新日本
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スポーツ 2017年06月04日 12時00分
オカダ対ケニー再戦、6.11大阪城指定席完売!世界よ、これが新日本プロレスだ!
新日本プロレス毎年恒例、初夏のビッグマッチ『DOMINION 6.11 in OSAKA-JO HALL』6.11大阪城ホール大会のチケットが好調だ。既に指定席は全席完売。急遽、立ち見を前売りで販売しているが、こちらも若干数であり、早期の完売が予想される。 『DOMINION』はリターンマッチが行われることが多い大会だが、東京ドーム級の好カードが大阪でも見られるというプレミア感が人気を集めてブランド化していった。今年は年間ベストバウトの呼び声高い、1.4東京ドーム大会のオカダ・カズチカとケニー・オメガによるIWGPヘビー級選手権の再戦がメインイベントにラインナップされた。大阪のファンにとってこのインパクトは計り知れないものがあったのではないだろうか。 実際、大阪のプロレスファンに話を聞いてみると「僕は1.4ドームをCS(テレ朝チャンネル)で見たんですけど、放送時間の関係でオカダ対ケニーを最後まで見られなかったんですよね。なので、それを大阪でやってくれるというのはすごく嬉しいです」「僕は新日本プロレスワールドで最後まで見ました。1.4ドーム以降のオカダ選手やケニー選手の試合や、コメントを見たり聞いたりしていると、ドームよりスゴイ試合を大阪城でやってくれる気がするので、今からワクワクしてますよ」「G1(クライマックス)前にオカダ対ケニーを出し惜しみなく組んでくる新日本は勢いがありますね。大阪のファンとしては大阪も大事にされてるなって(感じた)。『DOMINION』は毎年カードに関係なくチケットを買ってますが、今年が一番お得な気分ですね(笑)」などなど、ファンの言葉からは興奮とワクワク感が十分に伝わってくる。 それはメインに出場するオカダとケニーからも感じる。前哨戦が行われた5.31大阪府立体育会館・第二競技場大会の試合後のことだ。 コメントブースでケニーが「楽しいね。俺の心と魂をすべて注ぎ込むような闘いだ。まだ彼との闘いは始まったばかりなのにね。オーサカジョーホールでは、俺の身も心もすべてくれてやるよ。トーキョードームがそうであったようにな。このまま突っ走っていくぞ。ケニー・オメガのファンのみんなよ、しっかりとついて来るんだぞ。なんたって年間最高試合候補の闘いだからな。それはこのケニー・オメガによるところが大きいけどね。レスリングはまだ2週間ほど続くけどな。オカダ、決戦の時を楽しみにしてるよ。メインイベントを心ゆくまで楽しもうぜ。バレットクラブとCHAOSの頂上対決をな。1対1で。最高のドリームマッチを!」と言うと、オカダも「ケニー!前哨戦なのに、だいぶ疲れさせてくれるよ。懐かしいよ。まるで(1.4)東京ドームのような感じだ。もう、前哨戦の時点で、東京ドームのような闘いできてるんだからね。大阪城、楽しみに待ってるよ」とコメント。奇しくも、2人のコメントからは「楽しい」という言葉が聞かれた。ファン同様、選手も興奮とワクワク感が抑えられないのが伝わってきた。 「世界中の人たちが、オカダ対ケニーをまた見たいと言ってるらしいぞ!」 オカダが5.3福岡国際センター大会のエンディングで、ケニーを次期挑戦者に逆指名した時に発したアピールは、SNSなどを通じて瞬く間に拡散され世界へ発信されたという。この試合は単なる再戦ではなく、7月に開催されるアメリカ・ロサンゼルス大会を観戦するファンも注目する一戦という意味合いもあるのだ。ロサンゼルス大会ではIWGPヘビー級選手権も予定されているだけに、どちらが王者として防衛戦を行うのかという点も興味深い。1.4ドーム大会のオカダ対ケニーが世界のプロレスファンの心を動かしたのは、各国のSNSのトレンドに上位でランクインしたことからも明らかで、新日本のグローバル戦略においても“黄金カード”なのは間違いない。 大阪城から世界へ。なにわのファンには、東京ドームよりもグレードアップされるであろう最高の闘いに酔いしれてもらいたい。(どら増田)【新日Times vol.70】
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芸能ニュース 2017年05月30日 10時40分
オカダ・カズチカ 裸エプロンで自身にちなんだカクテル振舞う
新日本プロレスのオカダ・カズチカが29日、都内で行われた「e-sports TEKKEN BAR」のオープニングイベントに参加した。 「e-sports TEKKEN BAR」はプレイステーション4、Xbox One、PC用ソフトとして6月1日発売予定『鉄拳7』の発売を記念して、今月の29日〜31日までの期間限定で秋葉原にオープンする。 名誉店長に就任したオカダは自身のニックネームを冠するカクテル「レインメーカー」を原田勝弘チーフプロデューサーらに振舞うこととなり、オカダはガウンを脱ぎ捨て「裸エプロンじゃなきゃ駄目なんです」と熱弁しながらシェーカーを振ったのだった。 カクテルの出来には満足した様子で「裸エプロンのおかげで100点満点だったのが120点になったんじゃないかなと思いますね」とコメント。「名誉店長命令として、裸エプロンで作るように言っておきたい」と提案し、笑いを誘った。 また、「鉄拳女子部」との対決でオカダは、女性ゲーマーユウミィさんに接待されることもなく完敗。「昨日の試合で手首をケガしちゃって」と言い訳をしながらも、「プロレスのリングでは僕を倒す人間はなかなかいない。ベルトがかかってなくてよかった」と賞賛。「勝ったらお姫様抱っこ」という事前の約束を守った。(斎藤雅道)
