新日本
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スポーツ 2010年12月29日 11時00分
チケットショップ『T-1』二見社長インタビュー(3)「T-1興行に一番引っ張りたい女子レスラーは、風間ルミ! 最終目標は、大仁田厚とインリン様!」
水道橋の名物チケットショップの社長がプロレス興行を開き、いつの間にやら自分もリングに上がっていた。そして試合後の、業界タブーもモノともせぬ過激マイクパフォーマンスは、劇場ならぬ“激情”の異名でマニア筋に大人気…。チケットショップ『T-1』二見社長が仕掛ける『T-1興行』は、05年8月23日の女子プロレスオールスター戦『T-1グランプリ』に端を発し、以来プロレス業界に爆弾を投じる“台風の目”として注目を浴び続けている。来たる「平成23年2月3日」の「フタ・ミ」づくしのフタミデーに行われる『二見記念日 T-1スペシャル〜一期一会〜』の見どころを、山口敏太郎氏が二見社長本人に直撃した。 山口 2月3日のT-1興行ですが、現段階で決まっているカードは、キラ☆アンvs元Kamipuro編集部の松澤チョロ。彼は今、何をやってるんですか? 二見 チョロ氏は今、本業の土木作業の傍ら、AV男優をやっています。8月のT-1興行で二見vs UGPマスク、キラ☆アンwith松澤チョロという、1vs3 のハンディキャップマッチが組まれたんですが、チョロ氏が失神して、UGPマスクとキラ☆アンが自分に負けたんですよ。で、「負けたのはチョロのせいだ!」とキラ☆アンが怒って、チョロ氏と仲間割れをしまして。それで今回、シングルマッチを組みました。 山口 相手のキラ☆アン選手は? 二見 キャットファイトでは常連ですね。身長が170cmあって、ガタイがいいし華もあります。胸が、片方ともう片方のサイズが違って、HカップとGカップ。女子プロ界のHGです(笑)。T-1期待のニューフェイスですね。ニューフェイスといっても、「乳」の乳(ニュー)フェイス(笑)。 山口 川田由美子選手の見どころは? 二見 もともと彼女はUGPマスクという、人材派遣のマスクウーマンだったんですよ。ただ、派遣なので本業ではないこともあって弱い。これまで全然勝てなくて、あんまり負けてばっかりいるので、負けたらマスク剥ぎという条件で試合をしましたけど、それも見事に負けてマスクを剥がされました。ただ顔はいいので、素顔に戻ってどう変わるか楽しみですね。 山口 かわいい子がボコボコにされる姿を見て楽しむマニアもいるんでしょうね(笑)。 それと、なんといっても草間政一さんですね。仮にも元・新日本の社長が、T-1のリングに上がるというのが画期的ですよね(笑)。草間さんのトークショーが、ハッスルなどに繋がっていく可能性はあるんですか? 二見 もちろんありますね。一週間前の1月27日に新木場でハッスルがあるんですよ。そこに殴り込んでやろうかと。 山口 草間さん、レスラーとしてデビューしたんですよね? 二見 そうみたいですね。60歳でデビューという(笑)。トークショーの相手もターザン山本!氏とだから、やりたい放題になるでしょうね。自分は試合に集中するので当日のトークショーには立ち会えないけど、ホントは自分が司会やらないとまとまらないと思いますね。でも、このわがままで目立ちたがり屋の二人がやるからいいかもしれないし(笑)。 山口 「ワンマン社長vs金権編集長」ですね(笑)。 二見 もう業界のしがらみのない二人に、T-1のリングでバンバン自由に語ってもらおうかと。 山口 メインの二見社長の相手はどうですか? 二見 今大会は、常連のベテランは出さないで、出来たら若い選手で勝負を懸けようかと思っているんですよ。「NEW T-1」を見せたい。 自分の相手はT-1初参戦の選手が一番いいし、新世代の選手が理想。ホントの意味での未知の強豪がいいけど。あとは、初期のT-1に参戦して絡んだことがない選手。これに当てはまるのが、華名と木村響子。あとは尾崎魔弓か。 ただ、自分の中でいま一番引っ張り出したいのは、今年AVデビューした風間ルミ。 山口 風間さんは引退してますよね。 二見 一番のネックはそこだけど、プロレスラーに引退はあってないようなもんだから、別にいいだろと(笑)。 今の女子プロと同じことをやってもしょうがない。今のプロレスにはないものを見せられる自信があるし。勝ったら、独演会で爆弾トークをやるけどね。 山口 2月3日の次のT-1興行は、いつにするんですか?二見 まだ決めていないですね。やろうと思えばいつでも。4月でも、5月でもいいし。 まあ現実的な話、ちゃんとお客を入れて黒字にすること。とにかく黒にしないと、次に繋がらないので。 山口 今後の目標をお願いします。 二見 最終目標は大仁田厚と対決することですね。女子はインリン様だね。 山口 それは面白いですね。両方ともぜひ観てみたいですね。 二見 大仁田の“劇場”と二見の“激情”、どっちが本物か勝負したい。インリン様こそ、リアル女子レスラー。子育てが落ち着いたら復帰も可能でしょうし。ちゃんとギャラは払うので(笑)。 山口 平成23年2月3日と、「フタ・ミ」づくしですね。 二見 来年23年は「フタミイヤー」なので、このまま突っ走ろうかと。オレの動向を見逃すなよ、ってことで。(おわり)※写真はすべて(C)T-1◆『二見記念日 T-1スペシャル〜一期一会〜』日時:平成23年2月3日(木)開場/19:00 開始/19:23(※イク〜・フタミ!)会場/新木場1st RING(東京都江東区新木場1-6-24)出場予定選手:二見社長、川田由美子、キラ☆アン、松澤チョロ特別ゲスト:ターザン山本!、草間政一≪決定カード&特別トークショー≫シングルマッチ キラ☆アン vs 松澤チョロ特別トークショー ターザン山本!&草間政一◇前売りチケット料金表 ※当日券は500円UP トップワンシート(最前列) ¥4500T-1スペシャルシート(ひな壇) ¥3500ペアシート(2枚1組) ¥5000(T-1のみ、当日販売なし)主催:チケット&トラベルT-1(東京・水道橋)
