社会
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社会 2013年11月15日 15時00分
真相は盗聴&サイバーテロ 安倍総理が公邸に引っ越さない“本当の理由”
かねてから安倍総理が「公邸入り」しないことが問題視されてきたが、これが国会質問の俎上に上がり、再び注目を集めている。 政治部記者がこう語る。 「騒動が再燃したのは、11月5日の『国家安全保障特別委員会』。民主党の近藤洋介議員が、『総理が8km先の私邸から官邸通いするのは危機管理上問題』と指摘したのです。ただこれはもっともな話。安倍内閣は非常時に、総理、官房長官、防衛相、外務相が緊急会談できることをキモとした『国家安全保障会議』を来年発足させようと躍起。ところが、官邸から徒歩6分圏内の議員宿舎に住む3者と違い、安倍総理だけが車で30分もかかる私邸に住み続けているからなのです」 しかも、この質問に菅義偉官房長官が回答。「私邸からでも、オートバイで15分以内に官邸移動できるよう万全の体制を整えている」とあ然とする答弁をしたために、今では「そこまでして公邸住まいを嫌う理由は何か?」との疑惑が永田町に渦巻いているのである。 「過去に憶測として流れたのは、『公邸に出る幽霊話』や『持病の潰瘍性大腸炎の治療』『愛犬の世話』というものだった。中でも幽霊話は今では国会でも揶揄されるほどだが、いずれについても官邸は明確な答弁を避けている。そのため、さらに話が過熱し始めているのです」(自民党関係者) もっとも、総理の「公邸嫌い」には、別の理由が存在するようなのだ。 語るのは本誌が直撃した公安関係者だ。 「実は、公邸には民主党政権時代に極左スタッフが政権中枢に入り込み、大量の盗聴器が仕掛けられたとの話があるのです。最近、ドイツのメルケル首相が携帯電話をCIAに盗聴されていたと騒ぎになったが、菅直人内閣時代には官邸で話した内容が中国や韓国筋にダダ漏れ。そのため、総理は公邸入りを拒否しているといわれているのです」 この関係者によれば、公邸は、「サイバーテロの舞台としても中国や北朝鮮に狙われている」という。これが事実なら、“右舵全開”の安倍総理の危機管理は、相当なもの!?
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社会 2013年11月15日 12時00分
TPP参加で 米・遺伝子組換え食品大量流入の不安
偽装メニューは“ミュータントサーモン”に比べればマトモかもしれない。米食品医薬品局が、動物性食品では初めてとなる“遺伝子組換え鮭”を食べても安全と評価し、環境への影響もないと発表した。これが全米で波紋を広げている。 「米国では年内にも発売される予定です。この鮭は、米マサチューセッツ州にあるバイオテクノロジー企業、アクアバウンティ・テクノロジーズが17年前に開発したもので、成長が早いのが特徴です。野生の鮭が18カ月で0.2キログラムしか成長しないのに対し、同期間で1キログラム増える。同じ時間で5倍育つわけです。ミュータントサーモンの基本は、北米原産のアトランティックサーモンに、それより大型のキングサーモンと寒さに強いウナギなど、3種類の遺伝子を組み入れることで成長の早い鮭を作るのです」(科学誌ライター) 遺伝子組換え大国の米国では、これらに対する表示義務がない。一方、日本やEUをはじめ世界の約半数以上の国では、何らかの義務表示規則がある。こうしたことから米国の消費者は、遺伝子組換え鮭をフランケンシュタインにちなんで『フランケンフィッシュ』とも呼んで不気味がり、反対運動が活発になっている。 「とはいえ、日本での表示や流通規制は、EUのルールに比べてかなり緩い。今後、経済効率の追求という目的、構造に組み込まれていく畜産動物にも、このテクノロジーが導入されるのは間違いありません。例えば遺伝子組換え動物とは言えないが、ブタにホウレンソウの遺伝子を組み込み、体に良いとされる不飽和脂肪酸が普通のブタより20%も多い『ヘルシーピッグ』などはスタンバイの状況にあります」(同) TPPで日本への売り込みも必至。食材偽装の話題が薄れたころ、またゾロどこかのレストランの『鮭児のマリネ カスピ海産天然キャビア添え』に、ミュータントサーモンとトビウオの卵が使われるかも!?
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社会 2013年11月15日 11時45分
元交際相手へのストーカー行為 「LINE」もモバゲーもアウト!
