このOVWという団体、かつてはWWEの若手養成団体であった事もあり、数々のスーパースターを輩出している由緒ある団体である。今回賭けられたOVWヘビー級王者はリバイアサンを名乗っていた時代のバディスタも保持していた時代がある程。現王者であるマイク・モンドは第79代王者に当たる。KUSHIDAがベルトを奪取すれば第80代王者、そして日本人初の戴冠となる。
SMASHでのチャンピオンシップ恒例である日本・アメリカ両国歌が流れるセレモニーを終え、いよいよタイトルマッチが始まる。先制したのはKUSHIDA、素早いモーションからのアームドラッグを三連発。腕を取られたモンドだが、エルボーパッドで反撃。コーナーに振られた所、KUSHIDAの突進をサルト・モルタルでかわしていくモンド。続けて振り向きざまのクロスボディーを放ったモンドだがかわされて逆にKUSHIDAのクロスボディーを食らう。そして再びアームドラッグでモンドを宙に舞わせるKUSHIDA。この日のKUSHIDAはアームドラッグから始まるアメリカン・プロレスを存分に魅せているようであった。
本国のプロレスならモンドも負けるわけにいかない。エプロンに立ったKUSHIDAに対して、トップロープからのフライング・ラリアットを発射し場外に叩き落す。追い討ちとばかりにKUSHIDAの腰をエプロンに叩き付ける。こういったムーブメントがアメリカナイズされている場面であると試合後のTAJIRIが語っている。ロープに固定したKUSHIDAの胸板に正面飛びのドロップキック、更に後頭部を狙ったダブルスレッジハンマー。流れるようにKUSHIDAを攻め込んでいくモンド、流石にOVWチャンピオンである。
ブレーンバスターから尻餅をついた状態のKUSHIDAの腰目掛けてエルボーを放っていくモンド。試合中盤に差し掛かろうとした時モンドの照準がKUSHIDAの腰に集中する事になる。力のこもるサーフボードストレッチの掛け合いから一転、モンドが抱え込み式のバックドロップを放つ。再度サーフボードストレッチを狙うモンド、KUSHIDAは腹部へのエルボーからドロップキックを放つがかわされる。ロープに飛んだモンドに今度は前転からのドロップキックを放ったKUSHIDA。勢いに乗りコーナーからダッシュしたKUSHIDAだが、モンドは抱え上げて山折りに持っていく。カウント2でフォールを跳ね除けたKUSHIDAに対し、モンドはKUSHIDAの腹部を抱え込むリバースのベアハッグで絞め上げる。この攻撃に耐えたKUSHIDAはエルボーの連打から反動をつけてブレーンバスターで叩き付ける。しかしスタミナを奪われたのかフォールの体勢に入る事ができないKUSHIDA。両者ダウンの状態となり、レフェリーのソフト今井がダウンカウントを数え始める。カウント8で立ち上がった両者、エルボーの打ち合いからKUSHIDAを場外に叩き出したモンドはプランチャを放つがかわされて、逆にKUSHIDAのプランチャがヒット。場外に立つモンドに対し、エプロンを走ったKUSHIDAはコーナー超えのトペ・コンヒーロを放った!
リング内に戻るとKUSHIDAの反撃が待っている。突っ込んできたモンドをロープに固定したKUSHIDAはエプロンを走ってキック、よろめいたモンドにスワンダイブ式のボディーシザースドロップを浴びせかける。すかさずその場飛びのムーンサルトを放つがカウントは2。膝立ちの状態であるモンドにトラースキックを放つが捕まれ、反転すると同時にエルボーを放ったKUSHIDA。よろめくモンドは両足タックルのような形でもたれかかる。再度エルボーを放ったKUSHIDAだがこれをかわしたモンドは両足を取ってテキサス・クローバー・ホールドへ。両足で払いのけたKUSHIDA、コーナーのモンドにダブルニーアタックを試みるが、これをキャッチしたモンドが雪崩式フランケンシュタイナーからダイビング・ヘッドバットと波状攻撃を仕掛ける。
この攻撃からのフォールをカウント2で跳ね返したKUSHIDA、エプロンでのブレーンバスター合戦をかわして卍固めを極めていく。渾身の力で絞り上げるが腰投げで切り返すモンド、そのまま再度テキサス・クローバー・ホールドへ。ロープに逃れたKUSHIDA、モンドが再度山折りを狙おうとするが回転十字固めで切り返す。エルボーをかわしてドラゴン・スープレックス、続けざまのムーンサルト・プレスは見事にヒットするがカウント2でキックアウトされる。そして満を持してミッドナイト・エクスプレスへ…だがこれをかわされたことによりKUSHIDAの勝機は逃げていった。ダイビング・ヘッドバットをカットしてラ・マヒストラルで固めようとするKUSHIDA、しかし踏ん張ったモンドが三度目のテキサス・クローバー・ホールドへ! これでもかとばかりに反りかえると堪らずKUSHIDAはギブアップ。タイトル奪取はならなかった。
敗れたKUSHIDAに対し、大原はじめが屈辱の言葉を浴びせかけてそのまま急襲する。その場を救ったのは何とユニオンの木高イサミ! シンガポール・ケイン(竹刀)を振り回して大原を退散させたイサミは盟友であるKUSHIDAの元に歩み寄る。同じくリング上に上がったTAJIRIからJCBホール参戦を要求されたイサミ。後日イサミはKUSHIDA・そして特別参戦のスペル・クレイジーとトリオを組み、大原はじめ&ヘイモ・ユーコンセルカ&ジェシカ・ラブとのハードコアマッチのカードが決定する。
敗れはしたが、KUSHIDAは改めてマイクを握り「俺達の目指すのは、世界だーっ!!」と叫ぶ。世界に限りなく近づいたKUSHIDAの健闘ぶりに館内から大きな声援と拍手が贈られた。JCBホールに向けて待ったなし!