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スポーツ 2010年12月28日 13時00分
なぜチケットショップの社長がリングに上がるのか? 『T-1』二見社長インタビュー(2)「5万のグラサンも割られたし、離婚もした。でもT-1興行を続ける!」
“二見激情”でおなじみのプロレス界きっての爆弾男・二見理(ふたみ・おさむ)。とはいっても彼は現役プロレスラーでも団体経営者でもなく、東京・水道橋のチケットショップ『T-1』の名物オーナーである。 そんな彼がなぜ、女子プロレス興行『T-1興行』を打ち、業界に波紋を広げ続けるのか? ショップ『T-1』、そして『T-1興行』の生い立ちについて、プロレスにも造詣の深いオカルト作家・山口敏太郎氏が、二見社長にインタビューを敢行した。 山口 なぜチケットショップの社長がプロレスのリングに上がって試合をしているのか、いろんな角度から聞きたいんですけど、まず初めにT-1興行のリング上で、離婚を発表されたこともあったそうですね。 二見 2007年の7月に離婚し、10月8日の『T-1グランプリ(以下・GP)』新宿FACE大会で発表しました。試合後の独演会で離婚のことを言ったんですが、離婚そのものよりも、自分が結婚してたことに、選手やファンは驚きだったみたいで(笑)。それまで、一切プライベートを公表していなかったから。 山口 奥さんには「プロレスのリングに上がるなんて危ないからやめてくれ」と言われてたんですか? 二見 実は、一回観に来てるんですよ。前川久美子と金網越しでガチ口論した1回目の『T-1GP』を。その時、「お金を払ってるプロモーターが何であんなことを言われなきゃいけないの!?」って、前川に対して怒って。普通の感覚だったら怒るよねぇ。 お金を出してリングで痛い思いをして、そこまでして興行を打つ神経がわからないって言うんですよ。おっしゃる通りなんだけど、このままじゃ引き下がれないって気持ちがあるじゃないですか? 男が夢を追いかけると、女性は冷静になると。 山口 経営者として、男として、引けない時ってありますもんね。でも、女はわかってくれない(苦笑)。 二見 今は独身の身だから、何やってもいいって気持ちですけど。前の女房は仕方ないにしても、子供には一度観に来てほしいという気持ちはありますね。今年で高校を卒業するんですが、その年齢になれば、「お金を稼ぐのは大変なんだ」という、親父の苦労もわかってくれると思うんですけど。【チケットショップ『T-1』】 山口 本業のチケットショップの話を聞きたいんですけど、チケット&トラベルT-1を始めたのは何年前ですか? 二見 1995年8月23日に開業したので、15年経ちました。売上のメインはプロ野球のチケット。東京ドームの巨人戦から、神宮のヤクルト戦、西武、横浜、千葉ロッテ…と、首都圏の野球のチケットを中心に扱ってます。 山口 野球が一番売り上げがいいのですか? 二見 断トツですね。自分はアンチ巨人なんですが、巨人戦でメシを食っているという(笑)。 山口 どこのファンなんですか? 二見 阪神ファンです。T-1のTは、タイガースのTですから(笑)。 世間からは「野球人気は落ちた」といわれてますけど、全然落ちていないですね。逆に伸びてますよ。落ちたのは巨人の人気だけであって。日本ハムや楽天を始め、地域密着型のチームが増えて、地方での野球ファンは増えているし。 水道橋に店舗を構えているので、チケット買うのは巨人ファンだけと思うかもしれませんが、アンチ巨人も多いですから。たとえば巨人vs中日戦を買いに来た中日ファンのお客さんが、巨人戦と一緒にヤクルトvs中日や横浜vs中日のチケットも買ってくれる、そういう相乗効果もありますから。それに広島やソフトバンクのファンは、結束力が強いんですよ。首都圏での試合は全部観戦するとか。巨人戦より、ロッテ戦の方が売上がいいですし。プロレスとはファンの絶対数も違うので、野球のチケットは安定して売れますね。 山口 プロレスのチケットはどうなんですか? 二見 …全然駄目ですね(苦笑)。そもそも後楽園ホールでの開催が激減したから。 一番の問題なのは、プロレスラーがファンと、mixiやツイッターで直接やり取りしちゃうでしょう? あれじゃ、ファンとの境界線がどうでもよくなる。小劇団じゃねぇんだから。プロじゃねぇよって話で。 山口 そのレスラーのチケット手売りの営業力が、マッチメイクに左右される。資本主義社会の見地からすれば正しいんですけど、それじゃプロレスが持ってた「幻想」っていうものがなくなっちゃいますよね。 二見 プロ野球やプロサッカーの選手が、ファンにメールでチケットを買ってくれと、やり取りしますか? 元々プロレスラーは、近寄りがたい凄い存在だったのに、今じゃ普通のお兄ちゃんみたいなヤツが手売りでしょ。一般人と同じなんですよ。そこを変えたくてT-1興行をやってるんですけど、その思いは伝わってないですね。じゃなかったら、こんな傷を作ってまでやらないですよ!