また、和歌山地検は同日、その書き込みを見て、女性に痴漢行為をしたとして、強制わいせつ容疑で逮捕された大阪府岸和田市の男(26)について、不起訴処分とした。金木秀文次席検事は、処分理由を明らかにしていない。
起訴状などによると、伊勢川上席調査官は4月30日、インターネットの痴漢交流サイトの掲示板に、「ゆい」という女性名で「痴漢してくれる人いませんか」などと書き込み、JR和歌山線・粉河(こかわ)駅から乗車した女性(23)の乗車位置や服装の特徴などを記載。その書き込みを見た別の男に、痴漢行為をさせたとしている。
県警などによると、伊勢川上席調査官は「当初は男性名で書き込んでいたが返答がなく、女性名で書き込むと反応があり、楽しくなって今回の書き込みをした。以前から女性を電車で見かけ、好きなタイプだった。痴漢されたところを、善良なふりをして助ければ仲良くなれる。一緒にお酒を飲みに行けると思った」などと供述しているという。
大阪国税局の山本吉伸・国税広報広聴室長は「国民の信頼を損なう重大な事件であり、誠に遺憾。司法当局の判断を踏まえ、組織として厳正に対処する」とコメントした。
伊勢川上席調査官の罰金刑は当然のこととして、被害女性の感情としては、痴漢の実行犯が不起訴になるとは、釈然としない面があるだろう。
(蔵元英二)