新日本
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スポーツ 2010年11月22日 11時00分
「毎週火曜日はTruthの日」。シングル王座挑戦を前にダイスケ、「超がつくX」の前にフォール負け!
11月2日のTruth#13で行われた5WAYマッチに勝利し、12月4日ガッツワールドvol.44のメインでガッツ石島の保持するGWCシングル王座への挑戦が決定したダイスケ。だが王者石島は「棚からぼた餅」のように挑戦権を獲得したダイスケの実力をまだ評価しておらず、タイトルマッチまでにダイスケを潰すと宣言。翌週のTruth#14ではパートナーのチェ・餃子マン=gosakuと決裂してしまった事により、新たなパートナーである「超がつくX」を連れてくると告げる。ダイスケは新たにガッツワールド正規軍となったgosakuとのタッグでデビルワールドとの対戦をする事となった。 メインイベント、ダイスケ&gosaku組の入場の後デビルワールドが入場する。石島の後に入ってきたそのレスラーの正体は円華であった。「元SUPER-X」という経緯がある円華、なるほど「超がつくX=SUPER-X」とはこの事だったのかと観客も納得する。ここ最近の円華は新日本プロレス「NEVER」に出場し、内藤哲也&高橋裕次郎のNO LIMITと対戦している(11月18日にも忍とのタッグで対戦している)。ガッツワールド本戦やTruthのリングにも登場しており、9月5日に行われたTruth#5ではメインでダイスケとシングルマッチを行い敗れてはいるが、次第にその存在は大きいものへと変わっている。 デビルワールドのTシャツを纏った円華はヒールとしても開眼したのであろうか。石島に負けじ劣らずのラフ攻撃をダイスケに繰り出していく。円華の膝十字固めを皮切りにダイスケの左足を中心に攻めていく石島&円華。ダイスケのピンチを救ったのは「兄貴」と慕うgosakuであった。タッチを受けるとツープラトンの攻撃をかわして、ダウンする石島の上に円華をフェースバスターで叩き付け、二人の上からまとめて覆いかぶさりフォールを狙う。これを返されると、憎き石島に対して串刺しラリアットからブルドッキング・ヘッドロック。更に監獄固めと繋ぎ優位に試合を進めていく。ところが位置が悪い。コーナーに控えている円華がgosakuの顔面を掻き毟ってカット。ここから試合は急展開を迎える事になる。 交代したダイスケが石島にミサイルキック、串刺し式のジャンピング・エルボーパッド。ブレーンバスターの掛け合いを制したダイスケはファルコンアローで石島を叩きつけ、コーナーに登ってフロッグ・スプラッシュ。しかし石島に余裕をもってかわされてしまうと円華が入ってくる。円華はダイスケの蹴り足を掴むとドラゴンスクリューからシャイニング式の喧嘩キック。そして石島とのサンドイッチ式ジャンピング・ハイキックを叩き込む。続けて石島のフィッシャーマンズ・バスター。再びピンチに陥ったダイスケだが、変則のロープワークからジャンピング・エルボーパッドを円華に叩き込んで逆転。替わったgosakuが円華に串刺しラリアットからドクターボム。コーナーに駆け上がっていたダイスケのフロッグ・スプラッシュを呼び込む。とどめのスライディングDを放ったダイスケだが、円華はこれをかわす。キックからランヒェイを狙うがダイスケのローリング・エルボーに阻まれる。変形の顎砕き狙いで円華を持ち上げたダイスケだが、空中で体勢を変えられてダイスケの背後に回る円華。バックの取り合いから一瞬の隙を突いた円華が急所攻撃。すかさずランヒェイでダイスケを叩きつけてピンフォール勝ちを奪った。 勝利後のウィナーコールも涼しげな表情で受けていた円華。新たなる味方である円華を加えたデビルワールド、石島は試合後「大事な前哨戦に負けて、本当に挑戦できるのか? 12月4日までにギッタンギッタンに潰して新木場のリングに立てなくしてやるよ! せーの、『じゃあなっ』!」と言い放ち上機嫌。一方敗れてしまったダイスケにgosakuが声をかける。「今日負けちまったら明日勝てばいい。最後に勝った者の勝ちなんだからよ!」とダイスケを称えるが、12月4日のメインイベントで最後にベルトを腰に巻くのは現王者石島か、それともダイスケか。 苦戦が続くエースへの道100番勝負を戦い続ける吉野達彦。前回は同胞であるマスクドミステリーから勝利を奪ったが、今回は山本SANの意地の前にフォール負けを喫する結果となった。山本は「ここ一番の大技」である山本SANドライバーを繰り出しての勝利となった。この技で勝利したのはGWCシングル王座トーナメント1回戦での角刈海坊主戦以来。好敵手田村和宏との連戦をきっかけに浮上するか。敗れた吉野はこれで4勝9敗と苦しい星勘定となってしまう。 山本の好敵手であるSTYLE-E・田村和宏は梁和平とのシングルマッチ。試合に介入してくるガッツ石島と梁のコンビネーションの前に苦戦を強いられるが、逆に介入を逆手に取り最後は「タ・マヒストラル」で丸め込んで勝利。 STYLE-Eの「脅威の新人」那須晃太郎はマスクドミステリーとのシングルに挑んだが、わずか4分弱でフォール負けを喫してしまう。復帰以来負けが込んでいたミステリー、この完勝で再浮上となるのだろうか。 12月4日の本興行を前に、対デビルワールド戦において黒星が先行してしまったガッツワールド正規軍。このまま主役の座をデビルワールドに奪われたまま6周年を迎えてしまうのだろうか。最後となる11月30日のTruth#16では巻き返しを期待したい所であるが…。 開催されてから4か月、平日の毎週火曜日を走り続けているTruth。前回からイサミレッスル武闘館にTruthのロゴマークが飾られていた。「ガッツワールドの真実を見せる」が定着し始めたのか、当日の観客数は寒空の中増えていた。まだまだ満足するには足りない観客動員数ではあるものの、「継続は力なり」の言葉を胸に、ガッツワールドは走り続けている。(Office S.A.D. 征木大智(まさき・だいち))◆『Truth#15』2010年11月16日会場:埼玉・蕨『イサミレッスル武闘館』(観客61人)<メインイベント タッグマッチ 30分1本勝負>ガッツ石島&○円華(9分06秒 ランヒェイ)●ダイスケ&gosaku<セミファイナル 吉野達彦エースへの道100番勝負第13戦 20分1本勝負>○山本SAN(9分15秒 片エビ固め)●吉野達彦 ※山本SANドライバー 吉野通算4勝9敗<第2試合 シングルマッチ 20分1本勝負>○田村和宏【STYLE-E】(7分16秒 タ・マヒストラル)●梁和平<第1試合 シングルマッチ 20分1本勝負>○マスクドミステリー(3分50秒 片エビ固め)●那須晃太郎【STYLE-E】 ※チョークスラム◆『Truth#16』2010年11月30日(火)開場:19:00/開始:19:30会場:埼玉・蕨『イサミレッスル武闘館』<メインイベント 6人タッグマッチ 30分1本勝負>ダイスケ&吉野達彦&山本SAN vs. ガッツ石島&梁和平&円華<セミファイナル タッグマッチ 30分1本勝負>田村和宏&那須晃太郎【STYLE-E】 vs. 清水基嗣&小川内潤【SECRET BASE】<第1試合 シングルマッチ 20分1本勝負>gosaku vs. 山田太郎【666】【チケット料金】前売り2000円、当日2500円12月のTruth4大会を通して観戦できる月間パスポートも当日より発売。自由席パスポート6000円/指定席パスポート7000円(指定席は購入者が決める事が可能)※来週11月23日は祝日のため、Truthはお休みです。次回Truth#16は11月30日(火)開催です。次回カード詳細はガッツワールド&Truthオフィシャルサイト http://guts-world.com/前売りチケット、その他お問い合わせはガッツワールドプロレスリング事務局 info@guts-world.com まで。◇Truthを含めたガッツワールドのDVDはhttp://ring.shop-pro.jp/にて絶賛発売中!!◇
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スポーツ 2010年11月13日 10時30分
大一番、JCBホールまであとわずか! 主役の座に立つのはTAJIRIか、それとも…