(と、シャーク土屋の有刺鉄線バットでできた左手の傷を再度差し出す)。【『T-1興行』と“二見激情”】 山口 では、T-1興行旗揚げの経緯と、二見社長が自らリングに上がり始める軌跡を振り返りたいと思います。 二見 「T-1興行とは何か」という話から始めないといけませんね。まず5年前の8月23日に後楽園ホールで、T-1創立10周年として『T-1 GP』を行ったんですよ。 山口 なるほど、この時から「フタミデー」を選んでたんですね(笑)。 二見 店を開業した時からです(笑)。後楽園ホールでやったことが重要で。この頃に新木場1st Ringに新宿FACEと、後楽園よりももっとお手軽に興行が打てる会場が都内に立て続けにできたことで、後楽園での興行が減ってきたんですよ。これではイカンということで、復興を掲げて女子プロレスのオールスター戦を後楽園でやろうと。 ところが興行を打ってみたら、予想以上に女子プロの内情が腐っていた。今までは外からの立場で見ていた時は、停滞の原因はフロントだと思ったんですよ。要するに周り背広組のフロントがどうしようもなくて、選手の足を引っ張ってるのかと思ったら、業界の中に入って自分でマッチメイクしてみたら分かったのが、違うんだ、根っこは。選手がダメだった。フロントは選手傷つけないために泥を被ってただけの話で。諸悪の根源は選手なんです。 その女子プロのダメな部分を露呈したのが第1回の『T-1 GP』ですよ。そこで、今や伝説となっている前川久美子のマイクが出たんです。「今日は仕方なく試合をしました。こんな意味のない試合はやりたくないです。すみませんでした」って暴言を吐いたんですよ。プロが泣き言を言ったわけです。それでオレがブチ切れて、ガチンコの口論になったんです。 山口 そこから「T-1興行はガチ!」というイメージが定着したんですね。 二見 試合より、そのガチンコの喧嘩が一番湧いちゃったんだよね。自分のマイク「二見激情」が試合を超える人気を博すという逆転現象になったんですよ。最終的にリングに上がらざるを得なくなっちゃった、というのが経緯ですね。 で、まだ第1回は口論しただけだったんですけど、第2回大会ではリング上で堀田祐美子と喧嘩したわけですよ。その堀田には新調したての5万円のGUCCIのサングラスを割られて(笑)。見ます? ほら(写真参照)。 山口 それは精神的にダメージ受けますね(笑)。 二見 このサングラスは、T-1の歴史そのものですよ(笑)。 ちなみに二見は毎回試合をやっているのかとよく聞かれるんですが、実際はそうじゃなくて、初めて試合に出たのは、第8回目の07年6月27日の新宿FACE大会ですね。第8回大会の大会名に、二見デビュー戦と謳っていたんですが。全14回大会中、試合をやったのは6大会。 山口 いつも乱闘してるイメージだから、ずっと出ているのかと思いました(笑)。 二見 結局ファンも、「二見激情」を観に、チケットを買って会場に来てるんでね。引っ込みがつかないというのもありますね。 山口 男子プロレスは興味ないんですか? 二見 男子は自分がやらなくてもやる人がいるし。あと男子を復興させるのは難しいと思う。女子のほうが可能性があるので。 山口 T-1興行がメディアにあまり取り上げられないのはなぜですか? 二見 本当のこと言うからじゃないですか。あと、選手より目立つから。業界として好ましくない部分も遠慮なく言うからね。今の専門誌は、選手の広報誌に成り下がって傷の舐め合いをしている。 山口 まぁ、プロレスマスコミの売上が落ちてるのもそこでしょうね。 二見 やっぱり記者にメシ食わせたり、パンフの原稿などの仕事を与えたりしないと駄目みたいで(苦笑)。DEEPの佐伯繁代表が慕われているのは、そこが大きいわけだし。実際、格闘技マスコミは佐伯さんのことを「親分」と慕っているし。 山口 見た目だけじゃなくて、懐も太っ腹なんですね(笑)。 二見 反面、競技性を追求してる修斗はそういうことやらないから、kamiproでの記事が少ない。で、K-1の谷川さんや佐伯さんばっかり載っているという(苦笑)。そういうことだろうね。 T-1興行には、毎回格闘技の関係者が観戦に来てくれるんですよ。佐伯さんや島田裕二レフェリーとか。あと、修斗の北森代紀広報に、ジュエルスの尾薗勇一社長にヴァルキリーの長尾メモ8氏、パンクラスなど…。そうだ、ジュエルスの杉山しずか選手も来たし。こっちはプロレスのリングであって、格闘技業界とはあまり接点がないから来やすいというのもあるでしょうけど、やっぱり彼らにしたら、自分たちが言えない本音を二見が言ってくれる…というのがあるんでしょう。 ただプロレスだと、そうはいかない。若い選手がT-1に近づくと、団体の上層部から「なんだ二見のところに行って…」と文句言われるとか、実際にあるので。T-1のリングに上がりたいという選手、実は多いんですけどね。 山口 でもそれは、選手一人ひとりの判断に任せる問題ですよね? 二見 顔色伺う選手ばかりでね。そこからして駄目なんだけど。自分は、大御所に嫌われているんですけど、言われたヤツはそこから次のストーリーを展開することを考えたほうがいいと思う。 山口 昭和の新日本プロレスの新間寿(元・営業本部長)さんだったら、スキャンダルを必ず次の興行に結びつけてたんですけどね。(つづく)◆『二見記念日 T-1スペシャル〜一期一会〜』日時:平成23年2月3日(木)開場/19:00 開始/19:23(※イク〜・フタミ!)会場/新木場1st RING(東京都江東区新木場1-6-24)出場予定選手:二見社長、川田由美子、キラ☆アン、松澤チョロ特別ゲスト:ターザン山本!、草間政一≪決定カード&特別トークショー≫シングルマッチ キラ☆アン vs 松澤チョロ特別トークショー ターザン山本!&草間政一◇前売りチケット料金表 ※当日券は500円UP トップワンシート(最前列) ¥4500T-1スペシャルシート(ひな壇) ¥3500ペアシート(2枚1組) ¥5000(T-1のみ、当日販売なし)主催:チケット&トラベルT-1(東京・水道橋)
