その他
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その他 2015年10月14日 15時30分
「うどん県」香川の魅力2 豪華華麗なちょうさが勇壮に練り歩く「ちょうさ祭り」
秋になると、香川県では様々な祭りが開催されている。香川県は現在では、ブランド米「おいでまい」などを始め、四国でも農業資源が豊かな地域だ。また、治水技術の発展以前は、農業用水の確保に頭を悩ませた時代もあった。その影響もあり五穀豊穣を願ったり、雨乞いをする祭りが多いという。この時期は普通の街中などで、獅子舞が踊る風景などに出会うことも多く、中には、見た目がとても派手な祭りなども多くある。今回はその中で毎年10月第2日曜日を最終日とし、金・土・日の3日に渡り行われる、観音寺市豊浜町のちょうさ祭りを紹介する。 同祭りの特徴は、祭りの名前にもなっている「ちょうさ」だ。このちょうさは、御みこしと山車の中間のような形で、瀬戸内海沿岸を中心に西日本一帯で多く見られる。香川県では、東の地域で獅子舞が、西の地域で、このちょうさが本場となっている。 ちょうさの装飾には大型の座布団を使い、龍や鷹の装飾を施し、ちょうさの中央に太鼓台を設置。一説によると、安土桃山時代に堺商人の出資により、現在のちょうさの装飾スタイルが完成したということで、座布団の他にも、幕や、締(しめ)と呼ばれる上部の台座でくずれを防ぐ装飾にも、金糸が豪華に使われており、見た目にも派手になっている。期間中は各地域が所有する23台のちょうさが、参加者たちの、「ちょーさじゃ!」の掛け声と共に、街や田んぼを練り歩く。祭りの担当者の話によると、観音寺市のちょうさ祭りでは、このちょうさを使って、五穀豊穣と、海が近いこともあり、大漁を願う神事も同時に行うとのことだった。 祭りの中でも盛り上がるのが、2日目の和田お祭広場での、「担きじょう」や、一宮神社での「ちょうさ担きくらべ」で、「差し上げ」という技が出る時だ。この技は、取り外し可能な太鼓台下の車輪部分を、祭りの参加者が取り外し、みこしのように担ぐというものだ。参加者たちが「せーの! せーの! そりゃ!」の掛け声で持ち上げる、約2トンのちょうさはかなりの迫力で、キレイに差し上げが成功すると、見物者たちからは歓声があがる。 現在でも一台新調すると5〜6千万円もするという、ちょうさは、それぞれの地区の歴史と伝統を受け継ぐ、誇りの象徴でもある。2日目や3日目に23台のちょうさが一同に会し、華麗に勇壮に舞い踊る風景は圧巻だ。しかし、長年祭りを見てきたベテランの人には、若干の不満があるようで、とある老齢の男性は「最近は、トラックで運んで、人の多い場所だけで、ちょうさを降ろして、騒ぐんだよ(笑)」と苦言を呈していた。(斎藤雅道)
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その他 2015年10月13日 12時30分
「うどん県」香川の魅力1 やっぱりさぬきうどんは外せない!
今年の県のテーマとして「うどん県」を自ら自称する香川県。しかし、このテーマのキャッチコピーには「うどん県。それだけじゃない香川県。」と続きがある。という訳で、今回は数回に渡り、「うどん県」香川の、うどんだけではない魅力を紹介したい。 とはいっても、まずは香川を強く印象付けている、「うどん」について解説しなければならないだろう。香川名産のうどん「さぬきうどん」は香川県民の生活の中で、特別な意味を持っている。俗にいう地元の名物のなかには、他県からお客を呼び込む観光資源で、地元の人がそれほど口にしない場合も多い。しかし、香川観光協会職員によれば、昼食で外食する場合、「今日はどこで食べる?」の意味が、「今日どこで(うどんを)食べる?」とそのまま変換されるほど、香川でうどんは、なくてはならないものだそうだ。ちなみに香川では、“焼きうどん”も、“うどん焼き”と、うどんが先に来る言葉になるという。この一点だけでも、うどん中心の文化だということはわかるだろう。 県民ごとに、うどんには並々ならないこだわりがあり、「この店では出汁で食べる」、「この店ではかきたま」など、人それぞれに店舗により、決まった食べ方があるそうだ。他にも、カレーうどんや、肉煮込みうどんなど、様々な種類の選択肢があり、県外から来た人々は迷ってしまう。では、どういった方法でうどんを食べればいいのか? この選択肢には大きく分けてふたつある。両極端な2店舗を紹介してその特徴を解説しよう。 まず、香川ではセルフと完全サービス型のふたつのタイプのうどん屋が存在する。セルフはその名の通り、客がトッピングや出汁やつゆの投入まですべてやる店、完全サービス型はよくある飲食店の機能を持っている店舗だ。このセルフ型で、地元民でもなかなか食べられないと伝説になっているのが、坂出市富士見町にある、「日の出製麺所」だ。 この店舗は、生麺の卸しを専門にしている、有限会社・日の出製麺所が、ファンの熱い希望により、昼の11時30分から、12時30分までのわずか1時間限定で、出来立ての自家製麺を使って提供している。システムは簡単で、麺の盛り大・中・小と、麺の温度が、熱めか、ぬるめか、冷なのかを伝え、店舗内にあるネギ、天かす、だしを来店客自ら入れていく。また、有料で卵や天ぷらのトッピングもでき、料金の支払いは自己申告制となっている。驚愕なのはその値段で、麺小盛りの素うどんの場合は、わずか100円しかかからない。他のセルフタイプ店でも、同店ほどではないが、安い場所がほとんどとのこと。麺をぬるめで注文し、だしをかけて一気にすするのが、地元民のスタンダードなスタイルだそうだ。 