従来、つきまとい行為は電話、ファクス、手紙などが対象とされていたが、今年7月に施行された改正ストーカー規制法で、新たに執ようなメールも規制対象となった。さらには、「LINE」やモバゲーによるメッセージもアウトだという。 11月11日、兵庫県警が元交際相手の女性に執ように、つきまとったとして、相次いで、ストーカー規制法違反で2人の男を逮捕した。 兵庫県の自称会社員の男(30)は、10月9日〜21日、携帯電話やモバゲー上から元交際相手の女性に、「人生をめちゃくちゃにされたから、そっちもしたる」などといったメッセージを、約30回送ったとして逮捕された。 自称会社員の男は「ストーカーの認識はなかった」と容疑を一部否認している。 同署によると、2人は9月に別れたが、あきらめきれない男はその後も十数回以上にわたって、「別れたくない」とメールを送信し続けていた。 女性が県警に相談したため、10月4日と9日に、男に警告したが、男は連絡をやめず、御用となった。 また、県警は元交際相手の女性が嫌がっているにもかかわらず、9月16日から10月8日までの間、「会って、別れる理由を聞かせろ」などと、電話や「LINE」などでストーカー行為をした疑いで、設備工の男(35=愛知県岡崎市)を逮捕した。 男は「危害を加えるつもりはなかった」と容疑を否認している。 10月に女性から相談を受けた県警は、連絡をやめるように、設備工の男に忠告したが、聞き入れず、電話などが計約30回続いたという。(蔵元英二)
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社会 2013年11月14日 11時45分
岡山の元郵便局長が顧客の貯金など約8億円を着服?
岡山県警岡山西署は11月9日、顧客の貯金計500万円を着服したとして、業務上横領の疑いで、旧特定郵便局の岡山芳賀佐山郵便局(同県岡山市北区芳賀)の元局長の男(61=同区青江)を逮捕した。逮捕容疑は、郵便局長だった11年8月上旬、同郵便局で顧客の同市の男性(69)と、その妻(66)から預かった通帳と印鑑を使い、無断で現金250万円ずつ計500万円を引き出して横領した疑い。 元局長は「金は先物取引に使い、その損失を穴埋めするため着服を繰り返した」などと供述し、容疑を認めている。被害者の代理人弁護士によると、被害者は計12人で、被害総額は約8億3000万円にも上るといい、県警では余罪の追及を進めている。 元局長は88年10月から同郵便局の局長を務めていたが、被害を受けた顧客が郵便局会社(現・日本郵便)に相談し、内部調査したところ、11年9月に着服が発覚。同社が横領容疑で、県警に刑事告訴していた。元局長は同年12月に懲戒解雇され、今年3月に自己破産した。 現在、事件をめぐり、同市、倉敷市の顧客が日本郵便とゆうちょ銀行に損害賠償を求め、8件の訴訟を岡山、東京両地裁に起こしており、請求総額は約4億7000万円。日本郵便は「元局長が逮捕されたことは誠に遺憾。被害者に多大なご迷惑をおかけし、利用者の信頼を著しく損なうこととなり、深くお詫びします。全社員に指導を徹底し、再発防止に努めます」とコメントしている。(蔵元英二)
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社会 2013年11月14日 11時00分
もはや人事権は安倍総理のもの? NHK新経営委員4人の顔ぶれ
安倍政権がNHKに4人の経営委員を提示してきたことから、次期会長候補の名前がちらほらし始めた。 今回は、経営委員12人のうち新任の4人。NHK会長人事は経営委員9人の国会同意人事が必要だが、4人が安倍総理の味方になれば様々な案件を拒否できる構造が出来上がる。 新経営委員は、JT顧問の本田勝彦氏(71・安倍支援保守系財界人『さくら会』のメンバーで元安倍総理の家庭教師)、作家・百田尚樹氏(57・日本の自虐史観を一貫して批判し、憲法改正と軍隊創設を推挙)、長谷川三千子氏(67・古くからの知人で家父長制の復権を公然と唱える保守論客)、中島尚正氏(72・『海洋学園』校長、副理事長はJR東海葛西敬之会長。次世代のリーダー育成を掲げる全寮制の中高一貫校)ら。 安倍総理はこの4人を外部からリモコンし、会長人事を押し通すことになる。 では、来年1月に会長になる人物だが、候補として挙がっているのは誰か。 この項(112回・126回)で報じた記事をまとめると、三つの勢力がぶつかり合いを続けている状況だ。 