11月22日(月)に開催されるSMASH.10に向けての最終興行となった10月30日のSMASH.9。 JCBホールでのメインイベントを務めるTAJIRIはこの日、「スター・バックの天敵」という触れ込みで自ら売り込みをかけてきたディミトリー&オーメンと対戦。TAJIRIのパートナーはSMASH.8でスター・バックの保持するFCFチャンピオンシップに挑戦したAKIRA。深い絆を持つ両雄がリングに並ぶ。 意外と言っては失礼だが、先発したディミトリーはその風貌からは予想できないグラウンドや飛び技を器用にこなす選手。初来日ということで気合も入っていたのだろう、AKIRA相手にフライング・ヘッドシザースやドロップキックを放つ。 両陣営が交代し、リング上はTAJIRIとオーメン。オーメンを挑発するかの如く、TAJIRIは天井に向かってグリーンミストを吹き上げる。パワーを誇示するオーメンに対し、TAJIRIはキックで応戦する。だがオーメンは再びパワーでTAJIRIを振り切るとディミトリーにタッチ。今度は自分の体重を生かして攻撃するディミトリー。再びオーメンが登場すると、TAJIRIをエクスプロイダーの要領でぶん投げ、AKIRAをリフトアップ・スラムで叩き付ける。場外に落ちた二人に対してオーメンは驚愕のトペ! 試合後はオーメンを評価していたTAJIRI、本格的に暴れだしたら脅威となるだろう。 しかしTAJIRIは両者をスター・バックの天敵ではないと判断。チャンピオンシップを前に拍子抜けしてしまった感があるTAJIRIと思いきや、直後にFCFから届いたスター・バックからのメッセージが流された途端再び「打倒スター・バック」に燃える。AKIRA、そして観客のエールに送られてTAJIRIは最大の敵スター・バックと三度目の決着戦に挑む。 「JCBホールで戦いたい相手がいる」と言うMentalloは最後の刺客であるエル・サムライとの一騎打ち。元・新日本プロレスジュニアヘビー級戦線を戦い抜いたサムライは並大抵の相手ではない。執拗なグラウンドからMentalloがペースを掴もうとすると放たれる串刺しDDT。Mentalloもプランチャや場外に寝かせたサムライへのムーンサルト・プレス、エプロンからスワンダイブ式で飛び込むトペ・アトミコで応戦するが、その後のサムライが凄かった。Mentalloの体が垂直になってしまう程の串刺しDDTからダイビング・ヘッドバット、腕ひしぎ逆十字を逃れたMentalloの左腕目掛けてトップロープからのニードロップ、抱え上げられた体勢を切り返してリバースDDTからチキンウイング・アームロック。サムライの波状攻撃の前に Mentalloは防戦一方となる。 それでも勝負を諦めなかったMentalloはムーンサルト・プレスで難敵・サムライから堂々のフォール勝ち。そしてJCBホールでの対戦相手である獣神サンダーライガーからのメッセージが流れると館内からは大きな歓声が上がる。リング上のMentalloは感激しきりであったが、ライガーを倒さなければここまで続いてきた激闘の意味がない。大一番の会場で「ジュニアの象徴」と言えるであろうライガーとの一騎打ちは感動を呼ぶことが出来るのだろうか。 小路晃にとって今の「目の上のたんこぶ」は大原はじめと矢郷良明であろうか。「矢郷良明杯」と銘打たれて行われた小路と大原の一戦は、矢郷に振り回されっぱなしの小路をあざ笑うかのように大原が丸め込んで勝利。わずか2分足らずで敗れてしまった小路の下にまたやっかいな相手が現れる。矢郷良明と大家健がリング上に現れ、小路をののしる。更に小路の気持ちを逆なでするかのように矢郷がJCBホールのイメージソングを披露しようとするが、小路が大家を張り飛ばして阻止。そこまではよかったが、矢郷は小路のラリアットを掻い潜るとロックボトム一閃。そして殺人コブラツイストに小路を捕え、グラウンド・コブラの体勢に。大家がカウント3を数えると意気消沈してしまったのか、あっさりとリングから転げ出されてしまう小路。 この一連の騒動から、小路は矢郷との一騎打ちを直訴する。JCBホールでは両者によるシングルマッチが実現する運びとなった。今までの屈辱を小路が晴らすのか、それとも矢郷がJCBホールを飲み込んでしまうのか。 朱里にとっては大きなターニングポイントとなるJCBホール大会。華名と組むのか、それとも一騎打ちか。野崎渚との「アイドルタッグ」で植松寿絵&中川ともかと対戦、植松のインサイドワークと中川の突進力に苦戦するが、野崎とのコンビネーションから飛び膝蹴りを植松に決めた朱里がフォール勝ちを収めた! 勝っておかなければならない試合での勝利に、野崎と抱き合って喜ぶ朱里。そこに渦中の華名が登場しSMASH側からの返答をリング上から見つめる。映像にはアイスリボンのさくらえみが映り、華名の要望する高橋奈苗のJCBホール出場についての見解を述べる。期待された発言だが、さくらからの返答はNG。「SMASHに出場したい」と熱望するさくらの言葉に対して、朱里は「華名と戦うより、さくらえみと対戦したい」と告げた朱里。かくしてJCBホールでは朱里と華名が組み、さくらえみとさくらが連れてくる誰かとのタッグ対戦が濃厚になった。 後日、華名の挑発を受けながら正視の構えを見せていたJWP女子プロレスが動いた。華名に対し「板橋大会の会場に来い」と逆に挑発をかける。11月5日JWP板橋大会に華名が登場、リングに上がったコマンド・ボリショイと米山香織が応戦する。JCBホールでのさくらのパートナーに米山が立候補し、正式に両チームによるタッグ戦が発表された。果たして最後にリング上に立っているのはこの四人のうち誰なのか。 韓国で男色ディーノからDDT認定エクストリーム級王座を奪取したキム・ナンプン。この日は「ロッキー・マウンテン」+イケメンのダニー・ドゥガンをパートナーにしてリン・バイロン&児玉ユースケ組と対戦。再三にわたるキムの挑発に怒り心頭だったリンだったが、ドゥガンのロッキーマウンテンを目の当たりにするとどうも躊躇してしまう。若い児玉もキムの巨体・ドゥガンの立体殺法に苦戦を強いられ、最後はキムがリンを強引に押さえ込んでフォール勝ち。 リンはベストパートナーとも言えるゴーレム・ナイトと組んでキムへの反撃を口にした。対するキムは以前小路晃を血の海に叩き込んだレザーフェイスを連れてくると豪語する。嵐の予感がするこのタッグ戦の結末や如何に。 尚、ワールド・レジェンド・リバイバルで来日するルーク・ウイリアムスの対戦相手となった児玉。レジェンドを相手にして今の勢いを更に加速させるのか、ベテランのインサイドワークをルークが久々に披露するのか。 この日全ての試合がJCBホールに向けてのプロローグとなった。あとは大一番の日を待つばかり。ファンにとっても見逃す事の出来ないSMASH.10は11月22日、東京・水道橋にあるJCBホールで開催される。当日会場に集まった全員が感動を共有する巨大な空間で、何が待っているのだろうか。Office S.A.D. 征木大智(まさき・だいち)◆『SMASH.9』2010年10月30日(土)東京・新宿FACE (観衆590名=超満員)<メインイベント OVWチャンピオンシップ60分1本勝負>○〔王者〕マイク・モンド(21分02秒 テキサス・クローバー・ホールド)●〔挑戦者〕KUSHIDA ※第79代王者が防衛に成功<セミファイナル タッグマッチ時間無制限1本勝負>○TAJIRI&AKIRA(11分15秒 片エビ固め)●ディミストリー&オーメン ※バズソーキック<第4試合 シングルマッチ時間無制限1本勝負>○Mentallo(9分41秒 片エビ固め)●エル・サムライ ※ムーンサルト・プレス<第3試合 矢郷良明杯争奪マッチ時間無制限1本勝負>○大原はじめ(1分21秒 エビ固め)●小路晃 ※黒部の太陽を切り返して丸め込む<第2試合 タッグマッチ時間無制限1本勝負>○朱里&野崎渚【NEO】(7分21秒 体固め)●植松寿絵&中川ともか ※飛び膝蹴り<第1試合 タッグマッチ時間無制限1本勝負>○キム・ナンプン&ダニー・ドゥガン(8分27秒 体固め)●リン・バイロン&児玉ユースケ ※体を浴びせて押さえ込む◆『SMASH.10』2010年11月22日(月) 開場予定:17:30/開始:19:00会場 東京・水道橋『JCBホール』<メインイベント FCFチャンピオンシップ60分1本勝負>〔王者〕スター・バック vs. 〔挑戦者〕TAJIRI※以下の試合順は後日発表<8人タッグマッチ時間無制限1本勝負>スカリーIIホッティー&AKIRA&KAORU&野崎渚【NEO】 vs. ユージン&TAKAみちのく【KAIENTAI-DOJO】&植松寿絵&中川ともか<ハードコア6人タッグマッチ時間無制限1本勝負>KUSHIDA&木高イサミ【ユニオン】&スペル・クレイジー vs. 大原はじめ&ヘイモ・ユーコンセルカ&ジェシカ・ラブ<ワールド・レジェンド・リバイバル>ルーク・ウイリアムス vs. 児玉ユースケ<シングルマッチ時間無制限1本勝負>Mentallo vs. 獣神サンダーライガー【新日本プロレス】<シングルマッチ時間無制限1本勝負>小路晃 vs. 矢郷良明<タッグマッチ時間無制限1本勝負>朱里&華名 vs. さくらえみ【アイスリボン】&米山香織【JWP女子プロレス】<タッグマッチ時間無制限1本勝負>リン・バイロン&ゴーレム・ナイト vs. キム・ナンプン&レザーフェイスチケット情報、その他詳細はSMASHオフィシャルサイト http://www.smashxsmash.jp/ まで。
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スポーツ 2010年11月12日 10時30分
夢を掴むためにKUSHIDAは走り続ける 10月30日SMASH.9メインでOVWタイトルに挑戦!
