健常者でもそうなのだから、肥満、メタボリックシンドローム、高血圧や糖尿病、脂質異常などで動脈硬化が進んだ人はなおさら危険だ。
「確かに、家の中に10度以上の温度差がある部屋があると、心臓疾患や脳神経疾患を起こしやすい。人間の体というのは急に寒い所にいくと、針で体をつつかれたような感覚になります。ヒートショック対策の重要な点は、家の中であまり温度差をつくらないよう心がけることです。といっても、たとえば床暖房をして、家中を暖かくできる人は限られている。高齢者はまず、温度差が“事故”につながるということを認識して、トイレに行く際はダウンなどを一枚羽織るようにし、急激に体を冷やさないよう心がけてください」(前出・田村氏)
一番風呂や深夜に一人での入浴は、避けた方がよい。かけ湯、半身浴をうまく掛け合わせて、少しずつ体を温めていくようにすることが大切だ。
参考までにいえば、高い位置からシャワーで浴槽にお湯を溜めると、浴室全体の温度を上げることができる。15分間で10度上げることができるという。
田村氏はヒートショックの対策として、乾布摩擦をお勧めしている。
「朝、全身を寒気にさらして、皮膚をこすることで皮膚に刺激を与えると、血行が良くなり、自律神経の働きも活発になります」
ドイツでは朝、窓を開けて身体に寒気を当てるという。乾布摩擦の注意点は、まず天然素材(木綿)のタオルを使うこと。
そして手足、胸、お腹、背中と末梢から中枢へと順番に10分くらいやる。
ただし、アトピーの人は皮膚を傷つける恐れがあるのでやめた方がよい。また、体調の悪い場合は、悪化させることがあるのでやめることだ。
毎日、乾布摩擦をしている人は、風邪を引きにくくなった、というデータもある。
「山梨県内には、上半身裸で子供を預かっている幼稚園があるという。そうやっていれば自然に免疫力を高めることができるため、園児で風邪を引く子はほとんどいないそうです」(前出・田村氏)
寒さはまだ続く。くれぐれもご用心を!