A:飲酒は確かに眠気を誘います。お酒には誘眠効果があるからですが、熟睡できるかどうかは別。アルコールが逆に眠りを浅くする、という報告もあるほどです。
中途半端な酔いは、その後に覚醒をもたらします。また、アルコールには利尿作用があるので、就寝後に尿意をもよおし、目が覚めることもしばしばでしょう。
●度数が高いほど利尿作用が強い
利尿作用は、アルコール度数に比例します。つまり、度数が高いお酒ほど利尿作用が強いのです。
そうなると、体内は脱水状態となります。アルコール度数が強いお酒を飲むと喉が渇きますが、それは体が脱水している証拠なのです。
脱水すると血液が濃くなるので、動脈硬化が進んでいる中高年の場合は、脳卒中を発症する引き金になりかねません。
といって、お酒を飲んだ後に水をたくさん飲む人もいますが、これもまた、就寝後に尿意をもよおす原因となります。
寝酒によって熟睡できればよいのでしょうが、ご質問の方の場合は、へんな夢をよく見るそうですから、熟睡できていないはずです。
夢は現実の心を反映しています。へんな夢は、ストレスのためと思われます。ということは、寝酒をしても、日々のストレスの解消にはあまり役に立っていないかもしれません。
●他の過ごし方を見つけよう
ご質問の方の場合、だらだらと飲んでいるそうですから、飲酒量も適量を超えているでしょう。ここは一つ、発想の転換をすることをお勧めします。
つまり、飲酒よりも楽しいこと、面白いことを見つけ、それを食後の習慣にすればよいのです。
運動でも読書でもビデオ観賞でもかまいません。囲碁、将棋でもいいですから、自分に合った趣味を見つけましょう。
長年の晩酌の習慣は、一朝一夕には変えられないでしょう。
しかし、晩酌を止めてみると、その時間を他のことにいかに有効に使えるか、と気づくでしょう。
酔わなければ、いろいろなことに時間を割くことも可能です。
少しずつ生活を変えていき、そこに心の安定が得られれば、晩酌なしでも熟睡できるようになるはずです。
今井一彰氏(みらいクリニック院長)
山口大学医学部卒業。東洋医学などさまざまな医療を駆使し、薬を使わずに体を治していくという独自の観点に立って治療を行う。日本初の靴下外来も設置。