安倍主導型で外部から“入閣”しようとする勢力と、内部からの巻き返し勢力がある。後者では諸星衛NHKインターナショナル経営特別主幹らの名前が挙がっている。最後に2期目に入る松本正之会長勢。目下、意欲的でアンチを追放にかかっているともっぱらだ。安倍総理を支援するJR東海勢とは今や不仲だと囁かれている。 だが、すでに安倍総理が人事権を握っているといえそうだ。 「安倍総理は三菱グループから会長を送り込もうとしています。実兄・寛信氏は三菱商事系列企業にいるし、『さくら会』のメンバーも三菱系企業幹部が多い。畔柳(くろやなぎ)信雄三菱東京UFJ相談役が筆頭格ですが、他にも三菱グループ内には候補はゴロゴロいる。あっと驚くところでは、牛尾治朗ウシオ電機会長の名前を口にする者もいます。可能性は低いですが、以前に何度も噂になっているし、安倍総理の姻戚関係ですからね」(NHK事情通) このままでは、NHK会長人事、相当もめそうだ。
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社会 2013年11月13日 15時30分
2006年ドラフト希望枠で日本ハム入団の元投手が強姦などの疑いで逮捕される
プロ野球界に激しい衝撃が走った。 千葉県警は11月12日、千葉県内の路上で女性に乱暴したとして、強姦(ごうかん)などの疑いで、プロ野球日本ハムの元投手で球団職員(2軍マネージャー)の宮本賢容疑者(29=同県船橋市)を逮捕した。 逮捕容疑は、6月下旬の夜、船橋市の路上で、歩いていた女性に乱暴するなどした疑い。 宮本容疑者は関西高校(岡山)時代に、2度甲子園に出場。2002年のセンバツ大会ではベスト4に進出した。その後、早稲田大学に進学し、同大のエースとして活躍。東京6大学で通算23勝をマークし、ベストナインにも2度選ばれた。高校、大学を通じて、主将も務めている。 2006年のドラフト会議で、希望入団枠で日本ハムに入団。同年の同枠入団組には、岸孝之投手(西武)、大隣憲司投手(ソフトバンク)、小松聖投手(オリックス)、永井怜投手(楽天)、金刃憲人投手(巨人=後に楽天に移籍)、高崎健太郎投手(横浜=現DeNA)らがいる。 鳴り物入りでプロ入りした宮本容疑者だが、初年度は1軍昇格できず。2年目の2008年に1軍初登板を果たしたが、勝ち星はなし。2009、2010年も1軍定着はできなかった。2011、2012年は2軍暮らしが続き、同年オフに戦力外通告を受け、球団職員に転じた。 プロ通算実働7年で、22試合に登板し、0勝0敗0セーブ、23回を投げ、防御率3.91で、1勝も挙げられずにユニフォームを脱いだ。 事件を受けて、日本ハム・津田敏一球団社長は「職員が逮捕されたことは大変遺憾であり、重大な事態と認識しております。ファンの皆さま、スポンサー・出資企業の皆さま、関係者の皆様に多大なるご心配とご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。今後、事実関係を確認し、その結果を踏まえて厳正に対処いたします」とコメントした。 プロ野球選手の性犯罪としては、昨年8月にソフトバンクの現役選手である堂上隼人捕手が強制わいせつ容疑で逮捕された例があるが、野球エリートといえる希望枠でプロ入りした元選手が事件を起こしたとなると、衝撃は大きい。(落合一郎)
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社会 2013年11月13日 11時45分
大阪府警の警部が不倫相手とのSM行為撮影した画像をネットに投稿し、麻薬を所持
大阪府警は11月8日、不倫相手とのSM行為を撮影した画像をインターネット上に投稿し、違法な薬物を所持したとして、府警生活経済課の男性警部(56)が、わいせつ電磁的記録媒体陳列と麻薬取締法違反の疑いで、奈良県警に書類送検されたと発表した。 府警は同日、停職6カ月の懲戒処分とし、警部は依願退職した。 送検容疑は、今年3月と7月、わいせつ画像を自ら開設した携帯サイトに投稿し、8月には自分の乗用車に、麻薬指定された「α-PVP」の成分が微量に含まれた植物片を所持した疑い。 府警監察室によると、警部は昨年2月から体調を崩して休職していたが、今年2月頃から、出会い系サイトを通じて知り合ったSM趣味の40代女性と交際。女性に頼まれ、SM行為の様子を撮影してサイトに投稿した。