(1)接触感染 ノロウイルスに侵された患者の便や嘔吐に含まれるウイルスが、用便などの後に、患者が触れた“物”を汚染、それに触れた手から食事時などに口に入って感染する。感染者を介護した際も同様だ。
(2)飛まつ感染 家庭や共同生活の場は、患者の便や嘔吐物のシブキ(飛まつ)が鼻や口に入ることで感染。
(3)経口感染 食べ物を調理する人が患者または感染者で、不十分な手洗いにより、食品や飲料水を汚染し、その汚染された食品を十分加熱しないまま食べると感染する。
(4)空気感染(別名・塵埃=じんあい感染) 基本的には、空気感染はしない。口から吐き出す息に含まれている水蒸気に、ウイルスがあれば感染する。また、便や嘔吐物の処理が不適切で、床などに残ったウイルス粒子が空気中に漂い、鼻や口に入ることで感染する。大抵の場合、何かに付着した状態で空中を漂っているところを吸い込んでいる。
いずれにしても、免疫力がない人を別にすれば、潜伏期間は、感染から発症までの時間は「24時間から48時間」と短い。しかし、2次感染もあるので、注意しなければならない。
では、ノロウイルスの予防にはどんな方法があるのか。
東京都健康安全センターによると、防衛策の指針だと「感染予防のポイント」として、真っ先に挙げた有効策は「手洗いの徹底」で、これに勝るものはない。
《調理の前や食事の前、トイレの後には、石鹸と流水で十分に手をよく洗う。石鹸を十分泡立て、爪ブラシなどを使用して手指を洗浄する。手拭は清潔なタオルやペーパータオルを使用。タオルの共有はやめる》
そして消毒のポイントとして《ノロウイルスの消毒には、必ず塩素系漂白剤(成分=次亜塩素酸ナトリウム)を使用しよう。アルコールや逆性石鹸は効果がない》としている。
家庭用の塩素系漂白剤の多くには、約5%の次亜塩素酸ナトリウムが含まれている。これを薄めて消毒液を作り、トイレのドアノブや調理器具を丁寧に拭き取ることである。
また嘔吐物などで汚れた床や嘔吐物自体の消毒には、高濃度にした液を使用して拭き取ること。ただし、色落ちする衣類などは塩素系漂白剤が使えないため、よく下洗いした後、熱湯やスチームアイロンの蒸気で消毒すると効果的だ。
ノロウイルスに感染した場合、効果のある抗ウイルス剤やワクチンはない。通常、対症療法が行われるが、下痢や嘔吐が続く間は、脱水症を起こさないよう水分と栄養の補給、睡眠を十分取ることが大切という。
「インフルエンザの予防法も含めて、帰宅後のうがいは効果的とは思えない。手洗いの方が、効果があると思います。石鹸だけでは無力で、むしろ石鹸とブラシの両方を使い、ゴシゴシと手を擦る洗い方をお勧めしたい」(久富院長)
やはり、予防が一番!