CLOSE
トップ > 社会 > 「夏の風物詩」花火大会、経済効果約2兆2590億円でも人手不足や高齢化など業界の裏事情

「夏の風物詩」花火大会、経済効果約2兆2590億円でも人手不足や高齢化など業界の裏事情

pic pic

びわ湖大花火大会オフィシャルの公式Xより

淡路島(3日)と横浜港(4日)の花火大会、2日連続で事故が起きた。札幌市は安全性への懸念を理由に、23日に予定していた大会の中止を決めるなど、事故の余波は続く。夏の風物詩である花火大会の最新事情について、14日放送のテレビ朝日系の情報番組「羽鳥慎一モーニングショー」が解説した。

花火研究家・冴木一馬氏によれば、全国で行われる花火大会やイベントの数は増えているそうで、年間1万1000回だという。しかし、花火師になる若手が減り、どこの業界もそうだが、花火業界も人手不足が最大の課題。コロナ禍で花火大会が激減したときに廃業した花火師が多かったそうだ。また、「競技会などで賞を取るような花火屋さんは人気で応募もあるが、そうでないところには応募がない」(冴木氏)と業界の高齢化が進んでいる。

花火師になるには:、花火製造会社などに就職し、見習いとして経験を積むのが一般的だ。一人前の花火師になるには、10年以上の修業が必要と言われるほど、高度な技術と知識が求められる。花火師の年収は全国平均で536.5万円だそうだ。花火会社の正社員は月給制だが、季節労働者としてアルバイト的にやっている人もいる。

花火大会はお祭りとの連携や宿泊・飲食代への波及効果など、大きな経済効果が見込める。2023年の経済効果は約2兆2590億円にも上る。しかし、資金・人材確保の問題などで、岩手の三陸花火大会(5月4日)や大阪と兵庫をまたぐ猪名川花火大会(例年8月)などが中止となっている。

「花火玉の単価は5年前の約2倍。昔は大会総予算の6割は火薬代だったが、今は警備費が6割で火薬代が約3割。安全上の理由から配置する警備員の数が増え、人件費も高騰している」(冴木氏)

直径800メートル×高さ800メートルの世界最大級の花火(4尺玉)は1発で数百万円するとのことで、大きな花火大会だと総予算で10億円にも達する。三大花火大会の1つ、「長岡まつり花火大会」の総経費は約18億円で、内訳は花火打ち上げ3億、会場設営4億5000万、安全対策・交通対策4億6000万、人件費1億となっている。

花火大会でもっとも楽しんでいるのは一般の観客だが、河原に行けば無料で見物できるものだと思っている人も少なくない。ただ、全国の主要な花火大会が106大会のうち、有料席を導入しているのはすでに83大会あるそうで、一般席の平均価格は5227円、プレミアム席の平均が3万6193円となっている。

運営経費高騰で有料化は必然の流れだが、最近はスポンサー集めを改善するためにドローンショー上演を組み合わせるなど最新技術を取り入れた工夫もなされている。インバウンドで富裕層の顧客が増えれば、今後はますます有料席の価格上昇が予想される。

関連記事

タグから探す


社会→

 

特集

関連ニュース

ピックアップ

新着ニュース→

もっと見る→

社会→

もっと見る→

注目タグいま話題のキーワードはこちら!