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スポーツ 2017年05月28日 15時00分
プロレス解体新書 ROUND51 〈フルタイム涙の師弟対決〉 IWGP王者の藤波に猪木が挑む
1988年5月にビッグバン・ベイダーを下し、2代目IWGP王座に就いた藤波辰爾(当時は辰巳)。その3カ月後、師匠であるアントニオ猪木を相手に運命の防衛戦を迎えた。 今年になって、新日本プロレスでは本間朋晃と柴田勝頼が、また、DDTに参戦していた“帝王”こと高山善廣も、それぞれ首や頭部に重傷を負うリング禍に見舞われている。 「今はメジャー団体でも年間100試合程度。それでいて年間250試合をこなしていた時代よりも、目立って大きな事故が増えている。'09年の三沢光晴さんの死が教訓として生かされていないのは、実に残念なことです」(プロレスライター) 三沢の死因としては、社長業との兼務によるコンディション不備も言われたが、それ以上に年々高まる技の危険性の問題があった。 「頭から落とす技を進化させてきた競技は、プロレスだけ。それに対応する受け身の技術も発達して、例えば、四天王プロレスの頃は投げっぱなしのスープレックスに、額と前腕で受け身を取ったりしていたが、一つ間違えればたちまち選手生命の危険に瀕することに違いはない。その意味では新日が“過激なプロレス”と称された時代の方が、よほど安全でした」(同) 藤波辰爾に対する評価が、ファンからよりも選手間で高いのは、そうした昨今の事情と無縁ではない。 ジュニアで一時代を築いた藤波だが、ヘビー転向後は“アントニオ猪木に憧れてプロレス入りした”という経緯もあってか、これを押し退けてトップに立とうという気概に乏しかった。 一方で同世代のライバルには、自己主張の塊のような長州力や前田日明がいたため、ファンの関心はそちらに集まりがちだった。 「のちにミスター高橋の著書などで〈長州らに比べて弱い〉とされたことも、藤波の評価を下げる一因となりました。しかし、それはあくまでも格闘技的な視点でのこと。格闘技経験のなかった藤波が、五輪経験者の長州らに劣るのは仕方がない。それでもプロレスに限れば、若手の頃にゴッチ道場に住み込んで修行した藤波の技術力は、猪木やUWF勢にも決して負けていない」(同) それでいて技術をむやみにひけらかさず、また、相手の技を最大限に受け切ることで見せ場をつくる。受け身が取れないと恐れられたドラゴン・スープレックスこそは、昨今の危険技の端緒といえそうだが、それも対戦相手の故障を機に封印。以後はここぞという大一番でしか、使用することはなかった。 自己主張よりもリング上を大切にした藤波の姿勢は、今の選手からもリスペクトされているというわけだ。そんな藤波がただ一度、トップ獲りへの強い意思を見せたのが、'88年4月のいわゆる“飛龍革命”であった。 沖縄県那覇市におけるタッグマッチでビッグバン・ベイダーにフォール負けを喫した藤波は、控室に戻ると積もりに積もっていた思いを爆発させ、ベイダーとのシングル2連戦が決まっていた猪木にカード変更を迫る。 自ら髪を切る場面と藤波の滑舌の悪さばかりがクローズアップされ、現在は笑いのネタとなることも多いが、結果的に藤波はそのベイダー戦(初代王者・猪木のタイトル返上に伴う2代目王座決定戦)に勝利し、IWGP王座を獲得。長州の挑戦も退けると、次に師匠・猪木の挑戦を受けることになる。 「ジャンボ鶴田が、シングルの王座戦でジャイアント馬場の挑戦を受けたことはないし、もちろん馬場や猪木が、力道山の挑戦を受けたこともない。つまり、この藤波vs猪木は日本プロレス史上初めて、愛弟子に師匠が挑んだ試合であり、その意味で飛龍革命は、同時期にファンの支持を得た天龍革命以上に画期的だったともいえます」(スポーツ紙記者) そうして迎えた運命の8月8日の月曜日。同年春より土曜日夕方になっていたテレビ中継も、夜8時からの生中継特番とされた。 藤波34歳、猪木45歳。猪木がこの一戦に進退を懸けるとの前評判もあって、満員の横浜文化体育館は試合開始前から悲壮なまでの猪木コールに包まれた。 これを背に受けた猪木は、ゴングと同時に浴びせ蹴りからスリーパー。藤波も初披露のジャイアントスイングや4の字固めで対抗する。 「生中継は試合開始から20分を過ぎたあたり、両者グラウンドの攻防のところで終わったため、もし最後まで見ていない人がいるなら実にもったいない話。延髄斬りに卍固め、バックドロップなど持てる技のすべてを繰り出し、終盤にはスタミナ切れしながらも藤波に食らいついていった猪木の執念。そして、それらをすべて受け切ってみせた藤波。両者の神髄が詰まった名勝負でした」(同) 結果は60分フルタイム引き分け(試合後半は土曜日に録画放送)。猪木は自ら藤波の腰にベルトを巻くことで、エース伝承を明確に示してみせたのだった。 惜しむらくは藤波政権を築こうという道半ばに、ベイダー戦で腰を負傷して長期休場を余儀なくされたこと。それがなければ、プロレス史はきっと大きく変わっていたに違いない。
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スポーツ 2017年05月28日 12時00分