完全サービスタイプの店舗は、 香川県綾歌郡宇多津町の「おか泉」などが、有名な店舗だ。食材を店員が運んできてくれる点と、天ぷらが揚げおきではなく、あげたてのものを出しているのが特徴で、値段も若干高めに設定されている。そのかわり、だしや具材などは、各種類うどんに合わせたものを提供しており、天ぷらの衣などはつゆをぶっかけても、サクサク感を残している。 店主の岡田文明氏の話によると、麺は自家製麺で、オーストラリア産、香川産、北海道産の小麦をバランス良く調合しているという。また、天ぷらにも岡田氏のこだわりが活きており、例えば、えび天の長さなどは、自らが何度も試作して決めたそう。ちなみに、岡田氏は、地元ではなく、関西の出身。香川に麺の修行に訪れた若き日に、その魅力に取りつかれ、今に至るという。オススメは「ひや天おろし(972円)」で、出来たて麺の上に、巨大エビ天2本がそびえ立つ、冷やし天ぷらうどんだ。 人気店は連休などの行楽シーズンに行くと、長蛇の列が形成されているが、さぬきうどんの店は、麺が早く出るので、とても回転率が早い。結構な列でも20分以内で食べられる時が多いので、列が苦手な人も並ぶことをオススメする。小盛りにすれば、一日に複数店舗食べ歩くことも不可能ではないので、じっくり色々な店のうどんを味わい、お気に入りの店を見つけると、旅も充実するかと。(斎藤雅道)
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その他 2015年10月11日 12時00分
【幻の兵器】すでに陳腐化していた戦闘術を元に作られた四式軽戦車(ケヌ)に悲劇
太平洋戦争時の日本陸軍は、非力だが安価に量産可能な九五式軽戦車を主に生産しており、戦力的にはともかく数の上では軽戦車が「主力」だった。とはいえ九五式軽戦車の装甲は米軍の重機関銃にさえ対抗できず、主武装も米軍の装甲車に対抗するのがやっとの37ミリ砲であり、陸軍当局も既に戦力価値がほとんど無くなっているのは痛感していた。そのため、日本陸軍は1944年に九五式軽戦車の火力向上を主目的とした車両を試作しているが、そのひとつが四式軽戦車である。 まず、九五式軽戦車に九七式中戦車の主砲(九七式五七粍戦車砲)を装備した三式軽戦車を試作しているが、砲塔内は狭くて窮屈だったため試作のみに終わった。そこで、こんどは主砲だけではなく、九七式中戦車の砲塔を装備した四式軽戦車を製作したのである。この四式軽戦車では、九五式軽戦車に大きな九七式中戦車の砲塔を乗せるため、砲塔リングの直径を1000ミリから1350ミリに拡大している他、砲塔の換装に伴って車体の各部分にも手を加えている。 だが砲塔の搭載方法はかなり強引と言え、車体前面から見て左右の両側面はわずかずつはみ出しているほか(車体側面の膨らみは一種の増加装甲なので、本体の外側に付属しているような構造となっている)、砲塔前面がはみ出したため車体前面にある操縦手ハッチの開閉にも問題が生じたため、車体を改造して操縦手ハッチを開閉可能にした。 とはいえ、小振りで軽い車体に大きな砲塔を搭載したため、車体が不安定になった可能性もある。また、たとえ九七式中戦車の砲塔を装備して少々攻撃力を強化したとしても、九五式軽戦車の改造型である限り、敵の装甲車両には対抗できないのも明らかで、もちろん陸軍もそのことは十分に理解していた。事実、参謀本部の教育総監部が編纂した『戦車用法』において、軽戦車連隊は「敵空挺部隊の攻撃または砲兵等の挺身奇襲に任ぜしむ」とされており、少なくとも四式軽戦車を「敵機甲戦力との対決」に投入する予定はなかったと考えても問題はないだろう。 では、日本陸軍が想定したような戦闘において、四式軽戦車は有効な戦力となりえたのか、そもそも日本陸軍が想定していたような戦闘が発生しえたのかということとなると、現代に生きる我々の視点からはいささか疑問といわざるをえないかもしれない。まず『戦車用法』に登場する「軽戦車連隊」で、日本陸軍は軽戦車のみを集成した軽戦車連隊を編成したことはないものの、結果的に「軽戦車ばかりを装備した戦車連隊」はいくつか存在していた。そのため、部隊名称としては存在しなかったが、軍隊内では「軽戦車連隊」として区別して陣地攻撃能力、特に対戦車砲を撃破する能力が劣る軽戦車を支援するため、榴弾砲を装備した四式軽戦車を配備する考えを持っていたのではないか。 第二次世界大戦前には、大口径の榴弾砲を装備した戦車が敵陣の対戦車砲を撃破し、対戦車砲を装備した主力戦車の前進を助けるという戦術理論が開発されていた。実際、九五式軽戦車の三七粍砲はもちろん、榴弾の威力では、九七式中戦車改の四七粍砲より五七粍砲が上回っていたから、支援戦車としては一定の能力を期待できただろう。また、日本軍は米軍の対戦車ロケット(バズーカ砲)を非常に恐れており、先の『戦車用法』から四式軽戦車の目的は米空挺部隊に配属された対戦車ロケット班の撃破とする説もある。 また敵砲兵への挺身奇襲だが、これはノモンハン戦時における戦車第四連隊の夜襲に範を取ったものと思われるし、迂回奇襲を好んだ日本陸軍にとっては極めて正統的な戦術といえる。しかし、米軍の航空支援能力はノモンハン戦時のソ連軍と比較にならないほど高く、また日本軍の迂回奇襲に手を焼いたことから警戒陣地の構築も入念に行われるため、残念ながら成功する可能性は極めて小さかっただろうと推定される。 敵空挺部隊への攻撃についても同様で、対戦車ロケットのほかにM3A1対戦車砲や75ミリ無反動砲を備え、その気になれば英軍の空挺戦車まで投入可能だった敵空挺部隊に対し、四式軽戦車がどの程度の戦力を発揮しえたのかとなると、これまた残念ながら少々悲観的にならざるをえない。