いよいよ大一番であるJCBホール大会(SMASH.10)まで残り一か月を切ったSMASH。10月30日に行われたSMASH.10のメインイベントにはOVW(Ohio Valley Wrestling)認定ヘビー級タイトルマッチが行われ、王者マイク・モンドにKUSHIDAが挑戦した。 このOVWという団体、かつてはWWEの若手養成団体であった事もあり、数々のスーパースターを輩出している由緒ある団体である。今回賭けられたOVWヘビー級王者はリバイアサンを名乗っていた時代のバディスタも保持していた時代がある程。現王者であるマイク・モンドは第79代王者に当たる。KUSHIDAがベルトを奪取すれば第80代王者、そして日本人初の戴冠となる。 SMASHでのチャンピオンシップ恒例である日本・アメリカ両国歌が流れるセレモニーを終え、いよいよタイトルマッチが始まる。先制したのはKUSHIDA、素早いモーションからのアームドラッグを三連発。腕を取られたモンドだが、エルボーパッドで反撃。コーナーに振られた所、KUSHIDAの突進をサルト・モルタルでかわしていくモンド。続けて振り向きざまのクロスボディーを放ったモンドだがかわされて逆にKUSHIDAのクロスボディーを食らう。そして再びアームドラッグでモンドを宙に舞わせるKUSHIDA。この日のKUSHIDAはアームドラッグから始まるアメリカン・プロレスを存分に魅せているようであった。 本国のプロレスならモンドも負けるわけにいかない。エプロンに立ったKUSHIDAに対して、トップロープからのフライング・ラリアットを発射し場外に叩き落す。追い討ちとばかりにKUSHIDAの腰をエプロンに叩き付ける。こういったムーブメントがアメリカナイズされている場面であると試合後のTAJIRIが語っている。ロープに固定したKUSHIDAの胸板に正面飛びのドロップキック、更に後頭部を狙ったダブルスレッジハンマー。流れるようにKUSHIDAを攻め込んでいくモンド、流石にOVWチャンピオンである。 ブレーンバスターから尻餅をついた状態のKUSHIDAの腰目掛けてエルボーを放っていくモンド。試合中盤に差し掛かろうとした時モンドの照準がKUSHIDAの腰に集中する事になる。力のこもるサーフボードストレッチの掛け合いから一転、モンドが抱え込み式のバックドロップを放つ。再度サーフボードストレッチを狙うモンド、KUSHIDAは腹部へのエルボーからドロップキックを放つがかわされる。ロープに飛んだモンドに今度は前転からのドロップキックを放ったKUSHIDA。勢いに乗りコーナーからダッシュしたKUSHIDAだが、モンドは抱え上げて山折りに持っていく。カウント2でフォールを跳ね除けたKUSHIDAに対し、モンドはKUSHIDAの腹部を抱え込むリバースのベアハッグで絞め上げる。この攻撃に耐えたKUSHIDAはエルボーの連打から反動をつけてブレーンバスターで叩き付ける。しかしスタミナを奪われたのかフォールの体勢に入る事ができないKUSHIDA。両者ダウンの状態となり、レフェリーのソフト今井がダウンカウントを数え始める。カウント8で立ち上がった両者、エルボーの打ち合いからKUSHIDAを場外に叩き出したモンドはプランチャを放つがかわされて、逆にKUSHIDAのプランチャがヒット。場外に立つモンドに対し、エプロンを走ったKUSHIDAはコーナー超えのトペ・コンヒーロを放った! リング内に戻るとKUSHIDAの反撃が待っている。突っ込んできたモンドをロープに固定したKUSHIDAはエプロンを走ってキック、よろめいたモンドにスワンダイブ式のボディーシザースドロップを浴びせかける。すかさずその場飛びのムーンサルトを放つがカウントは2。膝立ちの状態であるモンドにトラースキックを放つが捕まれ、反転すると同時にエルボーを放ったKUSHIDA。よろめくモンドは両足タックルのような形でもたれかかる。再度エルボーを放ったKUSHIDAだがこれをかわしたモンドは両足を取ってテキサス・クローバー・ホールドへ。両足で払いのけたKUSHIDA、コーナーのモンドにダブルニーアタックを試みるが、これをキャッチしたモンドが雪崩式フランケンシュタイナーからダイビング・ヘッドバットと波状攻撃を仕掛ける。 この攻撃からのフォールをカウント2で跳ね返したKUSHIDA、エプロンでのブレーンバスター合戦をかわして卍固めを極めていく。渾身の力で絞り上げるが腰投げで切り返すモンド、そのまま再度テキサス・クローバー・ホールドへ。ロープに逃れたKUSHIDA、モンドが再度山折りを狙おうとするが回転十字固めで切り返す。エルボーをかわしてドラゴン・スープレックス、続けざまのムーンサルト・プレスは見事にヒットするがカウント2でキックアウトされる。そして満を持してミッドナイト・エクスプレスへ…だがこれをかわされたことによりKUSHIDAの勝機は逃げていった。ダイビング・ヘッドバットをカットしてラ・マヒストラルで固めようとするKUSHIDA、しかし踏ん張ったモンドが三度目のテキサス・クローバー・ホールドへ! これでもかとばかりに反りかえると堪らずKUSHIDAはギブアップ。タイトル奪取はならなかった。 敗れたKUSHIDAに対し、大原はじめが屈辱の言葉を浴びせかけてそのまま急襲する。その場を救ったのは何とユニオンの木高イサミ! シンガポール・ケイン(竹刀)を振り回して大原を退散させたイサミは盟友であるKUSHIDAの元に歩み寄る。同じくリング上に上がったTAJIRIからJCBホール参戦を要求されたイサミ。後日イサミはKUSHIDA・そして特別参戦のスペル・クレイジーとトリオを組み、大原はじめ&ヘイモ・ユーコンセルカ&ジェシカ・ラブとのハードコアマッチのカードが決定する。 敗れはしたが、KUSHIDAは改めてマイクを握り「俺達の目指すのは、世界だーっ!!」と叫ぶ。世界に限りなく近づいたKUSHIDAの健闘ぶりに館内から大きな声援と拍手が贈られた。JCBホールに向けて待ったなし! 試合後王座を防衛したモンドは「私の方が少しだけ良い試合内容だったから勝つ事ができた。KUSHIDAは非常にタフな選手だった。」とコメントした。それだけKUSHIDAが世界に肉薄した試合だったのだろう。 今後もOVWとの関係は続けていくと総括で述べたTAJIRI。実はOVWにはTV王座、タッグ王座、女子王座とあと3つのタイトルを認定している。SMASHから選手が乗り込み、それらの王座を奪取して日本に持ち帰る事ができれば大いに盛り上がるであろう。フィンランドFCFも黙ってはいないであろう。ひょっとするとFCF対OVWの対抗戦も夢ではないかもしれない…可能性は尽きない。Office S.A.D. 征木大智(まさき・だいち)◆『SMASH.9』2010年10月30日(土)東京・新宿FACE (観衆590名=超満員)<メインイベント OVWチャンピオンシップ60分1本勝負>○〔王者〕マイク・モンド(21分02秒 テキサス・クローバー・ホールド)●〔挑戦者〕KUSHIDA ※第79代王者が防衛に成功<セミファイナル タッグマッチ時間無制限1本勝負>○TAJIRI&AKIRA(11分15秒 片エビ固め)●ディミストリー&オーメン ※バズソーキック<第4試合 シングルマッチ時間無制限1本勝負>○Mentallo(9分41秒 片エビ固め)●エル・サムライ ※ムーンサルト・プレス<第3試合 矢郷良明杯争奪マッチ時間無制限1本勝負>○大原はじめ(1分21秒 エビ固め)●小路晃 ※黒部の太陽を切り返して丸め込む<第2試合 タッグマッチ時間無制限1本勝負>○朱里&野崎渚【NEO】(7分21秒 体固め)●植松寿絵&中川ともか ※飛び膝蹴り<第1試合 タッグマッチ時間無制限1本勝負>○キム・ナンプン&ダニー・ドゥガン(8分27秒 体固め)●リン・バイロン&児玉ユースケ ※体を浴びせて押さえ込む◆『SMASH.10』2010年11月22日(月) 開場予定:17:30/開始:19:00会場 東京・水道橋『JCBホール』<メインイベント FCFチャンピオンシップ60分1本勝負>〔王者〕スター・バック vs. 