打倒、WWE!「新日本プロレスは米国に本格進出します!」木谷オーナーが戦略発表会で断言
今週は前回に引き続き、5月16日に都内で行われた『新日本プロレス戦略発表会』から、グローバル戦略について書いてみたい。 新日本プロレスの木谷高明オーナーは、ライブ戦略、デジタル戦略、グローバル戦略と、戦略発表会で3つの基本成長戦略について言及している。 最後に発表したグローバル戦略では「新日本プロレスはアメリカ進出します!」と高らかに宣言。 すでにチケットが完売している7月1日、2日のロサンゼルス大会は、2日間のチケットが2時間で、追加分のチケットは2分で完売したことを明らかにした。 「今回の会場は、けっして小さな会場ではないんですよ。日本で言うと大田区総合体育館くらいのサイズ。自分は、この倍くらいの会場もいけると思ってます」 木谷オーナーは、約3000人規模の会場(しかも2DAYS)を、アメリカで即日完売させたことに関して、大きな手応えを感じたようだ。 さらにアメリカ本格進出の一環として、米国現地法人の設立、アメリカでの道場設立を次々と発表。SNSではTwitterグローバルアカウントを開設し、約3万人のフォロワーを獲得している。ストリーミングサイト『新日本プロレスワールド』の海外会員登録数約1万人とともに、新日本プロレスの英語圏進出を後押しするツールになるのは間違いない。 またIWGPインターコンチネンタル王者、内藤哲也が異を唱えているIWGP USヘビー級王座の新設に関しては「ロサンゼルス大会2日間のトーナメントで初代王者を決めます」と語るに留めていた木谷オーナーだが、内藤哲也の“ご乱心”を知るとTwitterで以下のように語った。 「新日オーナー木谷の見解。先日の内藤選手によるIWGPインターコンチネンタル王座のベルトへの暴挙、許される物ではない。あのベルトは2012年に10円玉と揶揄されていた物を中邑選手がチャンピオンになったのをきっかけに、新日の更なる飛躍を祈願して新調したもの(ブシロードも費用分担)。私自身も思い入れが有るベルトです。ただ今回の内藤選手の主張にも一理あると思います。IWGP USヘビーのベルトの運営は慎重にお願いしたい。勿論ベルト新設には大賛成です。しかしベルトには目的と存在意義が大切であり権威を作り上げて行かなければなりません。USを名乗るのなら防衛戦は少なくとも70%は米国で開催して欲しいし、日本でやる場合はなるべく米国人同士での試合にして欲しい。だって米国で日本ヘビー級王座を米国人同士で争ってたら可笑しいですよね。とにかく、それぞれのタイトルがしっかり存在意義を持ち、切磋琢磨して獲得を目指すレスラー達の姿に期待します」と持論を展開した。 木谷オーナーはもともと『ワールドリーグ戦』(国別対抗のリーグ戦)の復活を掲げていただけに、『US』の冠がついたこのベルトと他のベルトとの差別化については、かなりこだわりがあるように見える。 そして、アメリカ進出するうえで新日本の現状をまとめた。■強み「リング上の試合は世界一」「高い技術と歴史の長さ」「他にはないオリジナリティがある」■チャンス「アメリカでの人気が上昇」「外国人選手の比率が高い」「提携先とも良い関係性」「コードカット/デジタルシフト」■弱み「言葉の壁」「アメリカでの投資実績がない」「アメリカでの知名度不足」■脅威「ライバル団体(WWE)からの引き抜き」「WWEによるアメリカ市場一社独占」「グローバリゼーション」 上記のようにSWOT分析をした上で解説。 中でも「コードカット/デジタルシフト」に関しては、アメリカのケーブルテレビ事情の変化から、「新日本プロレスの映像ライブラリーをアメリカのケーブルTVに売り込みたい」とコメント。まずは映像を売り込んでいくことで、アメリカでの知名度を上げ興行や収益に繋げていきたい考えを示している。 またライバル団体としているWWEに関しては「黒字なのはアメリカ、カナダ、イギリスだけだと考えているので、我々にも勝機はある」と語気を強めた。 アメリカ進出への基本戦略として、まず新日本プロレスの試合をアメリカにそのまま持ちこむことを明言。「きっとアメリカのファンもそれを望んでいる」と述べた。そうすることで、アメリカのファンに新しい体験をしてもらい、さらに「今はデジタルになったら、グローバルになる時代。どこかでスターが生まれれば、一瞬で広まる時代」とアメリカで選手やスターを育成していくことも必要になってくるので、道場を設立する意義について説明。興行形態に関しては、「アメリカに合った興行形態を目指す」と語り、提携団体への選手派遣なども行いながら、「日本風の巡業スタイルも持ち込んでみたい」とプランを明かした。 戦略発表会でも述べていたが、木谷オーナーのグローバル戦略に関するモチベーションの高さは、昨年1月5日に味わった悔しさにある。あの日の悔しさがバネとなり、新日本のグローバル戦略は“光の速さ”で走り始めたのだ。新日本プロレスには、プロレスは日本が世界に誇れるジャンルのひとつであることを、アメリカの舞台で立証してもらいたい。(どら増田)【新日Times vol.69】
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スポーツ 2017年05月22日 11時30分
「格闘技界のイチローになりたい!」那須川天心、底なしの強さに武蔵唖然!高田感動!