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スポーツ 2010年12月23日 13時00分
引退試合に向け、海外合宿を張る安田忠夫に、“ぼったくり興行”との批判の声も…
“平成の借金王”安田忠夫が、2月4日、東京・後楽園ホールで引退興行を行なうことは、リアルライブで報じた通り。 この引退興行をプロデュースするSon God Cool(以下、SGC)によれば、安田はトレーニングのため、12月21日にマカオへ旅立ったという。マカオにはカジノがあるが、「金がないので、カジノはやりません」と語っているらしい。 ところで、その引退興行のチケットが発売開始となったが、驚くべきはチケット料金の高さ。特別リングサイド=1万5000円、安田忠夫応援シート=1万円、アリーナ(東西)=7500円、スタンドA=5000円、スタンドB=3000円という料金設定。確かにリーズナブルな席もあるのだが、興行関係者を驚がくさせたのが、特別リングサイド=1万5000円という高値。 通常、後楽園ホールで開催されるプロレス興行の特別リングサイト料金は、メジャー団体の新日本プロレス、プロレスリング・ノア、全日本プロレスでさえ、おおむね7000円で設定されている。安田引退興行は、その2倍以上の料金。 プロレス興行を手掛けるベテラン・プロモーターのA氏は、「引退興行は“ご祝儀相場”的な意味もあって、多少高めの設定でもやむを得ないと思いますが、後楽園ホールのキャパシティで、この料金は高すぎです。プロレス界の信用問題にもなりかねません」と語る。 金をかけての海外合宿に批判の声も聞こえてくる。「海外合宿を張る金があるなら、もっとチケット代を安くした方がいい」(前出のA氏) 引退興行には、曙、高山善廣、鈴木みのるの参戦が決まり、1月中旬には対戦カードを発表するというSGC社。チケット料金に見合うカードが組めなければ、“ぼったくり興行”の印象はぬぐえなくなる。 なお、SGC社は安田にアントニオ猪木から、大みそか「Dynamite!!」出場の打診があったことを明かした。
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スポーツ 2010年12月17日 12時30分
新日本プロレス1・4東京ドーム大会に黄信号点灯! 平凡なカード編成にファンから不満の声も…
新日本プロレス年始恒例のビッグイベント、1月4日・東京ドーム大会の全対戦カードが発表された。 かつては、年に3回ほどの東京ドーム大会を開催してきた新日本だが、今や年に1回となり、まさに団体の総力を結集した興行となっている。 今大会は小島聡(王者=フリー)対棚橋弘至(挑戦者)のIWGPヘビー級選手権戦をメーンイベントに、ボーナスマッチ2試合を含む全13試合が組まれる豪華版となったが、そのカード編成にプロレスファンから不満の声が飛んでいるというのだ。 このファンの冷ややかな反応について、興行関係者のA氏は「両国国技館クラスのカードですね。東京ドームクラスの大きな会場になれば、それなりのサプライズ的なもの、刺激的なものがないと入りません。新日本のファンだけではとても東京ドームは埋まりません。浮動客を動員するだけの魅力あるカードがあまりないですね。プロレスファンは、『東京ドームならでは』のカード実現を期待していたのでしょう」と分析する。 確かにメーンの小島対棚橋を始め、セミファイナルに組まれた真壁刀義対田中将斗(ZERO1)、中邑真輔対潮崎豪(プロレスリング・ノア)、永田裕志対鈴木みのる(パンクラス・ミッション)といった新日本勢と外敵のシングルマッチが多数並び、好カード揃いであるのは事実。しかしながら、いずれのカードも初対決ではなく、何度も組まれてきた新鮮味のない対戦。これに食いつくほど、今のファンは甘くはないのだろう。 近年の1・4東京ドームを見ると、昨年はノアとの対抗戦が勃発し、三沢光晴(故人)や秋山準らが参戦。全日本プロレス・武藤敬司も出場した。今年はノアとの対抗戦も継続し、丸藤正道のIWGPジュニア王座への初挑戦、中邑対高山善廣(高山堂)のIWGP戦、テリー・ファンクとアブドーラ・ザ・ブッチャーのまさかのリバイバル対決など、サプライズがあった。しかし、今年はサプライズ的なカードはなく、元WWEのロブ・ヴァン・ダム、ジェフ・ハーディーの参戦が目に付くぐらいだが、それとて大きな動員にはつながらないだろう。 大きな目玉がないなかで開催される今回の1・4東京ドーム大会。果たして、プロレスファンの審判はどう下されるのだろうか?●新日本プロレス 1月4日(火)東京ドーム(17時開始)「レッスルキングダム in 東京ドーム」http://www.njpw.co.jp/
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スポーツ 2010年12月11日 10時30分
「伝説の漢(おとこ)」中野巽耀、ガッツワールドのリングで復活! UWF魂を植えつけられたSTYLE-E勢!
