スポーツ
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スポーツ 2013年03月20日 17時59分
2013年・日本人メジャーリーガーはどうなる? 中島裕之(オークランド・アスレチックス)
スポーツ報道を見る限り、オープン戦でも出場機会をかなり多くもらっており、開幕スタメンの可能性も高いと思われる。ビリー・ビーンGMも「ショートのレギュラーを予定しての獲得」と話しており、ファンに日本人初のショートとしての成功選手になる期待も膨らませた。 同GMの言葉はリップサービスではない。しかし、日本ではあまり伝えられていない『不安要素』も抱えていた。 キャンプイン直前、アスレチックスは昨季、アストロズで正遊撃手を務めたジェド・ラウリーを獲得した(複数トレード)。ビリー・ビーンGMは低コストでチームを構成する。なのに、「中島と重複する選手」を獲ったのは、イマイチ信用していないということか…。 「現在、ラウリーは5人目の内野手とか、ユーティリティー・プレーヤーと位置づけられています。開幕から数試合は中島をスタメンで使うでしょう。その成績如何でラウリーと入れ換えるというのが、米国内の報道です」(米国人ライター) 中島に勝算はあるのか…。 まず、アスレチックスの本拠地『オー・ドットコー・コロシアム』は両翼101メートルの広域球場である。一発は出にくいが、中島のような右中間、左中間を破る打球の多いタイプは打率が稼げるとされている。また、西武時代から「選球眼の良いバッター」と言われてきた。「選球眼が良い=四球を多く選べる=出塁率が高い」の定理からすれば、出塁率に重点を置く同GMの好みのタイプとも言えるだろう。 マイナス材料もある。同球場は天然芝であり、西武からメジャーに挑戦した松井稼頭央のように、土のグラウンドに泣かされてきた例もある。同じ遊撃手としてメジャー挑戦した西岡剛は併殺プレー崩れを狙った一塁走者の強烈スライディングに泣かされた。ラウリーと『守備力』でレギュラーを争うことになれば、厳しいと言わざるを得ない…。 「ビリー・ビーンGMも日本人内野手がショートで成功した例がないのは承知しています。それでも、中島を獲得した理由は低コストの方針を一貫したかったからでした」(前出・同) 昨シーズンの補強の話になるが、アスレチックスは「打てる外野手」を探していた。米FA市場には強打のスラッガーがいないわけではなかったが、同GMは11年8月にキューバから亡命したヨエニス・セスペレス外野手と契約した(12年1月)。当時は「守備能力はメジャーの平均以下」と懸念材料も多く報じられたが、セスペレスは新人王投票で2位になる好打率を残してみせた。 「米FA市場の外野手よりも低年俸で契約できるというのが、獲得に踏み切った最大の理由でした。守備面での少々のマイナス要素には目を瞑り、打撃で貢献してもらう方針でした」(前出・同) 米FA市場よりも、低年俸も可能な外国人選手…。セスペレスの活躍が中島獲得を後押ししたようである。 アスレチックスは「ラウリーとアストロズの契約」を引き継いだため、今季終了と同時にラウリーはFAとなる。故障も多いとはいえ、得点圏打率も高いレギュラー遊撃手を放出した理由は「残留に高年俸を要する」と見たからだろう。中島が活躍すれば、ラウリーの方から出場機会を求めてトレード退団を申し出るかもしれない。中島の命運は開幕序盤で決まるだろう。※メジャーリーガーのカタカナ表記は『週刊ベースボール増刊 Major LEAGUE /12年3/20号』(ベースボールマガジン社)を参考にいたしました。
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スポーツ 2013年03月19日 11時45分
2013年プロ野球キャンプレポート・東北楽天編 「新人・則本で試される星野継投策」