▽『RISE 117』20日 後楽園ホール観衆 1,758人(超満員札止め) 全国がボクシングに沸いた土曜の夜、東京・後楽園ホールはキックボクシング熱で溢れかえっていた。チケットは前売り券完売、当日若干数発売された立見券もあっという間に売り切れ。オープニングファイト2試合を終えて、本戦がはじまる18時には、指定席はもちろん、南側最上部と東西バルコニーの立見エリアがギッシリと埋まり、日中夏日を記録した外の気温を遥かに超える暑さが充満。Tシャツやタオルなど、ファンが身につけているグッズの大半は“天心グッズ”。“神童”那須川天心が一人で後楽園ホールを埋めてしまったと言っても過言ではない。 また今大会では、“天心需要”で集まった超満員のファンの前で名前を売ろうと、他の出場選手の気迫も凄まじいものがあった。 後半戦最初の試合に出場した、ハニかむ笑顔と闘う姿のギャップをフォーカスした煽り映像でインパクトを残した“ハニカミクラッシャー”優吾・FLYSKYGYM(FLYSKYGYM)は、同階級である“天心の対抗馬”として関係者が期待している注目選手。この日はWMC日本バンタム級王者の知花デビット(エイワスポーツジム)を相手に、大苦戦の末判定勝ち。デビットのレッドカード2枚がなければ危ない試合内容に「負けたと思った」という優吾は、コメントブースに現れるとひと筋の悔し涙を流した。「満員のお客さんに飲まれたことはないです。ただ相手がチャンピオンだということを意識し過ぎたのかもしれません。反省点と課題が見えた試合でしたが、結果的に勝ててホッとしています」とぬいぐるみを抱えながら話すと、少し落ちついたのか持ち前のハニカミ笑顔を取り戻していた。人気が出る要素を備えているだけに、近い目標としている天心戦が実現すればブレイクするかもしれない。 試合内容という意味で今大会のベストバウトは、セミファイナルで行われた、森本“狂犬”義久(BRING IT ONパラエストラ葛西)と工藤政英(新宿レフティージム)のフェザー級マッチ。両選手は1Rから3Rまでほぼノンストップの打ち合いでファンを大熱狂させる。判定の結果はジャッジ1人が森本、その他の2人がドローだったため、1Rの延長戦へ。この延長ラウンドでも3分間2人の動きは止まらず、試合終了を告げるゴングが鳴ると、2人は抱き合うように同時にマットに倒れた。大きな拍手に包まれる中、再度行われた判定はジャッジ全員がドロー裁定。勝敗をつけられないという言葉がこんなに当てはまる試合もない。試合後、両選手ともに「楽しかった」とコメントしていたが、再戦への意欲も忘れなかった。“天心目当て”で超満員になった後楽園ホールで、このカードが残したインパクトは、RISEマットにとっても、キック界にとっても大きいのではないだろうか。 こうして今大会のバトンはいろんな選手の手にわたりながら、最高の形でメインの那須川天心に渡された。 すっかり定着した入場テーマ曲「止まらないHa〜Ha」(矢沢永吉)に乗って、天心が南側の最上部に現れると、場内は真っ赤な天心タオルを掲げるファンが大歓声で出迎えた。エプロンにあがり、振り向いて客席を見渡す姿は、天心が大ファンである新日本プロレスのオカダ・カズチカ(IWGPヘビー級王者)と通じるオーラがあった。父、弘幸氏には「まだまだだ。もっと入場に力を入れろ」と口酸っぱく言われているそうだが、RIZINマットで、さいたまスーパーアリーナや、横浜アリーナといった大会場を経験したことで、入場だけでも満足できる選手に成長したのは間違いない。 世界タイトル初防衛戦の相手ライアン・シェーハンの戦績は20勝(7KO)4敗1分。19歳と、18歳の天心と年齢も近いヨーロッパムエタイ界のトップ選手。昨年5月に新日本キックボクシングに初来日した際には、ISKAムエタイ世界バンタム級王者の志朗と対戦。ヒジ打ち、ヒザ蹴りで志朗を苦しめ、ドローに持ち込んでいる強豪だ。 しかし、試合開始のゴングからわずか72秒のできごとだった。 1R、ここまで17戦全勝(13KO)の天心だが、序盤からライアンがラッシュ。しかしこれを冷静に読み切ると、パンチの連打を出して敢えて前に出ることで、ライアンの“隙”を誘い、ライアンがローを出した直後に左ボディストレートが炸裂。ライアンはまるで孫悟空(ドラゴンボール)のカメハメ波を喰らったかのように、後ろ正面に吹っ飛びダウン。セコンドの「立て!」という声にも首を振り、自らマウスピースを取ってしまった。またもや衝撃の6試合連続KO劇にファンは大いに酔いしれた。 天心がマイクを掴み、集まったファンに「こんなに応援してもらったのも初めてで嬉しいです」と謝意を述べると、「みんなで頑張っていけば格闘技が素晴らしい世界になり、メジャーな競技になると思います」と話していたところに、タレントあびる優の夫で、現在はRIZINを中心に活動している才賀紀左衛門(才賀紀左衛門道場/Me ,We)がリングイン。マイクを掴むと、「天心、天才やな、お前は。スゲエよ!武尊(K-1)もいねぇし、誰も日本人が試合してくれなくてかわいそうだから、次のRIZIN(7.30さいたまスーパーアリーナ)で俺とやろう」と挑戦表明。さらに「俺はK-1でやってたからルールは何でもいい」と続けると、天心は「やっちゃいます。どんなルールでも強い人が本当に強い人なので、受けて立ちます」と対戦を受諾。これに対して才賀は「俺も男とくっつくのは嫌いやから、立ち技でド突き合おう」と話すと、2人は握手をして1枚の写真に収まった。