問題となったのは5月14日、ナゴヤドームでの中日対日本ハム戦で、中日が4-3でリードして迎えた7回表の日本ハムの攻撃の場面。二死二塁で、打者・稲葉篤紀がセンター前安打を放つと、中堅手・大島洋平の送球に誰もカットプレーに入らず、二塁走者の生還を許し、4-4の同点になった。
この回の日本ハムの攻撃終了後、“瞬間湯沸かし器”の異名をもつ高木守道監督(71)が烈火のごとく激怒した。怒りのホコ先は遊撃手の井端弘和内野手(38)で、「カットに入っていれば、アウトにできただろう」と糾弾。しかし、井端は「無理です。キャンプでもやっていない。(一塁手の)クラークが入るべき」と反論。
ふてくされた井端が帽子を脱ぎ捨てて、ベンチ裏に消えると、高木監督が追い掛けて、ベンチ裏でもバトルを展開。慌てた中日ナインが止めに入るほどの壮絶さで、このシーンは早々にインターネットの動画サイトYouTubeにも、多数投稿され、またたく間にプロ野球ファンに知れ渡るところとなってしまった。
間を取り持ったコーチが「本来なら、一塁手の(マット)クラークがカットに入るケース」と確認し、井端に責任がないことがハッキリした。試合後、井端は「クラークが入れないので、ボクが入らないといけなかった」と冷静さを取り戻したが、怒りが爆発した根本には、自身のふるわない成績へのイライラもあったようだ。
公式戦開幕前に開催された第3回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)では、.556という驚異的な打率で、大会首位打者、ベストナイン(指名打者部門)を獲得し、侍ジャパンのベスト4進出に大きく貢献した井端。
しかし、公式戦に入ると、燃え尽き症候群というべきか、一向に調子は上向かず。15日現在、打率は2割ジャストと著しく低迷。WBCでは神がかり的な勝負強さで、何度も日本のピンチを救った井端だが、打点はわずか10、得点圏打率も.205と、WBCとは別人とも思える勝負弱さを見せている。
12日には38歳となった井端。大ベテランには、開幕前のWBCは過酷過ぎたのか…。
(落合一郎)