社会
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社会 2017年04月08日 14時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第216回 プライマリーバランスという呪縛
政府の未来投資会議に民間人(民間議員ではない)として出席している人材派遣大手『パソナ』取締役会長である竹中平蔵氏は、筆者が知る限り、経済財政政策担当大臣時代に三つの「指標の変更」を行い、日本経済のデフレ化の背中を押した。 一つ目はデフレギャップ(需給ギャップ)や潜在成長率計算時の「潜在GDP」について、最大概念の潜在GDPから、平均概念の潜在GDPに変えてしまったことだ。潜在GDPとは、日本経済の労働力や設備(資本)がフル稼働した際に生産可能なGDPである。 フル稼働、である以上、労働力でいえば「完全雇用」時に生産可能なGDPこそが、潜在GDPになるはずだ(これを最大概念の潜在GDPという)。ところが、竹中大臣(当時)と内閣府が、潜在GDPの定義を「過去の平均的な労働力、設備の稼働率において生産可能なGDP」に変更してしまったのだ(これを平均概念の潜在GDPという)。結果、わが国の潜在GDPは小さく見えるようになり、デフレギャップ(総需要の不足)が少なく計算され、デフレ対策が打ちにくくなってしまった。 二つ目は日本経済の将来を予測する際の「マクロ経済モデル」について、先進国型である「需要重視モデル」から、発展途上国型の「供給重視モデル」に変えてしまったことだ。マクロ経済モデル変更により、日本はデフレという総需要の不足に苦しんでいるにもかかわらず、「緊縮財政」「供給能力拡大のための規制緩和」といった「インフレ対策」しか採れなくなってしまった。結果、日本国民は世界史上最長のデフレ、貧困化に苦しむ羽目に陥った。 そして三つ目が財政指標として「基礎的財政収支(プライマリーバランス、以下PB)」という概念を持ち込んだことである。現在の安倍政権もこだわり続ける「2020年 PB黒字化目標」も、竹中氏が財政健全化指標としてPBを言い出したことに端を発する。 そもそも、財政健全化とはPB黒字化でもなければ、政府の負債を減らすことですらない。政府の負債対GDP比率を引き下げることだ。政府の負債が増えたところで、それ以上に名目GDPが拡大すれば「財政が健全化している」と判断される。 そして、政府の負債対GDP比率は、「名目GDPの成長率」「国債金利」「PB」という三つの指標の組み合わせで決まる。PBが赤字になったとしても、国債金利が低く(今の日本は事実上のゼロ金利だ)、名目GDPが成長していれば、政府の負債対GDP比率は下がり、財政は健全化する。 ところが、竹中氏が財政健全化目標にPBを持ち込んだことで、政府は政府の負債対GDP比率引き下げのための経済成長(GDP拡大)の追求ではなく、短期的なPB黒字化を目指すようになってしまった。 短期的にPBを黒字化するためには、政府の支出を削減し、増税をするしかない。日本政府はPB黒字化にこだわるあまり、消費税を増税し、診療報酬や介護報酬、公共投資を減らす緊縮財政を繰り返し、デフレを長期化させた。 誤解している人が少なくないが、安倍政権は緊縮政権である。しかも、かつての橋本龍太郎政権を超える「超・緊縮政権」なのだ。 過去の日本政府のPBをグラフ化すると、下図(※本誌参照)の通りとなる。 ちなみに2020年PB黒字化目標を最初に閣議決定したのは、2010年の菅直人政権である。当時は、世界的に「財政健全化」が重視され、G20において各国が財政目標を設置することが決定された。菅政権はG20の流れを受け、日本のデフレを深刻化させるPB目標を設定したのである。そして、自民党に政権交代した以降も、安倍政権はPB目標を破棄せず、毎年、閣議決定することを続けている。 図の通り、安倍政権は'14年以降、着実にPBの赤字を縮小している。特に消費税を増税した'14年の赤字縮小幅は、対前年比10兆2831億円と史上最大である。 金額で見る限り、安倍政権は文句なしで「日本史上最悪の緊縮政権」なのだ。 むしろ、これだけの緊縮の中、日本経済がギリシャのように「GDP急収縮」の状況にならないことに驚かされる。デフレ下に「史上最悪の緊縮財政」を実施してすら、日本経済は何とか横ばいの状況を維持している。わが国の経済は、本当に頑健だ。 それはともかく、実は現在の日本は主要先進国の中で最も「財政余力」がある。OECDの最新レポート『USING THE FISCAL LEVERS TO ESCAPE THE LOW-GROWTH TRAP(低成長の罠を逃れるために、財政の梃子を利用する)』によると、先進7カ国の中で、最も財政余力があるのは日本だ(しかも、圧倒的である)。日本は対GDP比で2%超、つまりは10兆円の財政拡大をしても財政は悪化しないと見込まれている。