「燃える 燃える 燃える 俺の心が 血と汗に染まった 白いマットに」 劇場版『あしたのジョー2』主題歌が新木場に流れた瞬間、背筋がゾクゾクするのを感じた観客もいたことであろう。 遂にあの漢がリングに帰ってきたのだ。 漢の名は「中野巽耀」(なかの・たつあき)。中野龍雄のリングネームで第2次UWFからリングに上がり、新日本プロレスのマットでは船木優治(現・誠勝)や野上彰(現・AKIRA)と名勝負を展開。伝説となった内藤恒人との試合で見せた逆片エビ固め、通称「しゃちほこ固め」は今でも語り継がれている。UWFインターナショナル時代、ベイダーとの最初のシングルマッチを戦った中野、見事な玉砕を果たし更に「漢ぶり」を上げる事になる。 あれからどれだけの月日が流れたのだろう。 12月4日、ガッツワールドvol.44のリングに中野は姿を現した。「中野巽耀」のリングネームで。 対するは田村潔司の遺伝子、STYLE-Eの田村和宏、そして9月にここ新木場でデビュー戦を行った那須晃太郎。奇しくもUWFの魂を受け継ぐ者同士が相対する事となった当日の第4試合。 中野のパートナーとなったのはバンジー高田、高田と田村は以前STYLE-Eのリングで幾度と無く対戦しているものの、「会うのも2年振りじゃないですかね」と高田が語った通り、ここ最近は疎遠となってしまっていた。 歴史はまた繰り返す。この4人が同じリングに上がる事は必然だったのではないだろうか。 先発した高田と那須がおもむろに見合うと、両者共にコーナーに下がる。中野と田村がリングに入ってくると異様な緊張感が漂った。お互いに牽制のローキックを放つとグラウンドに。中野がキュッと田村の足首を捻った瞬間、田村の表情が一変する。必死になってロープに手を伸ばす田村、ポーカーフェースで極め続ける中野。中野は田村潔司の遺伝子を体で感じていたのだろうか。 続いて那須が中野巽耀を体感する。那須は他団体の選手が認める程の無鉄砲さ。レジェンドである中野相手に真正面から向かっていく姿は、昔の中野の姿を思い浮かばせる。 那須の無鉄砲さに中野はマウントからの掌底で出迎える。上手くコントロールして上になった那須、しかし中野はすぐに切り返して逆十字固め。もがくようにロープに足を伸ばした那須。 下手をすれば「蛇に睨まれた蛙」になってしまう恐れがあった。しかし那須のハートはそんなやわなものではなかった。臆することなく中野に向かっていった那須、館内からも賞賛の声が上がっていた程。 再び中野と田村和宏が相対する。田村は奇襲の飛びつき逆十字を狙うが、どっしりと腰を据えた中野の前に不完全に終わってしまう。逆に足を取った中野はアキレス腱固め。クラッチした腕を外して脱出を試みた田村だったが、再度グイッと絞り上げるとまた田村は表情が変わる。 スタンドになり強烈な膝を田村のボディーに叩き込んだ中野は、高速&低空のブレーンバスターに切って取る。「頭から真っ逆さまに落ちてDDTを食らったようでした」とは試合後の田村。見ただけでも背筋が凍る程の落ち方であった。 田村をマウント掌底で攻撃する中野、その背後を那須の低空ドロップキックが襲う! 「何て事をするんだ!」と解説のミスター雁之助が叫ぶ程恐ろしい事をやってのけた那須。 その後も中野に対して意識を剥き出しにする那須。田村が腕固めに高田を捕らえた時、カットに入らせんとばかりに中野の前に立ちはだかった。高田から中野に交代すると那須はわき目も振らずにダッシュ! 張り手、キックをこれでもかとばかりにぶち込んでいく。しかし、涼しげなポーカーフェースで受け流していた中野の表情が一瞬変わった瞬間、那須の側頭部を捕らえるハイキックが炸裂! ガクッと崩れ落ちる那須。 フラフラとロープを掴み立ち上がる那須に対し、中野は高速のジャーマン・スープレックス。立ち上がる那須の足にローキックを打ち込み、その足を掴むと逆片エビ固めで絞り上げる。その絞り方は半端じゃない。伝説の「しゃちほこ固め」が今、眼前に蘇ったのだ!!! こうなってしまってはさすがの無鉄砲・那須もなすすべが無い。レフェリーの稲葉稲三があわててストップをかける程危険な角度で絞り込まれてしまっては仕方が無い。 勝利の後、中野は両手を広げ、余韻を楽しんでいるようであった。四方に向かい両手を挙げてアピールするその背中に「漢」の文字が浮かび上がっている気がした。 「年寄り扱いするんじゃねぇ! 俺はまだ生きているぞ!」。伝説の漢は「伝説」の中だけで生き続けているのではなく、現世に生き続けている。漢を魅せる為に。(Office S.A.D. 征木大智(まさき・だいち))◆『ガッツワールドvol.44』2010年12月4日(土)会場:東京・新木場『新木場1st RING』(観客236人=満員)<メインイベント GWC認定シングル選手権試合 60分1本勝負>○〔挑戦者〕ダイスケ(20分14秒 体固め)●〔王者〕ガッツ石島※スライディングD 初代王者が二度目の防衛に失敗、ダイスケが第二代王者となる。