4.29別府ビーコンプラザ大会のメインで、ジュース・ロビンソンを相手に、IWGPインターコンチネンタル王座を防衛した内藤の前に現れた棚橋は、なんと“エアレター”という形で、挑戦表明したのだ。
「拝啓、内藤哲也殿。あなたに負け、東京ドームでとどめを刺されました。が、いまこうしてここに戻ってきました。あなたのベルトを投げたり蹴ったりするのは、正直嫌いです、コノヤロー。いまここで、このベルトに挑戦を表明します、コノヤロー。つべこべ言わず、俺の挑戦を受けろって言ってんだよ、コノヤロー! 敬具、棚橋弘至」
とどめを刺されても戻ってきてしまったということは、本当にとどめを刺されていなかったのかもしれない。1.4ドーム大会以降は、田口隆祐率いるタグチジャパンのメンバーとして、明るいプロレス道を邁進してきた棚橋だが、監督の田口にはタグチジャパンを通じて棚橋が復活する道を切り開いてもらいたいという気持ちがあった。タグチジャパンがロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンと執拗に抗争しているのも、棚橋が再び内藤と対峙するイメージを描いていたからではないだろうか。棚橋はそんな田口監督の心意気に応えるかのように、EVILとの抗争に決着をつけ、再び内藤にたどり着いた。
決戦の場は6.11大阪城ホール大会に決定。昨年の大阪城大会は怪我のため欠場しているだけに、完全復活をアピールするには格好の舞台となる。
1.4ドーム大会で棚橋を葬った内藤だが、試合後には「今度は棚橋が俺のところ(ポジション)まで来い」とエールとも受け取れる発言をしていただけに、内藤流の発言で棚橋の挑戦を拒んではいるものの、「望むところ。返り討ちにしてやる」くらいの気持ちを持っていても不思議ではない。
1.4ドームと違うのは、完全に追う立場になった棚橋には恐れるものが何もないこと。逆に負けられない“有言実行型”の内藤にとっては、かなりリスクが大きい試合になるだろう。
『G1クライマックス』を前に棚橋が復権するのか? はたまた内藤が完全なる棚橋超えを果たすのか? この試合が単なるリ・マッチではないのは確かである。
(どら増田)
【新日Times vol.67】