リングサイドには拍手を送る高田延彦RIZIN統括本部長の姿もあり、7.30RIZINさいたま大会での対戦は決定したと言ってもいいだろう。 コメントブースには、かつてK-1のヘビー級戦線で活躍し、この試合のゲスト解説を務めた武蔵の姿が。武蔵は唖然とした表情を浮かべながら、「(テレビでは)『いい面構えしてますね』くらいしか言ってないですよ(笑)。ムエタイの選手は正面を向いて攻撃するので、ガードがガラ空きになることがあるんですよね。天心くんはサウスポーじゃないですか。そういう練習をしてたんだと思います」と身振り手振りを交えながら話してくれた。 バックステージでは、興奮した高田本部長が約20分に渡って天心を“離さず”。高田本部長が帰ったあと、ようやくコメントブースに現れた天心は「こんなに早く勝てるとは思わなかった」と笑みを浮かべながら報道陣の質疑に応じた。試合に関しては、「最後の左ボディストレートはこの試合のために用意しました。いつもは横からボディを打つんですが、ライアン選手はガードが開いて身体が正面を向いているので真っすぐに打って倒す、練習通りのパンチでした。今まであんなに効いた顔をした選手はいなかったので、渾身の一撃でしたね」と振り返り、武蔵が指摘した通り、最後は練習が功を奏したことを明らかにした。 才賀の挑戦表明には、「才賀選手にはお世話になっていて、一緒に練習したこともあるんですよ。いつかやる時もあるなぁと思ってました。キックから総合格闘技をやるという共通したところもありますし。(体重差は苦にしない?)僕は60kgまでの選手ならやってもいいと思ってて、負ける気がしないですね!」と自信溢れる表情で話した。ちなみにバックステージで高田本部長からは決め台詞である「やれんのか?」と聞かれ、「やります!」と即答したという。 大会前に完売し、当日券もすぐに売り切れた今大会については、「僕はTDCホールとか東京ドームとかでも満員になる選手になりたいんですよ。もっと盛り上げていきたいですね」と語り、キックや格闘技をもっと広めて行く意向を改めて示した。最後に、試合前の煽り映像で『卒業まで306日』と触れられたことを伝えると、「最近、授業中に思うのは、いい意味で教科書に載るような人間になりたいなって。イチロー(マイアミ・マーリンズ)さんとか一流選手は載ってるじゃないですか。僕は格闘技界のイチローさんになります」と力強く語った天心の笑顔は実に晴れやかで、自信が満ち溢れるものだった。 神童が“神導”となり、導夢(東京ドーム)の舞台に立つ日が来るのも決して夢ではない。 那須川天心が格闘技界を未知の世界に導いてくれるだろう。▼メインイベント ISKAオリエンタルルール世界バンタム級(-55kg)タイトルマッチ 3分5R<王者・日本/TARGET>〇那須川天心 (1R 1分12秒) “アベンジャー” ライアン・シェーハン●<挑戦者・アイルランド/サイアムウォリアーズジム/WKAムエタイ世界バンタム級王者>※左ボディストレート※那須川が初防衛に成功取材/文・どら増田
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スポーツ 2017年05月21日 15時00分
プロレス解体新書 ROUND50 〈“超獣”相手に闘魂復活〉 新日マットにブロディ初参戦
1985年4月18日、新設された両国国技館における新日本プロレス初の大会が開催された。メインイベントでアントニオ猪木と対するは、新日初参戦の“超獣”ブルーザー・ブロディ。暗い話題の続いた新日に明るい兆しが見えた一方で、裏では多々問題も持ち上がっていた…。 IWGP構想とタイガーマスクの登場で人気沸騰し、テレビ中継の視聴率は20%超えが当たり前だった80年代初頭の新日本プロレス。だが、その好況は長く続かなかった。 1983年、第1回のIWGP決勝では、アントニオ猪木がハルク・ホーガンに失神KO負け。雪辱を期した第2回も長州力の乱入による不透明決着となり、世界統一の夢に向けられていたファンの期待は一気に冷めていった。 また、もう一方の主役であるタイガーマスクが、猪木の事業投資に関わる金銭問題などを理由に団体を離れると、これを端緒にUWFやジャパンプロレスの旗揚げによる選手の大量離脱が相次いだ。 さらに、全日本プロレスとの引き抜き合戦の結果、スタン・ハンセンやタイガー・ジェット・シンら猪木の好敵手が新日マットを去り、その代役たるべきアブドーラ・ザ・ブッチャーとの戦いは、どこか盛り上がりに欠けたまま'85年1月に最後のシングル対決を終えていた。 「そんな新日のさえない状況を、メディアは“燃えない闘魂”などと揶揄しました」(スポーツ紙記者) そこに登場したのがブルーザー・ブロディである。 「某新聞社の全日番記者がブロディの不満を聞きつけ、そのことを同僚の新日番記者に伝えると、即座に新日側が獲得に乗り出した。全日側もこれに気付いたようですが、ブロディの扱いに手を焼いていたこともあり、強くは引き止めなかったようです」(同) ハンセンとの超獣コンビで全日の頂点に立ち、多くの喝采を浴びてはいたが、ブロディ自身も団体側もそれぞれに不満を抱いていた。 「ブロディにしてみれば長州やロード・ウォリアーズが、自分を差し置いてトップ扱いされるのが気に食わない。体の小さい長州やパワー一辺倒のウォリアーズを、自分よりも格下と見ていたためです。しかし、現実問題としてハンセンとのタッグ以外、ブロディ単独の集客力となると長州らに遠く及ばなかった。