植物片も興奮作用を得る目的で、女性の依頼でインターネットを通して購入したが、警部自身は使用していなかった。 その携帯サイトはいったん有害サイトとして削除されたが、警部は名称を変更して再度ホームページを開設し、わいせつ画像の投稿を続けた。警部は「『画像を載せて同じ趣味の仲間を探してほしい』と女性に頼まれて、20回くらい投稿した」と容疑を認めている。 警部は今回と同種の事件を捜査する生活安全部門に約23年所属し、うち2年半は薬物捜査に従事した。府警の調べには「違法な成分が入った薬物とは思わなかったが、考えが甘かった。深く反省している。自分は使ってない」と話しているという。 警部は合法ハーブという触れ込みで、違法薬物の認識はなかったとしているが、県警は警部に薬物捜査の経験がある点を踏まえ「認識がなかったとはいえない」として立件した。(蔵元英二)
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社会 2013年11月13日 11時00分
フジテレビがPC変更を決断 大盤振る舞いの陰で囁かれる裏取引
フジテレビが3000台のデスクトップOSをすべてWindows『8』に移行することを表明、なにかと憶測を招いている。 『XP』のサポートが'14年4月初めに終了する措置だ。そのため、Windows『7』、もしくはWindows『8』のどちらかに選択肢は絞られていたが、フジは8チャンネルにちなみ『8』を選んだようだ。 それにしても、1426名の会社なのに3000台とは大盤振る舞いだ。いくらの経費投入となるのか。 1台10万円として3億円だが、さらに上のランクである15万円前後のレベルなら4億5000万円と出費額は少なくない。 では、それほど金を使わなくて『XP』を『8』にするソフトを購入すればいいとの意見もあるが、実際は不可能だという。 「ソフトはありますが、もともと入っていた『8』のソフト機能が壊れるケースが数多く報告されている」(大手家電メーカー店員) そこで、フジとWindows8を出すマイクロソフト社(MS社)との間でこんな“密約”があるとPC販売関係者はいう。 「フジがMS社の新製品を購入するのは、番組内でのMS社商品パブリシティーができるからです。4月から6月まで放送された篠原涼子主演『ラスト・シンデレラ』ではWindows『8』やタブレットのSurface等が使用されているシーンが織り込まれていた。これは完全にMS社の宣伝です。そのため、フジは今後一部ドラマで、こうしたやり方でMS社商品を紹介し、安くたたいてPCをMS社から大量購入するという指摘もあります」 視聴率がときには4位に落ちるフジとしては、Windows『7』も考えたようだが、これではテレビ東京のテレビリモコンポジションとなる。そのため、PCを『8』にしてゲン担ぎし、下位脱却を図ろうとしたのだろう。 この戦略、果たして吉と出るか、凶と出るか…。(編集長・黒川誠一)
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社会 2013年11月13日 11時00分
元筆頭株主村上ファンドの置き土産 阪急阪神HDグループの深い闇
「今後、ホテルのレストランで料理を食べる人がいなくなるだろう。社長だけの首切りでいいのか」 「最後の記者会見はあきれたね。『偽装と受け取られても仕方がない』って言い方は、『そういう見方もある』と消費者をバカにしているようなモノだ」 食材偽装で袋叩きに遭っている阪急阪神ホテルズ(出崎弘社長=11月1日付で辞任)の親会社、阪急阪神ホールディングス(HD)の掲示板には、いまだこの手の厳しい書き込みが溢れている。直営の8ホテルにある少なくとも23軒のレストランで、2006年3月から今年の9月まで、実に7年にわたって“メニュー違反”が堂々とまかり通っていたのだから無理もない。 HD傘下の阪神電鉄の子会社が運営する『ザ・リッツ・カールトン大阪』でも'06年4月から偽装をはじめ、これを今年の7月に把握しながら公表しなかったことも明るみに出た。この“連鎖”に堪りかねた阪急阪神ホテルズは、系列の全国33ホテルについても実態調査に着手。まさに、どこまでも飛び火する気配を見せている。何せ問題発覚後、直系や系列ホテルでは宴会などのキャンセルが相次いでいるのだ。 グループ企業も例外ではなく、阪急阪神百貨店の荒木直也社長は、10月29日の決算会見で「おせち料理のキャンセルが十数件出ている」と悲鳴を上げる始末。