WBCでエース・田中将大が抜けた東北楽天ゴールデンイーグルスのキャンプ中盤以降は、主役不在で物足りない印象もあった。しかし、オープン戦でブレイクした男がいる。ドラフト2位・則本昴大投手(22=三重中京大)である。一部報道にある通り、星野仙一監督は「面白いんじゃないの〜?」と、このルーキーの開幕投手説も否定しなかった。現時点で、この則本がもっとも調子良い。開幕投手の抜擢説はともかく、この新人が2ケタ勝利を収めれば、クライマックスシリーズ進出圏に食い込んでくるのは間違いないだろう。 則本が「並みの新人」とは違うところを見せたのは、韓国・サムスン戦(2月18日)。2番手として登板し、3回1安打無失点に抑えた。 この登板を見て、まず思ったのは、投球テンポが早いこと。捕手からの返球を受けたら、すぐにサインを伺い、頷くのと同時に投球モーションに入る。このテンポの速さは守る野手にもリズムを与えるはずだ。また、昨秋のドラフト時点では「角度、球速を変えたスライダー、カーブを投げ分けるタイプ」とも紹介されていたが、『不思議なボール』も投げていた。左打者の外角高めに来るボールで、同試合以降のオープン戦でも投げている。 「角度を変えたカーブの1つ」と思われるが、則本の指先を離れた瞬間は「ボールコース」の“抜け球”なのだが、そこからストライク・ゾーンまで来る『大きな落差』があるのだろう。左の対戦バッターは慌ててバットを伸ばし、辛うじてファールにしていた。対外試合初登板となったサムスン戦では、このボールで空振りも奪っていた。ウイニング・ショットとまではいかないが、則本は左右のボールの出し入れだけではなく、『緩急』という武器も持っていることが分かった。「直球は150キロ台半ば以降」とも紹介されていたので、攻略しにくい投手と見て間違いないだろう。 ただ、ブルペンでは時折、捕手が後ろに逸らすようなボールも投げていた。暴投ではなく、捕手が途中で捕るのを辞めてしまうレベルなのだが、こういう投球は「サイン交換したコースと全然違う方向に来た」ことを意味している。「角度、球速を変えたスライダー、カーブ」のなかで、その日の好不調によって自分の思ったコースに投げ分けられないものもあるのではないかと思った。まあ、このへんは正捕手・嶋基広が上手に配球を組み立ててくれるので問題ないだろうが、ストライク・カウントを先行させてやらないと、投球数が多くなるようにも見えた。 また、ブルペンで暴投すれば、並の新人投手なら、萎縮してしまうところだが、則本は表情1つ変えないで淡々としていた。良い意味で「図太い」とも思った。 打撃陣に関しては、「やってみなければ分からない」という状況だった。松井稼頭央、4番に入る可能性も高い前ヤンキースのアンドリュー・ジョーンズもWBCに招集されたためだが、星野監督は中日から内野手・岩崎達郎を緊急獲得している。二遊間を守れる選手の強化が狙いだったが、本来、そのポジションに入るはずの藤田、西村が故障した時点で、「若手にもチャンスを与えるのではないか」と思われた。それなりの人材がいるからで、たとえば、1A以下のサマーリーグに在籍し、テスト生から育成契約を交わしたポロ、トレード加入の仲沢広基、練習熱心で首脳陣も一目置いてきた阿部俊人らがそうである。ポロは格下のサマーリーグにいたが、「守備能力はメジャークラス」であり、20歳という若さからしても日本で爆発する可能性も秘めている。 ある意味、冷酷とも取れる外部補強に出たのは、星野監督がCS進出以上の結果を狙っているからだろう。 新加入で目に付いたのは、ケーシー・マギー(右投右打=30)。日本のストライク・ゾーンに戸惑っているのか、紅白戦、オープン戦前半は外角のボール球を振らされていたが、フリー打撃では「打球が速い」という印象も受けた。変化球の多い日本の投手に慣れれば、二塁打を量産するタイプだと思えた。 8年ぶりの日本帰還となった斉藤隆だが、ストレートの威力は、とても43歳とは思えない。フルシーズンを投げるスタミナはないかもしれないが、クローザー・青山浩二の負担を軽減させる力は残っている。好調さを感じさせたのは、5年目の辛島航。