そのうえ、当時の日本軍は連合軍の空挺部隊と交戦した経験が乏しく、不正規戦闘を主任務とする軽装備部隊を相手にしているのみだ。 いずれにしても、四式軽戦車は「軽戦車連隊」の中核となる兵器といえ、単に余剰兵器の再利用と片づけられない側面を持っているだろう。この点については、今後の研究を行ううえで重要なポイントとなるかもしれない。ただし、四式軽戦車を生み出す動機となった『戦車用法』における「軽戦車連隊」の戦術が、実戦ではどの程度まで有効だったかとなると、残念ながらかなり疑問とせざるをえないだろう。というのも、日本軍が参考にしたであろう戦闘例が、当時の情況においては既に陳腐化していたと思われるのだ。 戦時中には「足らぬ足らぬは工夫が足らぬ」という標語があったが、先人達の工夫と努力には驚くべきものがあり、調査するたびに心から敬意を表したいと感じる。しかし、工夫ではなんともならないところで勝敗が決してしまうというのが、近代における総力戦の冷酷な現実と言わざるをえないのだ。 (隔週日曜日に掲載)■データ 四式軽戦車(ケヌ)重量:自重7.7t 全備重量8.4t乗員:3名寸法:全長4.30m、全幅2.70m、全高2.48m動力:空冷直列6気筒ディ−ゼル120馬力装甲:車体前面・側面12mm、後面8mm、砲塔全面25mm武装:97式57mm戦車砲1 7.62mm機銃2
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その他 2015年10月09日 12時00分
【不朽の名作】犬の演技と制作陣の本気で大ヒットした「南極物語」
今回は『もののけ姫』に抜かれるまで、邦画の興行収入で長らく1位にいた1983年公開の『南極物語』を扱う。 この作品は、1956年(昭和31年)に、日本の南極地域観測隊第1次越冬隊の奮闘と、天候や、南極観測船・宗谷の不調などにより、やむを得ず極寒の地に置き去りにしてしまった犬ぞり犬15頭のその後を描く、実話を元にした作品となっている。最近、SMAP・木村拓哉主演で、同じ題材を使ってドラマ化されたので、知っている人も多いかもしれないが、この15頭の中で兄弟犬・タロ、ジロと2頭が生き残り、第3次越冬隊として参加した犬ぞり係と再会することになる。この作品の、同じ実話が元なので、概ね同じ流れだと思ってもらっていいだろう。 本作では主役の第1次・第3次越冬隊員で、犬係の潮田暁に高倉健、他にも同じ隊員で、潮田の良き理解者である、越智健二郎役に渡瀬恒彦、越智の婚約者の北沢慶子役に夏目雅子など、豪華出演者陣が揃った作品となっている。しかし、この出演者たちも魅力も、“真の主役”の前では霞んでしまうほどだ。その、真の主役とは、犬ぞり犬を演じる犬たちのことだ。 劇中では、とにかく犬の演技が光る。大雪原を颯爽と走る姿、1頭、1頭の表情、死の危機に瀕しているときの様子など、どれを取っても、まるで本当に南極にとり残された犬のようだ。そして劇中では、犬が走りロングショットのシーンなどで、南極の雪の砂漠ともいえる、過酷な自然の途方も無い広さが、効果的に挿入されている。その絶体絶命の危機の前にして、必死に生きようとする犬の姿は、言葉は話さないが、人間ドラマ以上に訴えるものがある。もちろん、南極越冬隊が去った後の犬のシーンは、調べようがないので、ほぼフィクションなのだが、それでも、本当にそう生きていたのだろうと、ドキュメンタリーを観ているような錯覚を感じるほどだ。 しかし、人間に取り残された犬のシーンに関しては、多少過度に色づけしすぎな部分もあるので、やりすぎだと印象を受けるかもしれない。なかには、置き去りにした犬の死を美談にしすぎていると、怒りを覚える人もいるかと。しかし、まあそこは、あくまでエンターテイメント作品であるということを考慮して欲しい。 撮影の方もかなり本気だったようで、同作では雪原のシーンの殆どを、カナダの北極圏で撮影している。初期段階では、実話通りに南極で撮影するという案もあったそうで、極限までリアルに見せようとする制作側の熱意が感じられる。ロケ地の選定やロケハンには、実際の第一次越冬隊に参加した、菊池徹氏も関わったそうだ。ちなみに、「昭和号」と呼ばれた、宗谷の搭載の水上飛行機は、同型の「デ・ハビランド・カナダ DHC-2」を探して、越冬隊のカラーリングに変更して使用。劇中に登場するオーロラも実際に現地で撮ったもので、これは、映画史上初めてのことだったそう。そういった制作サイドの努力の数々が、この作品の臨場感を高めている。 この本気度をよく表しているのが、この映画にまつわる都市伝説だ。劇中では、犬が谷底に落ちたり、氷の割れた海で溺れる場面、足を負傷して血まみれになるところなど、ショッキングなシーンが幾つかあるのだが、現在でも一部で、この映画で負傷したり、「死んだ犬がいる」という噂がある。これと似たような話題で、1979年公開の『マッドマックス』のカーチェイスシーンで「死人が出た」と長らく信じられていたことがあったが、これもそのカーチェイスが、今までにはない凄まじい迫力だったゆえの反応だ。同作でも同様に、あまりにリアルすぎる描写が、そういった都市伝説を産んだのは間違いない。 また、人間の役者たちも、この本気の撮影に応えている。まず、寒いでは済まされない北極圏で、数か月に渡る撮影をしている点だけでも、かなりの決意だろう。しかも、高倉と渡瀬は、前記した菊池氏に犬ぞりの技術訓練も受けていたそうで、劇中のボツヌーテンを目指すシーンでは、犬ぞりの操作なども披露しており、かなりの準備をして撮影に望んだのがうかがえる。