「『NEW JAPAN CUP』にエントリーしたいと言ったのに却下され、『NEW JAPAN CUP』優勝者は、当然のように、IWGPヘビー級王座を指名。NEVER王者は、しれーっと両国大会でタイトルマッチが組まれている。何もないのは、インターコンチネンタル王座だけだよ。今シリーズ、そして両国大会。俺はテーマのない闘いだよ。新日本プロレスは、俺のやる気を無くすことが目的なの?」
3.26後楽園ホール大会の試合後、内藤は報道陣に向けて、一気に不満をぶちまけた。
2.11大阪大会以降の発言を見ると、恐らく内藤はこうなることを予想していた…というより危惧していた節がある。
過去の発言を見ると内藤の中で“最高峰のベルト”はオカダ・カズチカが保持している、IWGPヘビー級王座。これは1.4ドーム大会で、「インターコンチの試合はダブルメインイベントではなく、セミファイナルでいい。メインはあくまでもIWGPヘビー級選手権であるべき」との発言からも汲み取ることができる。
2.11大阪大会でエルガンとの死闘を制した内藤は、真っ先に『NEW JAPAN CUP 2017』(NJC)への出場をブチ上げた。しかし、新日本はNJCの優勝者は、IWGPヘビー級王座、IWGPインターコンチネンタル王座、NEVER無差別級王座のいずれかに挑戦できるため、三王座の王者はエントリーできないという姿勢を崩さなかったため、同じく出場を希望していたNEVER無差別級王者の後藤洋央紀とともに、エントリーされなかった。
ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン(ロスインゴ)結成以降の内藤は、常にファンに話題を提供することを公言している。ファンが疑問に感じていることや、モヤモヤするようなことを内藤がストレートに口にすることで、いわゆるロスインゴ旋風が発生した。内藤の立場からすればNJCは、昨年優勝し4月にIWGPヘビー級王座を奪取する流れを作った大会であり、同年6月にオカダにIWGPヘビー級王座を奪われてから、リターンマッチの権利が与えられていないという“矛盾点”を解決する意味でも、2年連続優勝して4.9両国国技館大会で再挑戦の流れを作りたい思いもあっただろう。
「王座防衛戦、決まった期間内にやらなきゃいけないんでしょ? 期限が切れて、俺から王座を剥奪するのを待ってるの? 今日の後楽園ホールの歓声を聞いてみろよ。お客様が何を求めてるのか、すぐに分かるだろ? ちゃんと新日本プロレスは、新日本プロレスを応援してくださる皆様の意見を、もっと聞いた方がいいんじゃないの?」
実際、インターコンチ戦線は、昨年から絡んでいた棚橋とエルガンに連勝してしまったことで、NJCにエントリーした選手の中からも、エルガン以外の選手からは挑戦の声が上がっていなかった。棚橋も復活するには内藤に勝たなければいけないところだが、ロスインゴのEVILにNJCで敗れており、先に借りを返さなければ前に進めない。エルガンは今シリーズ来日していないため、内藤は連日ロスインゴ勢とタッグを組み、田口隆祐率いるタグチジャパンとの“テーマなき”連戦を繰り広げている。ビッグマッチである4.9両国大会も、同様の8人タッグマッチが発表された。
普段は「トランキーロ! あっせんなよ!」が決め台詞の内藤だが、ここ数試合のコメントを聞く限り、実は焦りはじめてるのではないか? とすら感じてしまう。
「内藤哲也、そしてインターコンチネンタル王座、テーマがないなら、自分で見つけるよ。自分で作るよ。そのかわり、あとで文句言うなよ!」
恐らく内藤の視線は、ゴールデンウィークのビッグマッチ、5.3福岡国際センター大会を見据えているはず。内藤はどの様な手段で、新たなテーマを見つけて、新たな挑戦者と遭遇するのか? 新日本マット内においても、しばらく内藤と対戦していない選手は何人もいるだけに、密かに内藤を狙っている選手がいる可能性もないとは言い切れない。両国大会以降の内藤はさらにチェックしていく必要がありそうだ。
(どら増田)
【新日Times vol.62】