その中で、「誰にブチギレられたことがありますか?」というケンドーコバヤシからの質問が上がると、松本人志は、桂三枝(現:文枝)から激怒された過去を明かした。松本によると、ある番組で三枝と共演した際、台本通りにコントの台詞を言ったにもかかわらず、その言葉の後、彼は楽屋に引き篭もってしまったという。
当時、まだダウンタウンが大阪で売れだして間もない頃、番組の中で時代劇コントを行うこととなり、そこで松本は、殿様と町民のマツゴロウという2役を演じた。そして本番前日、共演者の三枝が「マツゴロウ出てこい!」「殿様出てこい!」と交互に呼び、その度に早着替えをしなければならないという設定の元、リハーサルが進行。最後に「2人とも出てきてくれ!」と言われたら、松本は「出来るかーー!」と三枝にツッコミ、コントは終了するという流れだった。
こうしてリハーサルの前半が無事に終わり、休憩となったのだが、なぜかその後、1時間経っても再開される気配がなかったという。この状況を疑問に思い始めた頃、松本の元に、三枝を担当する女性マネージャーが現れた。そこで松本は、彼女から予想外の提案をされる。
「ちょっと松本くん、師匠に謝ってくれるかな?」
しかし何を謝罪するのかわからなかったため、松本が戸惑っていると、マネージャーは続けて「いや、私は長いからわかるんや。師匠はなんも言ってはれへんけど、私が思うに松本くんの『出来るか!』ってのは、ちょっと失礼なんじゃないかなって」と、驚きの事情を説明されたとのこと。
だが松本はアドリブでタメ口を使ったわけではなく、予め台本に書かれた台詞に従っただけだった。そのため、もし謝ったとしても、三枝から「なんのことや? アホか?」と言われるに違いないと松本はマネージャーに説明。だが彼女は「いや、私はたぶんそうやと思う」と一歩も引かず、またリハーサルも一向に再開されなかったことで、松本は試しに楽屋に謝罪へ行くことを決断。そして三枝の楽屋を訪れ「あの、なんかすんませんでした」と謝罪した。すると三枝から「もう……、ええねや」と返ってきたため、松本は「怒ってたんかい!」と心の中で驚愕したという。その後、三枝は舞台に戻り、リハは再開されたものの、松本は「出来るか!」を「出来ますかいな〜!」という柔らかい表現に変えて、舞台を続けたのだった。
この出来事は、数々のバラエティ番組で、松本が鉄板トークとして披露しているだけでなく、ゴールデン番組『ダウンタウンのごっつえぇ感じ』(フジテレビ系)でも、三枝との経験をモデルにした人気コント「サニーさん」が作られることとなった。
当時、松本が理不尽に感じた出来事ではあるが、今では笑い話となっているようだ。
【参考】
・ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!(日本テレビ系)2017年9月24日
・人志松本のすべらない話(フジテレビ系)2008年6月21日
(柴田ボイ)