しかも、監督の蔵原惟繕氏のこだわりもかなりのものだったようで、寒風吹く北極圏で、犬が鳴くのが足りなかったからとNGを出した時もあるそうだ。その時も、淡々とふたりは撮り直しに応じたという。そういった出演者たちの忍耐のおかげで、この作品がより良いものとなっている。 しかし、欲を言えば、帰還後のシーンを多少削ってでも、宗谷の昭和基地へ向かうことを断念するまでの、詳細なシーンがもっとあれば、この作品はもっと完璧なものになっていただろう。同作に登場する初代南極観測船・宗谷は、戦後間もない頃の、貧しい日本が戦中に使用した特務艦を流用して作った、砕氷船で、当時の米ソが所有していた砕氷船などと比較にならないほどのボロ船だった。劇中でもスクリューが故障したなどの説明があったが、それでも、簡単に犬を置き去りにしたような気がしてしまう。『南極物語』というのだから、宗谷の修理に奔走する人々の描写や、記録的な悪天候でどうにもならない描写などが、もっとあってもいいのではないか。(斎藤雅道=毎週金曜日に掲載)
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その他 2015年10月05日 12時00分
【コンピューターゲームの20世紀 59】独特のシステムで人気漫画を再現「天地を喰らう」
「天地を喰らう」はもともと本宮ひろ志氏が週刊少年ジャンプに連載していた漫画のタイトルであるが、それをもとにしたゲームがいくつも作られており、非常に紛らわしいことになっている。たとえば最もメジャーと思われるファミコンの『天地を喰らう』と『天地を喰らうII 諸葛孔明伝』はロールプレイングゲームで、ゲームボーイの『天地を喰らう』はロールプレイングゲーム+シミュレーションゲーム、スーパーファミコンの『天地を喰らう 三国志群雄伝』はシミュレーションゲームになっている。 その中でも今回紹介する『天地に喰らう』はカプコンが開発したアーケードゲームで、ジャンルとしてはアクションゲームに分類される。システム的にはベルトスクロールアクションと横スクロールアクションの中間的なもの。ちょうどアクションゲームの主流が横スクロールからベルトスクロールへ移行する過渡期に発売された経緯もあり、その両方の特徴を持ったシステムが使われているのだ。 具体的には画面は斜めからの見下ろし視点で右方向へとスクロールしていく。また、画面には奥行きがあり手前・中間・奥の3本のラインで構成されている。これらはベルトスクロールのシステムだが、ジャンプが存在しないことや攻撃手段に投げが存在しないことなど、後の同ジャンルの確立されたシステムからはややかけ離れている。常に馬に乗りながら戦うというのも本作の大きな特徴である。 原作は「三国志」のストーリーをもとにしたオリジナルだが、本作もそれを取り入れ劉備たちの旗揚げから黄巾賊との戦い、そして董卓打倒までが描かれている。プレイヤーキャラとなっているのは件の劉備とその義兄弟である関羽・張飛、そして物語よりはやや先の登場となる趙雲の4人。この中から1人を選び敵と戦っていくのだが、キャラによって性能が異なっているほか、2人同時プレイも可能になっている。ゲームに慣れないうちはクセの少ない趙雲を使っていくのがオススメだ。 操作は1レバーと3つのボタンで行うのだが、本作では左右への攻撃がそれぞれ独立したボタンに振り分けられており、左攻撃ボタンを押せば即座に左方向にキャラが振り向き攻撃を行い、同様に右攻撃ボタンでは右方向への攻撃が可能。これによってレバーによるキャラの移動方向にとらわれない柔軟な攻撃ができるようになっている。また、攻撃時にボタンを連射することで「流星剣」が、ボタン押しっぱなしでタメ攻撃を行えば「真空剣」が出せる。これらの攻撃もキャラによって性能差があり、たとえば劉備は流星剣の持続時間が長く、真空剣のタメ時間が短いがリーチと威力に欠けるといった特徴を持つ。このほかにキャラによって攻撃力や体力なども異なるため、キャラごとに難易度や攻略方法に違いがでてくる。ピンチに陥った場合には専用ボタンで策略が使用可能であり、場面に応じて4種類の策略が体力と引き替えに発動可能。この威力は各武将の知力によって変わる。ただ、場面によっては使えない策略が選択されていることもあり、よく考えて使わないと体力の無駄遣いになる。逆に有効な策略が使用可能な場面では、あらかじめ使用タイミングを決めておくことで有利に立ち回れる。 ゲームは全8ステージで構成されており、道中は主にザコと戦いながら進んでいき、最後にはボス戦が待ち受けるというオーソドックスな構成。途中に中ボスが登場する場合もある。基本的にザコには連射による流星剣を中心に戦っていき、ボス戦では威力の高い真空剣を当てていくという戦い方が有効。カプコンのゲームにしては難易度もそれほど高くはなく、コンティニューがその場復活なこともあり、1コインという条件がなければクリアもそう遠くはない。お店によっては連射装置付きのボタンとタメ用のボタンが搭載されていた筐体もあり、かなり有利にゲームが進められた。 個人的な感想としては三国志ファンということもあって、本作はかなりのお気に入りである。有名武将も多く登場し、演出面でも当時のゲームとしてはなかなかのもの。序盤の黄巾賊戦までは体力回復アイテムをしっかりとっていけば非常に簡単だ。ただ、中盤以降の董卓軍との戦いになると敵ボスとして華雄や呂布などの有名武将が登場し手強くなってくる。特に呂布は本作でも2回対戦するほかに続編でも再々戦があり、プレイヤーの前に立ちはだかる存在となっている。 