国債金利が主要国最低で、政府の負債が100%日本円建てであるのに加え、日本銀行が量的緩和を継続し、政府の実質的負債が「消滅」している以上、当然の結論だ。 それにもかかわらず、安倍政権は相も変わらずPB目標に固執し、デフレを継続させる緊縮財政から方向転換することができない。まさに、PBの呪縛だ。 今年の6月にも、例により「骨太の方針」がアップデートされる。このとき、政府の財政指標を最凶最悪の経済指標であるPBから、「グローバル基準」である政府の負債対GDP比率の改善に変更できるか、否か。 日本経済の行く末は、すべてその「一点」にかかっているのである。みつはし たかあき(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。
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社会 2017年04月07日 14時00分
紳士服業界 他業種拡大の生き残り策
紳士服大手各社が、スーツ以外での多角化経営に乗り出し注目されている。 「2012年から断続的に押し寄せた団塊世代の大量定年に不景気、加えてカジュアル化、クールビズなどの多様化もあって、スーツ市場は総務省調査でも10年前より3割も減少しているのです」(経営コンサルタント) 『洋服の青山』を展開する青山商事の中間決算説明会('17年3月期)でも、紳士服(ビジネス、カジュアル=ビジカジ)の売り上げは10年前から55億円減、毎年5.5億円ずつ減少する厳しい現状を報告している。そのため紳士服各大手は、生き残りをかけての多角化を図っているのだという。 各社、どんな方向性を打ち出しているのか。 青山商事の他業種参入と言えば、まず全国180店舗前後を展開する『焼き肉きんぐ』だ。 「100分で3000円を切る食べ放題シリーズで顧客数を増やしている焼き肉店。こちらは成功組と言えるでしょう」(業界関係者) 同じく同社傘下のグループ会社としては、100円ショップ大手の「大創産業」と展開し全国で120店舗近くを構える『100YENPLAZA』。さらに、思い切った他業種参入の典型としては、'15年末に買収した『ミスターミニット』がある。 「主要駅構内で靴やバッグの修理、合鍵作製などで急速に業績を伸ばしていた『ミスターミニット』(ミニット・アジア・パシフィックが運営)を、'15年12月に146億円を投じて完全子会社化。国内の約300店舗に加え、ニュージーランド、東南アジア、中国など海外にも280店舗近くあり、青山が非スーツ化の割合を高める上で大きな可能性を秘めると思われます。同社は近い将来、非スーツの割合を現在の2割台から4割台にまでもっていくとしています」(同) 青山商事とともに紳士服の大きなシェアを占める『AOKI』を運営するAOKIホールディングスも、非スーツ化の構築を急いでいる。 「他の主要同業社より非スーツ化に積極的に取り組んできたAOKIHDは、カラオケの『コートダジュール』、ネットカフェの『快活CLUB』、さらには結婚式場でも、横浜みなとみらい21地区にある日本最大規模のウエディング施設『アニヴェルセルみなとみらい横浜』のほか全国に14施設を展開しています。またフィットネスクラブなどにも分野を広げ、非スーツ化のシェアを着実に4割近くまで上げてきています」(同) コナカは、'98年5月に子会社コナカエンタープライズを立ち上げ、同年10月からフランチャイズチェーン展開を始め非スーツ化に取り組んできた。から揚げ専門店『からやま』や、かつ専門店『かつや』、『大衆食堂 半田屋』、それにインターネットカフェ、漫画喫茶の『自遊空間』、英語の学童保育園『KIDs Duo』などを出店する。 コナカ広報担当者によれば、今後、同社は『かつや』などの飲食店を年間2、3店舗ずつ増やす予定だという。それにしても、様々な多角化の中でなぜ飲食業に力を入れるのか。 前出の経営コンサルタントが言う。 「民間会社による調査では、特にかつ丼市場や焼き肉市場は、3年後の東京五輪までにまだ15%前後は伸びるという報告があるからです。ラーメン店や他の飲食業と比較すると、とんかつ、から揚げ市場は、まだあまり競合が少なく、場所や地域ではまだ二桁の伸びが期待できるといいます」 それに加えて、出店でのコストが抑えられるという特典もあるという。 コナカ広報担当は、そのあたりをこう回答する。 「郊外型店舗の駐車場、土地の有効活用とシナジー効果(相乗効果)をはかれます」 先の経営コンサルタントも、こう解説を加える。 「既存の紳士服店はたいてい大きめの駐車場を持っている。その紳士服店舗の横に飲食店を出店すれば、駐車場を有効利用できることと、飲食店、紳士服のどちらかに来店した客がどちらにも寄るという相乗効果も期待できるためです。さらに、FC展開であれば共通マニュアルを基にするため、他業種でも運営しやすいというのもあります」 しかし、紳士服大手各社が、スーツ以外の業種に進出すれば必ず成功するという保証はどこにもない。実際、過去には非スーツ業種に進出して、すでに撤退している例もある。しかし、手をこまねいてはいられない状況なのだ。 「大手紳士服業界も人口減の中で、スーツ1本に頼っていてはジリ貧になるのは火を見るより明らか。こうした中で、スーツ5割、他業種5割で運営するのが、サバイバルのカギというのです」(同) 紳士服業界で10年先、生き残っているのは果たしてどこなのか。
