激が到達する前にどんどん食べてしまうので、気をつけなければいけません。
脳の視床下部には、人に食べるのを命令する摂食中枢と、食べるのを止めさせる満腹中枢とがあります。この2つの中枢の働きで、食欲はコントロールされているのです。
それぞれの中枢に働きかけるのは血糖、つまり血液中の糖(グルコース)です。血糖値が低下すれば空腹を感じ、上昇すると満腹となります。
摂取した栄養のうち、一番先にエネルギーとして使われるのが糖質です。炭水化物(白米、うどん、お好み焼き、パン、焼きそば、そうめん)などの穀類に多く含まれており、すみやかにグルコースに変換されます。
特に、精白した穀類は糖質の割合が高くなります。
●血糖値の急上昇がよくない
ですから、炭水化物食品を早食いすると、血液中にグルコースがすみやかに取り込まれ、血糖値が急激に上昇します。つまり、食後高血糖をもたらします。放置しておくと、大変な状態になりかねません。すでに、心筋梗塞や脳卒中を招きやすくなることがわかっています。
血糖値の急上昇は、血管に負担をかけます。血糖値を下げるために、インスリンがたくさん必要となるため、それを分泌する膵臓まで疲れさせます。
ご質問の方は今のような食生活を続けていると、やがて本格的な糖尿病になるリスクは非常に大きいでしょう。
●できれば定食を
昼食は、できればご飯とは別に、おかずが何品かある定食にしてほしいと思います。そうすれば、血糖値が急激に上昇することはありません。
とはいえ、昼食時に安価で早く食べられ、満腹感も得られる丼物は、サラーマンの人たちにとっては魅力的ですね。急に食べないようにするのも無理でしょうから、せめて大盛りだけは止めておきましょう。
大盛り無料の店もありますが、金銭的な事よりも体のほうが大事です。
また、蕎麦は小麦が材料のうどんよりも血糖値が上がりにくいといわれます。
しかし、実際には専門店以外の店ではうどん粉(小麦)が混じっていたりします。ですから、蕎麦の大盛りを昼食時に常食とした場合は、糖尿病予防にはあまり意味はありません。ご注意ください。
牧 典彦氏(小山病院院長)
自律神経免疫療法(刺絡)や加圧トレーニング、温熱療法、オゾン療法など保険診療の枠に捕われずベストな治療を牧病院(大阪市)で実践。小山病院(大阪市)院長。