『RISE』とともに、『KNOCK OUT』をホームリングにしている格闘技界注目の“神童”那須川天心(TARGET/TEPPEN GYM)は、スペシャルエキシビションマッチに出場。元ラジャダムナン・スタジアムスーパーライト級王者で、“伝説のキックボクサー”石井宏樹と、新旧伝説対決を行った。
大会前には「ガチで行きます!」と石井を挑発していた那須川だが、ゴングが鳴ると石井が、2.12『KNOCK OUT vol.1』大田区総合体育館大会で、那須川がアムナット・ルエンロン相手に見せたトリケラトプス拳で逆に挑発。これに怒った那須川が、石井を前蹴りで倒し“本家”トリケラトプス拳を披露。またコーナーに追いつめてから、かねてから「練習中」と公言していたドロップキックを放つなど、両選手のエキシビションを超えた攻防の中にも遊び心溢れる3分間の闘いに、超満員の観客は大いに酔いしれた。
夢の対決を終えた那須川は「20日に試合を控えているので、追いこみをしてから来ました。きょう(の試合)はこんなもんですかね(笑)石井選手は引退したとは思えないキレのある動きで、いいトレーニングになりました。石井選手いつ現役復帰するんですか?」と3年振りの実戦となった石井の動きを称賛するとともに、20日のタイトル戦に向けて好調をアピール。対戦した石井は「疲れました。さすが天心君。全然ついていけなかった。天心君は目がいいので、こちらが何かをしようとすると、先を行ってる感じがした。化け物ですね」と語り、現在格闘技界のトップを走る那須川の実力に舌を巻いていた。
“伝説”からのお墨付きをもらった那須川の次なる舞台は、5.20『RISE 117』後楽園ホール大会でのISKAオリエンタルルール世界バンタム級(-55kg)王座の防衛戦。ライアン・シェーハンの挑戦を受ける。この大会も既に指定席は全席完売しており、「キックボクシングを広めるため」に参戦している『RIZIN』での地上波全国放送での露出は、間違いなくキック界に還元されている。
今回の『ROAD TO KNOCK OUT.1』では、昨年12月5日の『KNOCK OUT vol.0』TDCホール大会で、那須川がバックスピンキックで、1R KO勝ちを収めた、“強豪”ワンチャローン・PKセンチャイジムと、那須川戦を目標としている小笠原瑛作(クロスポイント吉祥寺)の対戦(6.17『KNOCK OUT vol.3』TDCホール大会)が発表された。小笠原が勝利を収めるようなことがあれば、那須川にとって久々の日本人対決が実現するかもしれない。また同じく昨年、那須川に敗れている宮元啓介(橋本道場)が、メインで伏見和之(シーザー力道場)を相手に、3R 2:58 タオル投入によるTKO勝ちを収めると、小野寺力プロデューサーに「(KNOCK OUT認定)スーパーバンタム級王座決定トーナメントをやるなら出してほしい。昨年の自分とは違います」と猛アピール。小野寺プロデューサーは「スーパーバンタム級には凄い日本人選手がたくさんいるので、必ずやります。そのときはよろしく!」と時期の明言は避けたものの、宮元の要望を受け入れた。
スーパーバンタム級の中心が那須川天心であることは揺るがないが、那須川を取り巻く選手たちによるスーパーバンタム級戦線は、現在、1回戦を突破した森井洋介(ゴールデングローブ)を中心に、初代ライト級王座決定トーナメントが盛り上がっている『KNOCK OUT』マットにとって、もう一つの軸になり得る可能性を秘めている。それには那須川の対抗馬となる日本人選手の存在が不可欠だろう。
年内は「キックのために」引き続き多方面で名前を売っていくスタンスである那須川の活躍はもちろん、その座を狙う『ROAD TO 天心』の行方にも注目していきたい。
取材・文/どら増田
写真提供/(C)キックスロード