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政府が目指す「コメ輸出の抜本的拡大」は本当に可能なのか 輸送費が3~4倍になるなど多くの課題も

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全日本コメ・コメ関連食品輸出促進協議会の公式ホームページより

新米の販売がスタートした。価格は高止まりしているという。千葉産ふさおとめ5kgは3980円(税込み4298円)だ。政府は今月初め、昨年のコメ不足を認め、コメ増産への政策転換と輸出拡大を発表した。輸出拡大は可能なのか、16日放送のテレビ朝日系「サタデーステーション」で解説した。

日本食のブームを追い風に、日本のコメ輸出は、アメリカや香港などを中心に、この5年でおよそ2.6倍に伸びている。日本政府のコメ輸出目標は、2030年までに24年実績の約8倍となっているが、なかなか高い目標だ。

番組はロサンゼルスで人気のおにぎり店に取材。人気なのは、牛肉のそぼろ(約1000円)と唐揚げ(約1000円)だそうで、イクラ(約1800円)もよく出るとか。おにぎり1個の値段がこの高価格なのには驚くが、このおにぎり店では茨城県産のコメを使っており、日本産米は価格競争力に課題があるという。「お米の価格がかなり上がってくると言われているので、今後はどうしようかな」と社長は話す。

コメの卸売りと輸出を手がける新潟の会社では、アメリカ向けが7割を占めていたが、「トランプ関税がどうなるかわからないので今年の輸出はない」と社長は話す。アメリカへ輸出予定だったコメはすべて、フランスやUAE、南アフリカ、オランダ、モルディブなどへ輸出されることになった。同社はさらに「輸送費がとても大きく、平気で3~4倍上がったりする」と課題を指摘する。政府は輸送費に手を打たないと、大幅な輸出拡大は難しいだろう。

現在、海外100カ国以上に約20万店の日本食レストランがあり、増加傾向にあるので、日本米のニーズはありそうだ。全日本コメ・コメ関連食品輸出促進協議会の細田浩之専務理事は「余ったから売るのではなく、おいしいから売るという考え方が重要。日本食のコメ関連潜在需要はまだまだある」と話す。

番組コメンテーターのジャーナリスト・柳澤秀夫氏はコメ輸出の課題についてこう指摘する。

「輸出用のコメがもし余ったら国内に転用できるかというと、政府の補助金が出ている輸出用には国内に回してはいけないという制度上の問題がある。さらに国内で増産するといっても、生産農家にしてみるとお金がかかる。『今後もし政府が方針を転換したら、はしごを外されかねない』など、そういう気持ちに対して、政府が不信感を取り除き信頼を獲得するという努力も必要になってくる」

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