昨季108イニング強を投げたのが自信になったのか、ブルペン投球でも堂々としていた。6年目の菊池保則はフォークボールを練習していた。この菊池を見て、2010、11年にセットアッパーとして活躍した巨人・越智大祐を思い出した。この「重いストレート」を投げる菊池は、星野構想に入っているのではないだろうか。 田中将大、則本、2年目の釜田佳直、美馬学、辛島…。打撃陣の真価はWBC組の帰還後まで分からないが、投手力は確実にアップしている。先発候補陣の出来如何では、則本をクローザーで使うとの情報もある。実績のある斉藤隆、好調な菊池もいるだけに、青山に繋ぐ継投策が確立すれば、楽天は番狂わせをしてくれるのではないだろうか。
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スポーツ 2013年03月18日 15時30分
センバツ情報 第85回記念大会に見える東北の底力
3月15日、第85回記念選抜高校野球大会の組み合わせ抽選会が行われた(27日開幕)。敦賀気比VS沖縄尚学、浦和学院VS土佐、済美VS広陵、済々黌VS常総学院、オールドファンも喜びそうな龍谷大平安VS早稲田実など好カードも多いが、抽選会場がもっとも盛り上がったのは、『遠軽VSいわき海星』の一戦が決まったときだった。 史上初の21世紀枠同士の顔合わせとなる。『21世紀枠』についてはいまだ批判的な声もあるだけに、その意義が問われる一戦となるだろう。そこで改めて、今大会の21世紀枠4校が決定するまでの経緯を追ってみた。 まず、85回目の節目、記念大会として『21世紀枠』を1校増やし、計4校とすることが発表されたのは、昨年7月4日。選出基準は「未定」とのことだった。 「記念大会の特別枠なのだから、東北地区の高校が優先的されるのではないか」 現場で指導する高校野球関係者も、そんな予想をしていた。 ヤッカミではない。甚大な被害をこうむった東日本大震災以降、甲子園大会も被災地を支援し、球児たちの健闘をもって日本中を勇気づけることをテーマとしてきたからであり、現場指導者も高校野球の影響力を再確認していた。 「東北地区の連合チームが選ばれる可能性だってある」 仮にその「プラス1」が東北に優遇されたとしても、むしろ応援したいという雰囲気さえ漂っていた。 ところが、昨年11月の神宮大会で事態が一変した。 仙台育英(宮城県)が初優勝を飾った。同大会、各地区秋季大会の成績が出場校選抜に大きく影響することは説明するまでもないだろう。神宮大会優勝校は自動的にセンバツ出場となる傾向もあり、東北地区の仙台育英が実力で“神宮枠”を勝ち取った時点で、一般選考枠は、「通年の3校プラス1」に。東北優遇が規制路線のように捉えられていた21世紀枠(4校)が加わると、「85回大会は東北の高校から、6、7校が選ばれるのではないか?」との声も聞かれるようになった。 85回大会の出場校は36校。うち6、7校が東北地区の高校が選ばれれば、被災地応援の名目があっても、バランスが悪い…。一変して、「21世紀枠は東北地区に割り当てられないのではないか?」との懸念まで囁かれた。 今大会で東北地区から選出された高校は、一般枠で仙台育英、聖光学院、盛岡大府、山形中央。21世紀枠からはいわき海星が選ばれた。他の21紀枠選抜校は、北海道地区の遠軽、中国地区の益田翔陽、四国地区の土佐。東北地区からは全部で計5校が選ばれたこととなり、選考委員会は他地区とのバランスも汲みながら、被災地応援の名目も上手に残してくれたのではないだろうか。 東北地区から5校が選ばれたのは、史上最多である。その5校目となった「21世紀枠選出」のいわき海星は、震災による津波被害を受けたいわき市にある。1月25日に発表された推薦理由だが、<水産高校でもある同校は海洋実習で主力部員4人を欠きながらも、県大会ベスト16まで勝ち上がった>とのことだった。意義ある5校目の選抜となった同校は、奇しくも21世紀枠出場の遠軽とぶつかる。いわき海星の坂本啓真主将は抽選会後の共同会見で「地元の期待」も口にしていた。配布資料によれば、同校の男子部員16人は、全て地元出身だった。21世紀枠出場校の選抜理由の曖昧さ、存在意義も指摘されてきたが、こうした“大人の視点”も吹き飛ばすような好ゲームを見せてもらいたい。(スポーツライター・美山和也)