〔挑戦者〕TAJIRI※以下の試合順は後日発表<8人タッグマッチ時間無制限1本勝負>スカリーIIホッティー&AKIRA&KAORU&野崎渚【NEO】 vs. ユージン&TAKAみちのく【KAIENTAI-DOJO】&植松寿絵&中川ともか<ハードコア6人タッグマッチ時間無制限1本勝負>KUSHIDA&木高イサミ【ユニオン】&スペル・クレイジー vs. 大原はじめ&ヘイモ・ユーコンセルカ&ジェシカ・ラブ<ワールド・レジェンド・リバイバル>ルーク・ウイリアムス vs. 児玉ユースケ<シングルマッチ時間無制限1本勝負>Mentallo vs. 獣神サンダーライガー【新日本プロレス】<シングルマッチ時間無制限1本勝負>小路晃 vs. 矢郷良明<タッグマッチ時間無制限1本勝負>朱里&華名 vs. さくらえみ【アイスリボン】&米山香織【JWP女子プロレス】<タッグマッチ時間無制限1本勝負>リン・バイロン&ゴーレム・ナイト vs. キム・ナンプン&レザーフェイスチケット情報、その他詳細はSMASHオフィシャルサイトhttp://www.smashxsmash.jp/ まで。
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スポーツ 2010年09月11日 15時00分
「毎週火曜日はTruthの日」9・7『Truth#5』から始まった新たなStory
ガッツワールドプロレスリングが開催する週1回興行『Truth』が始まって1か月が経過した。 学生プロレス出身のダイスケ、吉野達彦が中心となりガッツワールドの「芯の部分」を見せるために続けているTruthだが、未だ観客動員数は横ばいのまま苦しい戦いを強いられているのは事実。 それでも出場する選手達は自分達の出来る精一杯をリング内で見せ続けている。いつか来るであろう、大勢の観衆の前で「真実」を見せられるその日まで。 9月7日、まだ暑さの残るイサミレッスル武闘館で、全3試合が行われた。 メインイベントのリングに上がったのはダイスケ、そして8月24日に新日本プロレス『Never.1』にて高橋裕二郎&内藤哲也の「NO LIMIT」と対戦した円華(パートナーは666の忍)。この試合では一見ベビーフェースで「イケメン」な円華の別な一面を観客に披露する事になった。 両者ガッチリと握手を交わして始まったメイン。ロープワークの最中に見せた円華のリープフロッグ。直後に異変は起こった。左膝を押さえてうずくまってしまう円華。どうやら着地した際に膝をひねってしまったらしい。館内の空気が凍りつく。レフェリーのバーブ佐々木が場外に出た円華の状態を確認する。リング内で臨戦態勢を整えていたダイスケだったが、待ちきれずに場外の円華の元に歩み寄る。リング内に戻る円華、次の瞬間今までの苦悶の表情は全部嘘のようにロープに走り、強烈なスライディングキックを場外にいたダイスケに向かって発射したのだ! 本部席のミスター雁之助相談役も「見事に騙された」と語っていた程の円華の演技に館内は驚く。新日本を体感した円華は、クレバーという新たな武器を身につけたのか。 主導権を握った円華はダイスケの左腕に照準を絞る。キーロック、スピニング・トーホールドの要領で左腕を絞る、雪崩式の攻防を制してダブルニードロップ、飛びついての三角絞め、スライディングDをかわして極めたワキ固め→ステップオーバー式の腕固め…執拗な、ねちっこい攻撃というものは今までの円華からは見られなかった攻撃。持ち味である華麗な空中弾を封印し、ダイスケを攻め込んでいった円華であった。 試合こそダイスケが意地のスライディングDを決めて勝利したものの、「円華、恐るべし」を印象付けた試合であった。試合後円華は「見事に館内の全員を騙しましたね。試合では負けてしまいましたけど、全員を騙す事が出来た事では僕の勝ちですよ」その表情には明日を見据える自信がみなぎっていた。 吉野達彦エースへの道100番勝負第5戦、2対1のハンディキャップマッチに加えてリングアウト、反則裁定が無く、ロープエスケープすら認められないとんでもない試練が吉野に待っていた。試合前、ガッツワールド社長となったCHANGOは団体名を「CHANGOワールド」に変えると宣言。気を良くしたのか、「吉野君の一番有利な体制から試合を始めていいよ」と告げる。何故かボクシンググローブを装着したアミーゴ鈴木のバックを取った体制を取る吉野。ゴングと同時に必殺技のアスリートジャーマン! 慌ててカットに入り「ジャーマンは反則だろ!」と叫んだCHANGOであった。負けたら丸坊主にされてしまう吉野は意地でも負けられなかった。だがツープラトンの攻撃に加え、CHANGOとアミーゴ鈴木が持ち込んだ凶器攻撃の前に徐々に劣勢に立たされる吉野。散々いたぶった末に必殺のスコッチ・メイデン(合体式ギロチンドロップ)の体勢に入ったその時、元社長である梁和平が乱入し吉野の大ピンチを救った! 更にセコンドに就いていた山本SANのハイキック、元代表であるガッツ石島のラリアット、梁のリバースゴリードライバーが立て続けにCHANGOに襲い掛かる。勝機を見出した吉野はCHANGOにアスリートジャーマン。見事にカウント3を奪い、最大の試練を乗り越えたと共に100番勝負での初勝利をもぎ取ったのであった。 収まらないのはCHANGOとアミーゴ鈴木。だが「反則裁定はない」と決めたルールが、逆に自分達の敗戦を決定付けた結果になってしまう。勢いに乗った梁と石島は、社長・代表権を賭けたリターンマッチを要求。拒否したアミーゴだったが、リング内で人質に取られていたCHANGOが袋叩きに遭うとあっさり承諾される。条件としてガッツワールド・Truthのリングではなく、9月20日に行われるSECRET BASE”STAY GOLD”北千住大会で行うと宣言した。社長・代表の座を賭けたリターンマッチが、奇しくも石島の保持するGWCシングル王座を賭けた戦いが行われる北千住での昼間に行われる事が決まった。 第1試合では山本SANとnkwのカジャー・アンナカがタッグを結成、梁和平&ガッツ石島と対戦。実は日大の学生プロレス出身であるアンナカ、ダイスケや吉野達彦の後輩であった。しっかりした基礎を持つアンナカに対して石島は容赦のない攻撃を繰り出す。対してアンナカは華麗な空中殺法で反撃、山本も得意のキックで石島をぐらつかせたが、最後は石島のスタンディング式ストレッチプラムが山本を捕えて勝利。大きなチャンスを掴んだアンナカ、この機会を逸する事は無い! ガッツワールドの「芯の部分」を見せるというコンセプトの基始まったTruthだが、どうしても本戦の序盤戦のような気がしてならない。本当の芯を見せる為には、この日のダイスケ対円華のような試合を見せていく事も重要視しなければならない。次回大会では吉野の100番勝負の対戦相手としてユニオンの木高イサミが出場する。ハードコアやデスマッチの印象が強いイサミに対して、吉野は「真実」を伝えることが出来るのであろうか。 観客動員について、試合後ダイスケは「まだ公に出来ないですけど、一つプランがあります」と語る。開催1か月を迎えたTruthから始まる新たなStory。次のワンステップに期待したい所である。 (Office S.A.D. 征木大智(まさき・だいち))※いつもお願いをしてしまい、お客様には大変申し訳ありません。今後もより熱い戦いを繰り広げて参りますので、ファンの皆様、地元のお客様のご観戦を心よりお待ち申し上げております。