元局長は「金は先物取引に使い、その損失を穴埋めするため着服を繰り返した」などと供述し、容疑を認めている。被害者の代理人弁護士によると、被害者は計12人で、被害総額は約8億3000万円にも上るといい、県警では余罪の追及を進めている。
元局長は88年10月から同郵便局の局長を務めていたが、被害を受けた顧客が郵便局会社(現・日本郵便)に相談し、内部調査したところ、11年9月に着服が発覚。同社が横領容疑で、県警に刑事告訴していた。元局長は同年12月に懲戒解雇され、今年3月に自己破産した。
現在、事件をめぐり、同市、倉敷市の顧客が日本郵便とゆうちょ銀行に損害賠償を求め、8件の訴訟を岡山、東京両地裁に起こしており、請求総額は約4億7000万円。日本郵便は「元局長が逮捕されたことは誠に遺憾。被害者に多大なご迷惑をおかけし、利用者の信頼を著しく損なうこととなり、深くお詫びします。全社員に指導を徹底し、再発防止に努めます」とコメントしている。
(蔵元英二)