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社会 2017年04月07日 10時00分
南海トラフ巨大地震 消える市町村145万世帯(2)
太平洋側の沿岸部には、そのような町が少なくない。 三重県南東部の鳥羽市は'12年、内閣府の発表により南海トラフ巨大地震による最大津波予想高が24.9メートルから27メートルに引き上げられている。 「それまでは“揺れが来たら逃げろ”と呼びかけてきたが、答志島など離島内の道は非常に狭い。それらが家屋の倒壊などで塞がれる可能性が高いため、他の避難路を探したり、高台までは手すりを設置するなどの対策はすでに取っているが、被災後に流出した住民が戻ってくるかどうかは分からない」(鳥羽市関係者) 三重県の志摩市にも最大26メートルの津波が押し寄せるとされ、高台のない低地部には避難タワーの建設や土盛りをした「命山」の築造も検討されている。さらに、被害想定を反映したハザードマップを作成して各戸に配布しているが、人口流出の対応策となると、お手上げなのだ。 しかし、妙案を考え出した地域もある。 「人口流出を防ぐため、徳島県美波町の由岐地区では、あらかじめ復興の方針を決める“事前復興”と呼ばれる取り組みを5年前から町と住民で進め、先頃、計画の素案がまとまったのです」(地元記者) それによれば、住民が移転する高台や、かさ上げする土地などを事前に話し合って決定。例えば、内陸の一部では、地震で家を失った住民のための住宅地が整備できるよう、あらかじめ土地の所有者に許可を得たうえで、分かりやすく模型を作って被災後に整備する住宅地の姿を決めるという。 「住民と町の合意形成を事前に済ませ、いったん人口が流出しても安心して再び町に戻ってこられるようにするのが狙いです。この町はもともと過疎化に悩み続けてきたことから人口流出問題にはナーバスになっており、震災後に地域を継続させるための合意形成をしやすい土壌があったのです」(同) 東日本大震災後、被災地の太平洋沿岸部では、いまだ内陸部へ移転したまま住民が戻らない町が多くある。6年経っても故郷の環境が変わらない現状があるからだ。今回の人口流出のシミュレーションをまとめた東大の広井悠准教授も、「あらかじめ復興の手法や手順をまとめるなど長期的視点に立った対策が必要だ」と話している。 「首都直下型の巨大地震でも同様です。都内に住めなくなった人が地方に疎開することになる。政府の早急な対応が必要なのです」(前出・渡辺氏) 問題は地震や津波そのものだけではないのだ。
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社会 2017年04月06日 14時00分
赤っ恥ニュースを平気で垂れ流す “心の病”を抱えるのは中国よ、アンタだ!
「放射能で汚染された日本の食品が中国に流入している」のだという。中でも『MUJI』ブランドで世界進出している無印良品への攻撃のその“無恥ぶり”には開いた口がふさがらない。 中国の国営テレビ局『中国中央電視台(CCTV)』が毎年、世界消費者権利デーである3月15日に生放送する『3・15晩会』は、中国に進出している外国企業が最も恐れるテレビ番組という。過去にこの番組でやり玉に挙げられたアップルやマクドナルド、ニコンなどは消費者の敵と名指しされ、謝罪や補償に追い込まれている。 《同社製食品(無印良品)のパッケージ上には、中国語で日本の生産地を表示したラベルが貼られているが、そのラベルをはがすとこれらの商品の本当の生産地が『東京都』と記されている。同地は中国が食品輸入を禁止している放射能汚染地区だ》 東京が「生産地」ではないことは、中国人観光客御一行様ならお分かりのはずだ。お分かりでないならバカである。 「案の定、日本や日本企業、日本人を侮蔑するコメントがネット上をにぎわせましたが、無印良品も『食品パッケージに記されている東京都は生産地ではなく、本社所在地であって、今回取り上げられた食品の生産地はいずれも食品輸入を禁止している放射線汚染地区ではない』と反論。他メディアもこれを報じ、結果的にCCTVは赤恥をかいたのです」(現地商社マン) しかも今回、中国メディア間で「互いを攻撃し合わない」という暗黙の了解が破られ、「国営メディアとして基本的な事実確認さえおろそかにしているようでは、あまりにも職業倫理と節操に欠けていると言わざるを得ない」という内容の集中砲火まで浴びた。 「確かによく言えたものだと思いますよ。何しろ中国は欧州各国から『将来のエネルギーインフラを買いあさっている』と批判され、中国企業への情報・技術流失を懸念したドイツ政府からは、昨年来、買収をけん制する発言が行われているありさまです。今年に入り、独仏伊3カ国政府は欧州委員会に対し『中国系企業による欧州企業の買収を無条件で認めるべきではない』との申し立てを行っています。欧州では中国企業による“爆買い”は禁止されているのです」(中国ウオッチャー) 中国の王毅外相は「日本は自らの心の病を治す必要がある」と言ったが、その言葉、そのままそっくりお返しする。このままでは、当分、世界から“信用”の二文字のお墨付きは貰えないだろう。