−ガッツワールド事務局一同−◆『Truth#5』2010年9月7日(火)会場:埼玉県・蕨「イサミレッスル武闘館」(観客58人)<メインイベント シングルマッチ 20分1本勝負>○ダイスケ(11分39秒 エビ固め)●円華 ※スライディングD<第2試合「吉野達彦エースへの道100番勝負第5戦」ノールールハンディキャップマッチ 20分1本勝負>○吉野達彦(9分16秒 アスリートジャーマン)●CHANGO&アミーゴ鈴木 ※吉野通算1勝4敗<第1試合 タッグマッチ 30分1本勝負>梁和平&○ガッツ石島(9分25秒 スタンディング式ストレッチプラム)●山本SAN&カジャー・アンナカ【nkw】◆『Truth#6』2010年9月14日(火)開場:19:00/開始:19:30会場:埼玉県・蕨「イサミレッスル武闘館」<メインイベント「吉野達彦エースへの道100番勝負第6戦」>吉野達彦 vs. 木高イサミ【ユニオン】<第2試合 タッグマッチ 30分1本勝負>星野勘九郎【大日本プロレス】&ダイスケ vs. 梁和平&ガッツ石島<第1試合 タッグマッチ 30分1本勝負>マスクドミステリー&ブルー・バイセクル vs. 角刈海坊主&チェ・餃子マン【チケット情報】全席自由2000円(当日は500円増し)、9月分月間パスポート:指定席7000円、自由席6000円 ◆ガッツワールド『vol.43』2010年9月20日(月・祝)開場:17:30/開始18:00会場:東京・北千住シアター1010ミニシアター(北千住駅より徒歩数分)【決定カード】<GWC認定シングル選手権試合 60分1本勝負>(王者)ガッツ石島 vs.(挑戦者)星野勘九郎【大日本プロレス】※同会場にて13:30よりSECRET BASE“STAY GOLD”北千住大会が開催される。 お問い合わせ ガッツワールドプロレスリング事務局 info@guts-world.com
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スポーツ 2010年08月17日 14時30分
雑草の中にも光を浴びて輝くものがある! 夢名塾(むめいじゅく)プロレスリングの『夢闘派宣言』(ぶとうはせんげん)
『ミクロの世界に、在京インディー界の希望を見た!! 』 新日本プロレスのG1クライマックス決勝が両国国技館で行われた8月15日。 30人程度の観客動員にしかならなかったが、埼玉県越谷市は大袋にあるケルベロス道場という場所でも、プロレスを愛し、培った技術を対戦相手に、そして観客に魅せようと、熱い思いを持った8人の戦士たちが集ったのだ。 夢名塾プロレスリング。この記事を見た方のほとんどが「そんな団体があるの?」と、今まで存在すら知らなかったであろう小さな団体が、ミクロの世界でありながら活動を続けている。現在では忘れ去られてしまっているかもしれない「プロフェッショナルによるレスリングとは、いったい何か」を観客に、そして自らに問いただしながら。 そんな夢名塾が、「インディー界にも同じ志を持ちながらも、なかなか世間では名の知られていない若手選手を発掘し、世に知らしめたい」という思いから始めた、この『夢闘派宣言』という大会。 プロレスの試合を行うためには絶対必要とされている四方のコーナー、三本のロープは備えつけられていない。ロープワークやコーナーからの攻撃を取り払い、定められた空間の中で、己のレスリング技術のみで勝負する。 台風も去った8月15日、猛暑が戻ってきた真夏の大袋で、2度目の大会が行われた。 一瞬の輝きだった。 当日のセミファイナル、5分5ラウンド制で行われた、夢名塾のエース渡辺宏志(わたなべひろし)と666(トリプルシックス)所属の若手レスラーである山田太郎(やまだたろう)の一戦。 第3ラウンド、勝負を賭けた山田は、ゴングが鳴らされるや否や渡辺に突進、凄まじい勢いのランニング・エルボーパッドを叩き付けた。その威力は観客からざわめきが起こったほど凄まじいものだった。 直後に放った飛びつき式のフランケンシュタイナー。それはまさに、夜空を横切る一瞬の流星の輝き。 カウント2で何とか跳ね返した渡辺は、あたかも山田に対して最高の賛辞を告げるかのように、滅多に出さない必殺技であるニューオクトパスホールド(変形卍固め)を繰り出して仕留めた。 第1試合では、渡辺の2人目の弟子である堀口祐介(ほりぐちゆうすけ)が、ガッツワールドプロレスリング所属の吉野達彦(よしのたつひこ)と対戦。 第1ラウンド、堀口の繰り出すグラウンド技は、吉野に何度も苦痛の声を上げさせる。だが吉野にもガッツワールド次期エース候補としての意地がある。堀口のグラウンドに耐え、自分のペースを取り戻すと、最後は自分の最高の必殺技であるアスリートジャーマンを繰り出して勝利した。 メインイベントでは、もう一人の渡辺の弟子である長屋亮治(ながやりょうじ)が、格闘探偵団バトラーツで異彩の輝きを見せる竹嶋健史(たけしまけんじ)と対戦。竹嶋のセコンドには、2月に同所で行われた大会で長屋と熱い対戦を行った同じくバトラーツの矢野啓太(やのけいた)が就く。 キャリアこそ竹嶋に勝っているものの、長屋は焦りからか技を空振りすることが多い。何度も己に言い聞かせるが如く「クソッ!」と悔しさを表に出す。 そんな長屋を前に、竹嶋は終始余裕を持ったファイト。先輩である矢野のアドバイスを受けて安心して闘うことができたのであろう。結果こそ5分5ラウンドをフルに闘い切って引き分けに終わったが、判定があれば、誰の目から見ても竹嶋の勝利になっていただろう。 竹嶋健史、山田太郎、吉野達彦。そして長屋亮治、堀口祐介。 彼らは、まだプロレス界において名も知られていないインディーの若手に過ぎないだろう。だが、そんな彼らの輝く場所が、ここにあった。 プロレスの流れを止めてはいけない、新しい世代に受け継がれていかなくてはいけない。 熱い思いを持った若い戦士たちが、まだ全国に星の数ほど活躍しているはずだ。 夢闘派宣言はそんな若い戦士たちを求めて、今後も続けられていく。(OFFICE S.A.D. 果野厳(はたしの・いわお))◆夢名塾プロレスリング 第2回『夢闘派宣言』2010年8月15日(日)会場:埼玉・大袋「ケルベロス道場」(観客30人)<メインイベント 5分5R制>△長屋亮治【夢名塾プロレスリング】(時間切れ引き分け)△竹嶋健史【格闘探偵団バトラーツ】<セミファイナル 5分5R制>○渡辺宏志【夢名塾プロレスリング】(3R 1分11秒 ニュー・オクトパス・ホールド)●山田太郎【666】<第2試合 5分4R制>○磯英弥【NCL】(4R 0分18秒 KO勝ち)●レオナルド高津【ガッツワールド】※右脚へのローキック<第1試合 5分3R制>○吉野達彦【ガッツワールド】(2R 4分10秒 アスリートジャーマン)●堀口祐介【夢名塾プロレスリング】 ◆夢名塾プロレスリング 第3回『夢闘派宣言』2010年9月20日(月・祝)開場:12:30/開始:13:00会場:埼玉・大袋「ケルベロス道場」(東武伊勢崎線「大袋」駅下車徒歩5分)【入場料金】前売・当日共に2000円(事前購入の方には特典DVDを差し上げます)【決定済みカード】長屋亮治【夢名塾プロレスリング】vs.神威【FREEDOMS】矢野啓太【格闘探偵団バトラーツ】vs.山田太郎【666】渡辺宏志【夢名塾プロレスリング】vs.堀口祐介【夢名塾プロレスリング】他1試合、全4試合を予定お問い合わせは夢名塾プロレスリング(mumeijuku-pw@ezweb.ne.jp)まで
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スポーツ 2010年08月02日 14時30分
地下プロレスに現れたタイガーマスクの正体を…誰か教えてくれよ!