客を呼べるようになったのは新日移籍以降のことで、そのくせ何かと口うるさいブロディは、全日にとって悩みの種だったのです」(同) 超獣のギミックから怪物扱いされてきたブロディが、劇画『プロレススーパースター列伝』で元新聞記者という知的な一面を描かれたのが'83年あたり。その頃からインタビューなどでも独自のプロレス哲学を語る姿を見せ、そうしたイメージが浸透したタイミングで新日へと移籍した。 この直前、猪木はキングコング・バンディとのボディスラムマッチ(投げたほうが賞金獲得)でお茶を濁していたような状況であり、そこにビッグネームの登場となればファンが期待を抱くのも当然のこと。ブロディは“インテリジェント・モンスター”として大歓迎を受けることになった。 しかし、それはあくまでもイメージ上のことで、本質が変わったわけではない。 「初参戦となった両国国技館で、いきなり多々の問題が露見することになりました」(プロレスライター) まず、ブロディのトレードマークでもあるチェーンを使わせないとの通達が、会場側からなされる。先立って行われた全日の両国大会において、入場の際にチェーンを振り回して会場の壁を傷付けたことに、相撲協会が激怒したためであった。 「同年1月にこけら落とししたばかりの相撲の聖地で、いきなりそれではクレームが出るのも当然。しかし、ブロディは『チェーンを使わせないなら、試合にも出ない』とゴネて、結局、いつも通りの入場パフォーマンスを強行。新日の営業社員は後で平謝りする羽目になりました」(同) 試合自体は猪木が延髄斬りにバックドロップ、卍固めと必殺技を連発すると、ブロディも日本では珍しいジャイアントスイングを披露。結果は両者リングアウトながら一進一退の好勝負となった。 久々の闘魂炸裂にファンのみならず関係者も大いに満足したが、しかし、話はそれで終わらなかった。 「この試合において、ブロディが場外で自ら脚を傷付ける場面がテレビに映されたとして、雑誌『噂の眞相』で八百長報道がなされたのです」(同) これは新日側が依頼したアングルではなく、あくまでもブロディ個人のアイデアだったという。この八百長問題について関係者は黙殺。そのまま沈静化して事なきを得たとはいえ、のちに猪木が「アイツは自分の物差ししかない」と語ったように、ブロディの独善性を示すことにもなった。 それでもブロディに頼らざるを得なかったのが、当時の新日の実情であり、これが同年末のボイコット騒動へとつながっていった。
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スポーツ 2017年05月21日 12時00分
打倒、パ・リーグTV!「新日本ワールドを日本一に」木谷オーナーが戦略発表会で明言!
新日本プロレスは16日、都内で久々となる戦略発表会を開催した。 今回も木谷高明オーナーがプレゼンテーションする形で行われ、今後に向けた様々な成長戦略が明らかになった。 「過去最高の売り上げは96年から97年頃の40億円弱。利益は既に過去最高に達している」 まず、ブシロード傘下になった2012年以来、右肩上がりを続けている新日本プロレスの売り上げに関して、今期(2017年)は37億円を見込んでおり、さらに来期(2018年)は計画として45億円、目標として50億円という史上最高の売上げを目指すことを表明。木谷オーナーは新日本プロレスを買収時に「WWE(アメリカ)が600億円なら、新日本は60億円売り上げないと話にならない」と大きな目標を語っていたが、その目標も現実味を帯びてきた。 「選手の出場回数などは減らす工夫をしながら、さらに利益を伸ばすにはどうすればいいのか?」 木谷オーナーはこう語ると、世界ナンバー1の大手であるWWEとの差についても言及。商品の売り上げは「4分の1、5分の1に肉薄している」というものの、デジタル収入やMD(マーチャンダイズ)収入は、まだ遠く及ばないとし、今後の基本戦略として、ライブ戦略、デジタル戦略、グローバル戦略と3つの基本成長戦略を打ち出した。 「今、日本でナンバーワンのサービスはパ・リーグTV。新日本プロレスワールドの会員数が10万人に達すれば日本一の専門配信サービスになる」 3つのうち、デジタル戦略の発表のなかで目を引いたのは、2014年12月からサービスを開始し、現在約5万人の会員数を誇る『新日本プロレスワールド』を、国内最大のストリーミングサイト『パ・リーグTV』(2012年シーズンよりサービス開始)の会員数を超えるサイトにすると宣言したことだ。 『パ・リーグTV』は、日本プロ野球のパ・リーグ6球団が共同で設立したパシフィックリーグマーケティング(PLM)の主力事業。米大リーグ機構(MLB)のMLBアドバンストメディア(MLBAM)が、2000年から手掛けている映像配信サービス『MLB.TV』がモデルとなっており、パ・リーグ球団主催試合の全試合を中心に配信。大谷翔平(北海道日本ハム)らスター選手の誕生による昨今のパ・リーグ人気も伴って、現在約7万人の会員を獲得している。 MLBの『MLB.TV』を意識しているという点では、WWEの『WWE NETWORK』を意識している『新日本プロレスワールド』と似た環境にあるサイトと言ってもいいだろう。また、元北海道日本ハムの台湾人選手、陽岱鋼(現・巨人)が英雄扱いされており、他にも台湾人選手がパ・リーグ球団に入団していることから、PLMは台湾でのプロモーションにも力を入れている。その結果、『パ・リーグTV』は台湾でも加入者が増加。