実は本作にはエンディングの最後に次回作の宣伝があるのだが、それが実現するには3年半もの歳月が必要であった。そのため完成した続編『天地を喰らうII 赤壁の戦い』は、いわゆる『ファイナルファイト』風のベルトスクロールアクションへとシステムが変化してしまっていた。本作のシステムは独特なもので、それが1作のみで失われてしまったのは残念だが、この続編もまた完成度が非常に高く長く遊べるゲームになっている。 ストーリーとしては劉備が荊州へ逃れてから赤壁の戦いまでが描かれており、敵は曹操軍である。この続編は既に時代の流れが対戦格闘ゲームに大きく流れていたため大ヒットには至らなかったが、長い間ゲームセンターで稼働するロングヒットゲームになった。現在でも稼働している店舗もあり、もしも見かけたら是非プレイしてほしいゲームだ。(須藤浩章=隔週月曜日に掲載)DATA発売日…1989年メーカー…カプコンハード…アーケードジャンル…アクション(C)CAPCOM CO.,LTD. 1989(C)集英社
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その他 2015年10月05日 11時39分
松戸駅にクラッシクカーが集合しパレード
千葉県・松戸駅の西口地下駐車場3、4日の2日間に渡り1960年代〜80年代を中心としたクラシックカーが集合する「第14回 まつどクラシックカーフェスティバル」が開催された。 会場では80台以上のクラシックカーが集合。車種はスカイライン2000GT-R、ダットサン、ホンダ S800、スバル360などの国産車から、オペル1900GT、フィアット・500などの外車まで様々。さらに、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に登場した車と同型のデロリアンや、映画『三丁目の夕日』で実際に使用されたマツダオート三輪などもあり、会場はまるで昭和にタイムスリップしたような雰囲気に。 イベントで展示していた車の殆どは、企業ではなく個人所有の車だった。所有者は根っからのクラシックカーコレクターから、最初購入した車を、そのまま愛着を持って修理をしながら使用している人など、様々な人がいた。中にはクラシックカー好きが高じて自動車の整備士になってしまった人、足りない部品があったので、部品を自作して車検を通した人、数十年かけて数台の廃車を購入して、1台の車にレストアしてしまった人なども。どの車も良く整備されており、クラシックカーオーナーの熱意が感じられた。 4日には、クラシックカーが松戸駅前ロータリーをまわる「ミニパレード クラシックカーショー」も開催。同日は松戸駅で「松戸まつり」も開催されており、多数の人が詰めかけた。(斎藤雅道)
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その他 2015年10月02日 12時00分
【不朽の名作】骨太な戦争映画だが兵器描写はちょっと雑な「二百三高地」
1980年代初期、東映配給により『大日本帝国』、『日本海大海戦 海ゆかば』など、長編戦争映画が相次いで制作された。今回は、その長編戦争映画連続制作のきっかけとなったヒット作、1980年制作の『二百三高地』を紹介する。 タイトルになっている二百三高地とは、日露戦争で激戦の舞台となった旅順攻囲戦の勝敗をわけることになった丘陵の名前だ。この映画ではタイトルとなった二百三高地を中心として、当時の戦況を紹介しながら旅順での戦いを描いている。ストーリーラインとしては大きく分けて2つの視点が用意されている。第3軍指揮官だった仲代達矢演じる乃木希典大将と、第3軍の現場士官である、あおい輝彦演じる小賀武志少尉とその部下達の戦いの日々だ。内容としては戦争の経緯の説明や、旅順を攻めている間の他の地域の戦況紹介なども入っている。しかも冒頭の開戦直前以外に日常シーンなどもほぼなく、純粋で混じりっけない、骨太な戦争映画といえる作品だ。 映画評論家の町山智浩氏が、以前にラジオで語った話によると、放映当時この映画は「戦争を美化している」とかなり叩かれていたそうだ。また、これは個人的に聞いた話だが、「日本の過去をおとしめようしている」と叩いていた人もいたという話も聞いたことがある。なぜこうも両極端な意見が生まれてしまうかというと、それはこの映画の舞台となっている、旅順要塞への攻撃の描き方が関係している。 劇中ではコンクリートの堡塁に機関銃、各種大砲で強固に構築された陣地に、日本軍の歩兵が束になって、無謀ともいえる状態で突撃をかけ、バタバタと倒れていく。しかも、3時間超え本編時間の約半分以上の時間、この突撃がひたすら続く。その度に無駄に死んでいく兵士を見て、ある人は、第二次大戦時のバンザイ突撃や特攻を連想して「戦争を美化している」と思い、またある人は愚策を繰り返す日本軍を暗に描いていると思い、「日本をおとしめている」と思うのだろう。 もちろん、この無闇に突撃を繰り返す日本軍は、映画の中の話だけではなく、実際に史実に基づいた再現をしている。しかし、当時の日本軍が特攻精神で突っ込んでいたかというと、これがまた違う。当時はこの戦法が「通常の攻撃手段」だったのだ。 日露戦争というのは、機関銃や砲座で強固に構築された陣地に攻撃を仕掛けるという、本格的な近代戦を人類が初めて経験した戦争で、それまでの、横隊で歩兵同士が小銃で撃ち合うという戦争とはかなり違うものとなっていた。しかし、戦法というのはそうすぐに変えられないもので、兵器が進歩しているにも関わらず、旧来の戦術で突撃をかけ続けて無駄に死者を出す結果となった。