元調査官の逮捕容疑は、OB税理士の顧客だった大阪市のホストクラブ運営会社「M」の脱税が、11年7月の抜き打ちの税務調査でばれないように、あらかじめ調査日時を漏えい。調査でもM側にウソをつかせるなどし、見返りとして、同年9月10日頃、OB税理士から約100万円を受け取ったとしている。
特捜部は認否を明らかにしていないが、捜査関係者によると、元調査官は現金の授受を認めている。
税務調査は事前の情報通り、11年7月28日から行われたが、元調査官はこの前にM社の事務所を訪問して、打ち合わせを行っていた。同社関係者らに、調査でチェックされそうな場所を教えたり、不都合な資料を隠すよう指示したりしたもよう。
調査当日は元調査官も担当の一員として、何食わぬ顔で同社を訪問。同社側の虚偽説明を受け入れるなどして、チームの他の職員が脱税に気付かないよう工作した。同社が指摘された脱税額は実際より少なくなり、追徴税額も低く抑えられたという。
大阪地検は4日、国家公務員法(守秘義務)違反罪で元調査官を追起訴。OB税理士もヤミ金融業を営んでいたとして、貸金業法違反罪などで追起訴した。
元調査官は93年7月から2年間、OB税理士と同じ東大阪税務署で勤務。OBの男が不祥事で98年に懲戒免職となってからも、交流が続いていた。
(蔵元英二)