A:おっしゃるとおり、トマトは大人気のようです。事の発端は「トマトから脂肪肝、血中中性脂肪改善に有効な健康成分を発見。効果を肥満マウスで確認」という京都大学農学研究科の河田照雄教授チームの報告が、2月10日付の米科学誌プロスワン電子版に掲載されたことです。
それが日本の新聞で報道され、インターネットでさらに情報が広まり、ブームに火がついたようです。
●直接的に脂肪を燃焼する効果
報告によると、河田教授らは、脂質異常症や糖尿病に有効とされてきたトマトの成分を具体的に分析。その結果、脂肪燃焼効果を持つ脂肪酸の一種が含まれていることを発見しました。
この成分を高カロリーの餌に混ぜ、肥満マウスに4週間投与しました。すると、高カロリーの餌だけを与えた肥満マウスと比べると、中性脂肪量が減少し、血糖値も低下する結果が得られたといいます。
河田教授によると、トマトの成分で直接的に脂肪を燃焼する効果がみられたのは初めてとのこと。生のトマトよりも、加熱処理されたトマトジュースに多く含まれているそうです。
このデータを人間の食事に換算すると、生のトマトなら1食に2〜3個、成分が凝縮されているトマトジュースなら1食に200ミリリットルで効果が得られる計算になるそうです。
ただし、同教授は会見で、「人間にも同じ効果があるかどうかは現時点ではわからないが」と但し書きをつけていました。
また、「脂肪をドーッと燃やしてくれるものではない」「スリムになることを期待してもらっては困る」と念を押したそうですが、それらをカットした報道もあり、結果的に効果のみ強調されました。
●メタボ改善は食事制限と運動が基本
こうして、トマト神話が生まれたようです。しかし、トマトに脂質を燃焼させる物質が含まれているとしても、食べるだけでメタボが改善すると考えるのは間違いです。
基本的には、食事の量を減らし、運動しないとメタボ改善は無理。ダイエット食の一つとして、トマトを食べるのなら意味があるでしょう。
なお、付け加えておくと、最近は糖分が多いトマトが出回っています。確かに甘くておいしいのですが、決して体にいいものではありません。
むしろ、酸っぱいぐらいのトマトのほうが脂肪燃焼効果が高い、と私は考えています。
牧典彦氏(小山病院院長)
自律神経免疫療法(刺絡)や加圧トレーニング、温熱療法、オゾン療法など保険診療の枠に捕われずベストな治療を牧病院(大阪市)で実践。小山病院(大阪市)院長。