試合後王座を防衛したモンドは「私の方が少しだけ良い試合内容だったから勝つ事ができた。KUSHIDAは非常にタフな選手だった。」とコメントした。それだけKUSHIDAが世界に肉薄した試合だったのだろう。
今後もOVWとの関係は続けていくと総括で述べたTAJIRI。実はOVWにはTV王座、タッグ王座、女子王座とあと3つのタイトルを認定している。SMASHから選手が乗り込み、それらの王座を奪取して日本に持ち帰る事ができれば大いに盛り上がるであろう。フィンランドFCFも黙ってはいないであろう。ひょっとするとFCF対OVWの対抗戦も夢ではないかもしれない…可能性は尽きない。
Office S.A.D. 征木大智(まさき・だいち)
◆『SMASH.9』
2010年10月30日(土)東京・新宿FACE (観衆590名=超満員)
<メインイベント OVWチャンピオンシップ60分1本勝負>
○〔王者〕マイク・モンド(21分02秒 テキサス・クローバー・ホールド)●〔挑戦者〕KUSHIDA ※第79代王者が防衛に成功
<セミファイナル タッグマッチ時間無制限1本勝負>
○TAJIRI&AKIRA(11分15秒 片エビ固め)●ディミストリー&オーメン ※バズソーキック
<第4試合 シングルマッチ時間無制限1本勝負>
○Mentallo(9分41秒 片エビ固め)●エル・サムライ ※ムーンサルト・プレス
<第3試合 矢郷良明杯争奪マッチ時間無制限1本勝負>
○大原はじめ(1分21秒 エビ固め)●小路晃 ※黒部の太陽を切り返して丸め込む
<第2試合 タッグマッチ時間無制限1本勝負>
○朱里&野崎渚【NEO】(7分21秒 体固め)●植松寿絵&中川ともか ※飛び膝蹴り
<第1試合 タッグマッチ時間無制限1本勝負>
○キム・ナンプン&ダニー・ドゥガン(8分27秒 体固め)●リン・バイロン&児玉ユースケ ※体を浴びせて押さえ込む
◆『SMASH.10』
2010年11月22日(月) 開場予定:17:30/開始:19:00
会場 東京・水道橋『JCBホール』
<メインイベント FCFチャンピオンシップ60分1本勝負>
〔王者〕スター・バック vs. 〔挑戦者〕TAJIRI
※以下の試合順は後日発表
<8人タッグマッチ時間無制限1本勝負>
スカリーIIホッティー&AKIRA&KAORU&野崎渚【NEO】 vs. ユージン&TAKAみちのく【KAIENTAI-DOJO】&植松寿絵&中川ともか
<ハードコア6人タッグマッチ時間無制限1本勝負>
KUSHIDA&木高イサミ【ユニオン】&スペル・クレイジー vs. 大原はじめ&ヘイモ・ユーコンセルカ&ジェシカ・ラブ
<ワールド・レジェンド・リバイバル>
ルーク・ウイリアムス vs. 児玉ユースケ
<シングルマッチ時間無制限1本勝負>
Mentallo vs. 獣神サンダーライガー【新日本プロレス】
<シングルマッチ時間無制限1本勝負>
小路晃 vs. 矢郷良明
<タッグマッチ時間無制限1本勝負>
朱里&華名 vs. さくらえみ【アイスリボン】&米山香織【JWP女子プロレス】
<タッグマッチ時間無制限1本勝負>
リン・バイロン&ゴーレム・ナイト vs. キム・ナンプン&レザーフェイス
チケット情報、その他詳細はSMASHオフィシャルサイト
http://www.smashxsmash.jp/ まで。