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スポーツ 2013年03月18日 13時43分
【速報】世界3連覇ならず…WBC侍ジャパン準決勝敗退
17日(日本時間18日)、米サンフランシスコAT&Tパークで行われたWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)準決勝で、大会3連覇を目指す侍ジャパン(A組1位)はプエルトリコ(B組2位)に1対3で破れ、決勝進出を逃した。 初回、侍ジャパン先発の広島・前田健の制球が定まらず2四球、2死からの中前打で先制を許した。プエルトリコはM・サンティアゴがすばらしい立ち上がりで得点を許さず5回途中無失点で交代。つづく継投陣も虎の子の1点を守る展開。終盤7回には二番手の阪神・能見がA・リオスにツーランを浴びる。米国入り後の練習試合では打ちまくっていた侍ジャパンだったが、本番では大事な場面での一発が出ず沈黙。8回に中日・井端の右前打で1点を返したが、反撃はそこまでだった。
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スポーツ 2013年03月18日 11時45分
2013年・日本人メジャーリーガーはどうなる? 藤川球児(シカゴ・カブス)
ここ数年、藤川球児はメジャー挑戦の意向を訴えてきたが、阪神フロントは海外FA権を取得するまで手放さなかった。その間、藤川とその関係者はメジャー球団のチーム事情を相当研究したのではないだろうか。カブスを選んだ時点で、彼の米球界挑戦は成功したと言っていい。 昨季、カブスにはこんなデータも残っている。『BLSV率』だ。救援失敗を数値化したもので、先発投手が「3点以上のリード」を持って救援投手にバトンタッチした後、同点、もしくは逆転された試合の割合を示すもの。そのBLSV率は42.86%。ナショナル・リーグのワーストである。さらに、リリーフ投手の被出塁率35.5%もリーグワーストだった。 その原因のほとんどに関わっていたのが、クローザーのカルロス・マーモルである。また、12年度オフはクローザータイプの投手が少なかった。藤川を獲得した際、カブスは「手薄なブルペン陣を強化するため、セットアッパーを予定し…」とコメントしたが、マーモルの「ノーコン」が治らなければ、藤川と入れ換える可能性は高い。制球難がいきなり治るとは思えないので、藤川のクローザー抜擢を「規制路線」と見る米メディアも少なくないのだ。 「マーモルは今季が3年契約の最終年です。藤川が『結果』を出せば、シーズン途中でマーモルを放出する可能性も出てきました」(米国人ライター) このマーモルの成績だが、昨季は開幕から“ノーコン全開”で5月初旬にはセットアッパーに格下げされた。マイナー落ちもあったが、他のリリーバーも背信投球が続き、6月半ばにはクローザーとして帰って来た。「四球か、三振」、いつも走者を背負う“綱渡り投球”だったそうだ。カブスはリリーバーの人材難にあり、従って、藤川はシーズン序盤で救援に失敗することがあったとしても、マイナー落ちする心配もないだろう。 しかし、不安要素も2つある。1つは藤川を視察した多くのメジャースカウトが口にしていたことだが、一昨年あたりから、ストレートの威力が落ちてきた。フォークボールのキレは健在だが、ストレートが走らなければ、落ちるボールの効果は半減する。「ストレートのキレがどこまで戻っているか」がポイントとなりそうだが、カブスの本拠地『リグレー・フィールド』も、藤川を悩ませるかもしれない。同球場は6月以降ペナントレース終了まで“ホームラン風”が吹くことでも知られている。