逮捕容疑は、生活保護を担当する生活福祉課にいた10年5月〜11月、市の口座から生活保護費として、約400万円を不正に引き出して着服したとしている。
主査は容疑を認めており、「どれくらい着服したのか、整理しなければ自分でも分からない」などと供述しているという。
市は府警に被害相談し、7日に、約400万円を着服したとする業務上横領罪で主査を告訴していた。
府警は20日、主査の自宅を家宅捜索し、かばんや袋に小分けして保管されていた現金数千万円を押収。複数の口座にも多額の金を預けていることを確認した。
市によると、不正があったのは09年1月〜11年3月で、死亡や転出などで保護費の支給が廃止された人や、実在しない人を受給者に仕立てるなどした不正が計1326件あり、使途不明金の総額は約2億6000万円にのぼる。金は庁内のATM(現金自動預け払い機)から、引き出されていた。
同市では保護費を窓口で支給した場合、受給者に領収書を渡し、金額、氏名を記入の上、押印して提出してもらう決まりになっていた。それを経理担当が集めて会計課に提出し、口座に入金した保護費の金額と相違がないかチェックする仕組みだった。
逮捕された主査は01年10月〜11年3月、生活保護費の支出事務を担う生活福祉課に在籍し、ケースワーカーや電算システム管理、経理を担当。支給額の端末入力や会計処理を行う立場だった。
主査が他部署へ異動した後の11年4月、後任の職員が電算システムの処理状況を調べたところ、生活保護が停止された1個人に対し、約5000万円を支給したとのあり得ない記録があったため、不審に思って上司に報告。ところが、上司は「システム上のエラー」と判断して放置し、12年8月にシステムを変更するまで不正に気づかず、発覚が遅れた。
問題の約5000万円は電算システム上、主査の異動発令前日の11年3月31日に支給されたことになっていた。急に異動が決まったため、それまでにシステム上の処理をしないまま、複数回にわたって、生活福祉課が管理する口座から引き出した同額分について、金額上のつじつま合わせをして、発覚を逃れようとしたとみられる。
芝田啓治市長は「管理監督面で不備があった。指導すべき立場の職員が不正をしたことは、誠に申し訳ない」と謝罪した。
同市は今後、審査や経理を別々の職員に担当させたり、会計課など他の部署によるチェックも強化する方針。
(蔵元英二)