リングも観客席も、史上空前の暑さ(熱さ)の中、聖地CORE STADIUMで敢行された7・18地下プロレス。特筆すべき出来事が、第3試合後に起こった。 第3試合で、地下初登場のYASUを正真正銘の“血祭り”に葬り去った富豪2夢路は、鬼神の形相で咆哮した。 その直後、観客席がにわかにざわめき始めた。観客たちは皆、後ろの方向を振り返っている。 CORE STADIUMの観客席に立っていたのは、虎の仮面を被った屈強な男。奇しくも同日、後楽園ホールで開催の『真樹ジム主催興行 BREAK4「KICK GUTS 2010 梶原一騎24回忌追悼記念・第13回梶原一騎杯」』興行において「5代目タイガーマスク」がデビューしたが、何か関連性はあるのだろうか…? いや、5代目はともかくとして、それにしてもこの虎仮面、どこか見覚えがある。そのマスクの下からは、束ねた長い金髪が伸び、「CANADA」とプリントされたTシャツを着込んでいる。 カナダといえば以前…、5・16地下プロレスにおいて、「CANADA」のロゴの入ったジャンパーを着込んだリッキー・フジが突如CORE STADIUMに現れ、「フランス地下組織からの指示だ」との言葉を残し、高岩竜一に手枷をはめて試合を強制させるという“怪事件”が勃発していた。 やはりこの虎仮面はリッキー・フジなのだろうか…!? ところでリッキー・フジといえば今、彼のブログがにわかに一部プロレスファンの間で熱烈に注目されているのだ。なんと最近になって、彼が突如「カナダ地下プロレス」の存在について語り始めたのだ! リッキーの衝撃的なブログの証言は、以下のような内容である。 若き日のリッキー・フジは新日本プロレスの練習生時代を経て、カルガリーの故ミスター・ヒト(安達勝治)のもとでプロレス修行、そこでヒトの指令によりスチュ・ハートの“地下牢”「ダンジェン」に送り込まれた。 そして、この“カルガリーの虎の穴”「ダンジェン」には、日本のプロレスファンには知られていない驚愕の秘密があった。「ダンジェン」とは、アンダーグラウンドなサブミッション・レスリングを学ぶ場であるとともに、月に一回、選ばれたVIP会員だけが観戦を許される「地下プロレス」の試合が行われていたのだ! リッキーの証言はさらに続く。そしてこの“ダンジェン地下プロレス”に君臨していた日本人の大男…、その名はなんと「SHOGUN」(ショーグン)! しかもリッキーと「SHOGUN」には、何やら浅からぬ因縁がある模様である。さらに驚くべきこと、この「SHOGUN」と、現在のフランス地下組織・WUW(WorldUnderground Wrestling)のボス=イワノフ・ロゴスキーJr.が、この「ダンジェン」で格闘していたと、リッキーのブログで証言されているのだ! そして当時のリッキー・フジはこのダンジェンにて、スチュ・ハートに「お前は虎になれ」という号令のもと、“タイガーマスク”としてファイトをしていた事実がある。しかも、その当時被っていた虎のマスクは、7・18のCORESTADIUMに現れた虎仮面のそれと、まったく同じデザインなのだ。やはりあの時現れた男は…。 CORE STADIUMのリングサイドで、無言で睨み合う富豪2夢路と、謎の虎仮面。そして虎の男は、夢路に一枚のポートレイトを手渡した。 そこに写っていたのは、若き日のスチュ・ハートの肖像。 この、何から何までもがリッキー・フジに酷似した虎仮面の男は、日本地下プロレスとカナダ地下プロレスを一本の糸で繋ぐために、CORESTADIUMにぶらりと現れたのだろうか。 そしてリッキー・フジが突如語り始めた、カナダ地下プロレスの最重要人物「SHOGUN」の存在。リッキーの証言によれば「SHOGUN」は、日本人離れした巨躯を誇り、シャープで重いキックを主武器としていたという。奇しくも「SHOGUN」といえば、現・地下世界王者の紅闘志也(くれない・としや)が今春の香港遠征『I-1』(アイ・ワン)にて、九龍街の有力者にして“黄金色の毒蛇”ことKIMIP(キム・アイピー)に命名されたニックネームと同じである。そして紅は、キックボクシングというホームリングを失い、いつしか地下プロレスに流れ着いてきた男である。どうも「SHOGUN」の名と「キック」の組み合わせは、地下世界では重要なキーを握るようなのだ。 カナダ地下プロレス、現・地下世界王者ともリンクする「SHOGUN」の存在、そしてカルガリーの「ダンジェン」でファイトしていたという地下世界の主…。この虎仮面は、地下世界のパンドラの箱をこじ開けるために、CORESTADIUMに現れたのだろうか…? 誰か教えてくれよ!地下プロレス『EXIT』公式サイトhttp://www7.plala.or.jp/EXIT/梶原劇画で伝承された「地下プロレス」が、この日本に存在した! 闇の闘いを伝える『EXIT』とは何か!?http://npn.co.jp/article_mroonga/detail/97320773/高岩竜一に“強制手錠マッチ”って…、誰か教えてくれよ!? 5・16地下プロレス『EXIT-39 CORE:L』(2)http://npn.co.jp/article_mroonga/detail/69351958/日本上陸2周年…CORE STADIUMは文字通り“史上空前の暑い夜”に! 7・18 地下プロレス『EXIT-41 CORE:N』(1)http://npn.co.jp/article_mroonga/detail/96932252/リッキー・フジ公式ブログ『リッキー of MAGIC』http://blog.livedoor.jp/sexystorm/(山口敏太郎事務所)参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」http://blog.goo.ne.jp/youkaiou
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スポーツ 2010年04月29日 10時00分
完全採録・サバイバル飛田試合後恒例の「飛田集会」 4・24埼玉プロレス(3)
そして埼玉プロレスといえば、試合以上に重要なのが(失礼!)、試合後にサバイバル飛田が延々とマイクで語り続ける「飛田集会」。リアルライブでは、世間のニーズに背を向けて、あえてこの無軌道トークも完全採録させていただく。 飛田 …こないだ大阪でFU★CKって団体に出たんだけどさ(場内爆笑。一部客席から「普通に話すの!?」と野次が飛ぶ)。なんだよ、「普通に話すの」って(笑)。まあいいや。 …いやいやいや、(プロレス専門誌『Gスピリッツ』の)コラムで毎回毎回“週刊ドロレス”(『週刊プロレス』)のこと叩いてたらさ、リリースのFAX何度も送っても送っても(週プロに)載らないこの状況の中で(場内爆笑)、…ただよ、…なんかよ、まあ独占禁止法ってワケじゃねえけどさ、(プロレス週刊誌が)いま一誌しかねえワケじゃん。 まあその他にも、このあとやんなきゃなんないんだけど、twitterでさ…(場内爆笑)、“新日本ドロレス”の“ワールドドロレスリング”の実況をしなくちゃならないという…、ヘンな使命感に燃えておりまして(場内大爆笑)。 …ところで、「ネトゲ廃人・ブロディ安藤」をいま呼んだら、一般層を取り込めるのかなって思ったんだけどさ(笑)。ブロディ安藤目当てで来た奴いる?(観客無反応) …ギャラ泥棒がっ!!(場内大爆笑)。 …まあ、アイツに関してはさ、そっとしておいてやってくださいっていうか、…とりあえずよ、…こないだよ、大阪でFU★CKって団体に出て、パンクラシストの冨家祐輔改め冨家飛駈(ふけ・たかく)選手と試合したんだけど、なんかね、あの辺も…、パンクラス・ミッションともなると、ゴタゴタしてるみたいよ、なんかね。あの日は全体30分ぐらいの中で、試合10分、トーク25分って感じでやってたんだけど(場内笑)、…まあよかったよ、白鳥翼オフィス(FU★CK主催)には「勝手に好きにやってください」って言われたしよ。 まあ別に問題ねえだろ、高木三四郎とかも出てたし。高木三四郎は高木三四郎で問題発生させてさ、近所のバッティングセンターに「テレビの撮影です」なんて言って勝手に入ってってさ(場内爆笑)、いろんな人が謝って(場内笑)。 …入江(秀忠。キングダムエアガイツ代表兼ファーストスピリット代表)さん! ここって××報知器ないの?(場内爆笑)。 入江 ないよ!(笑)。 飛田 あっそう。だってFU★CKでね、一回(CGを)バーッとやっただけでね、…鳴りやまないベルが鳴り続けたんだけども(場内爆笑)、それでFU★CKの責任者がやろうとした行為といったら、そのベルを外そうとしたことだからね(場内ふたたび大爆笑)。パチンコ屋と隣接してるからお咎めがあんのかと思ったら、パチンコ屋の客は平気でパチンコをやっているという状況で(笑)。まあいろんなパチンコがあるからね、「CR救急隊員24時」とか、そんな台があればパチンコ屋の中もそんな音がするんだろうけど(笑)。 まあ…、厳しいな。今回の怪人はね、「玉川カルテット」っていう昭和の漫才4人組が…、ギター漫談みたいなさ、そういうのがいて、そっからダマガワ…ガルデッドってね、濁音付けただけだけどさ。 それから「ごぞんじ」ってのはね、『仮面ライダークウガ』の敵の名前にね、「ごぞんじ」って付く奴が多くてね…、オタク丸出しで申し訳ないけども。最近の仮面ライダーは見てないけども。 …まあ、終わらなくなっちゃったな、これ(苦笑)。またトークショーでもします? ブロディ安藤呼んで。 …いや、もう、終了なんで。なかなか難しいところですけども。水浸しにもしてしまいましたけども。まあ、そんなに汚くないんで(場内笑)、あとで拭きますんで、とりあえず。まあその辺は、情状酌量の余地ありということで。えー、本日来ていただいたお客様には、えー、感謝の意を、表し、えー、来なかった客に対しては…。 えーと、何だろな…、やっぱね、いろいろ考えたのよ。前売3500円の当日4000円っていうのにクレームだのが出だして。でも、リング組んでない時でも3500円取ってたからね。それをまた急に景気が悪くなったからって、そのー、何だろ、まあ言い方悪いけどそんな500円ぽっちね、吉野家の牛丼2杯食えたからね、…昨日までね(会場笑)。違う、吉野家じゃねえや、松屋だ。 …ま、そんな感じで、ネタ不足の感は否めないんですけど、そのー、小沢一郎がどうこうとか、今さら俺がそんなこと言っても楽しくないだろうし、…まあ、(リング上で)政治批判というのも、俺が最初にやりだしたというか。「どうなってんだ森喜朗」みたいな。たぶん知らない人もいると思うけど。…まあ、今さら感が否めないっていうか。 …まあ、とりあえずよ、こう重箱の隅をつついて、次なるモンスター…、魔人…、怪人…、怪獣…、何でもいい。…ある種、俺の想像力との真剣勝負というか…、…だって40過ぎてよ、ぶっちゃけあの怪人だってさ、召還してきたのは俺だからね(会場爆笑)。 …だってキ●ガイだよ、3時過ぎに茶色いマジックでさ、延々塗ってるというという状況で(場内笑)、『ビヨンド・ザ・埼玉プロレス』って感じだけど(場内爆笑)。 …とまあ、そんな感じで。でもアレだよ、今さら「原始人ヴァーゴン出しましょうよ」って某レスラーに言われたんだけど、IWA JAPANでビッグフットとか、デスワームとか、何だっけ、アレだ…ゴム人間とか出してる中で…。デスワームは造形学校の学生に作らせたらしいけど、二束三文で。それに対抗するには、何だろ、もう…、…あえて、俺が、タカラヤマ・リョウサクになれたら…、伝わってねえや(場内笑)。…レインボー造形企画になれたら。うん。 …ただよ、だから…。難しいな、長話でごめんなさいって感じだけど…。えー、この一言一句が100円200円だと思っていただければ(場内爆笑)。そう思えばモトが取れるというか…、どうしようかな、…本当はいま話してる間もイスが欲しかったんだけど、まあみんな気が利かないね(苦笑)。まあ、そんな感じで…。 (慌ててブロディ安藤が(!)イスを用意し始める) いや、いい、いい(苦笑)。 (別のお客さんもイスを用意し始める) いやいや、お客さんは神様なんで(苦笑)。…えー、まあ、イスを譲る譲らないの話じゃなくてさ、…まあ、捏造ネトゲ廃人・ブロディ安藤…、ただ、コイツはね、たぶんね、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学と、常に違和感を感じて生きてきたと思うんだよね。そして、プロレスファンにもそういう人が多いんじゃないかと思うんだけどさ。「ヤベエな」みたいな、誰とは言わねえけども(苦笑)、ま、そっからよ、「逃げ逃げ逃げてもう平気だと、思った途端にあらあらこりゃまた婆さんが、ローラースケート滑らせて、頭をコチンと叩いてく」(青島幸男主演『いじわるばあさん』主題歌)…ってね(場内失笑)。結局婆さんに頭叩かれてさ、クロスカウンターで殴り返すぐらいじゃなきゃな、意地悪ばあさんにさ。 (ブロディ安藤に向かって)…一度しかねえ人生だ、お互い40、白髪も生えて、チンポも立たなくなって…。 (女性客から「あ〜」という憐れみ(?)の合いの手が入る) 「あ〜」じゃないよ(笑)。…まあ、とりあえずよ…。できる限りのことをやっていきたいと思います。えー、次回開催はまた未定でございますが…。…本日は…、もうちょっと入るかなと正直思ったんですけど、いや、来ていただいただけでも、アラーの神というか、お客さんは神様なんで。…初期のブロディ安藤曰く「ウチに帰るまでが埼玉プロレス」なんで、よろしくどうぞ(場内拍手)。 かくして、エレファントカシマシ「おはよう こんにちは」が流れる中、飛田退場…のはずが、その後客席目がけてCG攻撃を何度も繰り返し、そのたびに20数人の観客を阿鼻叫喚に陥れるサバイバル飛田。「ウチに帰るまでが埼玉プロレス」の言葉通り、最後の最後まで安心して帰れないのがこのリングなのだ!?(そして試合後の会場内では、ブロディ安藤がせっせと撤収作業を手伝っていた…)(山口敏太郎事務所)参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」http://blog.goo.ne.jp/youkaiou
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スポーツ 2010年04月13日 13時00分
「時代」を彩った男と女・あの人は今 元プロレスラー、キラー・カーンさん
大型ヒールとして世界のマットでその名をとどろかせた元プロレスラー、キラー・カーン(本名・小沢正志)。190センチ、140キロの超巨体から繰り出すアルバトロス殺法などダイナミックな技で世界中のプロレス界を沸かせた。現在は俳優・歌手として活躍する一方、新宿・歌舞伎町で「ちゃんこ居酒屋 カンちゃん」も経営している。“安く、おいしく、量多く”と、自らの巨体にマッチしたボリュームある料理をリーズナブルに提供し、若者やサラリーマンから人気を集めている。 「普通、有名人の店って名ばかりで本人は店にいないじゃないですか。でもカーンさんは基本的に毎日見せに出ています。今も120キロくらいあるそうで、かなりの巨漢なんですが腰をかがめて自ら接客してくれるんですよ。アンドレと一騎打ちしていたなんて思えないくらい優しくて、細やかな気遣いもしてくれるので本当に嬉しいし評判が良いです。しかも量も多くて安いので、男友達と飲むときはここって決めてます」(50代プロレスファン) 現店の前身・新宿区中井にあった「スナックカンちゃん」にはアノ尾崎豊が通い、カレーライスを大変気に入ったことから、今の店でもその味を残し名物メニューのひとつとなっている。俳優業も映画「ジパング」「洛陽」「新極道の妻たち」等で個性的な名脇役ぶりを発揮したほか、プロレス界1、2を争う歌唱力を生かしクラウンレコードからCDも発売している。 もともと体格に恵まれていたカーンは、中学校卒業後に大相撲春日野部屋に入門し、63年3月場所で初土俵を踏んだ。67年7月場所から越錦の四股名を与えられたものの活躍に至らず、70年5月に廃業。最高位は幕下40枚目だった。 その後、プロレスに転向を決め71年1月に日本プロレスに入門。同年11月にデビューしたものの、73年4月に坂口征二らと新日本プロに移籍し、藤波辰爾らと戦いを繰り広げた。日本人離れした巨漢は海外での活躍も期待され、アントニオ猪木に同行したり、海外遠征の機会が次第に多くなった。