日本時代は外野フライに仕留めていたものが風に流されてスタンドへ…。そんな不運もあるかもしれない。 現地時間3月9日、藤川はインディアンズ戦に登板し、3者凡退に抑えた(奪三振2)。興味深かったのは、2人目の左打者と対戦したときだった。藤川がウィニングショットに選んだのは、膝元への『縦の変化球』。フォークボールではなかった。試合後、日本人メディアにその『縦の変化球』がカットボールだったことを明かしており、昨季のダルビッシュ有の配球を参考にしたという。 こうした『頭脳派投球』も織り交ぜていけば、クローザーのポジションを確実に奪えるはずだ。※メジャーリーガーのカタカナ表記は『週刊ベースボール増刊 Major LEAGUE /12年3/20号』(ベースボールマガジン社)を参考にいたしました。
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スポーツ 2013年03月16日 17時59分
非常事態発生! インフルエンザ蔓延の中日が2軍との交流断絶
3月29日の開幕を前に、プロ野球オープン戦は熱い闘いを繰り広げているが、中日ドラゴンズが非常事態に陥っている。 選手、首脳陣、スタッフにインフルエンザが蔓延。ここにきて、これ以上の感染を防ぐため、2軍との交流を断絶することを決めた。 ことの始まりは、キャンプ前に高木守道監督(71)がインフルエンザを発症してからだった。キャンプ中に荒木雅博内野手(35)らが発症。3月に入ってからは、川上憲伸投手(37)、山本昌投手(47)らの主力に加え、鈴木孝政2軍監督(58)ら、2軍勢に次々に蔓延。15日には2軍選手から、チーム16人目の感染者が出た。 これで、2軍は野手の人数が足りなくなり、教育リーグの試合運営に影響をきたすため、いったんは1軍選手を2軍に逆派遣することを決めたが、インフルエンザがうつる懸念があるため、急きょ中止した。 さらに、ルーキーの浜田達郎投手(18)、井上公志投手(24)をオープン戦で試す予定だったが、「(入れ替えは)もうやらない。浜田と井上を投げさせようと思っていたけど、もうやめた」(高木監督)と、当面の間、2軍との交流は行わない方針を固めた。 開幕投手が確定している吉見一起投手(28)は、15日のオープン戦に登板。通常なら、名古屋に戻って、2軍選手と一緒に調整するところだが、「あそこは菌(ウイルス)がいっぱいだから」(高木監督)として、2軍組に合流はさせない方針。 本来なら、開幕に向け、1、2軍の行き来を活発化させ、有望な2軍選手の力量をオープン戦で図り、調整不足の選手は2軍で実戦を積ませる大事な時期。それもままならいとあって、2年ぶりのV奪還を目指す中日にとっては、なんとももどかしい状況となってしまった。(落合一郎)
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スポーツ 2013年03月15日 15時00分
本誌球春スクープ 巨人対阪神 ヤンキースタジアム来季開幕戦の全真相(2)
巨人が、そしてNPBが米国での公式戦開幕戦に心血を注ぐのは、その延長線にもう一つの雄大な計画があるからだ。ワールドシリーズ王者と日本シリーズ王者が真の世界一を決める『グローバル・ワールドシリーズ』の実現である。 とりわけ、元駐米大使を務め、米国内に強力な人脈を持つ加藤コミッショナーは就任時から「在任期間中に道筋をつけたい」と表明しており、意気込みが強い。いや、それを見込んで渡辺会長をはじめ、各球団のオーナーが加藤氏にコミッショナーを託したのだ。 「実現した場合、実施時期は翌シーズンの開幕前が予想される。ワールドシリーズ直後の秋ではMLB選手会や労組の反発があり、実現が難しい。強行すれば、日米共にシリーズを終えたばかりで、セレモニー的な決戦になりかねない。そこで浮上しているのが、両国とも開幕直前の3月。すでに米国側は日本開幕戦でテストを終えており、今度は日本側の米国開幕戦の番。当然、グローバル・ワールドシリーズのテストの意味合いもあり、予定が遅れれば、それだけ本番も遅れる。