ゴジラとミスターと政治力を駆使して観客動員、スポンサー獲得の実力を探ったのである。
結果は予想をはるかに上回るものだった。チケットの前売り完売は当然として、都内の金券ショップでは5900円のバックネット裏の指定席Sが2枚で15万円。ネットオークションにいたっては2000円の外野指定席に2枚で4万5000円の値が付き、6500円のエキサイトシートは2枚13万円で応札された。もっと好条件の席は2枚で30万〜40万円まで高騰、球界関係者を仰天させた。
「アベノミクスの効果もあるが、要はゴジラとミスターが揃い踏みしさえすれば、10万〜30万円程度の出費は惜しまないファンがゴマンといるということです。春爛漫の米西海岸に旅行できて、日本でも容易に手に入らない巨人・阪神戦チケットがもれなくついてくる。それでいて20万〜30万円のツアーなら安いものでしょう。これに松井の監督デビュー戦のプレミアがつけばもはや鉄板。師匠の長嶋さんもお祝いに駆けつける。そうなれば、ドジャースタジアムもエンゼルススタジアムも日本からのツアー客などで満パイになるのは確実。ですから米国開幕戦は松井監督のもとで、が絶対条件なのです」(日本テレビ関係者)
引退セレモニーが米国開幕戦へ向けた「ホップ」だとすれば、「ステップ」は7月28日に予定されているヤンキースタジアムでの松井の「ヤンキース引退セレモニー」。ヤ軍はこの日のために松井と1日だけ契約を結び、貢献をたたえるとともに、来場者先着1万8000人に松井のボブルヘッド人形をプレゼント予定。
実はこの日が「GT米国開幕戦」発表のXデーだという。事情通が明かす。
「当初、巨人が考えていた米国開幕戦はヤンキースタジアムでした。ヤンキースは米国のナンバー1球団だし、巨人と業務提携している。そこで半年前となる7月28日に開催を発表する段取りになっていたのです。しかし、3月のニューヨークは寒過ぎるのに加え、移動時間と費用がかさむ。そこで温暖で日本に近い西海岸にスイッチした。7月28日には松井の引退式を行い、松井が巨人の指揮を執ることを告知するシナリオに書き換えたのです」
松井監督招聘の黒幕である渡辺恒雄球団会長も5月5日の東京ドームでの式典を心待ちにしていた。
「『俺がいるうちに巨人に帰ってきてくれよ』と、改めて松井に次期監督就任を要請したと見られます。いくら頑固者の松井でも、ここまで三顧の礼で迎えられれば、断りきれない。松井は今季で任期を満了する原監督を気遣ってか即答を避けたようだが、米国開幕戦は“松井監督”が絶対条件だけに、受諾しない限り巨人はゴーサインを出せない」(球界関係者)
ゴジラは包囲された。