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社会 2017年04月06日 10時00分
南海トラフ巨大地震 消える市町村145万世帯(1)
近い将来に南海トラフで発生するとされる巨大地震で、太平洋側を中心に人口が変動し、愛知、静岡、高知県などを中心に246市区町村145万6000世帯が“流出”するとの試算を、先頃、東大や名古屋大の研究チームがまとめた。 「東日本大震災では原発事故が発生し、被災地の住民が何の支援もなく着の身着のまま避難しましたが、もし今、南海トラフ地震が起きた場合も、大量の難民が発生する。どこへ行けばいいのか分からず、日本は大混乱に陥ります」 こう語るのは、防災ジャーナリストの渡辺実氏だ。 地震などで甚大な被害が出た場合、応急措置として災害救助法が適用され国費が投入される。同法の所管は現在、厚労省から内閣府に移されているが、仮設住宅の所管は国交省と相変わらず縦割り行政がまかり通っているため、まず法整備が必要だと渡辺氏は訴える。 「南海トラフ巨大地震は超広域で被災するため、直後から難民が発生すると見られますが、とても被災地内で片付く問題ではありません。仮設住宅の建設一つとっても、どこへ作ればいいのか喧々囂々となるでしょう。ところが、現行の法では対応できない。たとえば、被災民が被災地ではない地域に逃げたとしてたら災害救助法が適用されず、地元民の善意に頼るしかないのです」 宮崎、高知、和歌山県などで被災した人は関西圏内で避難するものと見られ、兵庫県には11万1000世帯が流入、福岡県には15万5000世帯が流れ込むという。 「おそらくそれに留まらず、日本海側の市町村にも多くの被災民が流入すると予測される。場合によっては、新幹線が開通した北海道へも避難する人が出てくるはずです。しかし、避難先の自治体も困惑するでしょう。したがって、今からどのような疎開パターンがあるかを十分に考えておくべきで、法整備も必要なのです」(同) 一方で人口が流出する側はどうなるのか。高知、静岡県など、七つの県の沿岸部を併せて30の市町村で50%以上の世帯が流出し、なかには“消える町”も出てくるという。 本州の最南端に位置する和歌山県串本町などは、県から「避難困難地域」に指定されている。わずか数分で津波が到達するため、踏み込んだ内容の被害想定を発表しているのだ。ところが、海に面した集落の住民115世帯のうち約半数は高齢者で、町が試算したところの町内に作れる仮設住宅はわずか100戸足らず。津波も最高で約10メートルの高さまで押し寄せるとされ、諦めの言葉を口にする住民も少なくないという。 「町では津波からの避難を中心に防災対策を進めている。しかし、その後のことなどはまだ考えるまでに至っていないのが現状です。人口流出を考慮すれば、町は存亡の危機に陥る」(和歌山県関係者)
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社会 2017年04月05日 14時00分
小池都知事、森友学園問題、昭恵夫人…安倍首相を再び襲う健康不安
「顔がむくんで顔色もすこぶる悪い。体調を崩しているようだ…」 3月24日の参院予算委員会に出席し答弁する安倍首相を見ていた自民党のベテラン議員が呟き、さらにこう続けたという。 「以前から抱えている潰瘍性大腸炎が悪化しているのではないか。症状を抑えるために朝晩2錠ずつ、アサコールという薬で抑えているというが、その1回の量を増やしているという話も聞こえてくる。なんと言っても、この病の最大の難敵はストレス。今、いくつもの難題を抱える安倍さんは、いつパンクするか分からない」 ストレスの最大要因の一つは、森友学園問題だ。国有地格安払い下げの際の昭恵夫人の関与と、100万円の献金疑惑、さらに稲田朋美防衛相と籠池泰典氏サイドの蜜月疑惑などを払しょくできないことにある。 自民党中枢関係者が、こんな見方を示す。 「森友学園の疑惑が浮上した当初、首相はまったく意に介さなかった。というのも、籠池夫妻と面識はないし、疑惑の中身もまったく耳に入っていなかったからだ。昭恵夫人が一、二度、塚本幼稚園に行ったという程度の認識。