これは日本軍に限ったことではなく、ロシア軍も日露戦争の沙河の戦いなどで、日本の機関銃で構築された陣地に攻撃を仕掛けて多大な犠牲を出している。 もっと言えば、日露戦争の10年後に勃発した第一次世界大戦でも、日露戦争に各国が観戦武官を派遣したのにも関わらず、その戦法は変わらなかった。序盤のリエージュの戦いはもちろん、ソンム川やヴェルダン要塞、イープルなど、大戦中盤になっても、機関銃で強固に守られた陣地を突破する策は歩兵による突撃しかなく、日露戦争など比較にならない規模で膨大な死者を出していく。この状況が改善されたのはドイツ軍の浸透戦術や、イギリス軍の戦車を前面に押し出した塹壕突破が考案された、大戦後半からだ。 そういった経緯があるわけで、この映画で描かれる戦闘シーンの数々は、特定の思想を強烈に伝えたいが為に演出されたシーンではおそらくない。実に淡々と機関銃や砲弾になぎ倒される兵士の姿を描いており、目立つのは死体の山ばかり。日本が強大な敵を痛烈にやっつけたという爽快感はない。さらに言えば、日本映画にありがちな意図して作った、明らかに現在の「歴史観・道徳観」を特定のキャラが代弁し、当時の行動を断罪するような、無理矢理感のある「反戦」のメッセージもほとんどない。戦死した兵士の親や子供の涙や、絶望した顔を淡々と流すという感じで、戦争の悲惨さは強く伝わってくるが、いい意味でそれだけだ。唯一、ラストの乃木希典の嗚咽は評価が別れるかもしれないが…。 作品の見どころとしては、小賀武志少尉が、部下の戦死などで、人間性をどんどん失っていくところか。最初、小賀少尉はロシア文学やロシア語に詳しい、ロシア人に親近感を持つ人物として登場するが、時間を経るごとにロシア人を強烈に憎悪するようになり、段々と狂人の域に達していく。ありがちな設定といえばそれまでなのだが、戦場の異常さを表現するにはこの方法が一番わかりやすく頭に入ってくる。最初に敵軍憎しで戦い、そのうち敵も人間なんだと絶望していくのではなく、逆のパターンであることも、この旅順攻撃の泥沼感というか、ひとりの人間ではどうすることも出来ない様がよく感じられる。 他に注目の点が、作中での乃木希典大将の扱いだ。乃木大将は明治天皇崩御の際に殉死したことや、当時はこれしか戦法がなかったとはいえ、無駄に兵士の犠牲を増やしていく指揮方針が昭和軍人の思想に近いという、後世の史観の影響力が強く、無能に描かれることが多い。しかし、この作品では、大本営の二転三転する作戦方針や海軍の強い要請に悩まされる様が描かれており、苦悩しつつも、現場の状況を冷静に判断していく姿が、かなり魅力的に映る。また、乃木との掛け合いも多い、丹波哲郎演じる児玉源太郎もいい味を出している。 とは言っても、作中に不満がない訳でもない。まずはエキストラの兵士が銃弾で撃たれるシーンだ。まるで時代劇のように「ぐわあああ!」と踊り死にする。銃弾に当たって簡単に死ぬ演出は、98年公開の『プライベート・ライアン』以降、リアル志向に様変わりしたことは理解しているが、それを差し引いても、これは銃弾に当たった演出としてはどうなのだろうか。 さらに、兵器の描写も雑だ。まず野砲(大砲)について、当時の野砲は、砲身を後座させることで、反動で後退しなくなった、「駐退復座機」ではないので、野砲ごと後ろに後退するのだが、その演出が一切ない。旅順要塞や旅順港砲撃で活躍した二十八センチ榴弾砲も同様で、これまた後退するシーンがない。全部無反動砲のようで激しい違和感だ。 他にも、ロシア軍がマキシム重機関銃と、雷管を備えた手榴弾で待ち構えるが、日本にはそれらに相当する装備がなかったという説明が劇中の冒頭にあるが、これも疑問だ。まず、雷管式の手榴弾だが、これが本格的に実用化されるのは第一次世界大戦から。それも、日本軍が日露戦争で陣地攻撃にダイナマイトや缶詰を使って作った、急造の手榴弾を使い始めてその有効性に気づいたからだ。ロシアもその威力の高さに着目して、戦場で急造手榴弾をつくり始めた。 さらに機関銃だが、確かにマキシム重機関銃は持っていなかったが、そのかわりにフランスのホッチキス Mle1897重機関銃をライセンス生産した、保式機関砲を使っている。機関銃がない訳ではないのだ。ただ、当時は持ち運びに便利な軽機関銃が登場していないので、要塞や陣地を攻める側はなかなか機関銃を有効活用できない。後の戦争のバンザイ突撃などの影響で、日本軍は白兵戦至上主義だと思われがちだが、実は日露戦争はおろか、その後の戦争でも火力制圧を重視していた。なので、機関銃や迫撃砲、手榴弾を使いはじめるのもかなり早かった。 意図してか、ただ雑だったのかは不明だが、この冒頭の説明が、粗末な装備で突撃させちゃいましたというミスリードとなっている。ここが変な思想があると思われてしまう原因ではないだろうか。迫撃砲の元祖ともいえる花火筒型の急造迫撃砲は使っているのに、なぜ他の兵器の考察は雑なんだ、もっとよく調べてくれよと言いたい。(斎藤雅道=毎週金曜日に掲載)
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その他 2015年09月28日 12時37分
今スケールモデルが熱い! 全日本模型ホビーショーで新商品が多数登場