ナベツネさんも年齢的に待ったなしでしょうから、ぜひとも実現したいのが来年の巨人の米国開幕戦なのです。そのためには何としてもWBCを3連覇する必要がある」(前出・同) 現役を引退した松井も側面支援している。'03年に松井がヤンキース入りして以来、専属広報を務めてきた広岡勲氏をMLBからの要請という形で「チームジャパン・メディア・リエゾン」の肩書で侍ジャパンの広報に送り込んでいるのだ。 「現在もニューヨークに居を構える松井には、さまざまなメジャー選手の情報が届いており、米国をはじめ、プエルトリコ、ドミニカ、ベネズエラ、メキシコの戦力を分析している。それを阿部をはじめ、侍ジャパンの面々に伝えているのです。現役で開幕スタメンを目指すイチローにはそんな余裕はないが、監督修業中の松井は可能。読売首脳の中には、来年の米国開幕戦は興行的にも原監督より松井監督という構想もある」(ベテラン巨人担当記者) 唯一気になるのは、先にも触れた侍ジャパンの支柱となる阿部の右膝の違和感だ。昨シーズンも両膝を痛め、無理を続けて公式戦、クライマックスシリーズ、日本シリーズ、アジアシリーズとフル回転。さらにはWBC主将に抜擢されたことで昨秋のキューバとの親善試合、グアム合同自主トレ、代表合宿と休みなしに酷使してきたからだ。 「すべてが阿部のペース。心配ないですよ。昨年の日本シリーズでも第3戦で右膝を痛め、負傷交代しています。結局2試合を欠場しながら、本拠地に戻った第6戦から4番・捕手として復帰し、日本一を決める決勝打を放っています。確かに、右膝を気遣っていることもあるが、巨人のスカウト陣や松井から届いた決勝トーナメントで対戦する各国選手を学習している意味合いの方が大きい。強化、壮行試合の打撃成績が4試合で12打数1安打だったのも、それが原因です。サンフランシスコからが阿部の本番。それまではフル出場は極力避けるという判断」(WBC担当記者) その意味では米国行きの切符がかかる8日からの第2ラウンドが山場となる。実質、2つの席を巡って日本は台湾、キューバなど3国と争うことになる。台湾代表はレベルアップしているうえ、キューバも国内リーグを終えたばかりでベストの状態だ。 「原監督も気が気じゃない。侍ジャパンには優勝してほしいが、そうなれば来年の米国開幕戦が濃厚となり、松井監督案が急浮上しますからね」(球界関係者) 3連覇なるか。
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スポーツ 2013年03月14日 15時30分
4日目にして早くも白鵬の優勝見えた!? 日馬富士、大関陣が総崩れ
大相撲春場所(大阪ボディメーカーコロシアム=3月10日〜24日)は始まったばかりだというのに、4日目が終わったばかりで、早くも横綱・白鵬(28=宮城野)の優勝が見えてきてしまった。 幕内で4戦全勝は白鵬ただ一人。先場所優勝した日馬富士(28=伊勢ヶ浜)は3日目・高安、4日目・千代大龍と平幕相手に連敗を喫し、もう1敗もできない状況となった。この先、白鵬が大崩れしないかぎりは、日馬富士の2場所連続優勝は絶望的で、優勝争いに絡むこともできない。 かねて、日馬富士には大関時代から、「優勝した次の場所は勝てない」といわれている。そのジンクスに当てはめてみると、今場所は優勝争いどころか、新横綱の場所(昨年11月=九州場所)のように1ケタで終わってしまう可能性もありそうだ。 一方、毎場所、ふがいない成績が続く大関陣だが、今場所も相変わらず。鶴竜(27=井筒)が一人だけ、3勝1敗としているが、北の湖理事長(元横綱)から「優勝争いしてほしい」と名指しされた稀勢の里(26=鳴戸)は2勝2敗で厳しい状況。場所前に婚約を解消した琴奨菊(29=佐渡ヶ嶽)も2勝2敗。琴欧洲(30=佐渡ヶ嶽)に至っては、1勝3敗の惨状。まだ序盤戦で、この成績だ。この先、中盤戦からは大関同士の星の潰し合い、横綱戦が始まるわけで、期待はできそうにない。 先場所の大関陣は稀勢の里、琴欧洲が辛うじて2ケタの10勝(5敗)止まり。鶴竜と琴奨菊に至っては、8勝(7敗)で勝ち越すのが精いっぱいだった。それは、今場所も変わりはなさそうな気配だ。 日馬富士が今後また、格下相手に星を献上して、白鵬が全勝を守れば、優勝争いへの興味は一気に薄れてしまい、場所は台無しになってしまう。日馬富士にはなんとか、踏ん張ってほしいものだが…。(落合一郎)