<セミファイナル タッグマッチ 45分1本勝負>竹田誠志【STYLE-E】&○吉野達彦(11分12秒 アスリートジャーマン)星野勘九郎【大日本プロレス】&●山本SAN<第5試合 GWC認定6人タッグ次期挑戦者決定戦 60分1本勝負>○清水基嗣&小川内潤&ベアー福田【SECRET BASE】(13分02秒 片エビ固め)●梁和平&CHANGO&アミーゴ鈴木※メスリカンドライブ 清水&小川内&福田組が次期挑戦者に決定。<第4試合 タッグマッチ 30分1本勝負>○中野巽耀&バンジー高田(12分10秒 逆片エビ固め)田村和宏&●那須晃太郎【STYLE-E】<第3試合 アイスリボン提供試合 タッグマッチ 20分1本勝負>みなみ飛香&○真琴(12分54秒 片エビ固め)志田光&●松本都 ※コーナーからのローリング・セントーン<第2試合 ストリートファイトタッグマッチ 30分1本勝負>gosaku&○マスクドミステリー(10分15秒 体固め)円華&●角刈海坊主 ※ミステリー技<第1試合 シングルマッチ 20分1本勝負>○松崎和彦(8分56秒 片エビ固め)●山田太郎【666】 ※垂直落下式ブレーンバスター
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スポーツ 2010年12月10日 16時30分
「2010年度プロレス大賞」の怪 実績なきチームが「最優秀タッグ賞」受賞
東京スポーツが制定する「プロレス大賞」の選考委員会が、12月8日に東京都内で開かれ、翌9日に受賞者が発表された。 「プロレス大賞」は1974年にスタートし、今年で37回目を迎える歴史ある賞で、プロレスラーの励みになっているもの。プロ野球でいえば、MVP、新人王、ベストナイン、ゴールデングラブ賞などに相当する権威ある賞。 その「プロレス大賞」に今年は、誰しもが驚く怪事件が発生した。 問題となったのは、最優秀タッグ賞。この賞は文字通り、年間を通して最も活躍したタッグチームに与えられるもの。ところが、今年は何の実績もないチームが受賞したものだから、業界内もドッキリ。 最優秀タッグに選ばれたのは、なんと中西学(新日本プロレス)&ストロングマン(CMLL)。この2人、初めてタッグを組んだのは3月。本格始動したのは10〜11月に開催された「G1タッグリーグ戦」。このリーグ戦で、中西組は準決勝で敗退し、決勝に残ることすらできなかった。チームとしての実績はこれだけなのだ。 投票の経過は、1回目の投票で、飯伏幸太&ケニー・オメガ(DDT)=8票、中西組=7票、船木誠勝(全日本プロレス)&鈴木みのる(パンクラス・ミッション)=4票、高山善廣(高山堂)&佐野巧真(プロレスリング・ノア)=3票、永田裕志&井上亘(新日本)=2票、棄権=1票。 1位の飯伏組が過半数の13に達しなかったため、飯伏組と中西組の決選投票となり、中西組が15票を得て、飯伏組の10票を抑えて、まさかの受賞となった。 ノアの「グローバル・タッグリーグ戦」を制覇、GHCタッグ王座に戴冠した高山組。新日本の「G1タッグリーグ戦」を制し、短命ながらIWGPタッグ王座にも就いた永田組は、ともに2冠を獲得しており実績も十分。次点となった飯伏組はIWGPジュニアタッグ王座に君臨しており、実績的には無冠の中西組より上なのだ。 このチームに関し、東スポ側は「問答無用のパワーと抜群の存在感で、2010年のマット界に強烈なインパクトを残したことが評価された」と評している。 ナゾがナゾを呼ぶ中西&ストロングマンの受賞について、ベテラン記者のA氏は「実績的にはどう考えても、高山組か永田組。ただ、インパクトが薄かったということなんでしょうね。吉報を待っていた両チームは、さぞやショックでしょう。これなら、該当者なしの方が、良かったかもしれません。ほとんど実績のない中西組が受賞するのは感心はしません」と語る。 実績よりインパクト。それが、選考につながったと考えるしかないが、業界内では波紋を呼んでいるようだ。なお、授賞式は15日に都内で行なわれる。<2010年度プロレス大賞受賞者>●MVP 杉浦貴(ノア)●ベストバウト賞 飯伏幸太&ケニー・オメガ(DDT)対田口隆祐&プリンス・デヴィット(新日本)〜IWGPジュニアタッグ選手権 新日本10・11両国国技館●最優秀タッグチーム賞 中西学(新日本)&ストロングマン(CMLL)●殊勲賞 諏訪魔(全日本)●敢闘賞 小島聡(フリー)●技能賞 カズ・ハヤシ(全日本)●新人賞 岡林裕二(大日本)●女子プロレス大賞 高橋奈苗(パッションレッド)●東京スポーツ50周年記念特別功労賞 アントニオ猪木●特別功労賞 故ジョー樋口さん(ノア)、故ラッシャー木村さん(ノア)、故山本小鉄さん(新日本)、故星野勘太郎さん(新日本)●レスリング特別表彰 吉田沙保里(ALSOK)、伊調馨(ALSOK)、坂本日登美(自衛隊)
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スポーツ 2010年12月09日 12時00分
大仁田厚も仰天のスピード復帰! 俳優・坂口憲二の兄・征夫がカムバック!