東京ビックサイトで開催された「第55回全日本模型ホビーショー」には多数のスケールモデルの新商品が登場した。 スケールモデルとは、主に実際に存在する車や兵器などを、縮尺して再現したプラモデルのことを指すが、作るのが難しいなどの理由で、最近ではガンプラなどのキャラクター系プラモデルしか作ったこともない人も多いはず。しかし最近は、スケールモデルの人気の再燃により、新商品などで、作りやすいキットなども増えているので、スケールモデルの世界に入るのに絶好の機会なのだ。 キャラクター系プラモデルからステップアップするのに一番良いのが、国内メーカーの戦車のプラモデルだ。なぜかといえば、スケールモデルの中では比較的部品点数が少なく、比較的初心者でも組やすいところ、角ばったパーツが多いので比較的塗装も簡単という点があるからだ。しかも、戦車プラモデルは国内メーカーの技術が非常に高く、ただ組むだけでも、かなりの完成度がある。 今回のイベントの新商品でも、多数の新商品があったが、なかでも、今年の秋発売予定のタミヤ製の「1/35 M4A3E8 シャーマン イージーエイト(ヨーロッパ戦線)」は、同社の技術力の高さが反映されており、部品点数を少なくしつつも完成度を損なっていない。担当者の話によると、初心者でもかなり作りやすい構造になっているとのこと。 また、この商品は価格もスケールモデルとしては低価格に抑えられている。実は、最近戦車のスケールモデルは、特に海外メーカーのプラモデルなどで、6000〜7000円前後という高価格化傾向が続いていたが、この商品はなんと3600円(税別)で販売するそう。そういった意味でも、スケールモデルの作り始めとしては良いキットだろう。 他にも、今回展示されていた商品の中では、ファインモールドの「1/35 『ガールズ&パンツァー』劇場版 知波単学園 九五式軽戦車」もオススメだ。この商品は11月に劇場版を放映予定のアニメ『ガールズ&パンツァー』(ガルパン)とのコラボキットになっている。 アニメとのコラボキットとはいえ、同作は弟2次大戦時に登場した戦車を操縦して「戦車道」という競技をするという作品なので、エンブレムや、各部の細かいパーツを除くと従来のスケールモデルそのものといっていい。しかも、版権モノのプラモデルという側面も持っているので、メーカー側が作りやすさにかなり配慮している。 担当者の話によると今回はコラボ商品向けに他の商品のパーツを流用せず、完全新規の金型で製作したそうで、作りやすさを重視しつつも、完成度にはこだわっているそうだ。発売は、今年の11月上旬予定で、ガルパンの劇場版放映と同時期に発売して大きな需要を狙うとのこと。しかし、ガルパンの制作サイドからは「このタイプの戦車が登場する」としか説明は受けてないようで、「どれだけ活躍するのかはわからないんですけどね」と、売上の重要な要素となる、本編の扱われ方について、若干の心配はしていた。 実は戦車プラモデル以外にも、艦船のプラモデルもブラウザゲーム『艦隊これくしょん -艦これ-』やアニメ『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』のブームにより、各メーカー新規のキット開発が盛んとなっており、今回のイベントでも新商品が多数展示されていた。また、戦闘機のプラモデルも、2013年の『風立ちぬ』や『永遠の0』の映画公開以降、新商品の発表が続いている、これを機会にスケールモデルの世界に触れてみてはどうだろうか?(斎藤雅道)
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その他 2015年09月28日 11時45分
第55回全日本模型ホビーショーが開催 ガンダムやスター・ウォーズ関連の新商品が多数公開される
25日から27日まで、東京ビックサイトで「第55回全日本模型ホビーショー」(25日はビジネスデー)が開催された。 注目の新商品では、バンダイが大きなスペースを割き、『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』関連の商品を展示していた。 鉄血のオルフェンズは、10月からアニメが放送予定のガンダムシリーズの新作で、作中の二足歩行の機動兵器は、「ガンダムフレーム」という共通の内部パーツを持っているのが特徴となっている。 プラモデルでもその再現はなされるようで、1/100スケールの同シリーズプラモデルは骨組みとなるフレームに各パーツをはめ込んでいく構造を公開していた。 また、ガンダムのプラモデル、「ガンプラ」のこのスケールでは「MG(マスターグレード)」や「HG(ハイグレード)」というパーツが精巧なブランドが有名だが、今回の製品はこれらのブランド名を冠さないものとなるようだ。 ブランド名を表示しない理由を同社の担当者は、「ガンダムフレーム」という特殊なパーツを使うことが大きな理由だと解説した。また、パーツの精度では最高ブランドのMGまでとはいかないが、ブランド名のない商品でありながら、HGを上回る精度を維持しているとのこと。 メインとなる1/144スケールの同作のガンプラは、HGブランドとして順次リリース予定。今回の作品ではよりタイムリーな反応を活かした需要を期待したいとのことで、地上波のアニメ放送の機体登場とほぼ同時期にガンプラも販売するそうだ。 他に有名版権モノの商品としては、12月放映予定のスター・ウォーズシリーズの新作『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』関連の新商品も各メーカーで見られた。 同作関連の商品でも最大規模の展示点数だったのは、バンダイで、「1/144 ミレニアム・ファルコン(フォースの覚醒)」や、「1/12 ファースト・オーダー ストームトルーパー」など、新作に登場する兵器やキャラクターのプラモデルを公開し、ファンにアピールした。(斎藤雅道)
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その他 2015年09月27日 12時00分