そのため2月17日の衆院予算委員会で、『私や妻が関係していたということになれば首相も国会議員も辞める』などと強気の発言になった。これが結果的にストレスになり始めている」 そんな中、鴻池祥肇元防災担当相と籠池氏の面談記録の存在が判明。鴻池氏が早々に会見を開き、 「封筒を渡されカネかこんにゃくか分からないが無礼者と投げ返した」としたことで疑惑に一気に火がつき、さらに3月16日には籠池氏から、「安倍首相から100万円の寄付を受けた」との発言が飛び出した。 「そういった事実はないと首相が弁明しても、野党やマスコミは完全に前のめり。嘘を証明するには籠池氏の証人喚問となったら、今度は籠池氏が、国有地取引に関連した昭恵夫人の秘書からのFAXまで持ち出してきた。完全に籠池劇場にやられていますよ。首相自身はともかく、夫人の無関係を証明できなければ、徐々に『首相を辞める』という自らの発言に縛られ、追いつめられる」(前出・自民党ベテラン議員) 森友学園問題は、安倍家にも大きなストレスをもたらしているようだ。 「これまでも、昭恵さんが居酒屋を始めてみたり、大麻解禁だの、反原発を訴えるだのする度に、安倍さんの母親の洋子さんと悶着があったと言われています。特に反原発に関しては相当、洋子VS昭恵の確執があったようです。しかし、その都度、安倍さんが洋子さんをなだめ、事を収めてきた。当然、森友問題でも洋子さんから昭恵さんの脇の甘さについて激しく叱責があったに違いない。昭恵さんだけが批判されるならともかく、今回は息子の進退にも関わりますからね。間に挟まれた安倍さんはゲッソリしていますよ」(首相周辺関係者) ここへ来て、安倍首相の悩みの種はまだある。小池百合子都知事の動向だ。 豊洲市場移転問題を巡る百条委員会で、石原慎太郎元都知事は開き直りの構えを見せ、移転を進めてきた都議会自民党は依然、“悪代官”のイメージのまま。退治する小池氏にとっては追い風が吹くばかりだ。 「移転の結論が先延ばしになっていることで、小池氏も“都議選の争点の旗印にしない”としているが、状況は変わらない。公明党にも逃げられる中、3月14日には安倍首相、二階俊博幹事長、下村博文都連会長らが会談して各選挙区への徹底支援を確認し合ってはいるが、自ら森友問題を抱えるとあっては逆効果だ」(自民党中堅議員) これだけの難題が襲いかかる安倍首相に、“体調不安説”が浮上するのも無理はない。ちょうど10年前の'07年、潰瘍性大腸炎が悪化し、9月に退陣に追い込まれた、第一次安倍政権の悪夢が蘇る。 「森友問題では、なかったことを証明するのは難しい。であれば、野党の求めに応じて昭恵夫人を証人喚問に出席させるしかないという声もある。しかし、そこでいくら昭恵夫人が100万円の寄付などを否定したところで、野党に吊るし上げられ、ただ怪しさだけが残るだけ。余計に安倍さんの首を絞めることになる」(自民党関係者) となると、野党を無視して強引に幕引きをするしかないのか。 「強引にフタをすれば、即、危機に直面することはなくなりますが、安倍内閣の支持率の下落ぶりがボディーブローのように効いてくるでしょう。現に、報道各社が調査した支持率は軒並み下落しており、明らかに森友問題が影響している。今後もジワジワ下がるのは必至の状況です」(全国紙政治部記者) 現状のままでは、それまでの高支持率を背景に夏の都議選を乗り切り、来年9月の総裁選で3選を果たすという安倍首相のシナリオに黄色信号が点滅する。都議選に大敗すれば党内に“安倍降ろし”が、一気に起きかねないのだ。 「形勢を変えるには、安倍さんの体調も含め、レイムダックになる前の衆院解散しかないのではないか」(前出・自民党中枢関係者) 選挙に勝つことが最高の妙薬となりそうだが、果たして…。
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社会 2017年04月05日 10時00分
都市ガス自由化で熾烈を極めるエネルギー顧客争奪戦争
昨年4月にスタートした電力小売り自由化に続き、この4月から都市ガスの小売りも全面的に自由化される。既に一部事業者に対しては行われていたが、一般家庭にもその範囲が広がることで、ガス、電気を巻き込んだエネルギー戦争の火ぶたが切って落とされる。 「そもそも都市ガス小売り自由化とは、現在、家庭までにガスを届けているガス管を新規参入するガス会社が使用することができるようになることです。東京であれば、既存の東京ガスのガス管を使って新規参入ガス会社がガスを販売する仕組みです」(経済記者) 電力小売り自由化が開始された時点で、都市ガス小売り自由化は決定事項であった。東京ガスの広瀬道明社長は「電力会社など、当社より規模の大きい企業が都市ガス市場に参入してくるのは間違いない」と警戒感を強め、この1年間は積極的に電力の方の小売りシェアを拡大してきた。そしてこの4月から、いよいよ東京電力の巻き返しが始まることになる。 