見づらいとか疲れというのはあまりにも日常的なもので、特にこれを治療しようとする人は少ない。
だが、日常的に経験する小さな異常が、長年の積み重ねで視力障害に繋がる。単なる“見づらい”という症状の裏には、様々な病気が潜んでいる場合があることをしっかり認識すべき、と望月院長は強調する。
また、生活環境の変化が、目に対する弊害を多く招いている。たとえば、生活習慣の乱れがそうだ。食生活、運動不足、過剰なストレス、喫煙や飲酒などが挙げられる。長引けば、当然、体のあちこちに弊害が起きるのは自明の理である。
なかでも糖尿病、高血圧、動脈硬化は、目の病気に深くかかわっている。このうち糖尿病の合併症は、前にも触れたが、失明の恐れのある怖い病気だ。発病年齢がどんどん若くなっていることを考えると、目の健康のためにも乱れた生活習慣を改めるように心掛ける必要がある。
さらに、テレビやパソコンなど“目に悪い利器”が、次々と生み出されている。私たちの生活は、もはやそれらがないと成り立たない。高度に発達した現代社会は、目にとっては劣悪な環境ともいえる。白内障などの目の障害は、既に年齢の枠を超えたところまで進んできている状況にある。
では、こうした白内障の治療はどう行われるのか。
「白内障を治すというと、水晶体を取り除く手術を思い浮かべるでしょうが、手術が必要になるのは、水晶体がすっかり白く濁ってしまった最終段階です」(前出・望月院長)
そこまで至らない進行中の段階では、薬を服用したり、点眼薬を使いながら経過を観察する。進行度は人によって差があるが、薬物治療の目的は、あくまでも症状の進行を遅らせるもの、と専門家は口を揃える。
したがって、患者の中には途中で「この程度なら我慢ができる」と治療をやめてしまう人も少なくない。しかし、途中放棄は目の症状を悪化させ、進行を早めることになる。
また症状が進み、手術が必要になったとしても、最新の白内障の手術は、超音波機器などを用い、わずか3ミリ程度の切開で水晶体の濁りを取り出し、眼内レンズを移植するというもの。
手術も1時間程で、日帰りでも可能だそうだが、出来ることなら「手術は避けたい」と誰もが思うこと。信頼のおける医師と十分に話し合い、白内障を含む目のトラブルについての対処法を検討すべきである。
あとは、目と健康についての認識を高め、日常的な自己管理をしっかりとすべきである。