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スポーツ 2013年03月14日 15時00分
本誌球春スクープ 巨人対阪神 ヤンキースタジアム来季開幕戦の全真相(1)
日本中が注視する中で『ワールド・ベースボール・クラシック』(WBC)が3月2日のブラジル戦で開幕した。大会直前に4番で正捕手、そして主将の阿部慎之助(巨人)が右膝に違和感を訴え、3連覇を不安視する声も聞かれたが、3日の中国戦も勝利し、6日のキューバ戦を待たずに第2ラウンド(東京ドーム)へ駒を進めた。 阿部の状態は「今の自分は侍どころかニセ侍、落ち武者ですよ」と自嘲するように万全ではないものの、試合に出られない状況ではないという。 「巨人サイドから待ったがかかったのです。読売の狙いはただ一つ、サンフランシスコで行われる決勝トーナメント(20日決勝)で、三度世界王者のタイトルを獲得すること。長丁場を踏まえて阿部を温存させたいのでしょう。というのも、今大会の結果次第では読売の遠大な計画が霧散する可能性があるからです」(全国紙スポーツ事業担当) 遠大な計画とは、日本球界初となる本場米国での公式戦開催。それも伝統の巨人-阪神戦を来季の開幕戦で米国開催するというもの。巨人は来年、前身の大日本東京野球倶楽部創設から80周年を迎えることから、そのメモリアルイベントとして企画しているのだ。 日本野球機構(NPB)も全面的にバックアップしている。昨年12月に渡米した加藤良三コミッショナーは米大リーグ機構(MLB)とWBCについて意見交換した際、このプランを具体化したというが、正式に発表されていないのには事情がある。巨人関係者によれば、経費面などを考えると、開催に慎重な意見もあるからだという。 スポーツ紙デスクが解説する。 「昨年3月にはイチローがいたマリナーズとアスレチックスが来日し、東京ドームでMLBの日本開幕戦2試合を開催して4万4227人、4万3391人が入った。それに合わせて巨人と阪神も両チームとオープン戦を実施したように、日本側はMLB側に協力しているのです。そのお膳立てをしたのが日米野球開催に実績を持つ読売新聞社で、今回のWBC日本開催分についても同社が仕切っている。そのお礼も兼ねてMLB側は快く米国での巨人−阪神開幕戦に協力しようというわけです。が、肝心の読売サイドが集客に不安があるのか、ためらっている。米国の野球ファンが知っている日本人プレーヤーといえば、MLBで活躍するダルビッシュやイチローで、巨人の阿部、内海といっても無名。しかし、侍ジャパンがWBC3連覇を達成すれば、米国の野球ファンも日本のプロ野球に興味を持つ。その侍ジャパンを支えるのは7人の巨人選手。つまり、読売グループとしては世界一を条件に米国開催にゴーサインを出そうとしているわけで、優勝を逃せばお蔵入りとなります。今回のWBCには、水面下で日本球界初の米国開幕戦がかかっているのです」 米国開幕戦はニューヨークのヤンキースタジアムが最有力候補。松井秀喜のヤンキース入団に伴い、巨人はヤンキースと業務提携を結んでおり、現在はイチローが活躍。人口的にもマスコミ的にもニューヨークはこれ以上ない舞台なのだ。 キューピッド役を演じているのはイチローだ。 「昨年の日本開幕戦で来日した際、イチローは渡辺恒雄会長と会談しており、その際、あのナベツネさんが『あれほど頭のいい男に会ったことがない。一流だ』と大絶賛したほど。巨人の米国開幕戦についてもイチローは助言をしたのでしょう。その巧みな哲学、美学、心理学、政治学に読売の主筆が舌を巻いたというわけです。思えば、昨年7月にイチローがヤンキースに移籍したのも、侍ジャパンに7人の巨人選手、3人の偵察部隊を送り出したのもすべては想定内。日本が3連覇を達成すれば、ヤンキースタジアムでの開幕戦の興行も大成功となる」(米駐在のマスコミ関係者)