元プロレスラー・坂口征二氏(新日本プロレス相談役)を父に、人気俳優の坂口憲二を弟にもつ坂口征夫(坂口道場一族)が、12月8日、東京都内で会見し、現役復帰を宣言。周囲を驚かせた。 坂口はパンクラス4・4ディファ有明大会で、引退セレモニーを行なったばかり。わずか、8カ月後のスピード復帰表明には、引退→復帰を繰り返すプロレスラー・大仁田厚もビックリの荒業だ。 SRCが主催する12月30日、東京・有明コロシアムでの「戦極 ソウル・オブ・ファイト」で復活する坂口は、ジャケットルールで韓国のジョン・ジンソクと対戦する。 坂口は07年4月にパンクラスでプロデビュー。33歳の遅咲きながら、父、弟が著名人とあって、常に注目を集めた。08年大みそかには「Dynamite!!」に初参戦。タレントのボビー・オロゴンの弟であるアンディ・オロゴンにKO負けした。 引退後は道場での指導の他、土木作業員として働き、俳優デビューも果たしていた。引退セレモニーの際にはすでに復帰を考えていたという坂口は、「後輩たちの活躍を見て、『オレは何をやっているんだ』と思って」とカムバックの理由を語った。引退の一因となった首の故障も、今は問題ないという。 「動けなくなるまでやります。もう五体満足のまま辞めたくない。次に辞めるときは死ぬとき。立っていられなくなるまでやり続けたい」と意欲を見せた坂口。 引退するも復帰するも本人の自由。しかし、あまりにも早すぎるカムバックには批判もあろう。坂口はそういった声を、リング上でのファイト内容で封印するしかない。(ジャーナリスト/落合一郎)
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スポーツ 2010年12月08日 14時00分
「日本にいればギャンブルがやめられない」 “平成の借金王”安田忠夫が引退して海外脱出!
01年大みそかに、一躍ヒーローとなった男をご記憶だろうか? その名は元力士でプロレスラーの安田忠夫。 安田は孝乃富士のしこ名で小結まで昇進するも、28歳の若さで大相撲を廃業。プロレスに新天地を求め、93年に新日本プロレスに入門。日本人としては、類まれな190cmを越える長身で周囲の期待も大きかったが、生来のナマクラな性格が災いして伸び悩み中堅レスラー止まり。さらには、根っからのギャンブル好きが高じて、借金グセが直ることはなく、妻とは離婚し家庭も崩壊。新日本からも追われた。 その後、アントニオ猪木の勧めで総合格闘技にチャンレンジ。01年の大みそかに開催され、TBSで放映された「INOKI-BOM-BA-YE 2001」ではメーンイベントに抜てきされ、K-1の強豪であるジェロム・レ・バンナから勝利を挙げた。同年のファイナルを飾った安田は、時の人となり、古巣・新日本に出戻り。02年2月には新日本の至宝であるIWGPヘビー級王座を奪取。戴冠期間はわずか、1カ月半と短かったが、この時期が安田が最も輝いた時だった。 素行不良が原因で、05年1月に新日本から再度追われてからは、苦難の道を歩むこととなる。インディー団体や猪木が会長を務めるIGFなどでファイトするも精彩を欠いた。07年10月には自室で練炭自殺を図って救急車で搬送され、別の意味で話題となった(本人は自殺を否定)。 08年10月より、プロレス界の同僚であるケンドー・カシン(石澤常光)の実兄が岩手県八幡平市で営む養鶏・養豚場で働き始めるも、この7月にクビになったという。 日本にいるかぎり、ギャンブルの誘惑から逃げられず、借金グセも直らないと判断した安田は、この度、日本を脱出し、ブラジルに渡って相撲を教えることを決断。金がない安田は、引退興行を行なって、その収益金を渡航費に充てる腹づもりだ。 開催日時は来年2月4日、東京・後楽園ホール。大会タイトルは「日本とプロレスにおさらばします」。プロレスに未練はないという安田は、「最後の試合は必死でやりますので、2月4日の後楽園ホールに来てください。安田の最後のお願いです」とコメントを寄せた。 まさしくギャンブルで身を滅ぼした安田。地球の裏側での更正を祈るばかりだが、引退興行が赤字になったらどうするのであろうか? 興行も水モノ。つまり、ギャンブルなのである。(最強プロレスサイトBATTLENET ミカエル・コバタ)
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スポーツ 2010年12月01日 17時30分
長州力との確執は氷解せずも、代打に“長州小力”登場! 元アマレス五輪日本代表・谷津嘉章が引退
76年モントリオール、80年モスクワ五輪の元アマレス日本代表で、SPWF代表の谷津が、11月30日のSPWF〜東京・新宿FACE大会で引退。30年に及ぶプロレスラー生活に別れを告げた。 ラストファイトは弟子の維新力と組み、新日本時代の先輩である藤波辰爾&初代タイガーマスクと対戦。藤波のドラゴンスリーパーで引導を渡された。 谷津は栃木・足利工大付属高校でアマレスを始め、日本大学に進学。大学時代は敵なしの強さを見せ、全日本学生選手権を4連覇。76年のモントリオール五輪では8位に終わったが、80年のモスクワ五輪では金メダル確実といわれていた。しかし、同五輪を日本が出場ボイコットし、谷津の金メダルは幻となった。谷津の実力は今でも“日本アマレス界重量級史上最強”の称号をほしいままにしている。 五輪でのメダル獲得が露と消えた谷津は、プロレスに転向。80年に鳴り物入りで、新日本プロレスに入門。同年12月、デビュー戦を米ニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデンで行なう破格の扱いを受けた後、81年に凱旋帰国。