78年、本格的にメキシコでの武者修行を開始、口ひげに弁髪の蒙古人レスラー「テムヒン・エル・モンゴル」として活躍を始め、アメリカ本土にも進出しこの際リングネームも「キラー・カーン」に改名した。 カーンの名を高めたのは80年末から進出したWWF時代。同ヘビー級王座やインターコンチネンタル王座に挑戦したのはトップヒールの証だ。アンドレ・ザ・ジャイアントとの抗争では更に悪名をとどろかせた。81年2月、アンドレが自らの過失で試合中に足を痛めた際、機転を利かせてニードロップを放ち試合をまとめアンドレの失敗を救った。このことでアンドレとの関係も深め、“アンドレの足を折った男”として瞬く間に世界的な大ヒールとなったのだ。 82年、凱旋帰国後もアンドレとの一騎打ちで名勝負を演じるなど個性を生かした試合ぶりで唯一無二の大ヒールレスラーとして人気を博した。85年には長州力のジャパンプロレスに参加し、全日本プロのマットでも暴れたが87年4月には再度、WWFと契約しハルク・ホーガンやバンバン・ビガロらと抗争を繰り広げたが、同年11月に現役を引退した。 世界的大ヒールレスラーだったカーンも現在は冒頭の活躍に加え、毎月数回、老人ホームを慰問するなど社会的貢献にも力を入れ、第二の人生を有意義に過ごしている。
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スポーツ 2009年12月25日 14時00分
日本球界は大恐慌時代を乗り越えられるのか? 独立リーグ化(上)
「本当に良かった、菊池がメジャーへ行かなくて。行かれていたら、日本のプロ野球は終わっていたよ」。球界関係者、テレビ局関係者が口を揃える。20年に1人の逸材と言われる花巻東の左腕・菊池雄星がメジャー行きを断念、ドラフト会議で西武が交渉権を獲得、無事に日本プロ野球界入りすることになったからだ。 「入団先が西武だというのも良かった。甲子園のスーパースターだった松坂(現レッドソックス)を日本球界のエースに育てたように、育成には定評がある球団だからね」。球界のOBたちも胸をなで下ろしている。 一方、菊池大争奪戦に参戦したドジャース、レッドソックス、レンジャーズ、ジャイアンツ、マリナーズ、メッツ、ヤンキース、インディアンスといったメジャー球団側は怒り心頭だ。「本人がメジャーへ行きたいと言っているのに、周囲がよってたかって邪魔して、日本球界入りさせてしまった。本当にフェアじゃないよ」と。菊池大争奪戦に関しては、勝者・日本球界vsメジャーという図式で一件落着した。が、日本球界の危機は去るどころか、メジャー側の大攻勢に風前の灯火である現実に変わりはない。 「野茂、イチロー、佐々木、松井、松坂といった日本球界のスーパースターが相次いでメジャーへ流出した時は『このままでは、日本球界はメジャーのマイナー化してしまう。せっかく育てた集客力のあるスーパースターを次々に取られてしまい、残るのはメジャーに行く実力のない選手ばかりになってしまう。日本球界は日本人メジャーリーガーの養成所、マイナーリーグに成り下がってしまう』と、深刻な危機感を抱いた。が、今はそれどころではない。 菊池のメジャー入りは危機一髪で回避されたものの、昨オフ、史上初めてドラフト候補生のいきなりメジャー行きという快挙を演じ、1年目の今季、2勝をあげた田沢(新日本石油ENEOS→レッドソックス)が、日本球界に開けた風穴はぽっかり空いたままだ。来年のドラフトの目玉の早大・斎藤佑樹もメジャー志向が強いから、どうなるか予断を許さない。アマ球界の逸材がいきなりメジャー挑戦のルートが出来てしまった以上、防止する具体的な対策はない。日本球界に背を向けるドラフト1位候補が相次げば、メジャーのマイナー化どころか、日本プロ野球界は将来性のない選手ばかりの独立リーグ化してしまう恐れがある。姨捨山になってしまう」。 メジャーリーグに精通する球界関係者は、こう重大警告を発する。確かに、菊池の場合も最後の最後まで予断を許さなかったし、西武に入団後には松坂同様に、ポスティング(入札制度)でのメジャー挑戦という問題が起こってくる。そのXデーはまだ5、6年先だろうが、その前に来年、早大・斎藤佑樹のメジャー挑戦という深刻な問題が待ちかまえている。一難去ってまた一難だ。 11月22日に東京ドームで行われたセ、パ誕生60周年記念『U|26NPB選抜対大学日本代表』で見せた早大・斎藤の集客力は驚異的だった。関係者ですら「初めてのプロ野球選抜対大学日本代表といっても、3万人来るかどうか」と予想していたのに、前売り完売、当日券なしの大盛況で4万人を超える大観衆が集まったのだ。「この佑ちゃん人気を見たら、巨人がなんとしても欲しいのは当然だろうな。ロッテが今からドラフト1位・斎藤を宣言するのもわかるし、神宮を本拠地にするヤクルトが熱視線を送るのも無理はない。キャンプ、オープン戦だけでどれだけ稼ぎ出すか、天井知らずでまさに金のなる木だよ。我々、電波メディアにとっても佑ちゃんは最高のソフトだからね」。視聴率がすべてのテレビ局関係者はこう言って舌なめずりする。 相思相愛といわれる巨人などは、斎藤獲りのためにドラフト改正、希望枠復活を画策しているが、反対多数で実現性は極めて薄い。「選手の希望を聞くような制度に改正しないと、アマ球界からの逸材のメジャー流出は阻止できない」といくら訴えても、多勢に無勢では勝てない。来年も現行制度通りのドラフトになると、意中以外の球団が交渉権を獲得した場合、斎藤のメジャー行きの確率はかなり高いといわれる。それでなくとも、ハンカチ王子狂騒曲を奏でた早実時代、「早大進学」「プロ野球入り」の他に第三の選択肢として、「メジャー挑戦」があったほどメジャー志向が強い斎藤だけに、説得力のある話だろう。(つづく)
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スポーツ 2009年12月21日 13時00分
菊池フィーバーでドラフト逆指名が復活!?
菊池雄星(18=埼玉西武ライオンズ)の人気ぶりが、ドラフト会議を“改悪”させてしまうかもしれない。 「今オフ、野球ニュースのないときは『今日の菊池は何をしているか!?』を探り、それで凌ぐつもりです。球団は二軍キャンプでじっくり育てるつもりらしいが、マスコミは一軍キャンプよりも多い『菊池番』を編成することになりそう」(TV局員の1人) ペナントレース前、有望新人に注目が集まるのは仕方ないとしても、「菊池がメジャーに行かないで良かった」の声も聞こえてきた。それも、西武以外の他球団から…。 平成22年、プロ野球12球団はドラフト規約の改定を話し合う。 現行の『ウエバー制』は同19年3月発覚の『裏金事件』により、自由枠(事実上の逆指名制)をなくすことにした。存続を訴える球団もあったが、同年のドラフト会議が約半年後に迫っていたため、「3年後にもう1度改める」ことで、とりあえずは折衷できたのだが、ここに至るまでの間、新たな問題も加わった。『対メジャー』である。 メジャー志望の強いアマチュア選手が増えてきたのは、説明するまでもないだろう。昨年は『即戦力右腕』の呼び声も高かった田澤純一投手(23=元新日本石油ENEOS)をレッドソックスに奪われ、実は菊池も、ギリギリの段階まで「ドジャース行き」を真剣に考えていた。『金の卵』を水際で引き止めた直後なだけに、ドラフト改定の焦点が、単に「ウエバー制を維持するか否か」では済まなくなった。12球団は、人材流出に効果的な名案を検討しなければならない。 「プロ野球を経由せずにメジャー挑戦したアマチュア選手は帰国後、国内リーグ入りするまで、高卒は3年、大学・社会人は2年のハンディを設けていますが、そんなルールは“ザル”ですよ。だって、ドラフト指名を受けて、交渉決裂後に米挑戦したら、ハンディの対象になりませんから」(連盟関係者) 名案の浮かばない12球団は「米流失するより、ライバル球団に奪われた方がマシ」と考えている。そうなると、「好きな球団に行かせてやれ」の発想で逆指名制が復活し、資金力豊富な一部の球団に有望選手が集中することになるかもしれない。 菊池の注目度が高まるほど、ドラフトの規約は“悪い方向”に転がってしまうのである。