「東京電力の最初の動きとして、4月から家庭向けに参入するLPガス大手の日本ガスと提携します。既に日本ガスに都市ガスを卸しているのが東京電力であることから、両社との連携を高めることで、東京ガスに奪われたパイを巻き返していく意向です」(同) 都市ガス小売り自由化によって、多くの規制の壁に守られていたエネルギー市場が完全に開かれることにはなるが、本当に消費者が利便性を感じられるレベルにはまだ達していない。電力自由化に際しても、実際に電力提供先を切り替える一般消費者の伸びはそれほど見られなかった。その多くが「手続きが面倒」「餅は餅屋、わざわざ変えない」という声であった。 「その一方で、多くの企業が都市ガスの小売り自由化を待っていた節があります。すべてのエネルギー自由化がなされるこの4月から、さまざまな企業間の連携、それに伴う多くのパッケージサービスが消費者に提案されるでしょう」(同) 電力20兆円、都市ガス5兆円ともいわれる巨大市場の行方やいかに。
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社会 2017年04月04日 14時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 森友学園問題のもたらすもの
森友学園が設立しようとした小学校に国有地がタダ同然で払い下げられた事件は、国会での疑惑追及が続いている。しかし、物証が乏しいこともあって、真相は闇の中に葬られる可能性が高いだろう。問題となるのは、この事件が、どのような影響をもたらすのかという点だ。 今回の事件の主役は、誰がどう考えても財務省近畿財務局だ。ここが、タダ当然の払下げになるように過大なごみ処理費用を見積もらせ、さらに、通常では絶対にありえない分割払いまで認めて、森友学園の土地取得に際し全面協力した事実は、まったくもっておかしな話だ。 ところが財務省は、適正な手続きを踏んで、適切な価格で売却したと、一貫して主張している。さらに、森友学園と近畿財務局が交渉した経緯の資料をすべて廃棄し、森友学園の籠池理事長が近畿財務局に入館した記録さえ、すべて廃棄したとして、真相の究明を阻んでいるのだ。 一方の安倍総理は、国有地払い下げに自分や妻が関与していたら、総理はおろか、国会議員も辞職すると宣言している。 この状況は、「財務省が安倍総理の生殺与奪の権利を握っている」ということを意味する。小役人の1人でも、安倍総理の名前を出せば、総理が辞任に追い込まれるからだ。 実は、財務省は再来年の10月から消費税率を10%に上げる予定にしており、法律上もそうなっている。ところが、安倍総理は、昨年あたりから、それを打ち砕こうとしてきた。状況証拠は複数ある。 まず、今年1月の『文藝春秋』で、安倍総理の経済参謀を務める浜田宏一内閣官房参与が「アベノミクス私は考え直した」という論文を発表した。そのなかで浜田氏は、アベノミクスでデフレを脱却するためには、「減税を含む財政出動」が必要だと表明したのだ。浜田氏は、もともと消費税増税に反対しており、参謀の浜田氏がそんな考えを示せば、安倍総理も同調して、消費税を引き下げると言い出しかねない。 第2の証拠は、1月6日に安倍総理が首相官邸にイギリスのアデア・ターナー金融サービス機構元長官を招いて会談をしたことだ。ターナー氏は「ヘリコプターマネー」の提唱者で、デフレ脱却のためには、減税あるいは国民に現金をばらまいても構わないと主張している。 そして、第3の証拠は、プリンストン大学のクリストファー・シムズ教授が2月に来日し、各地で行われた講演やシンポジウムが大盛況となったことだ。シンポジウムには浜田氏も参加した。 シムズ教授は、自身の「物価水準の財政理論」に基づいて、「日本は物価目標を達成するまで、消費税増税を凍結すべきだ」と繰り返し主張している。 こうした状況を、消費税増税を最優先課題に掲げる財務省は、苦々しく感じただろう。しかも安倍総理は、過去2回、消費税増税を先送りした前科二犯だ。何としても、総理を止めなくてはいけない。 その意味で、森友学園問題は、財務省にとって追い風となる。しかも、安倍総理の窮地は、総理再登板を狙う麻生財務大臣にとっても好都合だ。やはり、森友学園問題の主犯は、財務省ではないのか。
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社会 2017年04月04日 10時00分
北朝鮮・金正恩「斬首作戦」決行リミットになった韓国大統領選