また、中南米にも映像を売り込むなど、助っ人外国人を通じてグローバルな展開をしている点も、5万人のうち、約1万人が海外の会員が占めている『新日本プロレスワールド』と通じるものがあると言えるだろう。 日本一の専門配信サービスを目指すための戦略として、「アメリカではプロレスをケーブルTVで毎週20万人以上が観ている」ことを例に挙げ、『新日本プロレスワールド』をスマートフォンやタブレット端末、PCだけではなく、テレビでも視聴可能にし、Chromecastに続いて、amazon FireTVも近日対応可能になると明言。「自宅で24時間、新日本プロレスだけを見られるという夢のような時代」と木谷オーナー自身も待ちきれない様子だった。 「最初はG1(クライマックス)を全試合流したら会場にお客さんが来なくなるという声もあったが、僕はむしろ見たら見ただけ、会場に足を運びたくなると思っていた」 このように木谷オーナーが自信を持っていたというライブ配信に関しては、ビッグマッチの全大会・全試合の配信はもちろん、さらに増やしていくことで、さらに会場の集客にも結びつけていきたい考えだ。またアメリカ・ROHやイギリス・RPW、メキシコ・CMLLなど世界の団体と提携して海外マットのライブ配信を強化していくことも表明。また英語実況配信については「レスラーの言葉はわかりやすいので、英語の勉強にも使ってもらえたら」と述べた。 今後は「過去の試合。特に2000年代の試合がまだ薄いと思うので、ライブラリも拡充したい」と語り、オリジナル映像も含めて「ファンの皆さんからリクエストを募りたい」旨を表明した。 ライブ戦略では、2020年までに、1.4東京ドーム大会を満員にすると断言した木谷オーナー。グローバル戦略では、アメリカへの本格進出も発表している。その双方を繋ぐ意味でも、世界中から新日本プロレスの試合を気軽に見ることができる『新日本プロレスワールド』が果たす役割は大きい。『パ・リーグTV』がモデルにした『MLB.TV』は800億円規模まで売り上げを伸ばしていると言われているだけに、ストリーミングサイト事業は、ビジネスの観点からも無限の可能性を秘めている。 世界中の注目が東京に集まる2020年に向けて、新日本プロレスの快進撃は止まらない。(どら増田)(C)新日本プロレス【新日Times vol.68】
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スポーツ 2017年05月15日 15時00分
プロレス総選挙 古今東西 好きなレスラー100(4)
好きか嫌いかで極端に意見の分かれそうな大仁田厚は26位。いわゆる大仁田劇場にハマったファンも多い。 「電流爆破マッチのド迫力を体感してからは、それまでインディー団体を見下していたのがある種の尊敬に変わりました」(44・男) 「長州戦を実現させるまでのバイタリティーは見習うべき」(46・男) インパクト勝負では負けていないのが、フレッド・ブラッシーだ。 「あの噛みつき攻撃は一生忘れられない」(70・男) “プロレスの神様”カール・ゴッチが上位となるのは日本ならではの傾向で、その多くは新日やUWFの選手たちへのコーチングを評価したものだ。 「プロレスの求道者的エピソードがいちいちすごい」(45・男) 「国際プロレスでモンスター・ロシモフを名乗っていた頃のアンドレに、ゴッチがジャーマン・スープレックスを決めた試合を生で見たのが自慢」(68・男) ダイナマイト・キッドは、ジュニア時代の藤波や初代タイガーの好敵手だった。 「クールな表情なまま激しく攻め続ける、そんなドSぶりが素敵」(46・女) 「鍛え抜かれた肉体から繰り出す鋭い攻撃はもとより、相手の技に対する受け身までもがハードでスリリングだった」(50・男) ステロイド剤の副作用で早くにリタイアとなったのは残念だが、その闘い模様は今なおファンの脳裏に刻み込まれている。 第30位は“暴走王”小川直也。 「橋本をぶっ潰した1・4伝説のシュートマッチ。あれでプロレス観が一変しました。試合後のマイク『新日本プロレスファンのみなさん、目を覚ましてください!』は歴史的名言でしょう」(44・男) 以上がベスト30のランキング。今回のアンケート回答者の中心はプロレス黄金期を知る熟年世代ということで、90年代以前のレスラーへの高評価が目立った。 現役バリバリのトップどころでは新日のエースであるオカダ・カズチカが42位、この4月にWWEスーパースターへ昇格した中邑真輔でも39位と、相対的に評価が低い。これはプロレスを見る機会そのものが少なくなったことの影響であろう。 最後に総括として『週刊プロレス』の湯沢直哉編集長に話を聞いてみた。 「地上波テレビで放送された『プロレス総選挙』の順位には、多くのプロレス者たちから異論が出ていましたが、こちらの結果も恐ろしいまでに現在進行形でプロレス界を支えている選手の名前が少ないですね。でも、万人が納得いくランキングなどありません。いつ、どこで、誰に聞くかによって、順位やランクインする選手が大きく変わるのは仕方ない。そして、異論を言う人も何だかんだでプロレスを楽しんでいるはずです。プロレスにはプロレスファンの数だけ正解がある。だから面白いんです」
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スポーツ 2017年05月14日 12時00分
新日本プロレス“エース”復権に向けて棚橋弘至、6.11大阪城で内藤哲也に再挑戦!
