管理責任を問われ、当時の上司である同所立体映像研究部主任研究員(当時副部長)を減給、同所テレビ方式研究部研究主幹(当時部長)をけん責処分とし、当時同所所長だった理事を会長による厳重注意、当時の副所長(現所長)も厳重注意とした。
NHKによると、主任研究員は昨年3月、業者と相談してスタジオの音響設備の工事を架空発注し、NHKに279万3000円を支払わせた。実際には工事は行われず、工事をしたように見せ掛けるため、スピーカーに部品を付けるなどの偽装工作をしていた。
08年から11年まで、主任研究員は、この業者から3回にわたり、デジタルカメラやパソコンなど、百数十万円相当の物品を受け取っていたが、「不正な利得は得ていない」と話しているもよう。
架空発注は今年3月に内部通報で発覚。主任研究員は、NHKの調査に当初は架空発注を否定していたが、9月頃になって認めたという。
主任研究員と業者は十数年前に知り合い、仕事の付き合いが続いていた。主任研究員は音響の研究を担当するチームを統括し、主にスピーカーなどの開発に携わり、音響分野の国際的な賞も受賞している。
主任研究員は単独で工事を発注できる立場で、上司がチェックしていたが、04年度以降、この業者に対して、計14件約4200万円の発注に関わっており、NHKは他に不正がないか調べる。
放送技術研究所は国内唯一の放送設備研究機関で、国民からの受信料で運営されている。NHKは「NHKがコンプライアンスの徹底に総力を挙げて取り組んできたなかで、このようなことが起きたことは極めて遺憾です。視聴者の皆さまに深くお詫びします。工事の発注や完了後のチェック体制を強化するとともに、綱紀粛正に努めてまいります」としている。
(蔵元英二)