韓国最大野党「共に民主党」の文在寅前代表が次期大統領になる可能性が大。そうなれば在韓米軍を追い出し、金正恩朝鮮労働党委員長と手を結ぶことは確実だ。その前にあの凶暴な独裁者を葬らないと、アジアは未曽有の危機に陥る。 文氏については、トンチンカンな反日論調を繰り返す朝鮮日報でさえ的確な批判をしている。《文氏は『当選すれば直ちに開城工業団地と金剛山観光を再開する』と明言している。これらは国連による制裁に違反するのはもちろん、金正恩委員長の息を吹き返させ、米国とも深刻かつ無用な対立を引き起こすだろう》とまで言い切るのだ。 北朝鮮と同様、文氏が在韓米軍の撤退を主要目標に掲げていることは周知の事実で、リベラル派のニューヨークタイムズでさえ、この幼稚な安全保障認識しか持たない次期大統領最有力候補を危険視し始めている。 「オバマ前政権の対北政策である『戦略的忍耐』の結果はどうだったか。明らかに北朝鮮の作戦勝ちです。朝鮮日報も『オバマの対北政策は戦略的忍耐ではなく“意図的責任回避”だ』と酷評したことさえあった。オバマが手をこまねいている間に、北は過去5回の核実験を実施し、弾道ミサイル開発も米本土まで届くところまで来てしまった。移動式の連続発射技術も備え、第2撃を可能にする潜水艦発射弾道ミサイルの発射実験まで行ったといった具合に、着実に核能力を拡大しているのです。米ジョンズ・ホプキンズ大の北朝鮮分析サイト『38ノース』によれば、北朝鮮北東部・豊渓里の核実験場の坑道入口で動きがあるとし、6回目の核実験に向けた準備ではないかと指摘しています。核の小型化にまい進している今、日米韓は金正恩の斬首作戦を実行しないと取り返しのつかないことになるのです」(軍事アナリスト) 日本は今、豊洲移転問題や森友学園騒動でやかましいが、すでに北のミサイルが日本の防衛能力では迎撃できないレベルに達しているということに、もっと関心を持つべきだろう。北朝鮮は3月6日、弾道ミサイル4発を秋田と能登半島沖に同時発射。これに対し、日本が船舶に対する注意報を出したのは発射の13分後だ。北ミサイルの飛翔時間は10分以下だから、もしこれが東京だったら警報前に弾着している。 「菅義偉官房長官は『事前通告なしに発射されたから、どこに飛ぶか察知は困難』と弁明しましたが、実戦で北が発射を事前通告してくれることなどあり得ません。日本のミサイル防衛費はすでに1兆8000億円に達していますが、そのカネは地震予知と同様、誰かの胃袋に収まり、屁と糞になって消えています。悔しいですが、韓国の保守派に“打倒文在寅”を果たしてもらう以外に日本が核の脅威から逃れるすべはありません」(軍事ジャーナリスト) 現在、韓国にとって重要な戦略パートナーの日米両国の外交代表はソウルに駐在していない。米国大使の不在はトランプ政権誕生直後であり、まだ新任大使が決定されていないこともあるが、釜山の慰安婦像設置問題に抗議して帰国した長嶺安政日本大使はいまだ帰任していない。日米大使の同時不在という状況は、現在の韓国の“孤独死”を予見するに十分だ。 「韓国の保守派は、朝鮮半島の『赤化(共産主義)統一』を恐れており、左派政権発足を見越して“倒閣運動”の声を上げています。要するに弾劾決定は憲法違反だとして、『国民抵抗権』を発動するとの意思表明です。この権利は、政府が体制を揺るがすような政策を取った場合に、国民が街頭に出て政権を倒すことは憲法上許されるというもので、左右両派の大規模デモもそうですし、過去には李承晩政権を民衆が倒した『4・19革命』(1960年)を再現することなのです。右派は間違いなく逆襲に転じるでしょう」(大手紙元ソウル特派員) 恐らく、選出された韓国の新大統領には訪問要請の招待状は一通も届かず、外国の国家元首は誰も訪韓しないだろうと、この元特派員は指摘する。そうならないと韓国国民は夢から覚めない。 「北朝鮮の国連大使は、金正男氏暗殺のVXガスは韓国から搬入したものだと主張していますし、暗殺事件の黒幕は米国だと言い放ちファイティングポーズを取っている。一方、先頃、北京入りした米ティラーソン国務長官は、王毅外相に『米国の要求に従わない場合は、米国に進出している中国の銀行に制裁を課すことも検討中である』と伝えました。これに対して、中国は王外相に、『アジア情勢の悪化は米国の韓国へのTHAAD(高高度ミサイル防衛システム)配備が原因であり、米韓軍事演習は直ちに止めるべきだ』と国連の安保理決議を無視したたわごとを繰り返し言わせ、その舌の根も乾かないうちに在韓米軍を監視するレーダーを追加配備して、朝鮮半島と日本全域を監視下に置きました。このシステムは一部の分析でTHAADレーダーの3〜4倍も強力なものだとされ、最新鋭のF35Bステルス戦闘機の動向さえ把握できるといわれます。中国は、韓国に自国に最も都合のいい大統領が誕生するとタカをくくっており、政権空白の現在の韓国には一連の中国の圧力をはねのける力はありません」(同) 中国属国時代が復活する韓国と北朝鮮のタッグ――。日本にとっては悪夢の核武装国家“高麗連邦”の出現が目前に迫っているのだ。
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社会 2017年04月02日 15時00分
人が動く! 人を動かす! 「田中角栄」侠(おとこ)の処世 第62回