個性派揃いの新日本プロレスにおいて、棚橋弘至ほど“諦めが悪い”男はいないかもしれない。新日本の“エース”棚橋だが、2015年の『G1クライマックス』優勝を最後に、シングルプレイヤーとしての勲章はひとつも得ることができていない。その間、棚橋をタイトルマッチで破ったオカダ・カズチカ、ケニー・オメガ、内藤哲也の3人は、現在の新日本マットにおいてスリートップと言っても過言じゃないほどの飛躍を遂げている。棚橋は完全に踏み台にされた格好だ。しかしエースは諦めなかった。 4.29別府ビーコンプラザ大会のメインで、ジュース・ロビンソンを相手に、IWGPインターコンチネンタル王座を防衛した内藤の前に現れた棚橋は、なんと“エアレター”という形で、挑戦表明したのだ。 「拝啓、内藤哲也殿。あなたに負け、東京ドームでとどめを刺されました。が、いまこうしてここに戻ってきました。あなたのベルトを投げたり蹴ったりするのは、正直嫌いです、コノヤロー。いまここで、このベルトに挑戦を表明します、コノヤロー。つべこべ言わず、俺の挑戦を受けろって言ってんだよ、コノヤロー! 敬具、棚橋弘至」 とどめを刺されても戻ってきてしまったということは、本当にとどめを刺されていなかったのかもしれない。1.4ドーム大会以降は、田口隆祐率いるタグチジャパンのメンバーとして、明るいプロレス道を邁進してきた棚橋だが、監督の田口にはタグチジャパンを通じて棚橋が復活する道を切り開いてもらいたいという気持ちがあった。タグチジャパンがロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンと執拗に抗争しているのも、棚橋が再び内藤と対峙するイメージを描いていたからではないだろうか。棚橋はそんな田口監督の心意気に応えるかのように、EVILとの抗争に決着をつけ、再び内藤にたどり着いた。 決戦の場は6.11大阪城ホール大会に決定。昨年の大阪城大会は怪我のため欠場しているだけに、完全復活をアピールするには格好の舞台となる。 1.4ドーム大会で棚橋を葬った内藤だが、試合後には「今度は棚橋が俺のところ(ポジション)まで来い」とエールとも受け取れる発言をしていただけに、内藤流の発言で棚橋の挑戦を拒んではいるものの、「望むところ。返り討ちにしてやる」くらいの気持ちを持っていても不思議ではない。 1.4ドームと違うのは、完全に追う立場になった棚橋には恐れるものが何もないこと。逆に負けられない“有言実行型”の内藤にとっては、かなりリスクが大きい試合になるだろう。 『G1クライマックス』を前に棚橋が復権するのか? はたまた内藤が完全なる棚橋超えを果たすのか? この試合が単なるリ・マッチではないのは確かである。(どら増田)【新日Times vol.67】
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スポーツ 2017年05月13日 15時00分
プロレス総選挙 古今東西 好きなレスラー100(2)
続いて“黒い呪術師”アブドーラ・ザ・ブッチャーが7位。 「テリー・ファンクの胸に割れたビール瓶を突き刺し、テレビ中継ではストップモーションの放送になった試合が衝撃的で、幼い頃は本当に怖かった」(44・男) その一方で、ブッチャーをモチーフにした漫画『愛しのボッチャー』の影響からか、親しみを感じていたというファンも少なくない。 「試合会場で流血したブッチャーの額に色紙を押し当て、“血拓”を取るのが流行ったことがあった。今から思えば何であんなことをしたんだろう」(48・男) 天龍源一郎の“レボリューション”に胸を熱くしたファンも多い。 「全日時代は上にジャンボ鶴田がいて、SWSでは不当なバッシングにあった。常に判官びいきの気持ちで応援していた」(50・男) 「WWFのハルク・ホーガンから女子の神取忍まで、誰とでも好勝負を見せてくれた。まさに“ミスター・プロレス”と呼ぶにふさわしい」(49・男) その天龍とも多くの名勝負を繰り広げた長州力が、続いてのランクイン。 「藤波辰爾との名勝負数え歌に燃えました。入場曲の『パワーホール』が鳴り響くだけで、今でも胸が躍りますよ!」(48・男) テリー・ファンクは70年代にファンクラブまで結成され、当時はチアガールに扮した女子の応援も試合会場で見かけられた。 「凶器攻撃に屈することなく、何度も立ち上がる姿は今思い返しても感涙ものです」(55・女) 今なお“歴代日本人で最強”といわれるジャンボ鶴田は11位。 「天龍や長州の人気がいくら高くても、あの当時に大型外国人レスラーと真っ向勝負できるのは鶴田しかいなかった」(56・男) 「最初は何か本気が感じられず、むしろ嫌っていたが、天龍との抗争や三沢たち若手との対戦を通じて、やっぱりバケモノだと思うようになった」(49・男) そんな鶴田とも数多の好勝負を繰り広げたブルーザー・ブロディ。 「入場時からチェーンを振り回しての雄叫び、フィニッシュのキングコング・ニードロップまで、まさに完璧なレスラー」(52・女) 「ハンセンとの超獣コンビに勝るタッグは見たことがない」(60・男) キャリアの途中で凶刃に倒れたことは、実に残念。 生涯ヒールで通したタイガー・ジェット・シンを推す声も多い。 「凶器攻撃以外でもコブラクローとか首4の字固めとか、ねちっこかった。シンが相手でないと猪木の試合もどこか物足りないんですよね」(66・男) ハルク・ホーガンについては「一番Tシャツを持ってました」(50・男)と新日本参戦時のファンもいるが、それ以上にWWFトップとしての評価が高い。 「最初はどこかドタドタしていたが、『レッスルマニア』で見たときは、トップレスラーのオーラが出まくりだった」(48・男) “大巨人”アンドレ・ザ・ジャイアントは存在感からして圧倒的。 「地方会場のロビーにアンドレがいて、天井に頭が届きそうなぐらいデカくて驚いた」(50・男)