既にHDの株価は急落し、お騒がせ企業としては“東の東電”と肩を並べている。 なぜ、食材偽装が7年間も続いたのか。加えて、なぜ最近になって表面化したのか−−。当の阪急阪神ホテルズは、その理由を明らかにしていない。 注目すべきことがある。ホテル側が偽装に着手した'06年3月といえば、村上ファンドによる阪神電鉄の株買い占めが発覚('05年9月)、乗っ取り騒動に発展した揚げ句、阪急電鉄が阪神にTOBを実施('06年5月)し、'06年10月1日付で両社が経営統合した渦中に当たる。関係者があきれて表現するその「ドサクサに紛れた強い意志」は、'07年10月に発覚した“難波の囁き女将”こと船場吉兆事件にも全く動じず、連綿と続けてきた事実からもうかがえる。 言い換えれば、株買い占め騒動に端を発した親会社の綱引きに乗じてリッツ大阪を含むホテル群が暴走し、気が付けば、誰も止められなくなっていたのだ。 もうひとつの疑問には、統合(合併)会社にありがちな権力抗争の匂いがプンプンする。阪急阪神ホテルズが事実関係を把握したのは9月、リッツ大阪は7月末だったとされる。いわゆる内部告発が発端だ。ただし、メディアへのタレ込みではなく、あくまでも“上層部への告発”だった。 それを踏まえて社内調査が始まり、おぞましい実態が次々と明らかになっていく。市場関係者は冷ややかだ。 「HDでは統合の経緯からいって、阪神出身者は肩身が狭い。ホテルズも同様で、詰め腹を切るハメになった出崎前社長は阪急の出世コースを歩み、去年の4月にはHDの役員兼務でホテルズ社長に出向した。HDの社長候補に挙げられたほどですが、そうであれば逆に足を引っ張られやすい。今回の内部告発にしても『阪神サイドがリークした』『いや、彼の出世を快く思わない阪急サイドじゃないか』と実に騒々しい限りです」 出崎社長は宝塚歌劇団の総支配人を務めた経歴を持つ。その宝塚大劇場にあるレストラン『フェリエ』が食材偽装に名を連ねていることも憶測を呼んでいる。折しも10月28日の記者会見で、出崎社長は辞任の理由をこう述べた。 「ホテルズだけで収まることがなく、阪急阪神の信用問題にまで発展した。その責任は辞任をもって償うしかない」 社長が自ら首を差し出すことで、早期の幕引きを図ろうとの思惑に他ならない。しかも本人はHDの役員も辞任した。心構えは会社に忠誠を誓うサラリーマンのそれだが、前述のように系列ホテルの調査は継続中だ。従って新たな問題が浮上した場合、新社長が「これは前社長時代の案件だから関知しない」の一点張りで逃げ通せるわけがない。 それを織り込んだのか、親会社である阪急阪神HDの株価は大幅下落が止まらない。前出の市場関係者が不吉な感想を漏らす。 「村上ファンドによる阪神株買い占め騒動の生々しい記憶からか、時にはまとまった買い注文が入って一時的に株価が上がる。これだけ世間を騒がせ、ブランド価値が大きく毀損している今、よほどのモノ好きでなければ株を買いません。誰が何のために買っているのか。HD首脳は内心、ビクビクしているはずです」 前門の偽装ショック、後門の株価下落。果たして、阪急阪神HD関係者が枕を高くして寝られる日は来るのだろうか。
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社会 2013年11月12日 15時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第51回 土建小国
日本の土建産業の供給能力不足が、深刻な問題としてクローズアップされつつある。東北の被災地を中心に、公共事業が応札されない入札不調が増えてきているのだ。 このままでは、自民党が法案を作成している国土強靭化はもちろんのこと、東京五輪に向けたインフラ整備や、東北の復興にすら支障が生じかねない。 '89年の日米構造協議以降の建設産業の規制緩和(公共事業の一般競争入札化など)、法改正(独占禁止法の強化)、そして'97年以降の公共投資削減により、日本の土建産業は「供給能力を高める反対側で、需要が縮小する」という、苛酷な環境下に置かれ続けた。 結果的に、建設業許可業者数は'99年に60万社でピークを打ち、すでに47万社にまで減少した。雇用者数も、'95年の663万人から500万人を割り込むところまで減っている。 また、需要が縮小したのは公共投資に限らない。