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スポーツ 2013年03月14日 11時45分
2013年プロ野球キャンプレポート・東京ヤクルト編 「量よりも質! オフの補強に成功して打倒巨人の一番手に」
選手層の厚さはそれほどでもないが、投打、打順、年齢、ポジション別の選手人数のバランス(構成)がもっとも優れたチームだと思った。 ただ、その多少の偏りがあっても困らないのが、ピッチャーの頭数である。ドラフト1、2位の両即戦力投手が“機能”すれば、勝てる…。小川淳司監督(55)は密かに優勝への手応えを感じているのではないだろうか。 まずは1位の石川泰椎(24=ヤマハ)だが、「ストレートも速い変化球投手」という印象を持った。社会人時代からスライダー、フォーク、カーブなど変化球の持ち球が多いことで知られていたが、「鋭角に曲がる縦の変化球」は面白いと思った。関係者に確認したところ、『縦のカーブ』だという。その曲がり具合は、昨季高卒1年目ながら先発ローテーション入りしたソフトバンクの武田翔太に近いものがある。あえて注文をつけるとすれば、踏み出す左足の膝をあまり曲げないので、投げ終わったときに臀部を突き出したふうに見えるので、少々、投球フォームはカッコ悪い。しかし、先発ローテーションに食い込んでくるだろう。 また、独特の投球フォームが話題となったドラフト2位の小川泰弘(22=創価大)も面白い。背中を丸め、胸を蹴るまで左足を上げるスタイルから繰り出されるストレートは「重さ」を感じさせる。キャンプ中盤以降は低めに集めることを意識していたからか、ややスピードを押さえてのピッチング練習になっていたが、ストレートの『質』は間違いなく一軍レベルである。 ただ、この小川に関しては『課題』も感じられた。ランニング系の練習でバテるのが早く、投・内連携プレーでもクイックモーションが“学生のまま”だった。独特の投球フォームのせいだとしても、クイックは遅い。普通の新人なら、二軍で勉強させるところだが、この小川のストレートを見ていると、1年目から使いたくなる。「イニングの頭から」という制限付きのリリフ起用だろうか…。 ベテラン・館山昌平(31)だが、キャンプ序盤のブルペン投球で「10球に1度」くらいの割合で、スローボールを投げていた。「11年オフに手術した右手の血行障害を気にして」のことらしいが、このクラスの投手は自己調整にも長けている。不安材料ではないだろう。 06年以来の復帰となった岩村明憲(33)だが、第一印象は、楽天時代と比べてかなりスマートになった。フリー打撃だけでは判断するべきではないが、スイングは鋭くなった。レフト線へも球足の速い打球が飛ぶようになり、オープン戦で結果を出せば、自信を持ってシーズンに臨めるのではないかと思った。ただ、現在のヤクルトには『二塁=田中浩康、三塁=宮本慎也』がいる。外野手で出場することも多かった主砲・畠山和洋(30)が、一塁の守備練習に加わっていた。バレンティン、ミレッジの両外国人選手もいる。岩村が順調ならば、良い意味で小川監督の悩みは尽きないだろう。 キャンプ中盤、フリー打撃の投手として登板した久古健太郎、日高亮の両左腕が順調に仕上がっている印象を受けた。新人捕手・星野雄大もサインプレーでハツラツとした動きを見せていた。5年目の捕手・新田玄気の声がグラウンド中で響いていた。捕手陣は連日の特守が行われており、この2人の動きを見て思ったのが、「相川から中村悠平へ」という正捕手継承の規制路線も怪しくなってきたということ。今季のヤクルトは、投手、打線、そして守備力、すべてにおいてレベルアップした。故障者が出なければ、原巨人の連覇を阻止する力は十分に持っている。