いきなり、蔵前国技館のメーンイベンターに抜擢され、師匠・アントニオ猪木と組み、スタン・ハンセン&アブドーラ・ザ・ブッチャーと対戦。ラフファイター2人の前に、谷津は血だるまにされ、国内デビュー戦は散々な目にあった。 通常、有望選手の国内デビュー戦は、無難な相手で行なうのが、プロレス界の常識でもあったが、強敵2人を相手に、ぶざまな姿を見せてしまった谷津。この試合が、その後の彼のプロレス人生を左右したといえなくもない。 その後、谷津は長州力率いる維新軍団に加入。デビュー当初の弱々しい姿を払しょく。84年、長州が中心となって、ジャパンプロレスを設立。谷津も新日本を辞めて、これに追随した。ジャパンは全日本プロレスと業務提携を結び、戦場を全日本に移した。ジャパンで、谷津は長州の正タッグパートナーに推され、世界タッグ王座等を奪取。長州&谷津と、全盛期のジャンボ鶴田(故人)&天龍源一郎との対戦は名勝負数え歌となった。谷津自身も、「全盛期に戻れるなら、長州と組んで、鶴田&天龍と闘いたい」と言うほど、選手として充実した時期であった。 しかし、ジャパンはあっさり分裂。新日本に復帰した長州と谷津は対立。両者は大きな遺恨を残す形となった。谷津はジャパン崩壊を機に、ジャイアント馬場さん(故人)から全日本への残留を打診され、同団体に入団し、鶴田とのタッグで活躍した。 90年には新たに設立されたSWSに移籍したが、同団体も内部対立により、あっけなく崩壊。谷津は自身が代表となり、93年にSPWFを設立した。 メジャーからインディーに格落ちしたことで、谷津にとっては、暗黒の時代に突入。00年には総合格闘技のPRIDEにチャレンジしたが、時すでに遅し。当時、44歳。格闘家としては下り坂。かつて、アマレスで敵なしだった実力は発揮できなかった。 02年には長州が設立したWJプロレスに営業部長職兼任で入団。SPWF時代に長州との遺恨は清算されており、再び、かつての朋友と同じ釜のメシを食うことになる。だが、WJの経営はずさんで、またたく間に団体運営は窮地に陥り、ギャラの未払いが続いた末、谷津は同団体を退団。その際に、マスコミに洗いざらいぶちまけたことで、長州との遺恨が再燃した。 その後、谷津は表舞台から姿を消し、SWS時代の後輩である畠中浩旭が主宰する弱小団体、アジアン・スポーツ・プロモーションでひっそりとファイトしていた。 この度、30周年を機に、現役にケジメをつけることを決めた谷津が望んだのは、「すべてを水に流す」こと。2度目の遺恨を残した長州にも、当然、引退興行へのオファーを出した。しかし、長州は現れず。それでも、谷津は「来てくれなかったけど、今日ですべて水に流す」と自身に言い聞かせた。 長州との確執が氷解したとはいえないが、代打として長州のモノマネで有名な長州小力が登場し、谷津の心をなごませたのが救いだった。オファーを蹴った長州にも、言い分があるだろう。いつの日か2人が、握手をする日が来ることを願ってやまない。(文・写真=最強プロレスサイトBATTLENET ミカエル・コバタ)
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スポーツ 2010年11月29日 15時30分
プロレスラーは短命? 星野勘太郎さんらの死に見る現実
元日本プロレス、新日本プロレスのプロレスラーであった星野さんが、11月25日、肺炎のため、入院先の病院で死去した。享年67歳の若さであった。 わずか3カ月前の8月28日には、星野さんのタッグパートナーで、新日本の鬼コーチとして有名だった山本小鉄さん(享年68歳)が死去。その際、闘病中であった星野さんは、小鉄さんの死を聞いて号泣したという。まさに、小鉄さんの後を追うかのような星野さんの死に、胸を痛めた関係者は多い。 今年のプロレス界には訃報が相次いだ。年明け早々の1月16日には、日プロ、新日本でプロレスラー、レフェリーとして活躍した柴田勝久さん(享年66歳)が亡くなった。柴田さんは現在、総合格闘技団体DREAM等でファイトする柴田勝頼の父親で、親子2代にわたるプロレスラーとして話題をまいた。 5月24日には、“マイクパフォーマンスの鬼”として、人気があった元プロレスリング・ノアのラッシャー木村さんが、68歳で亡くなった。ノアでは現役の監査役兼GHCタイトル管理委員長であったジョー樋口さん(享年81歳)が亡くなったばかり。 11月20日には、みちのくプロレスなどでファイトした“かに道楽仮面”愚乱・浪花さんが、10月6日に33歳の若さで亡くなっていたことが公表され、プロレス界に衝撃を与えた。 厚生労働省によると、日本人男性の平均寿命は79.59歳(09年のデータ)とされている。亡くなったプロレスラーの方々は、樋口さんを除き、平均寿命より、かなり早く命を失ったことになる。 スポーツマンを中心に治療活動を行なっている整形外科医のA医師は、「プロレスラーは常に受け身を取らなければなりません。また、打撃技や投げ技で脳へのダメージは大きいのです。昔のプロレスラーは年間200〜300試合をこなしていたわけですから、ダメージの蓄積は少なくはないでしょう。それと寿命との関係は明確に証明されてはいませんが、否定はできないと思います。樋口さんはプロレスラーとしては長寿の方に入りますが、彼は若くして引退して、レフェリーに転向していますから、ダメージの蓄積も少なかったのでは…」と語る。 身を削ってファイトし、ファンに感動を与えるプロレスラー。その代償として、寿命をも削っているのならば、いたたまれぬ思いになる。 亡くなった星野さんには、慎んで哀悼の意を表します。(最強プロレスサイトBATTLENET ミカエル・コバタ)