昭和51年8月17日、田中角栄は前日の起訴を受けてこの日、保釈された。保釈金2億円は、贈収賄事件でのそれとしては異例の高額であった。 東京拘置所を出た田中は、その足で目白の自宅に戻った。「親分出所」を待っていたのは、田中派幹部の面々であった。田中の姿を見た橋本龍太郎(後に首相)などは、あたりはばからず涙をポロポロと流した。また、田中自身はそれから間もなく、元神楽坂芸者の愛人宅に足を運び、家に上がるや一点を見詰めて、悔しそうにこう口にしたものであった。「米国の差しガネで三木(武夫首相)にやられたッ」と。 ちなみに、米国の「差しガネ」とは、田中が米国の石油メジャーを尻目にわが国の資源確保のために中東などからの新しい石油ルートを模索したこと、もう一つは、米国の意向に逆らう形で日本の今後の市場拡大も含め、中国との国交正常化に走ったことを指すようであった。後に、こうしたことは「米国の虎の尾を踏んだから」との見方も出、なぜロッキード事件が発生したかの見方の一つになった。ただし、今もって事件の本質は「藪の中」となっているのである。また、「三木にやられた」は、三木が田中逮捕の事実を事前に知っていながら、これを少しも抑えようとしなかった、すなわちあまりに「惻隠の情」がないとの考え方を指している。 東京拘置所独房内での、田中のこんなエピソードがある。某日の献立は、〈朝食〉午前7時20分…豆腐とキャベツの味噌汁・大和煮・米と麦半々のドンブリ飯(昼・夕食同じ)、〈昼食〉午前11時30分…マーボー豆腐・サンマの塩焼き大根おろし付き、〈夕食〉午後4時20分…筑前煮・おからの炒めもの・プリンスメロン。 拘置所当局のコメントは「食事をすべて食べたかどうかについては個人の名誉に関することなので一切申し上げられない」というものだったが、保釈後しばらくたって田中が田中派幹部の1人に語ったところでは、以下のようなものであった。 「しょっぱいもの大好きの田中先生としては、こうしたメニューではさすがに食欲は湧かず残したことも多かったようだ。『だいぶスリムになった』と言っていた。一方で、独房は真夏でもクーラーなし、汗っかきで鳴った先生いわく『あまり暑いので、アソコをウチワであおいでおった』と言っていましたナ」 一方、政局的には、出所した田中の“逆襲”が直ちに始まった。自民党内では田中派が公然と「三木退陣」を要求、再び“三木おろし”の気運が盛り上がってきた。これに「ポスト三木」を窺う福田赳夫、大平正芳の両派、あるいは中間派もこれに乗り、「人心を一新して挙党体制を確立する」ことを名目に「挙党体制確立協議会」が立ち上げられ、数の力をバックに三木に退陣を迫ったものであった。 対して、したたかさで鳴る三木は衆院の解散をチラつかせながら応戦、一歩も引かなかった。しかし、結局は解散権は行使できず、戦後唯一の任期満了による総選挙を迎えることになったものであった。結果、この年の暮れに行われた総選挙は世論の集中砲火を浴びて自民党は大苦戦、結党以来初めて過半数を割る事態となったのだった。 ここに至ってさすがの三木も敗北を認めざるを得ず、責任を取る形で首相辞任を余儀なくされた。田中としては、“宿敵”三木のクビを取った形であった。後継首相には、「三木おろし」工作を推進した“論功行賞”的意味合い、田中の「盟友」大平ではあまりに露骨ということもあり、田中も政敵福田の就任をのまざるを得なかったということだった。 また、田中にとってまさに窮地であった先の総選挙では「10万票を割るかも知れない」との見方もあったが、フタを開けると〈旧新潟3区〉で16万8千票を獲得してトップ当選、その底力を見せつけたのだった。 一方、田中に対する東京地裁の公判は翌年(昭和52年)1月27日の第1回公判から毎週1回開かれ、回数にして実に191回も重ねられた。その後、6年余を経た58年10月12日、田中は懲役4年・追徴金5億円の有罪判決を受けることになった(判決5日後に保釈金2億円で再度保釈)。首相経験者が実刑有罪という一審判決の激震を受けて国会はいよいよ紛糾、改めて衆院を解散して「国民に信を問う」ことを余儀なくされた。いわゆる「ロッキード選挙」への突入であった。 田中はその一審判決に対し、直ちに控訴手続きを取るとともに、悔しさをにじませ次のような「田中所感」を発表したものであった。 「地裁判決は極めて遺憾である。(中略)私は根拠のない話や無責任な論評によって真実の主張を阻もうとする風潮を憂える。わが国の民主主義を護り、再び政治の暗黒を招かないためにも、一歩も引くことなく前進を続けるつもりである」 田中は有罪判決にもなお強気、総選挙では驚異の票を獲得して、以後しばし、「闇将軍」「キングメーカー」の名のもとに政局を牛耳続けることになるのである。(以下、次号)小林吉弥(こばやしきちや)早大卒。永田町取材46年余のベテラン政治評論家。24年間に及ぶ田中角栄研究の第一人者。抜群の政局・選挙分析で定評がある。著書、多数。
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