【幻の兵器】落下傘降下で姿勢を安定させるために開発された二式小銃
落下傘が発明されたことによって、輸送機から大量の兵士や装備を降下させ、奇襲、敵地を占領するという空挺作戦が実行可能となり、各国は具体的な部隊の創設、作戦の研究に取り組み始めた。ところが、研究を進める間に深刻な問題が発生した。当時、各国の兵士は比較的長い小銃を装備していたのだが、これが落下傘降下の大きな障害となったのである。 落下傘降下の際には、方向を正しく保ち、着地の安全を確保するためにも空中での姿勢を安定させることが極めて重要なのだが、長い小銃は不要な空気抵抗を生み出すばかりでなく、重心の移動を招いて姿勢を不安定にするため、装備したまま降下することが非常に困難であることが明らかになったのである。そのうえ、狭い輸送機の中でも小銃は邪魔になったし、ひどいときには機外に飛び出る際や着地の瞬間に銃がなにかにひっかかって、兵士が負傷する事さえあった。 そのため、早くから空挺部隊の研究を進めていたソビエトでは、小型の短機関銃を装備することとし、アメリカやイギリスも基本的にはこれにならった。だが、ドイツは空挺降下の際には兵士に拳銃と手榴弾のみを装備させ、小銃は機関銃等の重火器、弾薬と一緒にコンテナへ納めて空投する方法を選択したのである。日本陸軍は、まずドイツの空挺部隊に関する情報を集めて参考にしたため、ドイツと同様に小銃をコンテナに納めて空投する手段を採用した。当時、日本陸軍は各国から研究用に短機関銃を輸入すると共に、開発も進めていたのだが、多数の弾丸を必要とする割に射程が短く、着剣突撃にも使えない銃を量産する気はなかった。 当時、ドイツは空挺部隊用に主力小銃の折り畳み銃床タイプを試作しており、日本も折り畳むことが可能な小銃を試作することとし、テラ銃(挺身落下傘の略)と呼んで開発を進めた。試作銃は三八式騎銃をもとにしており、射撃時には伸ばして止め金をかける構造になっていたものの、ちょうつがいの工作精度が低くて固定が不完全だった上、着剣突撃の際に折れる可能性も指摘された。そのため、陸軍は最初のテラ銃を採用せず、ごく少量を生産したのみだが、それらの銃は海軍が取得して、やはりちょうつがい式の折り畳み銃床となった一○○式短機関銃と共にメナド降下作戦で使用した。その際に一式小銃として仮採用されたらしく、名称については混乱が見られる。 結局、陸軍はコンテナ方式で空挺作戦を実行したものの、肝心のコンテナが湿地やジャングルに着地してしまい、多くが回収不能となってしまった。そのため、降下した将兵は拳銃と手榴弾で戦うことになり、少なからぬ損害を受けてしまった。この経験から、陸軍は再びテラ銃の開発を推進することとなり、改造三八式騎銃の開発にも携わった銅金義一中将、岩下賢蔵大佐などを中心とするスタッフが作業を再開している。銅金中将らは、既に九九式短小銃を基に銃身と機関部を分離することができる一○○式小銃(海軍では零式小銃)を開発していたが、射撃を繰り返すと結合部にがたつきを生じる事から、やはり不採用となっていた。 しかし、折り畳み方式はもはや改良の目がない事が明らかとなっており、何とかして分離方式を実用化しなければならなかった。最終的に、開発陣は結合部にリングのついたボルトをねじ込み、銃身側にくさび状のパーツを押し込むことで完全に固定するという、世界にも類を見ない新方式を開発した。これが1942年に採用され、翌年より生産の始まった二式小銃、別名二式テラ銃である。 二式小銃は九九式短小銃の変形であり、銃身と機関部が分離する以外にほとんど変化がない。性能的にもほぼ同じで、分離することによる命中率の低下はほぼ無いに等しく、射撃後の薬莢が傷ついたり、ゆがみを生じるようなこともなかった。しかも、その気になれば銃剣突撃を行うことさえ可能であり、耐久力もほぼ同等だったと伝えられている。 二式小銃の分離構造は非常に単純であり、要は錠前と同じである。機関部についたボルトが鍵の役目を果たしており、それを回すと結合部が緩んで外れ、銃身部と機関部に分解することができる。分解すると落下傘袋の上に取りつけても邪魔にならなかったし、分解と結合は極めて簡単で、訓練していればそれこそ数秒しかかからなかったという。 だが、空挺部隊が二式小銃を装備するようになった43年末頃は、既に日本が攻勢戦力を失っていた時期で、空挺作戦の絶対条件である制空権の確保すらままならないような有り様で、二式小銃は遅すぎた新兵器となってしまった。もしも、たとえわずかでも開戦前に二式小銃が存在していたなら、パレンバンに対する空挺作戦はより大きな成功を収めていた可能性が高い。また、二式小銃は諸外国の空挺部隊が使用したカービン銃や短機関銃よりもはるかに有効射程が長く、威力も大きいため、戦術レベルでの戦闘を有利に運ぶことができたかもしれない。 結局、二式小銃が最も活躍したのは戦後になって、それもハリウッド映画の中である。敗戦の後、占領軍が多数の二式小銃を本国に持ち帰り、調査の後で軍は民間市場に放出した。二式小銃を発見したハリウッドの映画人はその特異な機能、分解すればトランクに収める事ができ、狙撃さえも可能なライフルという点に注目し、アクション映画で盛んに使用したのである。世界的にも類例をみない空挺部隊の秘密兵器は、映画でも秘密兵器の座を手にし、最も人の目に触れる秘密兵器ともなったのである。(隔週日曜日に掲載)■二式小銃:データ全長 1118mm銃身長 655mm重量 3980g口径 7.7mm装弾数 5
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