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【放送事故伝説】NHKが民放のCMに重大クレーム!?「大黄河事件」とは

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薬師丸ひろ子

 日本の公共放送を担うNHK、そして民間企業と頻繁に接触する民放局。この2種類の放送局について、一般の我々でもそのいびつな関係性が垣間見えるような、あるトラブルが1986年に発生した。

 NHKが1986年に放送したドキュメンタリー番組に「大黄河」というシリーズがある。本番組は1980年の『シルクロード -絲綢之路(しちゅうのみち)-』が大きな成功を収めたことをきっかけに、中国中央電視台とNHKの間で放送協力協定が結ばれ、『シルクロード』に続く日中共同制作第2弾として放送された。

 「大黄河」は放送前から大きな注目を集めており、月1回で全10回放送、当時珍しかったハイビジョン撮影が導入されるなど、NHKが全精力をかけて制作した一本であった。

 そんな「大黄河」だが、放送前にNHKと民放局でひと悶着あったことが新聞で明らかになった。「大黄河」放送中の1986年5月、東芝は当時の人気アイドルだった薬師丸ひろ子を起用した「ひろ子in大黄河」というタイトルのビデオテープのコマーシャルを放送。NHKがこのCMの放送を中止にするよう東芝にクレームを入れたのである。

 NHK側は東芝が同じ「大黄河」というタイトルを付けたため、「NHKが民間企業のお金で番組作りをしていると誤解されかねない」「いつ薬師丸ひろ子が出てくるのか、といった問い合わせが届いている」とし、東芝と広告代理店に放送の中止を求めたというのだ。

 一方、このクレームを受けた東芝側は「『大黄河』という名称は、NHK以外のテレビ局でも使われている一般名称であり、薬師丸の出演CMのフィルムもNHKの企画とは関係なく独自にロケしたものである」として放送に踏み切り、CMはしばらく放送された。

 もっとも東芝や広告代理店側も、NHKの「大黄河」の存在は知らないはずはなく「相乗効果を狙ったもの」であることは認めており、「以後、このようなことがないよう」ということで手打ちになったようだ。

 本事件は、NHKが民間企業とどう「対話するか」が世間に明らかにされた一件であった。

文:穂積昭雪(山口敏太郎事務所)

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