メインイベントは、オカダ・カズチカ対バッドラック・ファレによるIWGPヘビー級選手権がラインナップされ、前売り券の売れ行きも好調だ。
今大会ではセミファイナルで、石井智宏対ケニー・オメガという、こちらも注目のカードが組まれた。メインと同じく、CHAOSとバレットクラブの選手による対戦なのだが、石井にとってもケニーにとっても、この試合が持つ意味合いは大きいと言えるだろう。
「東京ドームでオカダから王座を奪取した暁には、イシイと防衛戦をしたい」
1.4東京ドームでのオカダ戦を前にケニーはこんな発言をしている。そして行われたオカダとの一戦は、“名勝負製造機”とも呼ばれるケニーにとって、生涯ベストバウトと言っても過言ではない46分に渡る死闘だったが、惜しくも敗れてしまい、公約は実現しなかった。
しかし、『NEW JAPAN CUP 2017』1回戦の3.12尼崎ベイコム総合体育館大会でシングルが実現。試合はケニーが押していたが、一瞬の隙を突いた石井が逆転勝ちを収め、28分を超える闘いを制した。
試合後、悔しさを露わにしながらインタビューブースに現れたケニーは、「負けたままで、このニュージャパンに居座るわけにはいかない」と早期のリベンジを誓っていた。
前シリーズで、石井への挑発をし続けたケニーは、4.9両国国技館大会でタッグマッチながら、石井からピンフォール勝ちを収めることに成功。
「サシで勝負だ!」
試合後、石井の口からケニーが一番求めていた言葉を引き出すことができた。
ケニーにはどうしても石井を越えなければいけない理由がある。石井に勝たないことには、IWGPヘビー級王座への再挑戦が見えて来ないからだ。IWGP再挑戦への近道として捉えていた『NEW JAPAN CUP』は石井に敗れてチャンスを逃している。
この日のメインではバレットクラブのメンバーである、ファレがオカダに挑戦するので、ファレが王座を奪取するようなことがあれば状況は変わるが、オカダが防衛に成功したら、ケニーにも再挑戦をアピールするチャンスができる。そのためにも石井戦は勝たなければならない。
一方の石井もケニーに連勝すれば、NEVER無差別級王座など石井にとって思い入れがあるベルトに挑戦表明できるだけに、負けられないところ。
ファレとのタッグでCHAOS相手に連日行われている前哨戦は、バレットクラブが優位に立っている。
「今年はバレットクラブイヤーさ! オレたちがメインイベントを飾る」
ケニーのこんな言葉を聞くと、ファレとケニーによるIWGPヘビー級戦も“ない”とは言い切れない。5.3福岡ではどんなドラマが待っているのだろうか?
ちなみに、あのAJスタイルズがIWGPヘビー級チャンピオンベルトを巻き、エンディングでバレットクラブがリングジャックしたのも、どんたくの福岡だった…。
(どら増田)
【新日Times vol.65】