我が国の民間を含めた建設投資は、'90年代前半には80兆円規模だった。それが一時は40兆円強にまで激減してしまったのである。土建産業の1年当たりの需要が、ピーク期から半減したのだ。 需要激減の影響で、企業が約13万社超、労働者が160万人超も市場から退場したところに、東日本大震災が発生。しかも、高度成長期に建設したインフラストラクチャーの更新時期を迎え、南海トラフ巨大地震、首都直下型地震の危機が迫り、さらに7年後に東京五輪が開催される。 そして、急激に需要が膨張する中、建設産業の従事者はいまだに減り続けている。 変な話だが、'89年以降の土建産業に対する「規制緩和」の効果は、確かに「覿面(てきめん)」だったのだ。価格競争は激化し、建設サービスの価格は下がり続け、最終的には労働者が続々と市場から退出するまでに処遇が悪化してしまった。 すなわち、土建産業の「競争力」は強化されたのである。まさに、規制緩和の目的を達成している。 無論、競争激化は「弱者の市場からの淘汰」をもたらした。競争に敗れた者は、市場から退出させる。これもまた、規制緩和の目的の一つだ。 そして、土建産業が「スリム化」されてしまった段階で、需要膨張期が訪れた。東日本大震災以降、国内の土建需要が急激に膨れ上がる中、産業側が完全に供給能力不足に陥ってしまっている。 今の土建産業は、現在は間違いなく「インフレギャップ状態」にある。 信じがたいことに、前記を理由に財務省の中で「さらなる公共事業削減論」が持ち上がってきている。10月21日に開かれた財政審の財政制度分科会において、財務省は「社会資本整備を巡る現状と課題」と題した資料を配布した。資料を読むと、 「建設に従事する労働者、技術者の不足傾向が全国的に見られることから、被災地および全国における円滑な予算執行を図るとの観点から適切な規模への見直しも必要なのではないか」 と、書かれている。つまり、土建産業の従事者が少ない以上、「適切な規模」へ公共事業を減らすべきではないか、との見解を財務省は表明したわけだ。恐るべき無責任、としか表現のしようがない。 そもそも、現在の土建産業の惨状をもたらした主犯の一人が「財務省」であるにもかかわらず、彼らは何の責任も取らず、公共事業のさらなる削減を図ってくる。 来年4月の消費税増税も、公共事業削減論を後押しすることになるだろう。 「国民に増税という形で負担を求める以上、政府も身を切らなければならない」 などと、もっともらしいレトリックを使い、とにもかくにも「公共事業削減」を実現しようとしてくるわけだ。 政府が「身を切った」ところで、実際に迷惑をこうむるのは必要な公共事業すら実施してもらえない「日本国民」だ。別に、財務省の懐が痛むわけでも何でもない。 しかも、財務省の公共事業削減論の裏に「日本国民のため」という思想があるならともかく、実態は単なる「財政均衡論」である。 財政は均衡させなければならない。よって、増税は「常に」せねばならず、公共事業は「常に」削らなければならない。日本の財務省もまた、欧米で猛威を振るう財政均衡論に完璧に「汚染」されてしまっているのだ。 珍しく「家計」に例えるが、自宅が老朽化し、地震が来たらすぐに崩れ落ちかねない状況で、 「お金がもったいないから、修理はやめよう」 などと考える人がいるだろうか? 手元に余裕がなければ、とにかく借金でも何でもして家を修理しなければ、自分や家族に危険が及ぶのだ。 しかも、政府が通貨発行権という強権を持っている以上、財政的な問題は(少なくともデフレ期は)生じない。政府が建設国債を発行し、日銀が国債を買い取れば、政府は実質的な負債を増やさず、公共事業で「国を修理」することが可能だ。 もっとも、実際には日本の土建産業の弱体化というボトルネック(制約条件)により、事業が遅々として進まない可能性がある。問題は「オカネ」ではなく「供給能力」なのだ。 我が国は全国各地に土建産業が「健全な競争を伴い、存続」して貰わなければ、国民が生きのびられない自然災害大国だ。 自然災害大国では、国民が「互いに助け合う」ことなしでは、生きていくことができない。 日本国が、今やすっかり「土建小国」化してしまった以上、事は国民のサバイバルにかかわる問題なのである。 他人事ではなく、自らの問題として「土建小国」について考えて頂ければ幸いである。三橋貴明(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、わかりやすい経済評論が人気を集めている。